書淫、或いは失われた夢の物語。(PC) | |||
メーカー | FORCE | 総合評価 | 80点(良作) |
ジャンル | NOV | ||
発売日 | 2000/07/15 | ||
シナリオ | 深沢豊 | スタッフロールによれば制作スタッフはわずか5人。 本当にこれって一般流通してるエロゲなんですか? 下手したら同人ソフトの方が制作人数多いよ(爆) |
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原画 | 月永真洋 | ||
サウンド | 石原伸悟・A-Emu-Eye |
※以下の評価はLANGuexにて配布中のVer.1.55βに基づいています
個人的エピソード |
ウチの掲示板にもよく書いてくださるふりすきーさんが色んな所で布教しているのを見て(ぉ まあ、ちゃんと感想サイトを見回ったりもしましたけどね。 |
内容 |
あるのは舞台となるホテル、そして登場する人物達。 描かれるのは2つの物語。 【書淫】 連続婦女暴行魔X――つまり、「あなた」――の元に「向こう」から訪れた依頼。 その内容は、同じホテルに宿泊している3人の女性を襲うこと。 あまり気が進まないながらも生きるために、依頼を実行しようとするX だが、彼はまだ知らない。 正体を伏せていた自分の前に「自らがX」だと名乗る存在が現れることを。 【失われた夢の物語】 「冬になったら迎えに来ます」――そんなメモだけを残してホテルから管理人達がいなくなった。 高い塀と頑丈な扉。とても出られそうに無い。 「本気なのかな?」 思わず漏れる不安。 冬への扉を待つことになった4人の男女の物語。 果たして「扉」を開けるのは一体誰なのか…… ……そして2つの物語は結びつく。なぜって、どちらも「あなたの」物語なのだから。 (適当に自分で書きました。ヘボくてすみません^^;) |
システムとか |
必要容量は約60MB。本当に2000年のソフトなんでしょうか?(ぉ 基本的には選択肢分岐型のノベルゲームです。 特定シーンを通過したり、エンディングを迎えることで選択肢が増えたりもしますが、それ以上でもそれ以下でもありません。 珍しいところでは、「キーボードによる行動入力」を挙げられますが、 弾かれることが多いのでどう評価するかは人によって分かれるところでしょう。 私は好きですけど、「好き? 嫌い?」と聞かれて「嫌い」という入力が弾かれるのはちょっと…と思ったりもします(^^; セーブはファイルを生成するタイプなので無制限。 気をつけるべきはセーブはシーン単位で制御されているので、ロードした時にほとんどの場合、前に戻されます(具体的にはセーブした位置に最も近い「セーブポイント」まで戻る) 特別気になることはありませんでしたが、できたら改善して欲しいところ。 メッセージスキップは既読のみ。速度は速めでした。 バックログ機能自体はありませんが、このソフトの特徴であるユーザーメモ機能(プレイ中にユーザーが自由にメモを取ることができる)の参照用として100クリック分のログを見ることができます。 バックログとしては若干見難いですが、量的には十分かと。 鑑賞系はCG・BGM鑑賞とシーン回想と一通り揃っています。 必要なものは全部揃っていてシステムとしての不満はありませんが、ここで一言。 難易度高すぎます。 自力でやる場合、選択肢やルートを虱潰しにしないと先に進めません。 というわけで、大人しく攻略を参考にしましょう(^^; |
絵とか |
なんというかクセの強い絵ですよね〜。 立ち絵だとあんまり気にならないんですが、イベント絵の方は目の描き方がちょっと……(^^; 背景はなかなかいいですが、塗りは平坦な印象を受けますし絵の質的評価は総じて低いです。 まあ、絵に期待して買うタイプのソフトじゃないので気にはしませんが。 枚数はCGモードによれば32枚(パターン違い除く) 恐ろしく少ないこの枚数こそが、小容量の要因なんですね(爆) |
音楽とか ※音声はありません |
BGMは全13曲。 ボーカル曲などはなしで、2曲がPCM再生、それ以外はMIDIとなっています。 私は例の如くSC-88Proで聞きましたが、なかなか頑張っているんじゃないかと。 MIDI楽曲採用の最近のゲームの中では上の方に属すると思われます。 恒例のお気に入りは「テーマ1」「謎解き調」「EXTRA1」あたり。 …これがオフィシャルのタイトルというところが残念。 せめてそれっぽいタイトルくらいつけようよ(´Д`; |
シナリオとか |
本当にゲームでしかできない物語。 一言で言うとそれが感想でしょうか。 メーカーサイトの紹介を見ると、「書淫」編は陵辱物・「失われた夢の物語」編は純愛物というような印象を受けますが実際のところはそういった要素はあまり見られません。 陵辱物のはずなのに主人公、いい人ですし(笑) どちらにも共通した要素としてはミステリー系といったところでしょうか。 「ホテルの開かない扉」や「Xの正体」といった謎を軸に進んで行きますし。 もっとも謎自体は「解く」よりも「明かされる」形なんで、厳密にはサスペンスに分類するべきなのかもしれませんけど(^^; どちらも単品として見てもなかなか良く出来ていますが、 それだけではよくあるレベルの物語に終始してしまいます。 感動にしても萌えにしても感情移入という面で弱いお話ですしね(^^; この作品が他より秀でている面、それは「第3のシナリオ」の存在と「3番目のシナリオを媒介として使う間接的かつ多くのリンク」です。 わかりやすく言えばゲーム全体の構成力に秀でているわけです。 この3番目のシナリオ、最初は他の2本がそうであるように独立性が強い (というか初めのうちは何を言っているのかわからない) のですが、進行に合わせて読める部分が増えるにつれて様々なことが提示されていきます。 「書淫」「失われた夢の物語」でプレイヤーが疑問に思うであろう言動の裏がここを読むことで徐々に明かされるのは勿論のこと、「第3のシナリオ」の中に以前は読み流していたシーンが持っている暗喩まで含まれているという作りには素直に脱帽です。 (ネタバレ) なくしたはずの髪飾りがHシーンでは描かれていたり、深紗の存在の意味、 なぜ主人公を殺害した後、食べたりするのか…その辺の謎が全部氷解した 瞬間の快感といったらなかったです (ネタバレ終わり) 「第3のシナリオ」を最後まで読んで、今までの3つの物語が自分の中で1つに収束する時の快感は滅多に味わえるものじゃないと思います。 私なんかモニターの前で「なるほど!」とか言っちゃいましたもん(^^; メーカーも「あなたの物語」とは上手く言ったものです、ええ。 |
総評 |
いや、買ってよかったです。こういうの大好き。 でも、よくこれを5人で作ったねと思います。 まとめ。構成の美しさを楽しむノベルゲーム。 ゲームでしかできないデザインという意味ではノベルゲーム史上でも屈指。 Paper company0310さんで書かれていた「ユーザーと物語世界がセックスするゲーム」という評こそがこの作品を最も正しく表していると思います。 技量が高いのは嫌というほどわかりましたが、既に書きましたが感情移入の面で弱いですし、リンク以外の点で見ると「なかなか面白い」というレベルの話なんでやや厳しく80点にしておきます(^^; |
書いた時点での総プレイ時間 | 約6時間(コンプ) | ||
お気に入りのキャラ | 筑紫夕香里 | ||
お気に入りのセリフ | 「やめてよ……アナタから来たんじゃ……また……繰り返しじゃない……ずっと……ずっと……そうやって……アナタは……自分を責めて……」 #このセリフも背景を知って驚いたり |
初版2001/06/09