NIGHTINGALE

”The Breathing Shadow”
 DAN SWANO氏のプロジェクト第一弾。ご存知、EGDE OF SANITYや様々なデス/ブラック系のエンジニアや音を手掛けてきた スウェーデンの鬼才がEDGE OF SANITYでは使えない曲をこの世に出そうと企画、具体化した音源である。本作では殆ど一人 で作り上げたそうだ。音はEDGE OF SANITYのアグレッシヴさとは程遠い非常にソフトかつ少しエレクトロ入ったゴシック音 源という表現が一番似合うと思う。ギターのチューニングが非常に個性的で何処か浮遊感すら感じさせるファンタジックな音 でありメロウさを強調しておりへヴィな分厚さは無い。Voも低いノーマルVoで時に気だるく呟くように歌い上げる。正に独 自の世界だ。メタルという拘りで聴けば少々頼りない音かもしれないがメロディセンスはやはり素晴らしい。独特の味がある。 ポップな部分はあるがテクスチャーはあくまで暗く、メロウに聴かせる、NIGHTINGALE独自の音を創り出している。当時何故 か異様にハマッた音源の一つ。
”The Closing Chronicles”
 DAN SWANO氏のプロジェクト2ND。コンセプト仕様らしく、話によれば前作の続編に当たる作品だそうだ。前作より音楽性に多様性を持たせているが音そのモノの路線は基本的に変わっていない。今回はKEYが少し凝りだしており、少し懐かしいレトロ な雰囲気に仕上がっているのが特徴である。今作からDAN氏の実の兄、TOM NOUGA氏が参戦しており曲も共同で書いたりTOM氏自身が書いたりしている。やはり流石は鬼才、しっかりと独自の世界観を持って作られている為、前作同様持ち味は生かされてい る。楽曲も去ることながらDAN氏の歌唱力もレベルが上がったようにも思えるし、前作程ハマらなかったモノの良い音源である事には違いない。尚、エレクトロな部分はなくなった。
”T”
 DAN SWANO氏のプロジェクト3RD。さらに楽曲のレベルをググッと上げており今回は比較的アップテンポな曲が多く普遍的なハードロック調で迫っている。前作までのメランコリックなゴシック調は影を潜めているのでターゲット層が絞り難 い作品である。ギターも時折、HR的に泣いておりコレまでの路線とは毛色が明らかに違う。ちょっと普遍的になり過ぎて暗さが足りないことから個人的にイマイチだったりする。要は好みの問題でシッカリとした音を構成しているには違いがなく、か つての北欧デス/ブラック界を支えていた人間がプレイしている事自体が信じられない程。そこでふと思うのだがエクストリーム畑の人間が普遍的な音源をプレイするというモノは幾つかあるが、逆に普通のポップスやHRバンドがチャレンジするエクスト リームな音源ってのは聞いた事がない。あったら聴いてみたいものだ。
”Alive Again:
The Breathing Shadow Part W”
 DAN SWANO氏率いるプロジェクト4TH。前作より憂いが増した印象があるのがこの作品。より分かり易く出来ており前作の路線 を生かしたHRをやっている。個人的に憂いが増したのは嬉しい限り。音も随分とキャッチーなギターソロなんかが飛び込んだりしておりメロディや歌メロが随分とダイナミックになった。やはり、今回の作品も更にVoラインが強化されている。リリースする 度に歌が上手くなってるのには驚く限り。また、楽曲にはプログレッシヴな感覚もあったり、基本的には穏やかで静か、しかし 感情的でパワフルといった音源である。1STや2NDの頃のダークな部分は無いが楽曲に漂う憂いは確実に上がっている。これまでやっていた路線の集大成であろう#9などは非常に気に入った次第。
”Invisible”
 傑作5TH。完全にハードロックになった模様。今までの集大成というかもっと一般にも受け入れられる作風になったと言えよ う。とにかく今まで以上に聴かす内容になっていると思う。#5、#6、#7、#8の流れなんかは凄く好きなフィーリングだ。 憂いを余す事無く聴かせてくれる。DAN氏のVoがダイナミックさと深みを増している点、そして歌い込みがココに極まっている。 常に進化しているので全く凄い技量だ。陰と陽をバランス良く配置した楽曲を全編たっぷり堪能できる優秀な作品だ 控えめだが要所要所でツボを刺激するギターソロもやはり気持ち良い。暫くこの手を聴いてなかったせいか異様に聴き入ってしまった一枚。秀逸なのは#10。暗い曲調からアップテンポに持っていく手法はこれまで築いてきた彼ならではのドラマティックさ。流石だ。個人的に不意に無性に聴きたくなる一枚。間違いなく傑作だ。

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