第一級陸上無線技術士試験 無線工学B 過去問題 R4.7(1) A-8 H29.7 A-7 H29.1 A-7

R4.7(1) A-8

次の記述は、同軸線路の特性について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。

  1. 通常、直流から\(\,TEM\,\)波のみが伝搬する周波数帯まで用いられる。
  2. 抵抗損および誘電体損は、周波数が高くなるにつれてともに増加する。
  3. 比誘電率が\(\,\varepsilon_s\,\)の誘電体が充てんされているときの特性インピーダンスは、比誘電率が1の誘電体が充てんされているときの特性インピーダンスの\(\,1/\varepsilon_s\,\)倍となる。
  4. 比誘電率が\(\,\varepsilon_s\,\)の誘電体が充填されているときの位相定数は、比誘電率が1の誘電体が充填されているときの位相定数の\(\,\sqrt{\varepsilon_s}\,\)倍となる。
  5. 通常、最も遮断波長が長い\(\,TE_{11}\,\)波が発生する周波数より高い周波数領域では用いられない。

解法

比誘電率が\(\,\varepsilon_s\,\)の誘電体が充填されているときの特性インピーダンスは、比誘電率が1の誘電体が充填されているときの特性インピーダンスの\(\,1/\sqrt{\varepsilon_s}\,\)倍となる。

答え…3

H29.7 A-7

次の記述は、同軸給電線の特性について述べたものである。\(\boxed{\phantom{1234}}\,\)内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。

  1. 同軸給電線の伝送損は、抵抗損によるものと誘電損によるものがあり、抵抗損によるものは、周波数の平方根に\(\,\boxed{\quad\text{A}\quad}\,\)し、誘電損によるものは、周波数に比例する。
  2. 同軸給電線内の位相定数と自由空間の位相定数の比で表される波長短縮率は、同軸給電線に充填されている誘電体の比誘電率を\(\,\varepsilon_s\,\)とすれば、\(\boxed{\quad\text{B}\quad}\,\)で与えられる。
  3. 同軸給電線は、通常用いるモードでの遮断周波数は存在しないが、周波数が高くなり、ある周波数を超えると、\(\boxed{\quad\text{C}\quad}\,\)モードが発生して伝送損の増加や位相ひずみを生ずる。
\[ \begin{array}{l c c c} &\text{A}&\text{B}&\text{C} \\ 1&比例&1/\varepsilon_s&TEM \\ 2&比例&1/\sqrt{\varepsilon_s}&TE又はTM \\ 3&比例&1/\varepsilon_s&TE又はTM \\ 4&反比例&1/\sqrt{\varepsilon_s}&TE又はTM \\ 5&反比例&1/\varepsilon_s&TEM \end{array} \]

解法

自由空間(真空中)の電磁波の位相速度を\(\,c\,[\mathrm{m/s}]\,\)、波長を\(\,\lambda_0\,[\mathrm{m}]\,\)とすると、誘電体の比誘電率が\(\,\varepsilon_s\,\)の同軸給電線内の位相速度\(\,v\,[\mathrm{m/s}]\,\)及び波長\(\,\lambda\,[\mathrm{m}]\,\)は

\[ \begin{eqnarray} v&=&\cfrac c{\sqrt{\varepsilon_s}}\,[\mathrm{m/s}] \\ \lambda&=&\cfrac{\lambda_0}{\sqrt{\varepsilon_s}}\,[\mathrm{m}] \end{eqnarray} \]

によって表される。ここで、\(\lambda/\lambda_0=1/\sqrt{\varepsilon_s}\,\)を波長短縮率と呼び、同軸給電線内の波長は自由空間中の波長より短くなる。

同軸給電線は通常、\(TEM\,\)モードで動作するので直流から使用することができ、UHF帯(\(\,300\,[\mathrm{MHz}]~3\,[\mathrm{GHz}]\,\))までの伝送線路として用いられる。\(TEM\,\)モードは遮断周波数が存在しない。

同軸給電線の伝送周波数が高くなると\(\,TE\,\)モード又は\(\,TM\,\)モードで動作するようになる。\(TE_{11}\,\)で動作しているとき、同軸給電線の内部導体の外径を\(\,a\,[\mathrm{m}]\,\)、外部導体の内径を\(\,b\,[\mathrm{m}]\,\)、遮断波長を\(\,\lambda_c\,[\mathrm{m}]\,\)とすると、遮断周波数\(\,f_c\,[\mathrm{Hz}]\,\)は次式で表される。

\[ f_c=\cfrac{3\times10^8}{\lambda_c}=\cfrac{3\times10^8}{\pi(a+b)}\,[\mathrm{Hz}] \]

答え…2

H29.1 A-7

次の記述は、同軸線路の特性について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。

  1. 通常、直流から\(\,TEM\,\)波のみが伝搬する周波数帯まで用いられる。
  2. 抵抗損は周波数の平方根に比例して増加し、誘電体損は周波数に比例して増加する。
  3. 比誘電率が\(\,\varepsilon_s\,\)の誘電体が充填されているときの特性インピーダンスは、比誘電率が1の誘電体が充填されているときの特性インピーダンスの\(\,1/\sqrt{\varepsilon_s}\,\)倍となる。
  4. 比誘電率が\(\,\varepsilon_s\,\)の誘電体が充填されているときの位相定数は、比誘電率が1の誘電体が充填されているときの位相定数の\(\,\varepsilon_s\,\)倍となる。
  5. 通常、最も遮断波長が長い\(\,TE_{11}\,\)波が発生する周波数より高い周波数領域では用いられない。

解法

比誘電率が\(\,\varepsilon_s\,\)の誘電体が充填されているときの位相定数は、比誘電率が1の誘電体が充填されているときの位相定数の\(\,\sqrt{\varepsilon_s}\,\)倍となる。

答え…4