第9回 水を換えていてもコケがでる。
コケ(藻類)は今も昔も熱帯魚を飼う上で一番頭を悩ませるものだと思います。水草の神髄でも基本的なメカニズムは紹介しています。
コケがでればまず基本は水を換えるということです。しかし単に水を換えるだけでは解消する可能性は低いでしょう。基本的にはコケが利用する栄養とその環境がその生育に適しているということを頭に置きながら対処せねばなりません。水に溶け込んでいる栄養塩に偏りがあれば光の当たる観賞魚が生育できる条件では栄養塩以外の条件がどうであれ必ずなにがしかのコケが発生します。
栄養塩に偏りがでる原因は一言でいえば観賞魚の場合、濾過に起因します。観賞魚水槽では天然の水域汚染とは違いあまりリンやカリが過剰であることは少なく、pHを降下させるためのリン酸等の投与を行わない限り問題はありません。たいていは無機窒素が主な原因となります。生物濾過がうまく働いていれば魚の密度が大きくても、投与される餌の量が多くともその中の無機窒素量はさほど上昇することなくコケも目立ちはしません。しかし、大量の有機物をスムーズに処理している濾過環境(濾過層や底砂)も時として掃除や水変えによりその循環が絶ちきられる場合があるのです。そのとき好気的濾過に弊害があった場合、その中の生物は死の方向へ向かいます。嫌気的濾過に弊害があった場合藻類の発生が起こります。通常、前者は薬品等の投与や、嫌気的環境への急変が起こらない限りまずない希な現象でたいていは後者が起こりアクアリスト悩ませるのです。
これらの現象が発生した場合は速やかに底砂などに含まれる有機物量を時間をかけて減少させなければなりません。その方法としては、頻繁に量を少なく底砂の掃除を行い、活性炭等の吸着剤を投与することです。
このことは脱窒作用が行われない分の過剰な窒素分や有機物を水換えと吸着という物理的な作業で減少させることを目的とするのです。また、一度に大量に行わないのは早く正常な濾過作用を取り戻すため、人の手をいれない箇所を作ることが目的なのです。このようなとき、水草栄養素を控えるということが今日常識となっているようですがそれは大きな誤りです。
このとき水草が栄養を要求しても過剰な窒素等の栄養は存在するものの他の栄養が不足する事態となるのです。このときコケはその不足した元素を利用せずとも成長できる藻類がはびこる結果となるのです。
そして水草は衰弱し、枯死し、また藻類の生長が助長されるという結果となるのです。
そのとき、水草栄養素(サブ、メイン等)を通常通り投与すると、一時的に藻類量は増加しますが水草が生長し栄養を要求してくれば必然的に水質浄化が行われ、時間が経てば濾過機能も正常に戻るはずです。
これが、解決方法の基本的なシナリオです。濾過材は頻繁に洗浄してはいけません。濾過作用はある程度フィルターが目詰まりを起こし流量が落ちたときに活性します。そのため濾過材を選び、フイルターは2つ以上設け頻繁に掃除をしないことが重要です。
おかしいときには能力の高い活性炭やイオン交換材をうまく使うことと水草水槽の場合は水草栄養素を従来通り投与することが賢明なことです。これはあくまでも基本であってその都度その時々で対処は幾分変わります。
言えることは、藻類の発生を抑制するといわれる薬などは投与してはいけません。現在そのようなもので生態系に影響を与えず藻類だけを抑制するものは私の知る限りありません。あるとすれば微生物が環境を改善し、2次的に藻類の発生を抑制するものでしょう。それ以外はすべて何らかの弊害を来すものばかりです。