ABORYM

”Kali-Yuga Bizarre”
 インダストリアルとシンフォニックな要素を併せ持つイタリアのブラックメタル1ST。MAYHEMの1STでVoを勤めたATILLA氏ゲスト参加と言う事で話題を集めたバンドである。あくまでファスト、そして邪悪でありながら味付けに使用している打ち込み要素の導入の仕方が実に絶妙!路線こそ違うがその辺のセンスはARCTURUSとタメを張ってるんではないか?と個人的に思っている。そこいらのブラックメタルとは格が違うと思うし、聴いていて面白い。6曲目はダークな雰囲気を出した完全なるテクノ曲だがこのバンドがやると不思議と嫌味が無い。まぁ、ブラックメタルにインダストリアルやテクノ系のデジタル要素を取り入れるに辺り賛否が分かれるだろうが個人的にはセンス次第だと思う。その点、このアルバムでは基本水準を軽くクリアしているどころか高みに達していると思う。まぁ、好みもあるだろうがブラックメタルファンは必須!と言える。同じにおいを感じさせるDODHEIMSGARDの名盤”Stanic Art”と並び、オススメできる作品であろう。個人的には名盤指定。
”Fire Walk Whith Us”
 2NDフル。ゲスト扱いだったATILLA氏が正式なメンバー入りを果たしており、MAYHEMの1STで聴かれた邪悪なヴォイスがマトモな形で堪能できる作品(笑)楽曲の方は前作にあったインダストリアル部分の強化を図っておりノイズ/インダストリアル色が大幅に増した部分であろう。それに伴い前作のようなデジタルとアナログとの調和のバランスが若干崩れ、随分とデジタル寄りに片寄ってしまったのが今回の作品である。なんだか打ち込みマシンブラストが単調で耳に付き過ぎる点が気になるが...そうは言ってもヤハリそこはABORYMATILLA氏の貢献度も去る事ながらアレンジに只ならぬセンスを感じることが出来る。音の仕掛けも満載で実験色も強い。主だったところではアルバムにはシーター波が入っているらしく、ヘッドフォンで聴くと不安感を煽ると言う事である。恐らくラストでのグルグル回る刃物の様なノイズだと思うのだが...確かに良い気はしなかったな..(笑)尚、8曲目はなんとBURZUMのカヴァー、しかもインダストリアルっぽいリミックスである。
”With No Human Intervention”
 3RDフル。相変わらずセンスが良いテクノ/インダストリアルな要素を塗しこんだ次世代型ブラックメタル。基本的にはマシンブラストを多用したファストブラックメタルなのだがソコに絡んでくるデジタル部分が実に印象的って事で路線は変わらず。今作は激走する曲が多く、結果的にアグレッションが大幅に増したといった印象が強い反面、ムーディーな楽曲もさらっと聴かす辺り流石はABORYM、プロフェッショナルな仕上がり。走る部分だけではなく展開に幅を利かせ一本調子に陥っていない辺りは流石である。ここまでセンス良くテクノ/インダストリアル要素を取り入れたブラックメタルもナカナカお目にかかれないかと。勿論ATILLA氏の妙なVoも健在、未来系の妖しい雰囲気も継承されているので前作を楽しめたなら安心して身を委ねる事が出来る安定盤といえるだろう。この路線、ブラックファンにとっては賛否が分かれるところだろうけど...。コレが今のブラックメタルの最先端といっても過言ではないはず。尚、このアルバムにはクイックタイム形式でPVも入っているのでPCにて再生する事が出来る。また、ゲストミュージシャンも大量導入している点も見逃せない。主だったところでは元EMPEROR、新作が待ち遠しいDISSECTIONの新ドラマーとして名乗りを挙げたFAUST氏、CARPATHIAN FORESTNATTEFROST氏やANAAL NATHRACKTIRRUMATOR氏など...正にブラックメタルの一線で活躍しているエリート集団というべきメンツ。最初から器が大きかったバンドだった為...か、どうかはよくワカランが集まってくるゲストも超豪華。

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