DARKTHRONE

”Soulside Journey”
 ノルウェーブラック界の大御所中の大御所の記念すべき1STフルレンスはデスメタルから始まった。ココで聴かれるのは所謂US系のデス勢のような直接的で殺伐した感覚ではなく内面から滲み出るそんなにヤカマしくないダーク路線と言ったらわかり易いかも知れない。邪悪なスローパートや時折暗黒面を強調する雰囲気あるKEYが被さる部分が特徴でありブラックメタル的要素は少なからずだが既に現れている。今の過剰になりすぎたアグレッシヴなデスメタルファンには正直物足りないかもしれないが非常に渋く出来上がっているのでオススメ。リアルタイムで聴いた人はさぞかし2NDからの化けっぷりに驚かされた事だと思う。以後ブラックメタルの基本として語られるバンドになっていくがスタートはデスメタルであったと言うことである。ファンなら聴いておきたい作品である。
”A Blaze In The Northern Sky”
 ノルウェーブラック界の大御所2ND。メンバーが突然白塗りをしだし背徳的なイメージを色濃く出した風貌に当時のファンは驚いた事だと思う。そしてココからブラックメタルとして生まれ変わった衝撃作だったらしい。残念ながらリアルタイムでは聴いていないのでその衝撃を味わえなかったのがちょいと残念。。ここからDARKTHRONE3部作と言った名盤が続くのでブラックファンは必聴。ブラック好きには避けることは出来ない作品である。さて音源の方だが初っ端から「あ〜が〜ぞ〜・だぁ〜い〜もぉ〜ん」と呪術的な合唱から始まり邪悪な雰囲気満載である。前作からの要素は若干残っているモノのそのブラック然とした音作りは前作とは大きく違っている。重みを感じないジリジリとしたギターノイズに禍々しいミドルパート、スローパートなどを組み合わせている。故に雪崩れ込むところのファストパートが引き立っており勢いも充分にある。そして漂う雰囲気は禍々しくアンダーグラウンド臭をコレでもか!って言うくらい発散している。何かヤバイモノを聴いている、と言った感覚になれるブラック特有の雰囲気がブラックの名盤たる由縁だと思う。最近の派手で邪悪さを失ったブラックメタルには欠落しているモノが確かに存在する。胸を張ってTHIS IS BLACK!と言える出来である。まぁ言うまでもないがブラックメタルを語る上で最も重要なバンドであり、アルバムでもある。何故ブラックメタルとして重要なアルバムなのかは聴いてみればわかる筈だ。必聴!
”Under A Funeral Moon”
 ノルウェーブラック界の大御所3RD。DARKTHRONE3部作の第2段である。前作で見られた厚みの無いギターノイズを今回では更に強調しているかのようだ。よりブラック色を強めた今作は既に究極。このジリジリとしたギターリフや雰囲気、単調なフレーズのリフレインは多くのブラックメタルバンドに影響を与えているのは明らかである。所謂プリミティヴ(原始的な)ブラックと言った作風の基本的な形が出来上がっているように思える。ミドルからスローな展開を微妙に絡めつつ基本は疾走。また随所で太鼓がドン!ドン!と鳴っている所が良いアクセントになっているのもこの作品の特徴である。コレがまた暗黒色を強めている好アレンジかと思う。個人的にコレを聴くとヘロヘロになる(笑)と同時に彼らの中で最も気に入ってる作品。もはや1STの頃の面影は残っていない。ブラックファンは必聴盤である事は言うまでもない。
”Transilvanian Hunger”
 ノルウェーブラック界の大御所4TH。DARKTHRONE3部作の完結編。(アルバムは続きますが/笑)単調な曲に拍車が掛かり寒々しさを伴う荒涼感溢れるメロディアスな方向に進化している。それに伴い悲壮感が漂い始めている。よって聴き易い作品となっているが前作に比べ音質は更に汚くなりまるでAMラジオから流れてるような音質である。そして前作からスローなパート、ミドルテンポになる展開を極力排除した感じでありひたすらな2ビートで被い尽くした感じである。単調だけど緊張感が途切れず維持する辺りは流石と言ったところだろう。実際このアルバムが最高傑作と言う声もチラホラと目にする。と言うわけでココで名盤3部作が終了するわけだがこの3作の中にブラックメタルの要素(雰囲気作り、リフ等)全て盛り込まれていることが判るだろうしそこが名盤3部作と言われている由縁だろう。
”Panzerfaust”
 ノルウェーブラック界の大御所5TH。レーベルもPEACEVILLEからMOONFOGに変わった。音質は前作と大して変わらないが作風に若干の変化が見られる。一番はリフに刻みを多用しだしているので若干ノリが違うと言う事だろう。非常にドゥーミーになった感じである。曲調もスローでミドルな曲が多くなってきた。無論速い曲もあるがコレはコレでカッコ良いと思うし個人的には気に入っている。ジワジワと感じられる重く地を這うような感覚が新しく取り入れられた試みでありVoもなんだか少しドスが利いてきたので総じて重くなったと言った印象。一般的にDARKTHRONEはココまでと言った意見が多いようだが正にその通りかもしれない。ファンなら持って置いて良いのではないでしょうか?
”Total Death”
 ノルウェーブラック界の大御所6TH。個人的に彼らの音源に初めて触れた最初の作品だったりする。当時はブラックメタルが溢れ返ってた時期でもあってメロデス混じりのブラックや色々と派手なブラックが猛威を振るっていた。その波に乗って購入したものの聴いた当初は地味な印象でしかなかったと言う思い出深い作品。さておき音源の方は一聴して彼らだとわかるものの他の作品と比べあんまし印象に残らない。速攻性が無いと言った感じだろうか?前作の延長線上であるがほぼミドルテンポ中心の楽曲構成でありブラック然としたストレートな突っ走る曲が徐々に消え去ったのが原因かもしれない。でもカッコ良い曲はしっかり入っていたりする。例えば6曲目なんかはスラッシュっぽく実際非常にカッコ良い。(GORGOROTHDESTROYERと言うアルバムでパクッテマスね/笑)ジャケも1STから久しぶりの色付き!(笑)無理をして聴く必要は無いものの改めて聴いてみると結構渋い音を出している。所謂、噛めば噛むほど味が出るスルメタイプであり聴き込む事をオススメしたい。因みに個人的にはいい味出てきました(笑)
”Ravishing Grimness”
 ノルウェーブラック界の大御所7TH。音質は若干向上、しかし地味でジワジワとした作風でトレンドに逃げる事無くアンダーグラウンド精神は貫かれている。ほぼ全編ミドルテンポでリフに説得力(言い換えればしつこさ)がある部分は前作から引き継がれている。既にこの路線は5THから続いているわけだが「味」と捉えるか「淡白」と捉えるかがキーワードだと思う。極論を言えばこの説得力のあるリフに酔いしれたらこのアルバムは楽しめるだろうし、淡白だと感じたらひとたまりも無いといった感じがこのアルバムには特に感じられる。一般的にこの辺の作品の評価が真っ二つ(どちらかと言えば否の方が多い)に分かれる原因だと思う。なんしか聴き込む事をオススメしたい。前作が気に入った人なら今作もと言う表現しか思い付かない。所謂、コレもスルメタイプであると言えるのではないだろうか?もはや初期のいかにもブラックと言った感覚はあまり感じられない。
”Plaguewielder”
 ノルウェーブラック界の大御所8TH。若干、曲が長くなった印象を受けるが...気のせいだろうか?大作志向になったといえるかもしれないが基本路線は殆ど変わらない。スロー〜ファストな展開を一曲に封じ込め意外に緩急があるストレートなブラックメタルをプレイしており作品の質自体はアップしている。なんだか曲調がSATYRICON辺りに似てきた様に感じるのだが...少なからず影響を受けているように思える。Voが邪悪な#4とか#6に至っては名曲Transilvanian Hungerっぽいメロウな展開があるので聴き所は多いアルバムといえる。3部作以降の中ではナカナカ良い方向に向かっているのではないかな?なんて思ったりもする。しかし悲しいかな、3部作以降フォロワーが大量発生した為彼ら自身の存在感は最近になって薄れていているのは悲しい。まぁ逆に言えばマイペースでそういったフォロワー勢はあまり気にせず活動を続けている硬派で頼もしい存在ともいえるのだが...う〜〜ん。
”Hate Them”
 ノルウェーブラック界の大御所9TH。相変わらず作風は前作の延長線だが漂う空気が格段にカッコ良くなった!力強さと迫力は彼らの中で一番あるアルバムではないだろうか?VoのEVILさが増し、演奏のラフさが異様にカッコ良い!なんでも26時間で録音、ミックスを済ましたという事であり、その効果が利いているのだろうか?一定のクオリティを保ちつつも小細工が一切無いので妙に勢いと迫力が増したような彼らにしては豪快な音である。このバンドを聴いていて熱くなることなんて殆どなかったのに...(笑)#3などのノリなんか堪らない。力強さが増した彼らだがこれから10作目、11作目と前進していって欲しいと切に願う。3部作以降、イマイチ失速気味だったが少しづつ浮上しつつあるのは間違いない。
”Sardonic Warth”
 ノルウェー産ご存知ブラックメタルの重鎮による10TH。BATHORYの亡きQuorthon氏に捧げられている。5TH以降のルーズなリフで攻め立てる路線は変わっておらず相変わらずオールドスクール振りが滲み出てる作品である。前作から大きな変化はあまり無いが楽曲のバリエーションが若干増した印象である。一連のスタイルを頑なに守っており淡々とした渋い仕上がりになっている。今作は勢いの良い楽曲、ミドルで落とし込む楽曲の二軸で攻めており極めてシンプル。スローに展開する部分はマジで渋い。時代に流されないその姿勢は正に硬派!と云う言葉が最も似合うであろう。#3、#5辺りのリフが今作の特徴が最も良く出た感じで印象的。
”Goatlord”
 ノルウェーブラック界の大御所の初期音源(1ST〜2NDの間)に録音された音源がリリースが遅れCD化、(Voは94年に録音)所謂、企画盤と言った扱いである。ここで聴かれる音源はデスメタルからブラックメタルに移行する過程が手に取るようにわかる。よって実験色がかなり強くこの作品はDARKTHRONEの全作品中一番の怪しさを誇る。なんと女性Vo(?)入り。しかも噂ではこの裏声はメンバーがやってるとかやっていないとか...真相は実際よく判らない所もあるがよ〜く聴いてみるとメンバーの裏声っぽくも聴こえる。これらの要素と不穏感を煽る曲展開が微妙に絡んでブラック風味のデスメタル、もしくはデスメタル風味のブラックメタルと言った事をやっている。コレがナカナカ変わった作りになっていて実に個性的かつ病んでいる。Voも実にEVILであり狂気を孕んでいる辺りもポイントであろう。音質(めっちゃ汚い!)、曲展開(スローとミドルを上手く組み合わせている)、怪しさと言った要素が完全に個人的な好みであるためプッシュしたい作品。ホンマにカッコ良いと思う。DARKTHRONE3部作とは切り離して聴くのが良いと思われる。
”Preparing For War”
 ノルウェーブラック界のアンダーグラウンドの大御所が遂にベスト盤までリリース。相変わらずカルト的な人気と言った所だろう。選曲はやはり初期に集中しており正にベストと言った感じである。(リリースしているレーベルがPEACEVILLEなので当然と言えば当然だが...)初っ端から名曲TRANSILVANIAN HUNGERから始まるので掴みはOK!って感じである。DARKTHRONEを聴いた事の無い方には一通りDARKTHRONEはどう言う音を出しているのか?と言った事をダイジェスト感覚で味わえる好盤であろう。その他はアルバム未収録のDEMO音源、LIVE音源と言ったもの結構な量で入っているのでアルバムを持ってる人も要チェック。オススメポイントは15曲74分に渡りUNHOLYな空間が味わえ、お腹いっぱいDARKTHRONEが味わえる!と言った所だろうか。まずこの音源から聴いてみて自分に合うか合わないか判断し出費を押さえると言う手もアリかと思う(笑)なんせこのご時世ですから...。

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