■ 第二十 営繕令 ≪全17条≫ ○01 計功程条 (雇役丁の雇用料支払いの基準とする)1日の標準仕事量(の算出法)は、4 月・5月・6月・7月を長功〔ちょうくう〕(の時期)とすること。{布1常 を織るごとに4功を得る。}2月・3月、8月・9月を中功(の時期)とする こと。{1常につき5功を得る。}10月・11月・12月・正月を短功(の 時期)とすること。{1常につき6功を得る} ○02 有所営造条 (別勅や臨時の)造営がある場合、及び、賃金で雇って製造・製作する類に は、担当の役所はみな、まず必要量の総数を記録して太政官に申告すること。 ○03 私第宅条 個人の邸宅について、みな楼閣を建てて人の家を覗き見てはならない。宮内で 造営、及び、修理することがある場合は、みな陰陽寮に日を選ばせること。 ○04 営造軍器条 軍器を製作するならば、みな手本見本に依ること。製作年月、及び、担当の工 匠の姓名を彫り記させること。もし(弓箭など)彫り記すことができない場合 は、この令を用いない。 ○05 錦羅条 錦、羅、紗、〓〔うすきつむぎ〕、綾、紬〔あつきつむぎ〕、紵〔てづくり〕 の類は、みな幅1尺8寸、長さ4丈を匹〔ひち/ひき〕とすること。 ○06 在京営造条 在京(諸司)の造営、及び、(行事等のため)備蓄する雑物については、毎年 諸司は、来年の必要量を総計して、太政官に申告すること。主計に回すこと。 あらかじめ(それらの)貢納を課す国を定めて備えること。もし法に依って元 からの定数があり、増減してはならない場合は、この令を用いない。毎年、常 に支給されるが必要量に足らない、及び、支給される以外に、さらに別に必要 なことがあって、追加ないし(他から)流用すべき場合は、また太政官に申請 すること。 ○07 解巧作条 白丁について、(鍛冶・工作等の)特殊技能を有する場合には、毎年、計帳の ついでに国司が調査して、帳に付けて民部省に報告すること。 ○08 貯庫器仗条 兵器庫に備蓄した器仗は、錆びたり綻んだり切れたりすることがあれば、3年 に1度修理すること。もし給出によって破壊したならば(?)、いずれも事情に応 じて検討して修理すること。在京(の兵器庫)の場合は、必要な物資・人力は 太政官に申告して事に当たること。在外の場合は、その地の兵士、及び、防人 を充てること。必要物資には当国の官物を用いること。 ○09 須女功条 在京で造営するとき、(縫製・舂米など)婦人労働を用いる場合は、みな縫部 司に製作担当させること。もし製作量が多いとき、及び、軍事に用いるなど で、縫部司の人員では労働力不足ならば、太政官に申告して、京内の婦女を充 てること。 ○10 瓦器経用条 土師器・陶器類が、使用によって損壊したならば、1年間に10分の2までの 損耗は許可すること。それ以外は(各官司の責任で)補填すること。 ○11 京内大橋条 京内の大きな橋、及び、宮城門の前の橋は、いずれも木工寮が修営すること。 それ以外は京内の人夫を充てること。 ○12 津橋道路条 津・橋・道・路〔おおじ〕は、毎年9月半ばに着工してその地(の国司(?))が 修理すること。10月に終わらせること。要路が陥壊し、水をせき止め、通行 不能になったならば(?)、時期に関わらず、必要な人夫を計算して充て修理する こと。その司がよく判断できない場合は申請すること。 ○13 有官船条 官船を置いているところは、みな便宜に応じて安置すること。いずれも覆いを かぶせること。必要ぶんの兵士を派遣し看守させること。損壊に応じて修理す ること。修理に耐えない場合は、帳に付けて申上すること。主船司の船は、船 戸に分番で看守させること。 ○14 官私船条 官私の船は、毎年つぶさに、種類、積載量、廃棄したか見在か、使用に耐える かどうか、を明らかにし、朝集使に預けて兵部省へ申達すること。 ○15 官船行用条 官船を使用したとき、もし損壊することがあったならば、事情に応じて修理す ること。もし修理するに耐えず、造り替えるべき場合は、あらかじめ必要な労 働力、費用を計算して、太政官に申告すること。 ○16 近大水条 大河に近く、堤防があるところは、国郡司は、時折、検行すること。もし修理 すべき場合は、秋の収穫が終わるごとに、修理の仕事量の多少を計算して、堤 防付近に住む人から遠くに住む人の順に動員すること。人夫を徴発して修理す ること。もし暴水氾濫して堤防を損壊して、急に人の迷惑になるようなことが あったならば、即刻修営すること。期日に拘わらない。500人以上を働かせ るときは、取りあえず働かせ取りあえず申告すること(?)。{もし急に(人員 を)要する場合は、軍団の兵士もまた動員して働かせることができる。}働か せるときには5日を超過してはならない。 ○17 堤内外条 堤の内外、併せて堤の上には、たくさん楡〔やまにれ〕、柳、雑樹を植えて (補強し)、堤堰〔せき〕の資材に充てること。                 (公開:2000/03/18 更新:2000/03/18) ====================================================================== 訳者:しげちゃん(猪狩浩美) Email: HGF03435@nifty.ne.jp   「官制大観」 http://www.sol.dti.ne.jp/‾hiromi/kansei/ ======================================================================