「EVER17」を最後までやってまず思ったのが「書淫、」とちょっと被るということでした。
2つの世界、同じ登場人物(実はEVER17の方は大多数が違う人間ですが、
『同じ役割を持っている』以上同じ人物といってもいいでしょう)、
2人の主人公、その裏にあって2つを結びつける本当の話・本当の主人公
……両作品は極めて近い構造を持っています。

無論どちらが優れているとか言うつもりはありません。どちらもよくできています。
「書淫、」は短いながらもあの構成をフルに生かし、意外性でもってゲームを面白くしています。
対して「EVER17」は作品の長さを活かし、わかりにくくなりがちな設定や構成・
2つの世界の結びつきを細かく表現することでゲームを面白くしています。
いわば同じような題材を使った良質の長編と短編を比べるようなものです。

ですが私が真に似ていると思ったのはそんな物語構造ではありません。
2つの時代や2つの世界にまたがって話が展開する作品においては、
この両作品もそうですが何らかの超越者を用意しなくては物語を1本の筋にまとめられません。
(転生する魂で時間を超越する「久遠の絆」とか並列世界の壁をを超越する「YU-NO」なんかもその例でしょう)
重要なのは1本にまとまった後の「本当の主人公」の存在です。

この両者に共通しているのは結局のところ「真の主人公=プレイヤー」であることかと。
「EVER17」における最後の、そして真の主人公はBWだと思います。
この作品はつまるところBWとココの物語です。
それは誰が見ても明らかでしょう。
そしてBWこそは2つのLeMUで起こっている、あるいは起こったであろう事象の全てを知っている存在、すなわちプレイヤーと。
最後にココが画面に向けて「お兄ちゃんが〜」というのはBWというよりはプレイヤーに対するメッセージなんじゃないかな〜なんて個人的には妄想してます。

結局この話はBW(プレイヤー)とココの恋物語であり、4次元存在と3次元存在の触れ合いという形で
3次元存在たるプレイヤーと2次元存在たるゲームキャラとの接触を果たそうとしたものなんじゃねえのか、とか何とか。
まあそんなところが似ているのかな?と思ったのですよ。