HECATE ENTHRONED

”Upon Promethean Shores”
 イギリス産ブラックメタルMCD。同郷である元CRADLE OF FILTHのメンバー(しかもデビュー前!)が在籍していた事で知られるバンドである。やはりVoの叫び方とか音の流れが本家と類似点が多く見受けられる。実際に聴きとおしてみると#5の出だしとかモロだったり、それはそれはニヤニヤして聴ける事請け合いだ。ただ本家ほど研ぎ澄まされたドラマ性があるワケではなく、もっとメタルとしてストレートであると言えるだろう。本家は女性Voを導入したりして耽美でゴシックな方向性を延ばしていったに対して、このバンドはあくまでこのMCDを基本に進化していったと言える。(注/2NDまでの話だが...)初期CRADLE OF FILTHが好きなら合わせて聴くのが面白いかと。
”Slaughter Of Innocence”
 イギリス産ブラックメタル1ST。CRADLE OF FILTHっぽさが完全に堂に入った感じの1ST(笑)本家に比べると幾分ストレートでありながらヒステリックに展開していく。意識してかどうかは判らないがVoが前作にも増してヒステリックな絶叫でありDani氏と似たスタイルを披露、更には曲のメロディ、KEY、SEの使い方なんかもソックリ。ゴシカルで緩急がダイナミックかつハッキリと付く本家に対して、コチラはもう少し平坦な点が挙げられるが、押しと引きはしっかりコントロールされているのでドラマ性も十分ある。ホント前作より腕前が上がったのは確かで聴いていてフォロワーっぷりが気持ち良い位である。同時期くらいにCRADLE OF FILTHが話題になった為か、存在自体が隠れてしまった印象が強く良いバンドなのに...と思っていた時期を思い出した(笑)初期CRADLE OF FILTHファンは要チェック!彼らの中ではこのアルバムが間違いなく傑作。
”Dark Requiems...& Unsilent Massacre”
 2ND。ドラマ性が向上した事によりダイナミックになったと言えるのがこのアルバム。KEYが大幅に楽曲に貢献しているので雰囲気を重んじている様だ。ただ、CRADLE OF FILTHっぽさは若干であるが減退しつつある様にも思える。KEYの使用感が明らかに違うベクトルに向いているのである。本家はもっとシアトリカルな路線でゴシカルな雰囲気を漂わすが、コチラはあくまでブラックメタルという範囲内でKEYを使用しているのである。まぁ、悪い言い方をすればチープって事になるのだろうか?それでもやはり似てるもんは似てるって事で差別化にはあまり繋がっていない様子だが....。びみょ〜に違う方向性を垣間見せた作品と言えるのではないだろうか?
”Kings Of Chaos”
 3RD。Vo(元CRADLE OF FILTHのメンバー)が脱退して新しいシンガーが加入。それに伴ってかどうかは定かではないが路線が変わってしまった作品である。CRADLE OF FILTHっぽいという言葉はもはや通用しない、殆ど別バンドとなりブラックメタルらしさが失われている。(白塗りもやめている。)ズバリいうとデス化したと言えるだろうか?しかしながら壮麗なKEYはしっかり入るしメロディも導入している辺りメロデス化したという言葉が当てはまるかもしれない。ザクザクしたリフを使ったり、咆哮系デスVoを使い分けたりするし、何よりも曲がコンパクトにビシッと引き締まっている点が以前とは大きく違う。これはこれでシッカリ作ってあるのだがなんか普通になってしまった様な気がして楽しみ半減。一般的ならコチラの方が受けるに違いないが初期から聴いているモノにとっては良い意味でも悪い意味でも衝撃があったんではなかろうか?
”Miasma”
 続いてのMCD。前作で大幅な路線変更があったがその方向を保ちつつ楽曲をスローダウンさせ感触としてはダークメタルに進んだ。もう、俺が知っている彼らでは無くなっており残念至極。。気だるいノーマルVoを随分と取り入れており初期のテンションの高さは何処へやら。。楽曲に関しても特に面白みがある訳でもなくダラ〜っとしたムードが漂っている。...なんか中途半端で煮え切らないと言うのが本音である。ブラックメタルっぽい所、デスメタルっぽい所、ダークメタルっぽい所、はたまたメロデスっぽいフレーズも少々...これらのパーツが煮え切れてない状態で楽曲の中に組み込まれているといった感じかな?

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