MUTIILATION

”Vampires Of Black Imperial Blood”
 フランスのカルトプリミティヴブラック幻の1STが遂に500枚限定再発。如何にもなUG雰囲気を炸裂させてるが亜流に留まらずプリミティヴでありながら曲中にそこはかとなく感じとれる憂いが漂ってる辺りが個性的。それに加えて半端ではない暗黒色を醸し出す病みきった独特のVo。この加減が非常に絶妙で憂いと暗黒の狭間を堪能できる作品。路線は変りつつも一聴して彼らだとわかる部分はカルトブラックたる証。内容、音質等何処をとってもフェチ要素が絶大な為、ここ日本でも熱心なブラックメタルファンでの話題に上るのはごく当然だったと言えるだろう。何よりもプリミティヴブラックメタルの真髄(?)であるプロダクションの弱さ、演奏力のラフさを逆手に取った雰囲気作りが非常に素晴らしい。ブラックメタルの奥の深さを垣間見る事の出来る逸品と言える。
”Remains Of A Ruined、Dead、Cursed Soul”
 フランスのカルトプリミティヴブラックの2ND。フルレンスと言うよりかデモ音源の詰め合わせである。#1〜#5トラックが1993年産、残り#6〜#7トラックが1996年産である。しかしコレがまた病みきった究極の一枚なのである。SORTSIND辺りと双璧をなす位Voが逝っております。特に1993年産の音源は悲痛な叫びと壊れた演奏、劣悪な音質、ヨタヨタしたドラム。そこにメロウさと言った要素を加味している。演奏だけ取って聴いてみるとなんでコレでこんなにカッコ良いの?と問いたくなるくらいの不思議な魔力を秘めている。とんでもなくカッコ良いのである。そうこの感覚こそがプリミティヴなブラックの真髄と言える要素であり醍醐味でもある。その点を考えるとこのバンド、プリミティヴなブラックとしてレベルが高いと言えよう。良くも悪くも非常にインパクトのでかい音源なのである。好き者はトコトン好き!嫌な人はトコトン受け付けないと言った極端な作風故、聴き手はかなり限定されると思う。ここまでは1993年の音源について力説したが(笑)1996年産の音源は打ち込みドラムに変わっている為インパクトはかなり落ちる。やはり極端すぎた前半に比べかなり普通になった印象。少し落ち着いたのかな?何はともあれ聴き所は確実に前半の1993年の音源である。
”Black Millenium(Grimly Reborn)”
 フランスのカルトプリミティヴブラックメタル3RD。いやぁ〜凄い!何が凄いと言うと得体の知れない負のパワー、邪悪な空気が楽曲いっぱいに広がっている。これぞ暗黒ハーモニー(笑)。前作であるデモ作品集である1996年に作曲された方の延長線上でストレートでありながらとても個性的に進化している。個性と言うのはVoと楽曲から確実に滲み出てる閉鎖的な感覚と言ったところから感じられるのだろうか?とにかく閉鎖的で病みきった感じがする。なんと言うか楽曲自体からでてる邪悪さもさることながら、内から滲み出てるような閉鎖的感覚すら覚える。ドラムはファストでありながら淡々とした打ち込みによるものだがこの場合、物凄く楽曲にマッチしている。極論だが言ってしまうとこのバンドには凄腕ドラマーはいらないのだ。若干、投げやり気味にシンバルが鳴る辺りが壊れた感覚を一層引き立てている。とてつもなくダークサイド。ラフな演奏とねちっこい邪悪Vo、これらが一体となり病みつつも魅力的な独自の世界観を生み出している。当然、聴き手を選ぶ物件ではあるが濃い世界に一歩踏み込むには打って付けの一枚と言えるだろう。正に独自の暗黒美学を突き詰めてみましたと言った感じの真性ブラックである。またジャケットも病みきっており車椅子に座り込んでいる男の表情に注目。生きるのを諦めたような疲れた表情の男がいい味を出しており、そこから感じられるのはやはり閉鎖感。やっぱりジャケットも閉鎖的であった。目が死んでるね(笑)一応拡大写真をコチラにのせておきます。クリックしてね。
”Majestas Leprosus”
 フランスのカルトプリミティヴブラックメタル4TH。路線としては前作の流れを完全に引き継いでおり前作が気に入っておれば今作も安心して聴ける作品である。やっぱ、このバンド、楽曲にある程度の幅を持たせており多彩な表現力を持っていると思う。基本的にはRAWかつファスト路線だがスロー〜ミドルテンポも適度に織り交ぜ独自の色を打ち出している。独特のメロディというか楽曲の流れというか...ホント独自のモノである。フォロワーな感じは一切しないところがミソ。まぁ、初めて聴いた時のインパクトは得られないが今作もシッカリと安定したMUTIILATION節。また、暗黒のセンスも健在で淡々と染み渡る闇と憂いの鬩ぎ合いがを堪能できる傑作である事には違いない。

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