EDGE OF SANITY

”Nothing But Death Remains”
 スウェーデンのメロディックデスメタル界の老舗EDGE OF SANITYの1ST。様々なメロデス/ブラックのエンジニアなどでお馴染みのDAN SWANO氏のバンドである。後に叙情性、ドラマ性を増大させていくがこの1STでは多少のドラマ性は見せているものの基本は標準的で疾走感あふれるデスメタルである。ほんの若干KEYによる装飾はあるもののそれは最小限に控えられている。特に際立ったものが無いのが残念だが後の進化が凄まじいだけあり3RD〜4THでファンになった人もこのアルバムを聴いておく必要のある1枚だと思う。
”Unorthodox”
 より露骨にドラマティックになったスウェーデンのメロディックデスメタル2ND。前作から格段にスケールアップしたこの作品は今後のEDGE OF SANITYが進む方向性を明確にした1作である。大胆なドラマ性と1STが持つストレートな部分との融合が素晴らしく3つの展開が入る2曲目などは新たな試みと同時に他のデスバンドとは違った一面(個性)を打ち出すことになった。またこの曲に関してはDAN SWANO氏のクリーンヴォイスも一瞬だけ聴ける。結果的にメロディの導入もこのアルバムから徐々に上がっていくことになる。アルバム全体的に実験色が濃くプログレッシヴな感覚があるがメロディックデスメタルファンは避けては通れないアルバムである。ただ難点として曲を詰め込みすぎな気がする。メロデスで15曲は多すぎ。
”The Spectral Sorrow”
 スウェーデンのメロディックデスメタル3RD。遂にメロディックデスメタルとしての足場を固める事になった本作はドラマティックな部分に叙情性を取り入れ随分と聴きやすくなった。そのため本作で多くのファンを獲得した事であろう。非常にメロディアスで叙情的。メロディックデスメタルの基本の1枚として数える事の出来る名盤である。疾走感溢れる楽曲の上を非常に叙情的なメロディが乗っかっているスタイルであるがそれに加え様々なスタイルを披露しているところも見逃せない。DAN SWANO氏がクリーンヴォイスのみ(ヘタウマな渋い声!/笑)で歌い上げる10曲目などは当時としては衝撃的なものだった。今考えると本当に芸達者な連中だと思う。そしてこの3RD、最もアイディアが沸いてくるバンドとしての一番いい時期だったのかもしれない。ちなみに6曲目は正統派メタルMANOWARのカヴァーが収録してある。これぞメロディックデスメタルの名盤である。
”Purgatory Afterglow”
 スウェーデンのメロディックデスメタル4TH。前作の延長線上でありながらメロディの拘りとドラマ性の拘りが大きくなった気もする。スケールがでかくなったと言う印象。これもメロデス史上間違いなく名盤であろう。アグレッションもさることながら叙情性とのバランスが絶妙。なんと言ってもメロディが良い。前作に増して普通に歌い上げる個所も増えデスVoと普通声の使い分けも様になっている。#3なんかが代表的な曲であろう。それに正統派チックな楽曲と普通声のみで歌い上げる曲もあり少し暴力的なコア寄りの曲があったり(#9)充実振りは特筆する物がある。(#5などはカッコ良い)少し音が軽い気もするがEDGE OF SANITYの魅力が凝縮されたアルバムである。前半に良い曲が集中しているので即効性も充分であろう。個人的にメチャ聴き倒した作品である。オススメ。
”Crimson”
 スウェーデンのメロディックデスメタルの5TH。衝撃の問題作。なんと収録曲は1曲である。(日本盤にはボーナスが一曲ついてたらしい。)一曲がクソ長いと、まぁプログレ風に頑張ってみました的な作品ではある。因みに40分弱ある。程よいメロディとアグレッション、静けさを絡め構築していくのだが40分間、トラックが変わらず進行していくので一気に聴かねば意味が無い。だから時間の無い人はオススメしない(笑)しかし、コレまでのEDGE OF SANITYの全てが詰まっているといっても過言ではないくらいの集大成振りなのでファンは苦も無く聴けると思し、サビの部分は強烈な扇情力があるのも聴き所。ファンならゲット。過小評価されているほど悪くないと思うんだけどな〜。
”Infernal”
 スウェーデンのメロディックデスメタルの6TH。このアルバムを最後にDAN SWANO氏はバンドを脱退するに至る。取りあえず「変わった」と言った印象。コレまでのアルバムより音が分厚くなりストロングな印象でモダンになった感じある。実際、アグレッシヴさを前面に出しメロディは後退した感じも受けるがまだメロデスである。おそらく賛否で言えば否の方が間違いなく多そうだ。(笑)個人的にはカッコ良いと思っているのだが...どうなんでしょう?ま、確かにコレまでに比べ印象に残らないと言うのも事実だとおもう。楽曲自体もメンバーの参加具合も不安定みたいだ。(DAN氏が関わってない曲が数曲あり)如何にもDAN氏が脱退する雰囲気満載である(笑)なんかアルバム全体の楽曲出来がマチマチなので混沌とした印象。過小評価されてるアルバムだが俺は好き。因みに#4ではPETER TAGTGREN氏がギターで参加している。
”Crypt”
 スウェーデンのメロディックデスメタルの7TH。新たなEDGE OF SANITYの誕生である。ココで聴かれるのはもはや以前のメロデスのイメージを完全に否定するかのような若干モダンでイカツイ、アグレッシヴなデスメタル。結局はDAN氏以外のメンバーはコレをやりたかったのだろうか?原点回帰って見方も出来るが。気になるのはココでDAN氏に代わり新たなVoとしてRobban Karlsson氏なる人物が参戦しているって事だろう。やたらとストロングな曲でパワフルである。重くエッジが鋭いリフを軸に畳み掛ける楽曲がコレまでとは違う。コレはコレでカッコ良いがココまでやると名前を変えるべきだと個人的には思う。少なくともファンは減った事だろう(泣)どうしてもEDGE OF SANITYと言うとDAN氏のイメージが強かったので...これから、どう言うスタイルになって行くのかが楽しみでもある。
”Evolution”
 スウェーデンのメロディックデスメタル企画盤。10周年を記念して作成されたCDである。決してベスト盤でないので悪しからず。1989年〜1999年までのデモ、未発表曲、リマスター曲、リミックス曲やカヴァーやら様々な音源を2枚のCDに凝縮。大半は未発表曲である事と初期のデモが聴けるのが売り。やはり初期は純粋なデスメタルをやっており基本的には凶暴。時にKeyを絡ませたりしている辺りは後の路線への布石と考えるべきか?段々とメロディの導入が明確化されていく経緯も堪能できる。こういった進化の過程をなぞる事が出来る作品に偽りは無くやはりファンはゲットかと。
”CrimsonU”
 スウェーデンのメロディックデスメタル8TH。あの問題作の続編!脱退したと思しきDAN氏がカムバック。EDGE OF SANITYの名義でコレをやり残していたのであろう。って事で今回はこれらをDAN氏一人でやってのけている。ゲストミュージシャンも参加しているが基本的には彼一人。マルチプレイヤー振りを発揮。やっぱりと言うかまたもや1曲40分弱の超大作。今回は良心的でトラックが小刻みに変わっていくので別の意味で聴きやすくなっている(笑)。かなり音質が良くなり大半がゴリゴリとしたリフで織り成す北欧叙情デスワールド。本作の”T”で聴かれたサビのフレーズを持ってきており”T”を聴かれた方ならニヤリとするだろう。程よいメロディとアグレッションは2ND〜4THで培ってきたならではのオリジナルティを感じることが出来る。ホント”T”よりパワーアップしているので”T”が堪能できた方にはコレは外せないだろう。

Back