ANOREXIA NERVOSA

”Exile”
 フランスのインダストリアル要素を含むゴシック/ブラックメタルの1ST。バンド名を日本語に訳すと「拒食症」というのは余りにも有名だろう。しっかし、なんとも病弱そうな名前だこと(笑)さてそんな彼らのデビュー作品は堂々たるコンセプトアルバムに挑戦している。(何のコンセプトなのかはわからないが..)しかし残念なことにコンセプトであるが故の弱点が目立ちイマイチ楽しめない...といった困った作品である(汗)この辺にチャレンジするならもっとアレンジが達者でないと聴き通すのはちょっと辛いか?ま、コンセプトといった難しい路線をデビュー作に持ってくるチャレンジ精神は高く買えるが。プロローグから始まりシーケンス、アクション、シーケンス...を繰り返しひとつのサイクルが終わりエピローグに繋がる..といった構成なのだが...ころころと展開が変わり演奏するパートの一つ一つが短かったり長かったり、はたまた突然終わったりと詰め込みすぎで忙しない。コンセプトはまだ早いかな?といった作品である。この後、レーベルを替えて良質なシンフォニックブラックメタルに変貌していくがそちらの路線を期待するなら間違いなく肩透かしを食らうだろう。ファンなら資料的な意味合いで抑えておくべきだが。
”Sodomizing The Archedangel”
 フランスのシンフォニックブラックメタルのMCD。まずは前作から中途半端さが吹っ切れ劇的に展開するシンフォニックブラックメタルに変貌した。お見事!この路線にスイッチしたのはまさに大正解。全編を覆うシンフォニックなKEYが退廃的な雰囲気を作り上げておりVoもそれに合わせ役者になりきっているようである。基本はヒステリック極まりない絶叫Voだが時にやるせない悲壮感を表現した呟きVoを絡ませ退廃的な楽曲を効果的に盛り上げている。個人的には堕落した中世貴族...みたいな雰囲気を感じる。導入され乱舞しているシンフォニックなKEYもダイナミックで活きが良く、アトモスフェリックというよりも直接的なパートが大半を占めている辺りがこのバンドの特徴である。
”Drudenhaus”
 フランスのシンフォニックブラックメタル2NDフルレンス。化けたMCDのモロ延長上でありながらプロダクション的にも楽曲的にもクオリティアップ。当然、前作のMCDの美味しい所は全て継承されておりファンにとっては期待通りの出来であろう。前作に比べエクストリームな部分が大幅に増しておりブルータルかつ喧しいスタイルは極まった感もあるが、ダイナミックな壮麗さがあるといった逸品。大げさなシンフォニックさが退廃的雰囲気とテンションを上げる2つの要素を両立させているのが個性か?また、私的感覚ではあるがどこか中世貴族の退廃的な雰囲気が漂っている辺り、大量にいるシンフォニックブラック勢とは少し趣が違うといえる。Voも前作よりもヒステリックで気合が入っており時折聴ける絶望感、悲壮感を上手く表現したやるせない呟きVoも健在。ファストなシンフォニックブラックメタルの頂点の一つとして数えて良いだろう。
”New Obscurantis Order”
 フランスのシンフォニックブラックメタル3RD。いやぁ〜ジャケットが既に退廃的ですな。。自らの娘を売り飛ばそうとでもしているのだろうか?小娘も小娘、片乳だして憎悪満点の眼差しでこちらを睨んでるし...。ロリコン親父もビックリ!なジャケだ(笑)さて、演奏力が向上しているのは言うまでもなく路線的には前作と全く同じ。ただ確実にスケールは大きくなってきておりただでさえダイナミックな部分が更にアップした。壮麗なKEYや力強く爆走するドラミングにテンションの高い絶叫Vo、ノイジーなギター等....大量に詰め込まれた音の洪水をしっかりとまとめあげる演奏技術、そしてそれらを形にするプロダクションはやはり圧巻。よりエクストリームな暗黒系だという自己主張がヒシヒシと感じられる。前作が好きなら今作も安心して聴けるのはいうまでもない。実力が伴ってきているので再び1STで失敗したコンセプトアルバムみたいなモノを作ると良い物件に仕上がるんでは?なんて思ったりもする。

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