■ 第六 神祇令 ≪全20条≫ ○01 天神地祇条 天神地祇は、神祇官がみな(この令に)規定する恒例に依ってこれを祭るこ と。 ○02 仲春条 仲春〔なかのはる〕   祈年祭〔としごいのまつり〕 ○03 季春条 季春〔すえのはる〕   鎮花祭〔はなしずめのまつり〕 ○04 孟夏条 孟の夏〔はじめのなつ〕 神衣祭〔かんみそのまつり〕             大忌祭〔おおいみのまつり〕             三枝祭〔さいぐさのまつり〕             風神祭〔かざかみのまつり〕 ○05 季夏条 季夏〔すえのなつ〕   月次祭〔つきなみのまつり〕             鎮火祭〔ひしずめのまつり〕             道饗祭〔みちあえのまつり〕 ○06 孟秋条 孟秋〔はじめのあき〕  大忌祭             風神祭 ○07 季秋条 季秋〔すえのあき〕   神衣祭             神嘗祭〔かんにえのまつり〕 ○08 仲冬条 仲冬〔なかのふゆ〕   上卯〔かみのう〕に相嘗祭〔あいんべのまつり〕             寅日〔とらのひ〕に鎮魂祭〔おおんたまふり                              のまつり〕             下卯〔しものう〕に大嘗祭〔おおんべのまつり〕 ○09 季冬条 季冬〔すえのふゆ〕   月次祭             鎮火祭             道饗祭 以上ここまでの諸祭では、神に供する調度及び礼儀、斎日は皆、別式に依るこ と。祈年祭・月次祭には、百官は神祇官に集まること。中臣が祝詞を宣すこ と。忌部が幣帛を分けること。 ○10 即位条 天皇が即位したまうときは、すべて天神地祇を祭ること。散斎1ヶ月。致斎3 日。大幣〔おほみてくら〕(=神に供える幣物)は、3ヶ月の内に修理(新 造)しおえること。 ○11 散斎条 散斎の期間、諸司の事務は平常通り。喪を弔ったり、病人を問うたり、肉を食 べたりしてはならない。また、刑殺を裁判しないこと。罪人を刑罰しないこ と。音楽を作らないこと。穢悪の事に関わらないこと。致斎には、ただ祭祀の ことのみ行うことができる。その他はことごとく断つこと。致斎の前後を致斎 と併せて散斎とすること。 ○12 月斎条 1ヶ月の斎を大祀とすること。3日の斎を中祀とすること。1日の斎を小祀と すること。 ○13 践祚条 践祚の日には、中臣は天つ神の寿詞〔よこと〕を奏すること。忌部は神璽の 鏡・劒〔たち〕を奉ること。 ○14 大嘗祭(※「条」の字なし) 大嘗は、天皇一世ごとに1年(だけ)、国司が事を執り行うこと。それ以外 は、毎年、所司(祭事を預かる在京諸司=神祇官)が事を執り行うこと。 ○15 祭祀条 祭祀は、所司(神祇官)があらかじめ太政官に上申すること。太政官は、散斎 の日の平旦(=夜明け。特に寅の刻(=午前4時頃)をいう)に、関係諸司へ 頒告すること。 ○16 供祭祀条 祭祀に供する幣帛、飲食、及び、果実の類は、所司の長官が自ら検校するこ と。必ず精細にさせること。穢雑にさせてはならない。 ○17 常祀条 恒例の祀りの他に、諸社へ出向いて幣帛を供する場合は、皆、五位以上の卜 〔うら〕(=亀卜)にかなった人を充てること。{ただし伊勢神宮は、恒例の 祀りについてもまた同様。} ○18 大祓条 6月、12月の晦日の大祓には、中臣は御祓麻〔おおぬさ〕を奉ること。東西 の文部は祓の刀を奉り、祓詞を読むこと。それが終わったならば、百官の男女 は、祓所に集合すること。中臣は祓詞を宣すこと。卜部は解え除きをするこ と。 ○19 諸国条 諸国で大祓えをなすときは、郡ごとに刀1口、皮1張、鍬1口、及び、雑物等 を供進すること。戸ごとに麻1条。国造は馬1疋を供進すること。 ○20 神戸条 神戸の調庸及び田租は、いずれも神宮造り、及び、神に供する調度に充てるこ と。税は義倉に準じること。皆、国司が検校して、所司に申し送ること。                 (公開:2000/03/18 更新:2000/03/18) ====================================================================== 訳者:しげちゃん(猪狩浩美) Email: HGF03435@nifty.ne.jp   「官制大観」 http://www.sol.dti.ne.jp/‾hiromi/kansei/ ======================================================================