【住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称,品確法)】
2000年4月から施行されています.私は「10年間の瑕疵担保責任」を除いては,批判的で
す.信頼できる設計者に設計と監理を頼み,信頼できる工務店に施工を頼めれば良い 家ができ
るのは今までどおりであって,「屋上屋をなす」このような法律は必要ないからです.
ただし,建築条件つき (売建て) 住宅を買うときなどには多少意味があるかもしれません.
Essays 随筆集『住宅のトラブル減らすため,法律以前に必要なこと』
(品確法批判論文)
ポイント1)新築住宅の取得契約 (請負/売買とも) で,基本構造部分 (基礎,柱,梁などと
雨水の浸入を防止する部分) につき,10年間の瑕疵担保責任 (修補請求権等) を
義務付けました.この点だけは評価できますが,そのほかはどうも・・・
ポイント2)新築住宅の取得契約 (請負/売買とも) で,基本構造部分以外も含めて,特約を
結べば20年まで延長が可能になりました.
ポイント3)住宅性能表示制度を創設しました.ただし任意の制度で,指定住宅性能評価機関
に払う費用がかかります.申請のための書類を作る費用と性能評価機関に払う費
用で30〜40万円程度,それに工事費もアップします.
ポイント4)住宅専門の紛争処理機関が全国的に(各地の弁護士会)つくられました.第三者的
な立場の弁護士,建築士などによって構成されています.
※追記(031116)
この法律ができるとき,「ハウスメーカーが資本を出してつくった評価機関が,そのメーカ
ーを評価するなんて,まともにやるわけない!」という意見がありましたが,その通りの不祥
事が起きてしまいました.大手の評価機関 (兼建築確認検査機関) 「日本イー・アール・アイ」
に対し,国土交通省は業務停止を命じたのです (国交省ホームページ031004) .
内部告発をきっかけに国土交通省が立ち入り調査して,建築基準法と品確法に違反して業務
を行っていたことが判明したという事件です.
品確法に関しては,調査した28 物件の25 %を資格のない補助員に検査させていて,しかも
ハウスメーカーからの出向者である補助員に,その補助員が関係する会社が供給している物件
の評価業務にあたらせていたというのですから,絵に描いたような悪質なお手盛りでした.ち
なみにこの会社,主要株主12 社のうちの5 社がハウスメーカーです.この事件は,品確法のう
さんくささを“証明”してしまいました.
この会社では,建築基準法の確認業務に関しても,資格のない補助員に検査を実施させてい
ます.いやはや! 国交省もさすがに困惑したようですが.
※追記 (050301) ※ご注意!
品確法にもとづく「住宅性能表示」を“売り”にしている建て売り住宅やマンションが増えて
います.
しかし,性能の表示を虚偽の「等級」で広告している建て売り住宅の例もありますので,契
約の際には十分ご注意ください.
また,「設計性能評価書」と「建設性能評価書」があり,その両方を取得していないものは
まったく無意味です.なぜなら,紛争が起きたとき裁判外の紛争処理機関に持ち込めるのは,
「建設性能評価書」を交付されたものに限られているからです.したがって,「設計性能評価」
しかとっていないものは,営業のツールとしてのまやかしと見るべきです.
性能評価をうけたときには,必ず「建設性能評価書」も受け取 ってください.
目次にもどる
【新しい住宅ローンと資金管理のシステム】
一般に,住宅資金をローンでまかなう場合,家が担保になるため,建築が完成するまでは融
資は実行されません.
とはいえ,設計監理料は設計契約時点で,工事代金は工事請負契約の段階で必要になります.
土地を購入する場合にはもっと早い時期から資金を用意しなければなりません.したがって,
建築が完成するまでに必要になる資金は,自己資金と金利も保証金も高い「つなぎ融資」など
で都合するという不合理なこと(二度手間のローン)をしなければなりません.
そんな理由から,建築家に設計監理を頼み,優良な工務店に施工してもらいたいのに,不本
意ながらも提携ローンがつく建て売り住宅を買ったり,ハウスメーカーに頼まざるを得ないと
いうケースも少なくありませんでした.
しかし前述のような矛盾を解消するとともに,安心な機能を付け加えた新しいシステムが開
発されました.エスクロー(取引の安全性を保証する)サービスなどを付加した試みです.
このシステムのフローは,
1)工事着工に先立って,銀行から住宅ローンの全額が融資されます.
2)その融資全額を,自己資金とともに信託口座に預けます.このお金は法律により保全され
ます.
3)工事開始後,工事代金は出来高(出来上がっている分)に合わせて,分割して工務店に支
払われます.出来高のチェック(どこまで出来ているかの確認)は専門家(建築家が設計監
理をしているときは,その建築家)が確認します.
このシステムのメリットは,
1)「つなぎ融資」を受ける必要がない.
2)支払い済部分の建築は(工事中でも)注文者(建て主)に所有権がある.
3)工事中にもし工務店が立ち行かなくなっても,完工できる(完成保証).
4)高い技術力を持つ中小工務店に安心して頼める.
5)土地先行融資との併用もできる.
6)融資を受ける必要がない場合でも,「出来高支払管理制度」(出来高に応じて支払うシス
テム)だけを利用することも可能.その場合 2)3)4)のメリットが享受できます.
一般の場合,工事中の建築は工務店の財産です.したがって,もし工務店が倒産すると,工
事中の建築は多くの債権者(工事関係者)に差し押さえられ,すでに支払った代金が戻ってこ
なくなる危険をはらんでいます.しかしこのシステムでは工事中の建築は注文者(建て主)の
ものです.また,工務店に「完成保証制度」への加入を条件付けるので,工務店が倒産しても,
他の工務店によって完成させることができます.資金が信託口座で保全されているからです.
高い技術力を持ちながらも経営的には脆弱な中小工務店に,安心して頼めるということは裏
返せば,工務店も出来高に応じて確実に支払いを受けられるので,請負金額に金利負担を上乗
せする必要もなく,高品質の住宅をつくることに専念すればよいことになります.
この融資システムについては,日本住宅ワランティ株式会社 すまいと事業部によって運営
される“建築家との家づくり応援サイト”『すまいと』の住宅ローン(すまいとマネープラン)を
ごらんください.
目次にもどる
Works 住宅・その他
Competition コンペ
Books 著作
Essays 随筆集
Profile プロフィル 業務の範囲
Gallery 水彩ギャラリー
Top
欠陥住宅をつくらないで(江口征男)
くたばれ!“家相・風水”(江口征男)
All rights reserved update 10/07/30