ねがぽじ〜お兄ちゃんと呼ばないでっ!!〜(PC)
メーカー アクティブ 総合評価 65点(及第点〜佳作)
ジャンル ADV
発売日 2001/04/06
シナリオ 枕流 「もう男でもいいや」みたいな発言をネット上で
横行させたソフト。…みんな男の子、好きなんだね(違
まあ、私もやぶさかではありませんが(ぉぃ
原画 風上旬
サウンド ヌーボ


個人的エピソード
元々気になっていたところへ、色々なサイトでの好評を聞いて購入。
ちなみに普通の評価が出回り始めたのはその後だったのでした(^^;

内容
いつもニコニコ能天気。底なしにお人よしな女のコ、広場まひる。
そんな彼女にも、人並みに悩みがありました。
遠慮がちな胸、控えめなお尻。
そして、無駄のない体つき。

更衣室では人が変わったように、隅っこでウジウジ着替える主人公。

人前で肌をさらさない彼女は、自分の体が他の女のコ達と違っていることに気づきませんでした。

そう…
家族も友達も、本人さえも知らないのです。
彼女が実は、スカートの似合う男のコであることに。
(マニュアルより)

システムとか
必要容量は10/100/350MBのいずれかから選択。
フルボイスであることなどを考えるとかなり小さい負担なのではないでしょうか。
CG枚数が小容量の原因のような気もしますが(^^;

全体としては選択肢分岐型のADV、選択肢の数もあまり多くなく難易度は低めと言えるでしょう。

セーブ数はデフォルトでは10個ですが、それに加えて任意のファイル名をつけることで無制限に増やすことが可能。
が、シーン単位で進行を管理していてロード時にはそのシーンの頭から再開する仕様ですので、実は無制限に増やせる意味って薄いかもですね。
個人的にはデフォルトのセーブ数を増やしてくれた方が便利かと思うんですが。

スキップは既読・強制の両方が実装。
CapsLockに既読スキップ機能を割り振るという作りは珍しいですが、かなり便利です。
そういえば同系資本の「RainyBlue」もそうでしたっけ。
読み返しは用意されていますが、バック可能な分量は30ページほど。
これはちょっと物足りないです。できれば2倍は欲しいところ。

鑑賞系はCG(立ち絵、背景含む)・BGM鑑賞とシーン回想。
一通り用意されたシステムで、使い勝手もよくほとんど文句はありません
さすがは老舗ブランドといったところでしょうか。

絵とか
原画の風上旬さんはアクティブのソフトではおなじみですね。
電撃PSとかで見た方もいらっしゃるかもしれません。
線がすっきりした印象の絵で、わりと一般受けする感じの絵かと。
塗りもなかなかのレベルで質的な面に関しては満足です。

が、量的な面で多大な不満が。
まず立ち絵に関しては表情豊かな顔ウィンドウを用意することで、ある程度緩和されてはいますが、各キャラごとに1〜2枚しかないというのはやはり少ないという感が否めません。
それなりの数の立ち絵パターンがないと画面が寂しくなってしまいます。

一方、イベントCG枚数はパターン違いを含めても56枚。
パターン違いを除くとおよそ40枚といったところでしょうか。
10時間近くかかるプレイ時間を考慮するとやはり少ないと言わざるをえません。
イベント絵の少なさゆえに、シナリオ上結構盛り上がった場面でも真っ暗な画面が表示されるというケースが多かったのも残念でした。

もう少し量があれば何も言うことはなかったんですけどねぇ…。

音楽・音声とか
BGMは全18曲。ボーカル曲などはありません。
再生方式はDirectSound、同Music、MIDIのいずれかから選択。
個人的にはD-MusicかMIDIのどちらかを推奨します。

さて質の方はと言うと、決して低くはありませんが特別印象に残るほどでは
しかしながら、劇中での使い方はなかなか上手かったのではないかと。
「Holy」「Sadness」あたりはそういう意味で結構気に入りました。

音声の方は主人公を含めてフルボイス。
声質もキャラクターに合った方が選ばれていますし、演技の方もとりあえず及第点をつけても問題ないレベルではあったと思います。
……いや、ひなたはちょっと辛いかも(爆)
もし難を挙げるならば、1番好みの声質が主人公まひる(♂、ただし声は女性声優)
っていうのはどうなの?ってことくらいです(笑)

シナリオとか
評価はなかなか難しいところです。
世間での評価は比較的高いっぽいですけど。

まず、キャラクターの個性がしっかり立っていて上手く描けています。
どのキャラも非常に好感が持てるキャラばかりです。
まひるに転ぶ人が多いのも頷けます。
また漫才のような会話の掛け合いも読んでいて面白く、何度も笑わせられました。
会話のテンポも良く、コメディ部分としての完成度はかなり高いです。

さらに時折挿入され、後半若干比重が増すシリアス部の出来も標準以上にはなっています。
ともすれば鬱入ってしまいそうな出来事も起こるなんて想像してませんでしたから(^^;
ですが、シリアスではあってもヘビーにはなりすぎないバランスの取り方がなかなか上手く、
シナリオさんの技量が結構高いことを感じさせました。
特に主人公まひるの突然の変化のために発生したイジメ問題なんかは、
(表面上は)笑い飛ばす彼女?の強さによってヘビーになりすぎず、多分に救われた感があります。

この辺りが誉めどころ。さて、次は気になった点ですが。
まず第一に誤字脱字がちょっと多すぎるような気がしました。特に脱字。
シナリオを読ませるゲームなんだからそこはしっかりしてくれないと困ります。
次に、ヒロイン達は最初からまひるに性別に関係なく惹かれているので別に気にならないのですが、主人公まひる自身がなぜ彼女達に惹かれるのかという描写が若干弱いように感じました。

悪意的な解釈をすると「周りからの扱いが変わったので、前と変わらず接してくれる友人への好意が愛情にすり替わった」というように取れてしまうんですよね(^^;
まあ、こんな解釈を本気でするヤツはよっぽどひねくれた人間だけですし、私だって本気でそう思っているわけではないですけど。

あとちょっとコメディとシリアスのバランスが悪いかなと。
最後までどっちかに偏るということがないのはともかくして、急に笑いの部分が出てきたりするのでシリアスモードに切り替わった話の流れをちょっと殺してしまっているという印象を受けました。
単品料理としては美味しいけど、皿の上に盛り付ける順番が微妙に悪いというか…。
特に香澄トゥルーシナリオなんかは、Hシーンに笑い的な部分を持ってくるよりも絶対にシリアスに特化した方が良かったと思います。
EDなんか思いっきり鬱入ってるんですから(ぉぃ

個人的嗜好の問題としては小鈴と香澄バッド以外は微妙にすっきりしないEDばかりというのも気にはなりました。
ハッピーエンド至上主義者なもので。

総評
「いい」という人の言い分もよくわかりますが、微妙に肌に合わなかったかも。
なかなか買うソフトの選び方ってのも難しいもんですね。

まとめ。泣きや痛みと笑いを適度に盛り込んだソフト。
個人的にはその盛り込み方のバランスが合いませんでしたが、その辺りが気にならなければ10点程度の加算も可。
ただし、未解明の謎が気に入らない人やハッピーED至上主義者はその限りにあらず(^^;
もうちょっとCGが増えて、さらにバランスが改善されれば次回作は期待大です。

書いた時点での総プレイ時間 11時間40分(コンプ)
お気に入りのキャラ 広場まひる(ある意味当然)・夕凪美奈萌
お気に入りのセリフ 「まひるの場合、存在自体がネタだから」(ぉぃ

初版2001/04/19