2、底砂                                                  indexに戻る

 我々のもつ閉鎖的水槽では天然の河川とは違い底砂の影響をかなり受けることになる。なぜなら、天然では底砂から溶け出した物質はゆるやかか若しくは直ちに流される。しかし、閉鎖的水槽ではそれらのものを抜き取るために換水をしなければならない。しかし、換水をしたからと言って、二酸化炭素や肥料を投入すればまた、底砂と反応して溶出するはめになる。そうすれば、いつまでたっても自分の思う水質へは到達できない。従って、水草水槽にかかわらず、閉鎖的水槽では底砂の重要性が浮き彫りにされる。

 さて以上のような事を踏まえ、底砂はどのようなものが良いのだろう。1つは、pHが5〜8位の範囲で溶出する物質が含まれないことが条件となる。しかし、これらはたやすいものではない。見た目をきにしないのであれば純度の高い白色若しくは透明の石英砂が一番良い。しかし、余りにも砂自信が浮いてしまい。インテリアとしての感覚を損なう場所もあるだろう。

 その中で私が理想とするものを掲げてみよう。

 

 色合い:白っぽいグレーから薄い紫色、茶色。

     自然の川の底を思わす。

 目合い:1mm前後の細かいものが良い。

     自然の水草が繁茂している河川の底床、根の張りが良くそれに伴い草体が健全に育つ。

 成分 :石英を85%以上含み、カルシウムはCaOとして0.1%以下、マグネシウムは0.1%であること。その他の成分は、チタン、アルミナなどpHが中性付近で溶出しない物質であれば良い。 

 

 私は現在砂の成分分析をし、それに適うものを何点かみつけだした。このようなものを使えば肥料等の濃度調整は簡単にできる。またpHや伝導率の調整もしやすくまた、腐植酸等の水質汚濁物質量の推定(RpH)も簡単である。

 

 つぎに使用しない方がよい砂について説明する。 

 目合:目合が粗いものは根張りが悪く抜ける恐れもある。

 成分:炭酸水素塩が多く含まれるものは炭酸硬度を上昇させpHの変動を来す。

    カルシウム、マグネシウムを含むものは総硬度を上昇させ、草体の成長不良を引き起こす。

その他、硫化物やリンなどを多く含むものも致命的な結果を招くので注意が必要である。

 

 天然の水草が繁茂する川底はたいてい泥である。この泥の間かもしくは少し上流から地下水が栄養分とともに二酸化炭素を供給してくれる。

 そして、底泥では好機的箇所と嫌機的箇所が配せられ、与えられる有機物量も少ないことから物質循環がうまく保たれるわけである。

 それと同様、水槽でもそうあれば最善である。しかし、底砂に泥を使用することは、天然とは違い閉鎖された環境であるが故不可能と言っても良い。

 そのため、目合いの細かい泥に近いものを使用し、酸化還元箇所をうまく作り出してやる必要がある。

 目合いの粗いものでは掃除がしやすい。しかし、細い目合いのものと比べ、堆積物がその粗い目の奥まで達し、分解され、生物化学的反応からの有害物質の生成、硬直が起こる可能性が高くなる。また、いつも掃除をして、何もたまっていない環境であれば還元箇所の減少から、脱窒反応が起こりにくくなり、硝酸塩等の蓄積が多くなるのと、二価鉄など有用微量元素の供給不足による水質悪化やそれに伴う藻類の発生、水草育成不良などを起こす可能性が極めて高くなる。

 以上のように底砂は水質という面からとても重要である。これを良く踏まえ底砂は選ばなくてはならない。 

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生態系維持のために水質を左右しない目合のある程度細かい砂を選ぶ

 

 

 最近では、高度処理水など水道水自身の水質が都会でもよくなりつつある。このことにより多少底砂の性質にも変化を持たすことが必要になってくる。前述のことは勿論基本ではあるが、ある程度のミネラルの砂からの溶出も利点はある。

 たとえば、高度処理水になり、電気伝導度が100μSしかない場合、多くのミネラルや肥料を必要とする。そのため、このような伝導度が低い地域ではある程度のミネラルが供給される砂の方がコストも低く経済的であろう。初心者の方にはこのような砂をおすすめする。