AZAGHAL

”Mustamaa”
 フィンランドのメロディックブラックメタル1ST。1999年に出た限定アナログ音源をカップリングしたCDとの事である。いかにも疾走メロディックブラック!と言った内容である。#1〜#4は1999年3月の録音音源、#5〜#8が同年の5月録音した音源らしい。#1〜#4は薄っぺらいブラックメタル特有の音だが実にメロウでありお経(?)のようなクリーンVoを聴く事ができる。また個人的なツボとして単調ながらもジワジワ盛り上げる4曲目に悶絶した次第である。しかし聴き所はソコではなく後半、特に#5〜#8における音源はラフでありながら凄まじくカッコ良く、なんとも汚い音でその手のマニアにはタマラナイ内容だろう。TRUEなプリミティヴブラックとは少し間をとっている感じがして凄く聴き易い。ブラック然としたフラットなメロさなので一押ししたいがどちらかと言えばフェチ向け。故にこれからプリミティヴなブラックに入ってみたいという方はこの作品から入っていけば良いのでは?と思える。
”Helvetin Phdeksan Puria
(The Nine Circle Of Hell)”
 フィンランドのメロディックファストブラック2NDにあたる作品。楽曲は厚みの無い音でノイジーな曲調の中、メロウに疾走していく、いわゆる北欧メロディックファストブラックの典型的なパターンである。寒々しいスタイルを継承したかったのだろうか?所々にDISSECTION辺りやSATYRICONの「Nemesis Divina」辺りの影響が色濃く出てるパートもあったりするので(8曲目はパクッてないか?!/笑)その手のマニアなら大体どのような音かは想像できると思う。単調な中にもしっかり展開して行くのでブラックマニアならニヤリとできるはずである。ただ、もう少しヒネリが欲しいような気がするがコレはコレで味わい深いものである。マニア向けの一枚。
”Deathkult MMCDLXVL”
 フィンランドのメロディックブラックメタルのデモ音源やアナログリリースされた音源を寄せ集めてCD化。97年と98年のDEMOテープ、98年のリハーサル音源、そして1STからの音源、99年録音の新曲(?)と言う選曲である。やはりデモ音源、リハーサル音源と言うだけあってラフで音質もバラバラ。それなりに劣悪な曲もあり音質に拘る方やブラックメタル初心者、一般のリスナーには少々辛い物があるので誰にでも薦められると言った代物ではない。逆にいえば『AZAGHALの音源はどんなの?』と言った方には一度聴いてみる事をオススメする。初期の方から網羅されているのでこのバンドの方向性がどのような物なのか理解するのにこのアルバムを聴くのが手っ取り早い。トラックが進むにつれて新しい曲になっていくので方向性が進化していく過程がわかるのが美味しい。初期からのメロウな寒々しいスタイルのファストブラックを貫いており初期からの根本は全く変わっていないと言った感じであろう。何処かで聴いた事がありそうなリフが登場するがソコはご愛嬌ってことで(笑)
”Of Beast And Vultures”
 フィンランドのメロディックブラックメタル正式なリリースとすればこれが3RD。(デモ集は除く)展開に凝りだしてきているのが今作の特徴である。適度にRawではあるがStop&Goな曲があったり、スローな展開を入れたり、はたまた銃声Seを入れてみたり...一聴して一皮剥けようとしている姿勢が伝わってくる。根底にあるメロウさはそのままで方法論が少し変わった、といった趣である。難を言えば展開を重んじたせいか、微妙に魅力が分散した感じも...あと少しアレンジを整理したらもっと良くなるはず!(もちろん荒々しいプロダクションはそのままで)因みにSATANIC WARMASTERからWircki氏がゲストとして参加している。ラストはBATHORYのカヴァー。
”Kyy”
 フィンランドのメロディックブラックメタル、5曲入りMCD。刻みリフを冒頭に派手に盛り込み、非常にメタル色の強いメロディアスな1曲目を聴いた瞬間、本格的なメロデス化か?と思ってしまった作品。まぁ、そういった要素は過去出てた音源でチラホラ聴けたワケで驚くほどでもないのだが。まぁ、そういった要素が露骨に出たのは実は1曲目だけだったりする。後は真っ当なメロディックなブラックメタルをプレイ。(微妙にメロデス寄りだが。)妙なノーマルVoも入り込んだりして、色々と凝ってきておりメロディも強調しだしてきている。個人的に今後の動向が期待と不安で一杯なんですが(苦笑)。
”Perkeleen Inoma”
 フィンランドのブラック・テラー・メタル4TH。メロデスっぽい展開から脱却しておりよりストレートに邪悪さが伝わるようになってきた。スラッシュ要素も盛り込み非常にRAWな演奏を聴かせてくれる。迷走してた時期もあったがやっぱコレっすわ(笑)個人的にAZAGHALに対して抱いていたイメージそのものであり原点回帰を図っている様に感じる。やたら刺々しく尖がったギターのノイズが妙に心地良く荒涼とした雰囲気を撒き散らしつつRAWに突っ走る。ただ中盤ややだれるのが難点。トータルランニングタイムが少々長く感じたのでこの辺を改善していれば個人的に名盤入りだった。この音であれば30分位で切り上げてくれるのが一番ベストやと思うのだが...。因みに本作は50分弱あり。この音でこの長さは正直疲れるけどカッコイイ!
”Codex Antitheus”
 フィンランドのブラック・テラー・メタル5TH。一気に垢抜けた感じのする作品。ブルータルかつタイトで総じてラウドに変貌した。まさにLIVE栄えしそうな楽曲が中心である。皆で叫べそうなフレーズが盛り込まれており、LIVEを意識した曲作りに意図して作られたのではないかと思われる。音質は整理され楽曲もよりメタリックに洗練されており以前までのAZAGHALの面影はほぼ無くなったと言える。所々、ブラック/デスっぽいフィーリングを漂わしたりVoがハイトーンでシャウトしてたりギターの速弾きなんかもあったりする。この変化によりブルータルな音源が好きな方から新規ファンを獲得できるかもしれない。初期から聴いている方には驚き戸惑うと思われるが(笑)個人的には良い方向に進んだんではないか?と思う反面、手放しで喜べない...と複雑な心境である。因みに今回はAVANTGARDE MUSICからリリース..むむ!?

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