第一級陸上無線技術士試験 無線工学B 過去問題 R6.1 B-5 R4.7(2) A-18 R4.1(1) B-4 R3.7(1) A-20 R2.11(1) B-5 R2.1 A-19 H30.1 B-5 H29.1 A-18 H28.1 B-5

R6.1 B-5

次の記述は、図に示すようにアンテナに接続された給電線上の電圧定在波比(VSWR)を測定することにより、アンテナの動作利得を求める過程について述べたものである。\(\boxed{\phantom{1234}}\,\)内に入れるべき字句を下の番号から選べ。ただし、アンテナの利得を\(\,G\,(真数)\,\)、入力インピーダンスを\(\,Z_L\,[\mathrm{\Omega}]\,\)とする。また、信号源と給電線は整合がとれているものとし、給電線は無損失とする。

  1. 給電線上の任意の点から信号源側を見たインピーダンスは常に\(\,Z_0\,[\mathrm{\Omega}]\,\)である。アンテナ側を見たインピーダンスが最大値\(\,Z_{max}\,[\mathrm{\Omega}]\,\)となる点では、アンテナに伝送される電力\(\,P_t\,\)は、次式で表される。 \[ P_t=\boxed{\quad\text{ア}\quad}\,[\mathrm{W}]\cdots\text{①} \]
  2. VSWRを\(\,S\,\)とすると、\(Z_{max}=\boxed{\quad\text{イ}\quad}\,\)であるから、式①は、\(S\,\)、\(V_0\,\)及び\(\,Z_0\,\)で表すと次式となる。 \[ P_t=\boxed{\quad\text{ウ}\quad}\,[\mathrm{W}]\cdots\text{②} \] アンテナと給電線が整合しているときの\(\,P_t\,\)を\(\,P_0\,\)とすれば、式②から\(\,P_0\,\)は、次式で表される。 \[ P_0=\boxed{\quad\text{エ}\quad}\,[\mathrm{W}]\cdots\text{③} \]
  3. アンテナと給電線が整合していないために生ずる反射損\(\,M\,\)は、式②と③から次式となる。 \[ M=P_0/P_t=\boxed{\quad\text{オ}\quad}\,[\mathrm{W}]\cdots\text{④} \]
  4. アンテナの動作利得\(\,G_W\,(真数)\,\)の定義と式④から、\(G_W\,\)は次式で与えられる。 \[ G_W=\cfrac{4SG}{(1+S)^2} \] したがって、VSWRを測定することにより、\(G_W\,\)を求めることができる。
\[ \begin{array}{r c} 1&\left(\cfrac{V_0}{2Z_0}\right)^2Z_{max} \\ 2&S^2Z_0 \\ 3&\cfrac{S{V_0}^2}{Z_0(1+S)^2} \\ 4&\cfrac{{V_0}^2}{4Z_0} \\ 5&\cfrac{(1+S)^2}{4S} \\ 6&\left(\cfrac{V_0}{Z_0+Z_{max}}\right)^2Z_{max} \\ 7&SZ_0 \\ 8&\cfrac{S^2{V_0}^2}{Z_0(1+S^2)^2} \\ 9&\cfrac{{V_0}^2}{2Z_0} \\ 10&\cfrac{(1+S^2)^2}{4S^2} \end{array} \]

解法

\[ P=I^2Z \]

給電線上でアンテナ側を見たインピーダンスが最大値\(\,Z_{max}\,\)となる点では

\[ P_t=\left(\cfrac{V_0}{Z_0+Z_{max}}\right)^2Z_{max}\cdots\boxed{\quad\text{ア}\quad} \]

\(Z_{max}=SZ_0\,\)なので、代入して

\[ \begin{eqnarray} P_t&=&\left(\cfrac{V_0}{Z_0+SZ_0}\right)^2SZ_0 \\ &=&\cfrac{{V_0}^2}{{Z_0}^2(1+S)^2}SZ_0 \\ &=&\cfrac{S{V_0}^2}{Z_0(1+S)^2}\cdots\boxed{\quad\text{ウ}\quad} \end{eqnarray} \]

整合しているとき\(S=1\,\)となり、題意より\(\,P_t=P_0\,\)なので

\[ \begin{eqnarray} P_0&=&\cfrac{S{V_0}^2}{Z_0(1+S)^2} \\ &=&\cfrac{{V_0}^2}{Z_0(1+1)^2} \\ &=&\cfrac{{V_0}^2}{4Z_0}\cdots\boxed{\quad\text{エ}\quad} \end{eqnarray} \]

上記より

\[ \begin{eqnarray} M&=&\cfrac{P_0}{P_t} \\ &=&\cfrac{\cfrac{{V_0}^2}{4Z_0}}{\cfrac{S{V_0}^2}{Z_0(1+S)^2}} \\ &=&\cfrac{{V_0}^2}{4Z_0}\times\cfrac{Z_0(1+S)^2}{S{V_0}^2} \\ &=&\cfrac 14\times\cfrac{(1+S)^2}{S} \\ &=&\cfrac{(1+S)^2}{4S}\cdots\boxed{\quad\text{オ}\quad} \end{eqnarray} \]

アンテナの動作利得は\(\,G_W=G/M\,\)で表されるので

\[ \begin{eqnarray} G_W&=&=\cfrac G{\cfrac{(1+S)^2}{4S}} \\ &=&\cfrac{4SG}{(1+S)^2} \end{eqnarray} \]

答え…ア-6 イ-7 ウ-3 エ-4 オ-5

R4.7(2) A-18

アンテナ利得が\(\,30\,(真数)\,\)のアンテナを無損失の給電線に接続して測定した電圧定在波比(VSWR)の値が\(\,3\,\)であった。このアンテナの動作利得(真数)の値として、最も近いものを下の番号から選べ。

\[ \begin{array}{l c} 1&16.3 \\ 2&22.5 \\ 3&28.8 \\ 4&37.9 \\ 5&45.9 \end{array} \]

解法

電圧定在波比を\(\,S\,\)、アンテナ利得を\(\,G\,\)とすると、動作利得\(\,G_W\,\)は次式で表される。

\[ G_W=\cfrac{4S}{(1+S)^2}G \]

代入して

\[ \begin{eqnarray} G_W&=&\cfrac{4\times3}{(1+3)^2}30 \\ &=&\cfrac{12}{4^2}30 \\ &=&\cfrac3430 \\ &=&22.5 \end{eqnarray} \]

答え…2

R4.1(1) B-4

次の記述は、図に示すようにアンテナに接続された給電線上の電圧定在波比(VSWR)を測定することにより、アンテナの動作利得を求める過程について述べたものである。\(\boxed{\phantom{1234}}\,\)内に入れるべき字句を下の番号から選べ。ただし、アンテナの利得を\(\,G\,(真数)\,\)、入力インピーダンスを\(\,Z_L\,[\mathrm{\Omega}]\,\)とする。また、信号源と給電線は整合がとれているものとし、給電線は無損失とする。

  1. 給電線上の任意の点から信号源側を見たインピーダンスは常に\(\,Z_0\,[\mathrm{\Omega}]\,\)である。アンテナ側を見たインピーダンスが最大値\(\,Z_{max}\,[\mathrm{\Omega}]\,\)となる点では、アンテナに伝送される電力\(\,P_t\,\)は、次式で表される。 \[ P_t=\boxed{\quad\text{ア}\quad}\,[\mathrm{W}]\cdots\text{①} \]
  2. VSWRを\(\,S\,\)とすると、\(Z_{max}=\boxed{\quad\text{イ}\quad}\,\)であるから、式①は、\(S\,\)、\(V_0\,\)及び\(\,Z_0\,\)で表すと次式となる。 \[ P_t=\boxed{\quad\text{ウ}\quad}\,[\mathrm{W}]\cdots\text{②} \] アンテナと給電線が整合しているときの\(\,P_t\,\)を\(\,P_0\,\)とすれば、式②から\(\,P_0\,\)は、次式で表される。 \[ P_0=\boxed{\quad\text{エ}\quad}\,[\mathrm{W}]\cdots\text{③} \]
  3. アンテナと給電線が整合していないために生ずる反射損\(\,M\,\)は、式②と③から次式となる。 \[ M=P_0/P_t=\boxed{\quad\text{オ}\quad}\,[\mathrm{W}]\cdots\text{④} \]
  4. アンテナの動作利得\(\,G_W\,(真数)\,\)の定義と式④から、\(G_W\,\)は次式で与えられる。 \[ G_W=\cfrac{4SG}{(1+S)^2} \] したがって、VSWRを測定することにより、\(G_W\,\)を求めることができる。
\[ \begin{array}{r c} 1&\left(\cfrac{V_0}{2Z_0}\right)^2Z_{max} \\ 2&S^2Z_0 \\ 3&\cfrac{S^2{V_0}^2}{Z_0(1+S^2)^2} \\ 4&\cfrac{{V_0}^2}{2Z_0} \\ 5&\cfrac{(1+S^2)^2}{4S^2} \\ 6&\left(\cfrac{V_0}{Z_0+Z_{max}}\right)^2Z_{max} \\ 7&SZ_0 \\ 8&\cfrac{S{V_0}^2}{Z_0(1+S)^2} \\ 9&\cfrac{{V_0}^2}{4Z_0} \\ 10&\cfrac{(1+S)^2}{4S} \end{array} \]

解法

\[ P=I^2Z \]

給電線上でアンテナ側を見たインピーダンスが最大値\(\,Z_{max}\,\)となる点では

\[ P_t=\left(\cfrac{V_0}{Z_0+Z_{max}}\right)^2Z_{max}\cdots\boxed{\quad\text{ア}\quad} \]

\(Z_{max}=SZ_0\,\)なので、代入して

\[ \begin{eqnarray} P_t&=&\left(\cfrac{V_0}{Z_0+SZ_0}\right)^2SZ_0 \\ &=&\cfrac{{V_0}^2}{{Z_0}^2(1+S)^2}SZ_0 \\ &=&\cfrac{S{V_0}^2}{Z_0(1+S)^2}\cdots\boxed{\quad\text{ウ}\quad} \end{eqnarray} \]

整合しているとき\(S=1\,\)となり、題意より\(\,P_t=P_0\,\)なので

\[ \begin{eqnarray} P_0&=&\cfrac{S{V_0}^2}{Z_0(1+S)^2} \\ &=&\cfrac{{V_0}^2}{Z_0(1+1)^2} \\ &=&\cfrac{{V_0}^2}{4Z_0}\cdots\boxed{\quad\text{エ}\quad} \end{eqnarray} \]

上記より

\[ \begin{eqnarray} M&=&\cfrac{P_0}{P_t} \\ &=&\cfrac{\cfrac{{V_0}^2}{4Z_0}}{\cfrac{S{V_0}^2}{Z_0(1+S)^2}} \\ &=&\cfrac{{V_0}^2}{4Z_0}\times\cfrac{Z_0(1+S)^2}{S{V_0}^2} \\ &=&\cfrac 14\times\cfrac{(1+S)^2}{S} \\ &=&\cfrac{(1+S)^2}{4S}\cdots\boxed{\quad\text{オ}\quad} \end{eqnarray} \]

アンテナの動作利得は\(\,G_W=G/M\,\)で表されるので

\[ \begin{eqnarray} G_W&=&=\cfrac G{\cfrac{(1+S)^2}{4S}} \\ &=&\cfrac{4SG}{(1+S)^2} \end{eqnarray} \]

答え…ア-6 イ-7 ウ-8 エ-9 オ-10

R3.7(1) A-20

アンテナ利得が\(\,50\,(真数)\,\)のアンテナを無損失の給電線に接続して測定した電圧定在波比(VSWR)の値が\(\,1.8\,\)であった。このアンテナの動作利得(真数)の値として、最も近いものを下の番号から選べ。

\[ \begin{array}{l c} 1&16.3 \\ 2&22.9 \\ 3&28.8 \\ 4&39.9 \\ 5&45.9 \end{array} \]

解法

電圧定在波比を\(\,S\,\)、アンテナ利得を\(\,G\,\)とすると、動作利得\(\,G_W\,\)は次式で表される。

\[ G_W=\cfrac{4S}{(1+S)^2}G \]

代入して

\[ \begin{eqnarray} G_W&=&\cfrac{4\times1.8}{(1+1.8)^2}50 \\ &=&\cfrac{7.2}{2.8^2}50 \\ &=&\cfrac{7.2}{7.84}50 \\ &\fallingdotseq&45.9 \end{eqnarray} \]

答え…5

R2.11(1) B-5

次の記述は、図に示すようにアンテナに接続された給電線上の電圧定在波比(VSWR)を測定することにより、アンテナの動作利得を求める過程について述べたものである。\(\boxed{\phantom{1234}}\,\)内に入れるべき字句を下の番号から選べ。ただし、アンテナの利得を\(\,G\,(真数)\,\)、入力インピーダンスを\(\,Z_L\,[\mathrm{\Omega}]\,\)とする。また、信号源と給電線は整合がとれているものとし、給電線は無損失とする。

  1. 給電線上の任意の点から信号源側を見たインピーダンスは常に\(\,Z_0\,[\mathrm{\Omega}]\,\)である。アンテナ側を見たインピーダンスが最大値\(\,Z_{max}\,[\mathrm{\Omega}]\,\)となる点では、アンテナに伝送される電力\(\,P_t\,\)は、次式で表される。 \[ P_t=\boxed{\quad\text{ア}\quad}\,[\mathrm{W}]\cdots\text{①} \]
  2. VSWRを\(\,S\,\)とすると、\(Z_{max}=\boxed{\quad\text{イ}\quad}\,\)であるから、式①は、\(S\,\)、\(V_0\,\)及び\(\,Z_0\,\)で表すと次式となる。 \[ P_t=\boxed{\quad\text{ウ}\quad}\,[\mathrm{W}]\cdots\text{②} \] アンテナと給電線が整合しているときの\(\,P_t\,\)を\(\,P_0\,\)とすれば、式②から\(\,P_0\,\)は、次式で表される。 \[ P_0=\boxed{\quad\text{エ}\quad}\,[\mathrm{W}]\cdots\text{③} \]
  3. アンテナと給電線が整合していないために生ずる反射損\(\,M\,\)は、式②と③から次式となる。 \[ M=P_0/P_t=\boxed{\quad\text{オ}\quad}\,[\mathrm{W}]\cdots\text{④} \]
  4. アンテナの動作利得\(\,G_W\,(真数)\,\)の定義と式④から、\(G_W\,\)は次式で与えられる。 \[ G_W=\cfrac{4SG}{(1+S)^2} \] したがって、VSWRを測定することにより、\(G_W\,\)を求めることができる。
\[ \begin{array}{r c} 1&\left(\cfrac{V_0}{2Z_0}\right)^2Z_{max} \\ 2&SZ_0 \\ 3&\cfrac{S^2{V_0}^2}{Z_0(1+S^2)^2} \\ 4&\cfrac{{V_0}^2}{4Z_0} \\ 5&\cfrac{(1+S^2)^2}{4S^2} \\ 6&\left(\cfrac{V_0}{Z_0+Z_{max}}\right)^2Z_{max} \\ 7&S^2Z_0 \\ 8&\cfrac{S{V_0}^2}{Z_0(1+S)^2} \\ 9&\cfrac{{V_0}^2}{2Z_0} \\ 10&\cfrac{(1+S)^2}{4S} \end{array} \]

解法

\[ P=I^2Z \]

給電線上でアンテナ側を見たインピーダンスが最大値\(\,Z_{max}\,\)となる点では

\[ P_t=\left(\cfrac{V_0}{Z_0+Z_{max}}\right)^2Z_{max}\cdots\boxed{\quad\text{ア}\quad} \]

\(Z_{max}=SZ_0\,\)なので、代入して

\[ \begin{eqnarray} P_t&=&\left(\cfrac{V_0}{Z_0+SZ_0}\right)^2SZ_0 \\ &=&\cfrac{{V_0}^2}{{Z_0}^2(1+S)^2}SZ_0 \\ &=&\cfrac{S{V_0}^2}{Z_0(1+S)^2}\cdots\boxed{\quad\text{ウ}\quad} \end{eqnarray} \]

整合しているとき\(S=1\,\)となり、題意より\(\,P_t=P_0\,\)なので

\[ \begin{eqnarray} P_0&=&\cfrac{S{V_0}^2}{Z_0(1+S)^2} \\ &=&\cfrac{{V_0}^2}{Z_0(1+1)^2} \\ &=&\cfrac{{V_0}^2}{4Z_0}\cdots\boxed{\quad\text{エ}\quad} \end{eqnarray} \]

上記より

\[ \begin{eqnarray} M&=&\cfrac{P_0}{P_t} \\ &=&\cfrac{\cfrac{{V_0}^2}{4Z_0}}{\cfrac{S{V_0}^2}{Z_0(1+S)^2}} \\ &=&\cfrac{{V_0}^2}{4Z_0}\times\cfrac{Z_0(1+S)^2}{S{V_0}^2} \\ &=&\cfrac 14\times\cfrac{(1+S)^2}{S} \\ &=&\cfrac{(1+S)^2}{4S}\cdots\boxed{\quad\text{オ}\quad} \end{eqnarray} \]

アンテナの動作利得は\(\,G_W=G/M\,\)で表されるので

\[ \begin{eqnarray} G_W&=&=\cfrac G{\cfrac{(1+S)^2}{4S}} \\ &=&\cfrac{4SG}{(1+S)^2} \end{eqnarray} \]

答え…ア-6 イ-2 ウ-8 エ-4 オ-10

R2.1 A-19

アンテナ利得が\(\,20\,(真数)\,\)のアンテナを無損失の給電線に接続して測定した電圧定在波比(VSWR)の値が\(\,2.5\,\)であった。このアンテナの動作利得(真数)の値として、最も近いものを下の番号から選べ。

\[ \begin{array}{l c} 1&16.3 \\ 2&17.9 \\ 3&18.8 \\ 4&19.9 \\ 5&21.3 \end{array} \]

解法

電圧定在波比を\(\,S\,\)、アンテナ利得を\(\,G\,\)とすると、動作利得\(\,G_W\,\)は次式で表される。

\[ G_W=\cfrac{4S}{(1+S)^2}G \]

代入して

\[ \begin{eqnarray} G_W&=&\cfrac{4\times2.5}{(1+2.5)^2}20 \\ &=&\cfrac{10}{3.5^2}20 \\ &=&\cfrac{10}{12.25}20 \\ &\fallingdotseq&16.3 \end{eqnarray} \]

答え…1

H30.1 B-5

次の記述は、図に示すようにアンテナに接続された給電線上の電圧定在波比(VSWR)を測定することにより、アンテナの動作利得を求める過程について述べたものである。\(\boxed{\phantom{1234}}\,\)内に入れるべき字句を下の番号から選べ。ただし、アンテナの利得を\(\,G\,(真数)\,\)、入力インピーダンスを\(\,Z_L\,[\mathrm{\Omega}]\,\)とする。また、信号源と給電線は整合がとれているものとし、給電線は無損失とする。

  1. 給電線上の任意の点から信号源側を見たインピーダンスは常に\(\,Z_0\,[\mathrm{\Omega}]\,\)である。アンテナ側を見たインピーダンスが最大値\(\,Z_{max}\,[\mathrm{\Omega}]\,\)となる点では、アンテナに伝送される電力\(\,P_t\,\)は、次式で表される。 \[ P_t=\boxed{\quad\text{ア}\quad}\,[\mathrm{W}]\cdots\text{①} \]
  2. VSWRを\(\,S\,\)とすると、\(Z_{max}=SZ_0\,\)であるから、式①は、次式で表される。 \[ P_t=\boxed{\quad\text{イ}\quad}\,[\mathrm{W}]\cdots\text{②} \] アンテナと給電線が整合しているときの\(\,P_t\,\)を\(\,P_0\,\)とすれば、式②から\(\,P_0\,\)は、次式で表される。 \[ P_0=\boxed{\quad\text{ウ}\quad}\,[\mathrm{W}]\cdots\text{③} \]
  3. アンテナと給電線が整合していないために生ずる反射損\(\,M\,\)は、式②と③から次式となる。 \[ M=\cfrac{P_0}{P_t}=\boxed{\quad\text{エ}\quad}\,[\mathrm{W}]\cdots\text{④} \]
  4. アンテナの動作利得\(\,G_W\,(真数)\,\)の定義と式④から、\(G_W\,\)は次式で与えられる。 \[ G_W=\boxed{\quad\text{オ}\quad} \] したがって、VSWRを測定することにより、\(G_W\,\)を求めることができる。
\[ \begin{array}{r c} 1&\left(\cfrac{V_0}{2Z_0}\right)^2Z_{max} \\ 2&\cfrac{S{V_0}^2}{Z_0(1+S)^2} \\ 3&\cfrac{{V_0}^2}{4Z_0} \\ 4&\cfrac{(1+S)^2}{2S} \\ 5&\cfrac{4SG}{(1+S)^2} \\ 6&\left(\cfrac{V_0}{Z_0+Z_{max}}\right)^2Z_{max} \\ 7&\cfrac{{V_0}^2(1+S)^2}{2Z_0S} \\ 8&\cfrac{{V_0}^2}{2Z_0} \\ 9&\cfrac{(1+S)^2}{4S} \\ 10&\cfrac{2SG}{(1+S)^2} \end{array} \]

解法

\[ P=I^2Z \]

給電線上でアンテナ側を見たインピーダンスが最大値\(\,Z_{max}\,\)となる点では

\[ P_t=\left(\cfrac{V_0}{Z_0+Z_{max}}\right)^2Z_{max}\cdots\boxed{\quad\text{ア}\quad} \]

\(Z_{max}=SZ_0\,\)なので、代入して

\[ \begin{eqnarray} P_t&=&\left(\cfrac{V_0}{Z_0+SZ_0}\right)^2SZ_0 \\ &=&\cfrac{{V_0}^2}{{Z_0}^2(1+S)^2}SZ_0 \\ &=&\cfrac{S{V_0}^2}{Z_0(1+S)^2}\cdots\boxed{\quad\text{イ}\quad} \end{eqnarray} \]

整合しているとき\(S=1\,\)となり、題意より\(\,P_t=P_0\,\)なので

\[ \begin{eqnarray} P_0&=&\cfrac{S{V_0}^2}{Z_0(1+S)^2} \\ &=&\cfrac{{V_0}^2}{Z_0(1+1)^2} \\ &=&\cfrac{{V_0}^2}{4Z_0}\cdots\boxed{\quad\text{ウ}\quad} \end{eqnarray} \]

上記より

\[ \begin{eqnarray} M&=&\cfrac{P_0}{P_t} \\ &=&\cfrac{\cfrac{{V_0}^2}{4Z_0}}{\cfrac{S{V_0}^2}{Z_0(1+S)^2}} \\ &=&\cfrac{{V_0}^2}{4Z_0}\times\cfrac{Z_0(1+S)^2}{S{V_0}^2} \\ &=&\cfrac 14\times\cfrac{(1+S)^2}{S} \\ &=&\cfrac{(1+S)^2}{4S}\cdots\boxed{\quad\text{エ}\quad} \end{eqnarray} \]

アンテナの動作利得は\(\,G_W=G/M\,\)で表されるので

\[ \begin{eqnarray} G_W&=&=\cfrac G{\cfrac{(1+S)^2}{4S}} \\ &=&\cfrac{4SG}{(1+S)^2}\cdots\boxed{\quad\text{オ}\quad} \end{eqnarray} \]

答え…ア-6 イ-2 ウ-3 エ-9 オ-5

H29.1 A-18

アンテナ利得が\(\,10\,(真数)\,\)のアンテナを無損失の給電線に接続して測定した電圧定在波比(VSWR)の値が\(\,1.5\,\)であった。このアンテナの動作利得(真数)の値として、最も近いものを下の番号から選べ。

\[ \begin{array}{l c} 1&4.8 \\ 2&6.7 \\ 3&7.7 \\ 4&8.5 \\ 5&9.6 \end{array} \]

解法

電圧定在波比を\(\,S\,\)、アンテナ利得を\(\,G\,\)とすると、動作利得\(\,G_W\,\)は次式で表される。

\[ G_W=\cfrac{4S}{(1+S)^2}G \]

代入して

\[ \begin{eqnarray} G_W&=&\cfrac{4\times1.5}{(1+1.5)^2}10 \\ &=&\cfrac6{2.5^2}10 \\ &=&\cfrac6{6.25}10 \\ &=&9.6 \end{eqnarray} \]

答え…5

H28.1 B-5

次の記述は、図に示すようにアンテナに接続された給電線上の電圧定在波比(VSWR)を測定することにより、アンテナの動作利得を求める過程について述べたものである。\(\boxed{\phantom{1234}}\,\)内に入れるべき字句を下の番号から選べ。ただし、アンテナの利得を\(\,G\,(真数)\,\)、入力インピーダンスを\(\,Z_L\,[\mathrm{\Omega}]\,\)とする。また、信号源と給電線は整合がとれているものとし、給電線は無損失とする。

  1. 給電線上の任意の点から信号源側を見たインピーダンスは常に\(\,Z_0\,[\mathrm{\Omega}]\,\)である。アンテナ側を見たインピーダンスが最大値\(\,Z_{max}\,[\mathrm{\Omega}]\,\)となる点では、アンテナに伝送される電力\(\,P_t\,\)は、次式で表される。 \[ P_t=\boxed{\quad\text{ア}\quad}\,[\mathrm{W}]\cdots\text{①} \]
  2. VSWRを\(\,S\,\)とすると、\(Z_{max}=SZ_0\,\)であるから、式①は、次式で表される。 \[ P_t=\boxed{\quad\text{イ}\quad}\,[\mathrm{W}]\cdots\text{②} \] アンテナと給電線が整合しているときの\(\,P_t\,\)を\(\,P_0\,\)とすれば、式②から\(\,P_0\,\)は、次式で表される。 \[ P_0=\boxed{\quad\text{ウ}\quad}\,[\mathrm{W}]\cdots\text{③} \]
  3. アンテナと給電線が整合していないために生ずる反射損\(\,M\,\)は、式②と③から次式となる。 \[ M=\cfrac{P_0}{P_t}=\boxed{\quad\text{エ}\quad}\,[\mathrm{W}]\cdots\text{④} \]
  4. アンテナの動作利得\(\,G_W\,(真数)\,\)の定義と式④から、\(G_W\,\)は次式で与えられる。 \[ G_W=\boxed{\quad\text{オ}\quad} \] したがって、VSWRを測定することにより、\(G_W\,\)を求めることができる。
\[ \begin{array}{r c} 1&\left(\cfrac{V_0}{2Z_0}\right)^2Z_{max} \\ 2&\cfrac{S{V_0}^2}{Z_0(1+S)^2} \\ 3&\cfrac{{V_0}^2}{2Z_0} \\ 4&\cfrac{{V_0}^2}{4Z_0} \\ 5&\cfrac{2SG}{(1+S)^2} \\ 6&\cfrac{(1+S)^2}{4S} \\ 7&\cfrac{{V_0}^2(1+S)^2}{2Z_0S} \\ 8&\left(\cfrac{V_0}{Z_0+Z_{max}}\right)^2Z_{max} \\ 9&\cfrac{(1+S)^2}{2S} \\ 10&\cfrac{4SG}{(1+S)^2} \end{array} \]

解法

\[ P=I^2Z \]

給電線上でアンテナ側を見たインピーダンスが最大値\(\,Z_{max}\,\)となる点では

\[ P_t=\left(\cfrac{V_0}{Z_0+Z_{max}}\right)^2Z_{max}\cdots\boxed{\quad\text{ア}\quad} \]

\(Z_{max}=SZ_0\,\)なので、代入して

\[ \begin{eqnarray} P_t&=&\left(\cfrac{V_0}{Z_0+SZ_0}\right)^2SZ_0 \\ &=&\cfrac{{V_0}^2}{{Z_0}^2(1+S)^2}SZ_0 \\ &=&\cfrac{S{V_0}^2}{Z_0(1+S)^2}\cdots\boxed{\quad\text{イ}\quad} \end{eqnarray} \]

整合しているとき\(S=1\,\)となり、題意より\(\,P_t=P_0\,\)なので

\[ \begin{eqnarray} P_0&=&\cfrac{S{V_0}^2}{Z_0(1+S)^2} \\ &=&\cfrac{{V_0}^2}{Z_0(1+1)^2} \\ &=&\cfrac{{V_0}^2}{4Z_0}\cdots\boxed{\quad\text{ウ}\quad} \end{eqnarray} \]

上記より

\[ \begin{eqnarray} M&=&\cfrac{P_0}{P_t} \\ &=&\cfrac{\cfrac{{V_0}^2}{4Z_0}}{\cfrac{S{V_0}^2}{Z_0(1+S)^2}} \\ &=&\cfrac{{V_0}^2}{4Z_0}\times\cfrac{Z_0(1+S)^2}{S{V_0}^2} \\ &=&\cfrac 14\times\cfrac{(1+S)^2}{S} \\ &=&\cfrac{(1+S)^2}{4S}\cdots\boxed{\quad\text{エ}\quad} \end{eqnarray} \]

アンテナの動作利得は\(\,G_W=G/M\,\)で表されるので

\[ \begin{eqnarray} G_W&=&=\cfrac G{\cfrac{(1+S)^2}{4S}} \\ &=&\cfrac{4SG}{(1+S)^2}\cdots\boxed{\quad\text{オ}\quad} \end{eqnarray} \]

答え…ア-8 イ-2 ウ-4 エ-6 オ-10