第一級陸上無線技術士試験 無線工学B 過去問題 R5.7(1) A-9 R3.1(2) A-7 H31.1 A-8

R5.7(1) A-9

次の記述は、図に示す帯域フィルタ(BPF)を用いた送信アンテナ共用装置について述べたものである。\(\boxed{\phantom{1234}}\,\)内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。なお、同じ記号の\(\,\boxed{\phantom{1234}}\,\)内には、同じ字句が入るものとする。

  1. 移動体通信などの1つの基地局に多数の無線チャネルが用いられ多数の送信アンテナが設置される場合、送信電波の\(\,\boxed{\quad\text{A}\quad}\,\)変調を防止するため、送信アンテナ相互間で所要の\(\,\boxed{\quad\text{B}\quad}\,\)を得る必要がある。この\(\,\boxed{\quad\text{B}\quad}\,\)は、アンテナを垂直または水平に、一定の間隔をおいて配置することにより得られるが、送信アンテナの数が多くなると広い場所が必要になるため、送信アンテナ共用装置を用いられることが多い。
  2. 1つの送信機出力は、サーキュレータとその送信周波数の帯域フィルタを通ってアンテナに向かう。他の送信機に対しては、分岐結合回路の分岐点から各帯域フィルタまでの線路の長さを送信波長の1/4の\(\,\boxed{\quad\text{C}\quad}\,\)とし、先端を短絡した1/4波長の\(\,\boxed{\quad\text{C}\quad}\,\)の長さの給電線と同じ働きになるようにして、分岐点から見たインピーダンスが無限大になるようにしている。
  3. しかし、一般に分岐点から見たインピーダンスが無限大になることはないので、他の3つの送信周波数のそれぞれの帯域フィルタのみでは十分な\(\,\boxed{\quad\text{B}\quad}\,\)が得られない。このため、さらにサーキュレータの吸収抵抗で消費させ、他の送信機への回り込みによる再放射を防いでいる。
\[ \begin{array}{l c c c} &\text{A}&\text{B}&\text{C} \\ 1&相互&結合減衰量&奇数倍 \\ 2&相互&耐電力&偶数倍 \\ 3&相互&結合減衰量&偶数倍 \\ 4&過&耐電力&偶数倍 \\ 5&過&結合減衰量&奇数倍 \end{array} \]

解法

線路長\(\,l\,\)の受端短絡線路のインピーダンスを\(\,\dot{Z}\,\)は、位相定数を\(\,\beta\,\)とすると次式で表される。

\[ \dot{Z}=jZ_0\tan\beta l \]

\(\tan\beta l\,\)が\(\,\infty\,\)となるのは、\(\beta l\,\)が\(\,\frac{\pi}2,\frac{3\pi}2,\frac{5\pi}2,\cdots\,\)のとき。すなわち\(\,(1+2n)\frac{\pi}2\,\)のとき。

\(\beta=\frac{2\pi}{\lambda}\,\)とすれば、\(l\,\)が\(\,\frac{\lambda}4,\frac{3\lambda}4,\frac{5\lambda}4,\cdots\,\)のとき。すなわち\(\,(1+2n)\frac{\lambda}4\,\)のとき。

よって\(\,l\,\)が\(\,\frac14\,\)波長の奇数倍のときにインピーダンスが無限大となる。

答え…1

R3.1(2) A-7

次の記述は、図に示す帯域フィルタ(BPF)を用いた送信アンテナ共用装置について述べたものである。\(\boxed{\phantom{1234}}\,\)内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。なお、同じ記号の\(\,\boxed{\phantom{1234}}\,\)内には、同じ字句が入るものとする。

  1. 移動体通信などの1つの基地局に多数の無線チャネルが用いられ多数の送信アンテナが設置される場合、送信電波の\(\,\boxed{\quad\text{A}\quad}\,\)変調を防止するため、送信アンテナ相互間で所要の\(\,\boxed{\quad\text{B}\quad}\,\)を得る必要がある。この\(\,\boxed{\quad\text{B}\quad}\,\)は、アンテナを垂直または水平に、一定の間隔をおいて配置することにより得られるが、送信アンテナの数が多くなると広い場所が必要になるため、送信アンテナ共用装置を用いられることが多い。
  2. 1つの送信機出力は、サーキュレータとその送信周波数の帯域フィルタを通ってアンテナに向かう。他の送信機に対しては、分岐結合回路の分岐点から各帯域フィルタまでの線路の長さを送信波長の\(\,\boxed{\quad\text{C}\quad}\,\)の奇数倍とし、先端を短絡した\(\,\boxed{\quad\text{C}\quad}\,\)波長の奇数倍の長さの給電線と同じ働きになるようにして、分岐点から見たインピーダンスが無限大になるようにしている。
  3. しかし、一般に分岐点から見たインピーダンスが無限大になることはないので、他の3つの送信周波数のそれぞれの帯域フィルタのみでは十分な\(\,\boxed{\quad\text{B}\quad}\,\)が得られない。このため、さらにサーキュレータの吸収抵抗で消費させ、他の送信機への回り込みによる再放射を防いでいる。
\[ \begin{array}{l c c c} &\text{A}&\text{B}&\text{C} \\ 1&過&耐電力&1/4 \\ 2&過&結合減衰量&1/3 \\ 3&相互&結合減衰量&1/3 \\ 4&相互&耐電力&1/3 \\ 5&相互&結合減衰量&1/4 \end{array} \]

解法

線路長\(\,l\,\)の受端短絡線路のインピーダンスを\(\,\dot{Z}\,\)は、位相定数を\(\,\beta\,\)とすると次式で表される。

\[ \dot{Z}=jZ_0\tan\beta l \]

\(\tan\beta l\,\)が\(\,\infty\,\)となるのは、\(\beta l\,\)が\(\,\frac{\pi}2,\frac{3\pi}2,\frac{5\pi}2,\cdots\,\)のとき。すなわち\(\,(1+2n)\frac{\pi}2\,\)のとき。

\(\beta=\frac{2\pi}{\lambda}\,\)とすれば、\(l\,\)が\(\,\frac{\lambda}4,\frac{3\lambda}4,\frac{5\lambda}4,\cdots\,\)のとき。すなわち\(\,(1+2n)\frac{\lambda}4\,\)のとき。

よって\(\,l\,\)が\(\,\frac14\,\)波長の奇数倍のときにインピーダンスが無限大となる。

答え…5

H31.1 A-8

次の記述は、図に示す帯域フィルタ(BPF)を用いた送信アンテナ共用装置について述べたものである。\(\boxed{\phantom{1234}}\,\)内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。なお、同じ記号の\(\,\boxed{\phantom{1234}}\,\)内には、同じ字句が入るものとする。

  1. 移動体通信などの1つの基地局に多数の無線チャネルが用いられ多数の送信アンテナが設置される場合、送信電波の\(\,\boxed{\quad\text{A}\quad}\,\)変調を防止するため、送信アンテナ相互間で所要の\(\,\boxed{\quad\text{B}\quad}\,\)を得る必要がある。この\(\,\boxed{\quad\text{B}\quad}\,\)は、アンテナを垂直または水平に、一定の間隔をおいて配置することにより得られるが、送信アンテナの数が多くなると広い場所が必要になるため、送信アンテナ共用装置を用いられることが多い。
  2. 1つの送信機出力は、サーキュレータとその送信周波数の帯域フィルタを通ってアンテナに向かう。他の送信機に対しては、分岐結合回路の分岐点から各帯域フィルタまでの線路の長さを送信波長の1/4の\(\,\boxed{\quad\text{C}\quad}\,\)とし、先端を短絡した1/4波長の\(\,\boxed{\quad\text{C}\quad}\,\)の長さの給電線と同じ働きになるようにして、分岐点から見たインピーダンスが無限大になるようにしている。
  3. しかし、一般に分岐点から見たインピーダンスが無限大になることはないので、他の3つの送信周波数のそれぞれの帯域フィルタのみでは十分な\(\,\boxed{\quad\text{B}\quad}\,\)が得られない。このため、さらにサーキュレータの吸収抵抗で消費させ、他の送信機への回り込みによる再放射を防いでいる。
\[ \begin{array}{l c c c} &\text{A}&\text{B}&\text{C} \\ 1&相互&結合減衰量&奇数倍 \\ 2&相互&結合減衰量&偶数倍 \\ 3&相互&耐電力&偶数倍 \\ 4&過&耐電力&奇数倍 \\ 5&過&結合減衰量&偶数倍 \end{array} \]

解法

線路長\(\,l\,\)の受端短絡線路のインピーダンスを\(\,\dot{Z}\,\)は、位相定数を\(\,\beta\,\)とすると次式で表される。

\[ \dot{Z}=jZ_0\tan\beta l \]

\(\tan\beta l\,\)が\(\,\infty\,\)となるのは、\(\beta l\,\)が\(\,\frac{\pi}2,\frac{3\pi}2,\frac{5\pi}2,\cdots\,\)のとき。すなわち\(\,(1+2n)\frac{\pi}2\,\)のとき。

\(\beta=\frac{2\pi}{\lambda}\,\)とすれば、\(l\,\)が\(\,\frac{\lambda}4,\frac{3\lambda}4,\frac{5\lambda}4,\cdots\,\)のとき。すなわち\(\,(1+2n)\frac{\lambda}4\,\)のとき。

よって\(\,l\,\)が\(\,\frac14\,\)波長の奇数倍のときにインピーダンスが無限大となる。

答え…1