■ 第二十五 假寧令 ≪全13条≫ ○01 給休假条 在京の諸司には、6日ごとにいずれも休假〔くけ〕(=休暇)を1日与えるこ と。中務省・宮内省・供奉(=天皇の身近にお仕え)の諸司(中務省・宮内省 配下の職・寮・司)、及び、五衛府の場合は、これと異なり(1ヶ月に)假 〔け〕5日を(連続休暇として)与えること。百官の例に依らない。5月・8 月には田假〔でんけ〕(=農繁期休暇)を与えること。2つに分けて交替制に すること。それぞれ15日。風土の都合が異なり、種まき・収穫時期が異なる ならば、すべて便宜に従って与えること。外官はこの範囲でない。 ○02 定省假条 文武官の長上(=常勤)の人について、父母が畿外に在るならば、3年に1 度、定省〔じょうしょう〕(=帰省。のちに晨昏〔しんこん〕(=日の出と日 没)と改める)の假を30日与えること。往復の旅程はこの期間に含まない。 もし既に(公使などの途中、付近を経由するなどで立ち寄って)家へ還ってい たならば、その年から後を数えて与えること。 ○03 職事官条 職事官〔しきじかん〕(=職掌のある官人)について、父母の喪に遭ったなら ばいずれも解官〔げかん〕(=解任)すること。その他(の喪)は、みな假を 与えること。夫、及び、祖父母、養父母、外祖父母には30日。3ヶ月の服喪 (をすべき親類)には20日。1ヶ月の服喪には10日。7日の服喪には3 日。 ○04 無服殤条 無服〔むぶく〕(=喪服を着けない心喪)の殤〔しょう〕(=未成年の死者) {生後3ヶ月より7歳に至るまでをいう}には、本服〔ほんぶく〕(=本来な ら喪に服すべき)3ヶ月(をすべき場合、つまり嫡子)ならば、假を3日与え ること。1ヶ月の服(つまり衆子・嫡孫)には2日。7日の服(つまり衆孫・ 兄弟の子)には1日。 ○05 師経受業条 師(大学・国学、及び典薬寮の諸博士)について、過去に授業を受けた人の喪 には、假を3日与えること。 ○06 改葬条 改葬をしたならば、1年の服(をすべき場合、つまり君主・父母・夫・本主) には假を20日与えること。5ヶ月の服(つまり、祖父母・養父母)には10 日。3ヶ月の服には7日。1ヶ月の服には3日。7日の服には1日。 ○07 聞喪条 (遠隔地に住む死者の)喪を聞いて挙哀〔こあい〕(=(遠隔地へ行かずに) 死者に哀悼の意を捧げるため哭声をあげること)したならば、その假は半減す ること。余りがあれば假の日数に入れること。 ○08 給喪葬条 喪葬の假を与えるとき、3ヶ月以上の服にはいずれも(喪所との往復のため の)日程を(別に)与えること。 ○09 給喪假条 喪假〔そうけ〕を与えるについては、喪の日(死亡日)を始めとすること。挙 哀は、喪を聞いた日を始めとすること。 ○10 官人遠任条 官人が、遠任〔おんにん〕(=国司など遠隔地に勤めていること)及び公使し ていて、父母の喪で解任するにあたっては、当人が(喪のことを知らず)報告 しなければ、妻子・家族が所在(当人の勤務先)の官司に牒を提出して報告し (当人に喪のことを)知らせるのを許可すること。もし勅をうけたまわって使 に出た場合、及び、辺要な任にある場合は、太政官に上申して(太政官から天 皇に奏聞して)処分すること。 ○11 請假条 假の申請について、五衛府の五位以上には3日与えること。京官の三位以上に は5日与えること。五位以上には10日与えること。それ以上(の日数)、及 び、畿外に出たいと願ったならば、奏聞すること。奏すべきでないもの、及 び、六位以下は、みな本司が判断して与えること。奏すべき場合は、いずれも 太政官が奏聞すること。 ○12 外官聞喪条 外官、及び、使の人について、喪を聞いたならば、所在の館舎に安置する(留 まる)のを許可すること。国郡の庁の中で挙哀してはならない。 ○13 外官任訖条 外官は、任務を終えたならば、装束の假(=身支度を整える準備休暇)を与え ること。近国には20日。中国には30日。遠国には40日。いずれも旅程は この期間に含まないこと。假の期間内に赴任したいと願ったならば許可するこ と。もし事情があって、素早く派遣するときにはこの令を適用しない。前任者 については、交代の新任者が到着した場合でも、またこれに準じること。もし 前任者に現在、営んでいる田苗があって収穫を待つ場合は、収穫を終えるのを 待って帰還させること。                 (公開:2000/03/18 更新:2000/03/18) ====================================================================== 訳者:しげちゃん(猪狩浩美) Email: HGF03435@nifty.ne.jp   「官制大観」 http://www.sol.dti.ne.jp/‾hiromi/kansei/ ======================================================================