5、藻類の発生要因                                  indexに戻る

 藻類は様々な要因でアクアリウムにはびこり、見た目やインテリア性を大きく低下させる。この藻類についての研究は昆布などの海藻で少し行われているほか、一部の学者かプランクトンや底棲藻類の研究をしているだけである。ましてやアクアリウムに関する藻類の研究は世界レベルでもそう行われていない。また、日本においては、数々の誤りが定説となっているようだ。

 この項では、数少ないデータを元にアクアリウムではどのようにすれば、藻類の発生を極力押えれるかを解いて行きたい。

 天然の環境では、藻類は特定の成長と繁殖に必要な要求を満たし、他の生物と共存することができ、成育不適期間があったとしても子孫を何等かの方法で残すことのできる環境で繁茂する。ここでアクアリウムとは違うのは、植物とは共存しにくということである。もしそれができたとしても、富栄養を好む、堆積物が葉に積もっても成長ができるような頑強な植物だけになる。

 これらを制限する因子は閉鎖的循環水槽である我々のアクアリウムでは、ひとつ設備を誤ると藻類を育てる環境へと変わってしまう。

 

環境要因

 アクアリウムには緑藻類、ミドリムシ藻類、ツツジモ類、糸状性や群体性の藍藻類、群体性の硅藻類や黄金色藻類等が発生し、ガラス面や葉、砂に着棲することが多い。さてこれらの藻類を極力押えるにはどのような環境にすれば良いのだろう。

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水槽に発生する藻類
環境により発生する種類が変遷する

 

 光

 光は藻類にとって最も重要な因子であり、その光質、光量、日長により左右される。アクアリウムのような澄んだ水中では、480nm付近の青色の光が透過しやすい。そのため藻類はこのような青色から黄色い光を吸収し易い補助色素(クロロフィルb,c、カロチノイド、フィコビリン、補助クロロフィル)有し、水草の有効波長である660nmを最高とする赤色の波長とは関係なく成長を遂げる。このため他の条件を一定として、青から黄色の波長を相対的に多く照射すれば、草は衰弱し藻類が繁茂する結果となる。

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 光量は光合成の飽和点までは光合成速度は増し、それより強くなれば、あるところで阻害される。これは暗反応により決まり、酵素の働きで左右されるため、水温や栄養塩濃度により決まる。アクアリウムでは赤い波長を中心とする光源を用いれば人工的光源であればさほど問題とはならないであろう。また、藻類は強光にさらされる時間が長くなるほど、高温や栄養塩不足になればなるほど、光合成は阻害される。

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 藻類は種類により栄養塩の摂取の競争を避けるため時間をずらして摂取する。その刺激は光や水温と関係があると私は考える。そのため、多くの種類の藻類を発生させないためにも、ある一定の周期により光を照射する必要があるのではないか。

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 光と代謝

 光の強さは固定された炭酸ガスから高分子物質への合成経路に影響する。弱い光の元では光合成量が低下し、炭酸ガスの取り込みが減少し、糖質の合成量は低下する。しかし、これに反し蛋白質の合成量が増大する。これとは逆に強光下では、蛋白質の合成量が減少し、糖質の合成が盛んとなり過剰な糖質は蓄積されることになる(Konopka,Schnur.1980)。暗期の間もこの合成は行われる。

 一部の藻類を除いては連続照射に増殖速度は早くなる。

 これらのことからも一定時間の光の照射の大切さが分かる。

 

 栄養素

 藻類の増殖のためには、水草の成長するのに必要な栄養素とよくにたものを必要とする。しかし、この中でも水草より比較的多量に要求する元素が窒素、リン等である。また、珪藻や黄金色藻類は高等植物にとっては微量元素であるケイ素が制限要因となる場合もある。

 我々のもつアクアリウムではしばしば窒素濃度が高い値を示す。藻類はアンモニア態窒素でも亜硝酸態窒素でも硝酸態窒素でも利用することができる。このため、バクテリアを活性させ硝酸態窒素濃度でも5mg/l以下に抑える必要がある。またリンは魚類への給餌(蛋白質)の量により決まる。ケイ素は底砂からの珪酸の溶出が少ないものを選べばさほど調整する必要はないだろう。

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水槽における栄養塩と利用度

 

 水温

 温帯性から熱帯性の藻類の適温は水草のそれとほぼ同じであるためこれによる調整は難しい。しかし、1例を上げると熱帯性のものの中には17℃以下では増殖できない種類がある。これらを少減させるため水温を下げれば良い場合もあるが、その環境でまた、低水性の藻類が発生する危険も生じるということだ。また、同化数にもっとも影響を与えるのは水温のようである。

 

 塩分濃度

 淡水の主な塩類イオン(Na+,K+,Mg2+,Ca2+,HCO-,Cl-,SO42-)は多く存在する。特にアクアリウムでは底砂の選択により硬度に関係する物質(Ca2+,Mg2+,HCO-,HCO)が増大する。これが藻類に大きな影響を与える。硬度が高くなれば必然的にpHが上昇する。そうすれば硬水や高いpHを好む緑藻類や藍藻類が繁茂する。これらの硬水を好む藻類はHCO-を炭素元として二酸化炭素同様利用することができる。従って二酸化炭素を強制的に添加するアクアリウムではこれらの増殖に対し、炭素元をより多く供給することになる。ましてや、硬水で二酸化炭素を添加しpHを下げたなら、弱酸性を好む藻類(珪藻や黄金色藻、緑藻)なども発生しやすい環境へとなる。また、硬度と関係無く伝導率が高く(塩化ナトリウムの投入など)なり、溶存イオンが多くなった場合、水草は浸透圧調整不良から衰弱し、好塩性の藻類がはびこる結果となり伝導度が450μSを上回ると水草は衰弱し、藻類にとって好ましい環境となる。

 従って硬度や塩分量には十分注意が必要となる。

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 溶存酸素

 溶存酸素が多いと藻類が活性化する。このことから、酸素量にも気を配らなくてはならない。水草水槽では昼間時、光合成により酸素は過飽和になる。これはこれで良い。しかし、これが継続されると藻類の活性が高くなる。そのため、夜間に天然と同じような変化を与えれば問題はない。普通、水流の少ない環境では水槽中の健全生物が夜間酸素を消費し、溶存酸素は3mg/l前後になる(25℃)。このように酸素濃度に変化を与えることにより藻類の発生を極力押えることができる。従って昼間時はもとより、夜間もエアーレーションを行うことは避けなければならない。

 もし、夜間エアーレーションをしないと魚が鼻を上げる場合は、分解される有機物が多いためバクテリアが必要以上の酸素を要求している。昼間時、水草が十分光合成を行っていない。水温が高すぎる。などの事が考えられるので点検する必要がある。

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 水流

 水流は岩表生藻類(石やガラス面に付着する藻類)に対して生理的な影響を与える。ある種の藻類、例えば紅藻は流水環境のみで成育する(Sheath,Hymes.1980)。実験水槽では流速を9cm/sにすると糸状藻類(Stigeoclonium,Oedogonium,Tribonema)が優先するのに対し38cm/sではフェルトのように密な珪藻群落が優先した(McIntire.1966)。また流速がある程度大きいほうが、藻類の増殖、栄養素の取り込み、光合成の速度や呼吸が早くなることが多くの研究で示されている。水流は細胞周辺の物質の濃度勾配を急にすることで代謝活性を高めるのである。 WhitfordとSchumacher(1964)らは、渓流性の糸状藻類Oedogoniumによるリン取り込み速度は流量20cm/sで静水時の約16倍、湖水性のOedogoniumの近縁種では静水時の7.4倍であることが確認されている。

 このようなことをみじかにアクアリウムでも経験することができる。例えば、フィルターの排泄口をガラス面などに当てておくとそのあたっている所に珪藻が付着する。というようなケースがある。

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水流を強くすることによって藻類は活性する

 

 このようなことから強い水流は水草水槽にとって禁物であることが分かるであろう。

 

 

 制限因子

 制限因子は単に栄養塩濃度だけでなく光強度、温度など物理的要因と藻類やその他の生物が生成する毒性物質の量や、藻類を捕食する動物プランクトン、えびや貝類、魚類など生物もその一つである。

 しかし、現存量が制限される場合と成長速度が制限される場合とを別に考えなければならない。たとえば、藻類を捕食する生物がその現存量を低下さす。その分藻類が利用できる物質(栄養塩、光等)が増大し成長速度が早まる結果となる。また一つの藻類の現存量や成長速度を低下させてもその他の藻類に取ってそれが制限因子にはならず、外の藻類が繁殖する結果となる場合も有り得る。

 また、その制限の程度にもよる。藻類の成長を一時的に制限しているのか、それとも全く止めているのか、死に追いやる程のものなのかということである。

 またこれらのように藻類に制限を与えようとすることにより、水草にまで制限を与えてしまっては何の意味もない。これらの完全な技術はまだ確立していない。

 しかし、言えることは藻類の生殖(有性、無性とも)をいかに押えるかということである。また、繁茂している藻類が1種類であればその制限は比較的簡単であるが、複数になれば何を制限して良いのか非常に難しくなるであろう。

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水草に制限を与えず藻類だけに制限を与えるように考えなければならない。
特に栄養の調整が難しい。

 

 増殖速度

 藻類が増殖する速度が問題ともなる。ある一定期間に増殖し、水質やその他が良い環境となり藻類に制限を与えれば良い。しかし、給餌や植物体や動物体の腐植物が多く供給され、より増殖速度を速めるかということである。光や温度、水流などの物理的なことの改良は簡単に行える。しかし、生物化学的(濾過、分解合成反応など)なことはすぐにはは改善できない。これらのことをよく考え観察や分析を行い環境を知り様々な手を打たなければならない。

 

 栄養

 藻類の増殖のためにはN,H,Oのほか、10種余りの元素が必要となる。我々の水槽ではNが最も蓄積し易く、続いてPが藻類の発生を左右する因子となる。

 天然ではこの濃度が低いため水槽とは逆に制限因子となることがしばしばある。

 また藻類は、環境の栄養が少なくなればなるほどその栄養を取り込む速度が早くなる。藻類はある程度の光量まで取り込み速度は早くなる。栄養制限下での増殖はその個体がどの程度栄養を蓄積しているかにより決まる。いいかえるなら、ある栄養に制限が起きる前、それをどれだけ取り込んだかにより、その藻類の消滅期間が変わるということだ。これは、水槽では換水等により、ある程度藻類に制限を与えたとしても、その前の環境がどうであったかにより、同じ種類の藻類でも1日で消滅する場合と1カ月たっても消滅しない場合とがあるということだ。

 水槽においては水草自信が総て健全に育成し、様々な栄養塩を吸収していれば、藻類にとってはそれだけで栄養(N,P等)の制限となってしまう。また伝導率が350μSを越えると水草が健全に育っていたとしても水草自信ではそれらの栄養を使いこなすことはできず藻類に利用され、それが健全な草体へ付着すれば、その草体は光量不足に陥ったり、栄養交換不良となり、その草体が枯死しまた、伝導率を上げる結果となり、好塩性藻類の好む環境となってしまう。また藻類が付着していない草体も伝導率上昇に伴い浸透圧調整不良となり、下葉を落とすなどの成長不良となり、また藻類の制限要因をまかないかねなくなる。

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同じように改善しても藻類の摂取する栄養や改善されるまでに
取り入れられた栄養量により消滅状態が変わる

 

 窒素(N)

 多くの藻類は窒素源として、NO,NO,NH,のどれでも利用することができる。しかし、ミドリムシ類のような鞭毛藻類はNO,NO,では増殖できない。このため、水槽ガラス面や葉にミドリムシ類の緑色の斑点付着として認められる場合、その水槽の好気性バクテリア不活性か、有機物量過多という場合がしばしばある。

 また、藻類の合成の都合上、NOよりもNHを好んで取り込む。

 このことからも水槽における窒素循環の重要性が伺える。

 

 リン(P)

 無機リンはオルトリン酸イオン(PO)の藻類は利用できないが殆どの種類は有機態リンの形で利用できる。また大部分の種類は好栄養条件下で細胞内に貯蔵することができる。

 

 珪素(Si)

 珪素は珪藻、黄金色藻類、緑色鞭毛藻などで多量に要求される。

 もし、珪酸が多く溶解している水槽ではこれらの種類が繁殖しやすくなるであろう。

 微量元素、ビタミン

 微量元素ではFe,Mg,Mo,Co,Znなど、ビタミンではB,チアミン、ビオチンなどのうち一つかそれ以上が必要とされているが、水草水槽においてこれらのことは理解しにくい。

 

 

 着生藻類(ぺリフィトン、periphyton)

 主に水槽に発生する藻類で見た目を害するものは藍藻、緑藻、珪藻、ミドリムシ、黄金色藻、黄緑藻類が主たるものである。

 これらは岩、砂粒、ガラス面、堆積物、植物体の他、他の藻類の表面にまで付着する。この中には基質にしっかりと付着せず被っているようなものや、しっかりと仮根などで活着しているものなどがある。

 水槽中では開放水域と比べエサなどの有機物が人為的に与えられるため、従属栄養生物が豊富で溶存栄養塩濃度が高くなりがちな場合が多い。そのためプランクトンなどとは違い、水流が栄養塩を運んでくれるという利点から藻類にとって好環境と言えるだろう。また、我々が水草が伸び過ぎないよう手入れするため、光量不足という制限因子からもまのがれることになる。

 

 岩表生藻類(epilithic algae)

 これらの藻類は比較的水流の強い細かい堆積物が積もらないところに発生しやすい。 この仲間は、よく発達した付着機構をもち、ある程度の水流にも流されないよう流されない形態をもつ。この中には緑藻類のスティゲオクロニウムやシオグサなどの分枝糸状体や仮根突起などの発達した付着形式と、ヒビミドロやサヤミドロにみられる単一付着細胞や羽状珪藻などに見られる付着のための分泌ゼラチン柄などのように分化していないものに分けられる。

 これらの増殖因子はあきらかに水流の強さと光(波長と照度)に左右される。このほか栄養塩(リン)によっても制限できる。

 

 堆積物表生藻類(epipelic algae)

 これらは比較的水流の弱い砂上、砂内部などに発生しやすい。珪藻類と藍藻類が中心でこのほかにミドリムシ類、アオミドロなどが上げられる。

 これらの水槽中での制限因子ははっきりしたことはまだ分かっていないが、やはり光(波長と照度)と関係深いこと、もう一つは底砂中の栄養塩濃度と深いかかわりを持つことは確かである。この中には底砂中と表面を移動する種類が多い。分かりやすく説明するとガラス面と砂面の間にこびりつく羽状珪藻(茶色)、ミドリムシ(緑色)、藍藻(青緑色)がそうである。特にガラス面と砂面の間は水槽中の照明と関係無く、他の光が当たるため光の調整が難しいことも一つの問題である。

 またアルカリ性の硬水では車軸藻類であるフラスコ藻やシャジク藻が増殖しやすい。この種のものは仮根を伸ばし藻体を固着するのみならず、仮根からのリンの取り込みを行うことが知られている。

 

藻類の概略

 藻類(algae)は原始的な植物グループを一括して呼ぶ。これらはだいたい、光合成独立栄養生物(potooutotopis)である。大きさは1umオーダーのものから50m以上に達する海草までを藻類とよぶ。

 

藻類の分類

 我々の持つアクアリウムではどのような藻類が発生するか、それにより分類し、その綱や種の性質、育成状態を知ることにより、ある程度の発生を抑制することができよう。 現在、我々はその分類に色調や形状に頼っている。しかし、生物学的分類にみると、これだけでは本当に綱の段階で分類できたとはいえない。そこで鞭毛の有無、形状、貯蔵物質の種類などで判断を示さなければならない。しかし、我々の家庭でそのようなことはできず、それらの概要は著者がここに大まかに解明し記すことにする。

 現在、藻類は綱までの分類は一様確立されているが、それ以上は学者によりまちまちである。

 

 その概要は

 緑藻綱(chlophyceae)と車軸藻綱(charophyceae)は近縁種である。

 また黄緑藻綱(xanthyceae)、黄金色藻綱(chrysophyceae)、珪藻綱(bacillariophyceae)、褐藻綱(phaeophyceae)は他の綱より互いに類似している。

 藻類は単細胞の祖先に始まり綱レベルでいくつかの並行的な道筋に沿い多細胞へと進化したと考えられ、大部分の綱は原始的な運動性の単細胞生物が含まれ、また市場性の種類を含んでいる。

 

藍藻綱(cyanophyceae)

 藍藻類は原核生物としての細胞構造持った唯一の藻類である。

 この種にはカビと共生したり、数種の植物と共生生活を送るものがある。また窒素固定能力を持ち、ある種のものは内毒素を生産したり、悪臭を放つものもある。このため、水槽内でもこのような種が大量発生すると他の生体に害を与えることがしばしば見受けられる。

 藍藻の形態は糸状体や分糸体、群体で水槽内で発生する。またこれらは鞭毛を持たないが多くの種は滑走運動を行う。このグループの特徴はフィコビリンタンパク質として知られる光合成補助色素の一つフィコシアニンの存在のため青緑色に見える。

 

緑藻綱(chlorophyceae)車軸藻綱(charophyceae)

 このグループは、淡水では大型のものはシャジク藻類ぐらいで、他の小型のものは淡水水槽で発生しやすい。たいてい水槽では群体性のものや糸状性のものが多い。この中には鞭毛を持たないアオミドロ、ツツジモも含まれる。

 

ミドリムシ藻綱(euglenophyceae)

 大部分のミドリムシ類は単細胞で、淡水や汽水水槽によくみられる。このグループは1属を除き運動性を持つ。ミドリムシ類は藻類の中でも運動的なグループで、光合成には少なくとも1種類のビタミンを必要とし、また、有機酸類やアルコール類を補助的な栄養源として必要としている。多くの種類は窒素源として硝酸塩を利用できない。このためミドリムシるいは、バクテリア不活性や有機物質供給量の多い水槽で発生しやすい。また、それらの水槽の底砂の表面や堆積物に発生する。

 

黄緑藻綱(xonthophyceae)

 このグループは緑藻類と非常に類似した面が多いが、ヨウ素反応を示さない事で緑藻類と区別されている。大部分は非運動性の単細胞で一部運動性の持つものや糸状、管状のものも発生する。

 この種は特に伝導率が高い時に発生し易いようだ。

 

黄金色藻綱(chrysophyceae)

 このグループは金褐色で、大部分が運動性の単細胞かその群体である。また、水槽中では糸状性のものも発生し易い。このグループのものは低水性の淡水を好むので冬場よく発生することがある。

 

珪藻綱(bacillariophyceae)

 珪藻類は最も我々が水槽中でみかけるグループであろう。これらは金褐色で群体性で発生し易い。なかでも羽状珪藻(ponnate deatoms)はカヌーのような形をし水草体、動物体、岩、流木、砂粒に粘着物質や柄で付着したり、その表面をはい回ったりする。

 

紅藻綱(rhodophyceae)

 このグループのものは大部分が海藻であるが、我々の淡水水槽でも流水環境下でのみ発生する。

 

クリプト藻綱(criptophyceae)

 このグループはミドリムシ類とよくにたところが有り、鞭毛を持つ。我々の水槽でも希に見掛ける。

 

炎色藻綱(pirrhophyceae)

 このグループは渦鞭毛藻と呼ばれるもので大部分は1つ以上のビタミンを必要とする。たいていはプランクトン性のもので自然界では赤潮の原因となる。水草水槽では見掛けることは少ない。

 

ほか褐藻綱、真性眼藻綱、プリネシオ藻綱が有るがこれらは我々の水槽で殆ど見掛けることはない。

 

 

 以上のようなことが概論である。我々のもつアクアリウムの中のペリフィトン(Periphyton,付着性藻類)は未知の部分が多い。その中には共生体などががある。植物の表面に付着する藻類は植物体から何か養分となるものを吸収しているのだろうか。ペリフィトンの中では、植物付着藻類のほうがアルカリ性ホスターゼという酵素の活性が低いことから、少量のリンが移行すると考えられている。

 またウイロモス等のコケ類との共生が考えられる。しかし、これに関するデータはあいにく持ち合わせがない。しかし、藍藻類とゼニゴケ等の共生は知られている。

 このようなときは水質調整に多大な技術が必要とされるだろう。

 またプランクトン性の藻類がペリフィトンとなり得る場合もある。

 アクアリウムにおける藻類の研究は今始まったばかりといって過言ではないだろう。我々はこの‘藻類の発生’を克服して行かねばインテリアアクアリウムを完全なものにはできないだろう。