江口征男建築設計事務所

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    『これこそ「偽装列島ニッポン」に相応しい建築行政か』









    提供:建築ジャーナル






















    改正する必要がなかった「建築基準法」 目的は国交省と外郭団体の利権拡大

    to be continued
    目次


    『これこそ「偽装列島ニッポン」に相応しい建築行政か090807』
    『建築技術者95%が改正建築基準法に反対した理由080419』
    『シンポジウム「改正建築基準法はいりません!!」080410』
    『ガセ情報を見直す・クイズ耐震偽装071116』
    『イーホームズ藤田社長インタビュー 061109』
    『映画「マイ・アーキテクト ルイス・カーンを探して」に涙 060316』
    『今年もダイアログ・イン・ザ・ダークが 050826』
    『ディスカバリーは無事に帰還できるのか 050802』
    『設計者を悩ませるデザインと法規の関係  050725』
    『設計性能評価書と建設性能評価書は揃ってこそ・・・ 050627』
    『 NHKが“学位商法”をとりあげた 050510』
    『ユニバーサルデザインとは 050317』
    『「ダイアログインザダーク2004東京」体験記 040913』
    『ユニバーサルデザインを考えた 040516』
    『 FAX 同報サービスの大迷惑 030730』
    『国民の不信をまだ感じぬか 030424』
    『相変わらずのマニュアル:マニュアル記述コンペ提唱 030421』
    『リフォームブームに危惧 030218』
    『解かった!ムネオハウスがプレファブまがいなわけ 030306』
    『ムネオハウスの出来映え…あれじゃあロシアに失礼だ 020223』
    『公庫は当初の理念に戻るべきだ 011210』
    『世界教科書図書館構想 011110』
    『民意を読まぬ政治を打開へ 001122』
    『長野県患部(幹部)のオソマツ  001029』
    『岐阜の町営住宅オカルト騒動の滑稽  001025』
    『住宅のトラブル減らすため,法律以前に必要なこと  000915』
    『朝日新聞よ お前もか! 000407』(朝日新聞広告批判)
    『デザイナーの地図 000220』
    『情報公開法と公共建築 991222』
    『図書館の普及お寒い神奈川 991120』
    『公共建築−設計の質 9811』
    『住宅展示場 決して安くないメーカー住宅 9807』
    『被災者にとっての耐震建築とは 9510』(朝日新聞記事批判)


    『これこそ「偽装列島ニッポン」に相応しい建築行政か 090807』

    ※この原稿は『建築人』(大阪府建築士会会報09年8月号)に寄稿したものに一部手を入れています。

     番号で約32万人、実態では約28万人と見られる一級建築士のなかで、設計・監理に携わって
    いる(=設計ができる)人は5、6万人程度と推定される。そのうち設計専業の場(設計事務所)
    に所属している建築士は2、3万人だろうか。

    ●「耐震偽装」の発覚から3年9カ月
    「姉歯耐震偽装事件」が発覚したのは05年11月17日だ。
     私の住む神奈川県でも、姉歯元建築士が構造計算を偽装した(株)ヒューザーの「グランドステ
    ージ」のほか、その後も東横インなどが、ホテルやマンションで完了検査後に駐車場を他の用途に
    変えるという容積率違反が次々に発覚した。
     大阪市でも(株)ユービーが賃貸マンションで、完了検査を受けぬまま階数を増やすというあき
    れた不法を行っていた。
     私がまだ“純真”だった頃、建築学会の講演会での話しだが関西の建築家が、自らが設計した集合
    住宅を説明するとき、「(完了検査の時に)埋めておいた地下室を、あとで掘り起こした」という
    スゴイことをケロッと語っていた。設計の世界では少しは名の知られた人だったので、“オトナの
    ケンチクカ”はその程度なのかと悲しく思ったものだ。
     姉歯問題からこんなケースまで、当事者が一番悪いのは当然だが、違反建築を見過ごしてきた行
    政の責任も重大だ。これらは日々の建築行政で対処すべきことで、法改正で防げるものではない。
     しかし国交省は知らぬ振りで、07年に建築基準法の改正を強行した。

    ●不甲斐ないマスメディア
     本質に切り込めず、表層のみをセンセーショナルに報道するマスメディアに比べ、「建築ジャー
    ナル」誌や「日経アーキテクチュア」誌及びそのウェブサイトでは専門誌らしく果敢に報道し、行
    政への痛烈な批判を繰返してきた。
     前者は昨年4月1日に、東京でシンポジウム「改正建築基準法はいりません!」を開催し、満席
    の建築技術者のほぼ全員に「改正建築基準法NO」の手を挙げさせた。これは「日経アーキテクチ
    ュア」誌とそのウェブサイトに『「改正建築基準法にNO!」、シンポジウムで法の再改正を訴え
    る』として掲載された。
     その2日前には沖縄県那覇市で、建設団体などが3500人を集めて「改正建築基準法の見直し」
    を求めた。
     日経BP社が建築技術者に対して行ったアンケートでは、95%の人が改正建築基準法に「NO
    !」を突き付けたものの、国交省住宅局の官僚は匿名性の陰でどこ吹く風だ。
     08年に強行された建築士法の改正では、一級建築士に3年毎の定期講習を義務付けたが、国家
    資格の中で定期講習はごく少なく、弁護士や医師にもない。さらに不可解なのは、建築士事務所に
    所属する建築士だけを対象にしていることだ。

    ●お仕着せ官製講習と自己研鑽、どちらに価値があるか
     (社)日本建築士会連合会や(社)日本建築家協会では2003年から継続職能訓練制度(CPD)を
    運用している。しかしそれ以前からも、熱心な建築士達は講演会や講習会、見学会に参加するなど
    日々研鑽している。それが専門家というものだろう。だから、たった6時間の“お仕着せ官製講習”
    や改正された建築関係法、新法が誰のためのものかと考えれば容易に判るはずだ。もちろん国交省
    所管特殊法人の利権を増大するためである。旧運輸省部門がETCというツールで、国民に還元す
    ると見せかけながらその実、財団法人の儲け口を拡大していることも、黄金週間の高速道路料金
    “大安売りフィーバー”の裏に隠されていた。
     政権移行を見据えてか、このところ国交省は法と政省令への利権の“駆け込み埋蔵”に励んでい
    る。政権が変わったら、“虎ノ門鉱山”を採掘するつもりだろう。建築士に講習を義務付ける前に、
    「公務員倫理」の講座を必修とする国家公務員定期講習こそが余程必要だったのではないか。

    ●建築文化の崩壊
     いま、さまざまな建築関係法規の改定などが、わが国の建築文化を崩壊させ始めていることは間
    違いない。意匠、構造にかかわらず設計の自由度が激減したことを嫌い、わが国の設計界に見切り
    をつけ、外国を目指す若者も多いと聞く。

    ●いまだに1本だけの「大臣認定構造計算プログラム」
     改正建築基準法が施行された07年6月20日、改正前には100本以上あった大臣認定構造計
    算プログラムが失効。1本も存在しない状態となり建築確認も滞った。焦った国交省は、08年の
    初めにNTTデータのソフトを丸抱えで仮認定。コンソーシアムを組織し2月22日に正式認定し
    たものの、バグの連発で安定しないという。
     そして、その後に認定されたソフトは5月現在1本もないという状況だ。NTTデータのソフト
    は構造設計者の反発を買ったためか売れていないらしい。
     もっとも、使い慣れたソフトを変更するには、過去の蓄積などが無駄になるなどのほか、業務の
    停滞もバカにならないから、技術者がおいそれと乗換えることはしないという、なかば常識となっ
    ていることも判らない官僚にはあきれるばかりなのだが。

    ●設計外注と工事の丸投げ
     建築士法の改正では、設計の一部を協力事務所に外注する際の基準(手続き)も厳しくなった。
     耐震偽装ホテルでは、大手ゼネコンが木村建設に(“法的には”クリアしていたが)事実上の丸投
    げをした。この手法は、大手組織の常套手段(設計事務所による工事監理も同じ)らしいが、紙切
    れ1枚の法令遵守なら誰にでもできる。
     結局、建設業法22条「一括下請負の禁止」の第3項(書面による承諾で適用除外可能)は、共
    同住宅に限り除かれた。

    ●激しく落ち込んだ着工数、責任の所在は?
     国土交通省が、4月30日に発表した08年度の新設住宅着工戸数は104万戸弱で、66年度
    以来の低水準だった07年度並みの水準にとどまっている。昨年末に始まった未曾有の世界大不況
    を、いま最も喜んでいるのは国交省だろう。先を読めずに行った法改正の結果としての“官製不況”
    の責任を曖昧にできるからだ。

    ●これこそ「偽装列島ニッポン」に相応しい建築行政か
     改ざん可能なプログラムを認定した(財)日本建築センターだけでなく、建材やサッシの耐火偽
    装問題でも、認定機関である財団法人の責任は問われる気配すらない。
     一方、悪質な構造設計者の始末を全建築士に押付け、自らを犠牲にして耐震偽装を世に知らしめ
    たイーホームズを業務停止に追い込む。「建築の安全性確保のため」、「耐震偽装問題の再発防止
    策」という見え透いた大義名分で建築関係法を改定、新法も次々につくりだす。事実上「建築の安
    全性を確保」したのは、潰したイーホームズの藤田東吾氏だというのに!これが「偽装列島ニッポ
    ン」に相応しい、官僚の標準ということか。
     
     
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    『建築技術者95%が改正建築基準法に反対した理由080419』
     JANJAN へ

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    『080401シンポジウム「改正建築基準法はいりません!!」080410』

     シンポジウム『改正建築基準法はいりません!!』(08年4月1日 東京・文京シビックホール)は
     下記で記事と動画を見ることができます。
     インターネット新聞JANJAN記事・建築家らがシンポで改正建築基準法に「NO!」

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    『ガセ情報を見直す・クイズ耐震偽装071116』

     


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    『イーホームズ藤田社長インタビュー 061109』(janjan 061027)
      江口がインタビューアーをつとめました。
     作られた耐震偽装(1)公平な法適用を〜藤田東吾氏語る
     作られた耐震偽装(2)身内をかばう国交省〜藤田東吾氏語る
     作られた耐震偽装(3)改ざん可能な構造計算〜藤田東吾氏語る

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    『書評/オススメの一冊ともう一冊:聖ヨハネ病院にて/カルト資本主義』(建築ジャーナル 060911)

    思い遣ること:『聖ヨハネ病院にて』上林暁 新潮文庫

     母校などで設計を教える機会があり、その際学生に語ってきたのは、「設計の基本は相手を思い
    遺ること」だった。
     デザイナーの端くれとしては、美しい作品をつくりたいということがいつも頭から離れない。そ
    のため、分かっているつもりでもつい「思い遺る」ことをおろそかにしがちになる。そんな“ジコ
    チュー”な自分を戒める意味もあった。
     その「思い遣る難しさ」にあらためで気づかされたのが、第二次世界大戦後間もない頃に書かれ
    たこの私小説。上林暁の7つの短編が収められた中のひとつ『聖ヨハネ病院にて』だ。読むことに
    なったきっかけは随分前のことでさっぱり覚えていない。
     視覚に障害を持ち、その上に精神を病んだ、心のきれいな妻との生活を描いたものだ。図書館で
    読み進むうち、ある一節に涙が溢れた。
     上林がひとりで夕食中に突然停電におそわれるシーンだ。そのとき、わざと蝋燭を点けずに食事
    を続ける。日の光も電灯の光も射さない妻の暗闇の世界を、経験してみるつもりだった.しかし、
    たちまち胸の動悸が激しくなって、直ぐに蝋燭を点けることになる。
     一瞬にして上林は救われるが、そのような救いの全くない妻の世界を想い、弱い妻に罵詈雑言を
    浴びせ続けてきた自分の罪の深さに心を乱す、という下りだ。
     これを読んで、僕も反省するとともに、「思い遣ること」が簡単ではないことを強く思い知った。
     爾来、「思い遺ることの難しさ」がずっと頭の中にあった。お断りしておくが、僕の妻はニクラ
    シイほどに健康である。
     そんな中、2004年「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」というイベントを経験することができた。
    1989年にドイツ人のアンドレアス・ハイネッケ氏の発案から誕生して、世界中に広がった催しだ。
     それは真っ暗闇の中にしつらえた、道や駅や森、バーなどの日常空間を白杖と音を頼りに8人ほ
    の参加者が、視覚障害者のアテンドを得ながら歩くという体験で、僕は上林暁の追体験をしたよう
    に感じた。
     参加者は、ほとんど20代の若昔だった。この試みを日本に導人したブロデユーサーの金井真介さ
    んと、ボランティアスタッフの若者たちにも感動して、涙をこらえることができなかった。
    (以下略)
     
    情報リテラシー力:『カルト資本主義』斎藤貴男 文春文庫

     学生に伝えたもうひとつは、「情報の中身を批判的に評価せよ」だ。付和雷同しがちな若者に、
    情報リテラシー力を持たせたいからだった。
     僕は「くたばれ!家相・風水」と題するホームページをもっている。
     根拠のないことをネタに、人を誑かし、高額な鑑定料を取り、そのアドバイスが住み難い住宅を
    つくっていることを批判しでだ。占いやオカルトも、“アンチ”としで気になるし、マイナスイオ
    ンや24時間風呂などの“売り方”も批判する。ビジネス書やビジネス雑誌に散見される怪しい記事
    や“トンデモ本”、も同様だ。
     そんな中この本を読んだ。『ソニ一と「超能力」』『京セラ「稲盛和夫」という呪術師』、『科
    学技術庁のオカルト研究』、『オカルトビジネスのドン「船井幸准」』などと手厳しい。
     客観的かつ冷静に書かれたこの本を読むと、情報リテラシー力を高める訓練になる、とは大袈裟
    だろうか。

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    『映画「マイ・アーキテクト ルイス・カーンを探して」に涙』(janjan 060316)

      耐震偽装,東横インの違法改造,なくならない欠陥住宅。倫理観の欠如に起
     因する不祥事が噴出している。
      そのため,物理的な面だけが議論されていて,重要なもう一方の「文化的な
     側面」がなおざりにされているのが腹立たしい。「文化的な側面」とは,建築
     家にとっては常識の「建築は芸術と技術によって支えられる」ということ。
      芸術性を欠いているものは“建築”ではなく,ただの“構築物”だ。


     そんななか,映画『マイ・アーキテクト「ルイス・カーンを探して」』(原題:MY ARCHITECT-
    A Son's Journey 監督:ナサニエル・カーン)を観た。

     20世紀の建築家の中で,ル・コルビュジェと並んで建築家にも人気の高いルイス・カーンの足
    跡を,その息子が辿るドキュメンタリー作品だ。第76回アカデミー賞「長編ドキュメンタリー部
    門」にノミネートされたほか数々の賞を受けている。

     ルイス・カーンは,本妻と二人の愛人の3つの家族を持っていたが,この映画の監督ナサニエル・
    カーンは二人目の愛人の息子だ。彼が11歳のとき(1974年)にペンシルヴェニア駅のトイレで
    病死した父ルイスを知るために、父の死から25年後に名作建築を見る旅に出る。

     美しい住宅フィッシャー邸に異母姉妹とナサニエルが集まって語る情景,アメリカ吹奏楽団のた
    めに設計した船のクライアント(船長兼指揮者)ロバート・ブードローへの取材のくだりなど心を打
    つ場面が多い。
     齢とともに緩む涙腺のせいもあるだろうが,何度も泣かされた。
     特に,ロバート・ブードローに名前を明かさずにカメラを回し始め,途中でカーンの息子である
    ことを明かしたときのシーンには,心が震えた。

     建築とカーンを取り巻いた人々への取材を通しながら,徐々に亡き父親を理解し,受け入れてい
    く叙情的な心の旅でもある。タイトルバックから引き込まれ,ジョセフ・ヴィタレッリによる音楽
    も胸に沁みた。美しく,せつなく,そして心が温まる名作。

     一人でも多くのひとに観てほしいと思う。

      公式サイトでは作品を見ることもできる。 東京渋谷に1月28日にオープンしたばかりの,
    建築家北山恒が設計したお洒落な映画館 Q-AX(キューアックス)シネマで上映されている。

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    『今年もダイアログ・イン・ザ・ダークが』 (050826)

     ワークショップ形式の展覧会「ダイアログ・イン・ザ・ダーク(くらやみのなかの対話) 」が今
    年も開かれる。
     日常生活のさまざまな環境を織り込んだまっくらな空間を、聴覚や触覚など視覚以外の感覚を
    使って (視覚障害者の案内を受けながら) 体験するもので,福祉関係者はもちろん,建築にかかわ
    る人や学生にはぜひ体験してほしい。前売り4000円だが,決して高くはない。

     日時:2005年10月4日 (火) 〜11月23日 (水)※ 10 月 17日,31 日,11 月 14 日を除く
     平日 12時30分〜20時00分 土日祝日 10時30分〜19時00分
     会場:旧自治大学キャンパス 東京都港区南麻布 東京メトロ日比谷線広尾駅下車 徒歩5分
     詳細:http://www.dialoginthedark.com/

        私の感想は『ダイアログインザダーク2004東京 体験記』へ
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    『ディスカバリーは無事に帰還できるのか』(050802)

     1986年1月,打ち上げ直後に爆発し,宇宙飛行士6名と女性教師1名の尊い命が失われたチャ
    レンジャー事故の教訓は生かされないのだろうか。
     その事故の1年前,別のシャトルの打ち上げ後の検査に従事していたモートン・サイオコール
    社のエンジニア ロジャー・ボイジョリーは,グリースの焦げた痕跡を発見し,燃料タンクの爆
    発につながるおそれがあることを上司に報告した。それを宇宙飛行センターに上げ,3段階のレ
    ベルの検討委員会で推定原因を説明したり,社の技術系幹部,さらには副社長にまで文書で訴え
    たという。
     しかし最終的には,予算の超過や計画の遅れについて批判されていたNASAと,シャトル計画
    の一部を独占的に受注している立場を失うことをおそれたサイオコール社の経営戦略が技術者の
    良心を圧殺し,打ち上げ強行を決めてしまったのだ。
     それでもボイジョリーと同僚は寸前まであきらめず,サ社の技術担当副社長に打ち上げの延期
    を訴えた。打上げの前日には,NASAとサイオコール社の間でテレビ会議が行われた。その際,
    宇宙ブースター担当副社長は打ち上げ中止を勧告するとし,NASAもそれに従うと表明したにも
    かかわらず,テレビ会議を中断して行われたサイオコール社側の会議では,打ち上げ延期の意見
    は,上級副社長らの“経営的判断”によって退けられた。そして事故。
     (参考文献:「技術倫理1」みすず書房)

     そのような学習をしたはずなのに,今回のスペースシャトル・ディスカバリーは,燃料タンク
    の不具合の原因を特定できないままに打ち上げられてしまった。
     しかも,打ち上げ後に問題が噴出してから,今後の打ち上げの凍結を決めるとはどういうこと
    か。ダメモトでやってみたということなのか。人命軽視もはなはだしい。
     
     いまは,ディスカバリーが無事に帰還することを祈るばかりだ。
     
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    『設計者を悩ませるデザインと法規の関係』 (日経アーキテクチュア050725)

     日経アーキテクテュア誌05年5月30日号トピックスで「設計者の自邸に『手すり無し』は可
    能か」が掲載されている。階段に手すりを付けて法規を満たすことを条件に,日本建築学会賞を
    授賞したという作品だ。審査員のひとり松永安光氏によると,「手すりは,デザイン上は必要な
    いと感じた委員が複数いた」とのことだが,必要ないというよりも「無いほうが明らかに美しい」
    と私も思う。これはデザインにこだわる設計者なら誰もが悩むところだろう。
     私も法で義務付けられる以前には,小さな子どものいない家庭の場合は,建て主に説明して了
    解を得られたうえで,手すりを付けないこともあった。しかし,「仮に建て主の自己責任を念書
    などで明確にしておいても,来客が負傷した場合に,来客から民事上の責任を問われる可能性が
    ある」との大森文彦弁護士の指摘を読むと,欠陥住宅が問題にされている昨今の状況では不安に
    もなってくる。
     いずれにしても,学会賞は法規をクリアすることを求めたのだが,この作品は検査済証をとっ
    ていないのだろうか。その点については不問にしたのだろうか。
     屋上のデッキに手すりを設けていないような家を見ても,度胸の良さをうらやましく思う反面,
    遊びにきた子どもが事故に遭ったときの設計者としての責任を想像すると空恐ろしくもある。デ
    ザインと法規と司法の関係は極めて悩ましい。(一部加筆修正)

    ※編集部からのコメント:
     学会賞選考委員会の作品部会が設計者である大谷弘明氏に求めたのは,手すりを設置し,検査
    済証を取得することです。1月10日の現地審査を受け,大谷氏は追加の工事を行い,検査済証を
    取得しています。

    ※筆者注:
     『編集部からのコメント』によれば,学会賞の審査を受けた段階では「手すりをつけていない」
    「完了検査を受けていない」という,二重の建築基準法違反をしていたということが読み取れる。

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    『設計性能評価書と建設性能評価書は揃ってこそ・・・』(050627)

     品確法(住宅の品質確保の促進に関する法律)の性能評価には,設計性能評価と建設性能評価が
    あります。
     設計性能評価とは,設計時点で「このような性能の住宅をつくります」と申請し,評価機関が
    その仕様を確認して「設計性能評価書」を交付します。それを条件にして工事契約をすれば,施
    工者はそのとおりにつくることを義務づけられます。そして,工事中数回の評価機関による検査
    を受けて合格すれば「建設性能評価書」が交付されます。この流れがすべておこなわれて,はじ
    めて「性能評価』に意味が生じます。のちにトラブルが起きたときに裁判外の紛争処理機関に持
    ち込むことができるのはこのケースだけです。
     従って,「設計性能評価書」しか交付されていない住宅は,はじめから「建設性能評価書」を
    とるつもりがない (性能評価を単なる宣伝の道具にしている) か,建設性能の検査に不合格であっ
    たかのどちらかでしょう。

     そこで,最近国交省から発表された「評価書交付の実績」を分析してみました。
     まず戸建て住宅の場合。平成16年5月から10月までの6ヶ月に「設計性能評価書」を交付され
    た住宅は合計28135戸,それが完成する時期を4ヶ月後と仮定して,平成16年10月から平成17
    年3月までの6ヶ月の「建設性能評価書」交付数は22682戸。設計性能評価に対して,建設性能
    評価を受けたものは約80%にあたります。

     次に共同住宅等(マンションなど)の場合。平成15年度1年間の「設計性能評価書」交付数は
    95178戸。完成する時期を12ヶ月後と仮定して,平成16年度の「建設性能評価書」交付数は
    68869戸,これは設計性能評価の約72%です。

     この結果は,戸建てでは約20%,共同住宅等では約28%が「建設性能評価書」の交付を受け
    ていないことを示しています。しかもマンションは1棟の10%を検査すればよいことになって
    います。つまり,残りの90%は「建設性能評価書」の交付を受けてはいても,検査を受けた10
    %から推定して『合格』となっているに過ぎないのです。それなのに,約28%もが「建設性能
    評価書」の交付を受けていないという実態は,消費者の期待に答えているとはといてい言えま
    せん。
     性能評価を受けるためには,設計手間の増加と評価料で少なくみても20〜30万円以上かかり,
    工事費 (販売価格) も (性能評価の等級により) 数十万円単位でアップしているはずです。
     にもかかわらず,性能が保証されないというのでは,消費者は騙されていることになります。

     「住宅性能評価」をウリにしている住宅を買ったり,建てたりするときにはかならず「設計
    性能評価書」の内容を工事の契約条件にしてください。
     そしてもうひとつ,「建設性能評価書」を必ず確認しましょう。

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    『 NHKが“学位商法”をとりあげた 050510』

     博士号などを売る“学位商法”をNHKがようやく「クロースアップ現代』(2005/5/10)
    で取り上げました。
     アメリカのある“学位工場”では,修士を1900ドル,博士を2750ドルで売っているそうです。
    Drコパの20万円は安い買い物だったようです。
     インターネット上には一説によると数百とも一千ともいわれる数のキャンパスのないそんな
    “大学”があるというから驚きです。アメリカではニセ博士号をもつ公務員が大勢いたことが
    判明して社会問題になっているそうですが,我が国の出版界や放送界は鷹揚なものです。

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    『ユニバーサルデザインとは 050317』

     バリアフリーという言葉があります。障がいをもつ人にとってのバリア(障壁)を社会からな
    くそうという考え方です。
     100%の障がいを持つ人も,また100%健常である人もいないと考えてみれば,障がい者と健
    常者の境目はいったいどこにあるのでしょうか。それならば,街やものをすべての人に使いやす
    くするほうが自然です。それが『ユニバーサルデザイン』です。
     ものをデザインするときに,一人でも多くの人に使いやすいように配慮しながら進めることが,
    建築家やデザイナーが絶えず考えければならないことです。
     ことさら『ユニバーサルデザイン』を意識しなくなるときが早く来ることこそがもっとも望ま
    しいことでしょう。

    国際ユニヴァーサルデザイン協議会
    カラーユニバーサルデザイン機構

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    『「ダイアログ・イン・ザ・ダーク2004東京」体験記』(040913)

     白杖(はくじょう)を持った10人のグループが、視覚に障害を持つ人のアテンドを得ながら,
    声と白杖をたよりに“まっくらな空間”を約1時間のあいだ案内してもらうという
    ワークショップ形式の展覧会『ダイアログ・イン・ザ・ダーク2004』の体験記を
    下記のサイトにアップしました。

     お手数をおかけしますが,「建築家との家づくりサイト」“すまいと”のコラム

     『湘南のアトリエから』No.9
          気になる催し・・・scene2 感動と反省の1時間
          『ダイアログ・イン・ザ・ダーク2004東京』体験記 へおいでください。

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    『ユニバーサルデザインを考えた 040516』

     自分のためでになく,他者のためにデザインをする職能であることを考えれば,建築やインテ
    リアの設計に関わる者は,「思い遣ること」をデザインの原点とすべきではないいかと考える。
     私小説「聖ヨハネ病院にて」(上林暁)には,停電の時,視覚障がいの妻と同じ状況を体験し
    てみる場面がある。初めてこの文章に接したとき,長年連れ添い頭では理解していたはずの妻の
    障がいを疑似体験して初めて,光りのない世界のおそろしさを認識したという作家の述懐から,
    「おもいやること」の難かしさを知った。
     「100%の健常者がいないのと同様に,100%の障がい者もいない」という言葉は,ユニバー
    サルデザインの思想を見事に表している。
     高齢者や障がい者に配慮せよと訴えても,年齢差・性差・能力差の違いに加え,文化や習慣の
    差を越えて使いやすい“もの”や環境を考えることの難しさは「思い遣ること」の難しさではな
    いか。
     バリアフリー,ノーマライゼーション,ユニバーサルデザイン等の言葉をあえて使う必要のな
    くなる時代をめざし,今後も「思い遣ること」を基本にしながらデザイン活動をしていきたいと
    考えている。

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    『 FAX 同報サービスの大迷惑 030730』

     10 年以上前に朝日新聞に書きましたが(礼儀知らずのファクス送信),あれほど迷惑な FAX
    営業が,相変わらず減らないのはなぜなのでしょうか。
     以前,某パソコンメーカーから宣伝のFAXが度々送られてくるので,何回も抗議のFAXを送り
    ましたが,いっこうに停止されず,電話で怒りまくってようやく止まりました。これが“顧客満
    足度トップ”と言われているメーカーでした。

     無断で送るという点では迷惑メールとなんら変わらない,このような消費者無視のシステムを,
    リクルートが『 FAX 同報サービス FNX 』と称して売っています。業界シェア No.1だそうで,
    「9,000 社18,000 部署が導入!」とうたっています。こりゃあ迷惑するわけです。リクルート
    の経営センスを疑います。こんな商売がまかりとおっているのが不思議でなりません。
     米国では従前から,連邦通信法によって迷惑ファックスに対する規制が行われているそうです。
     これからぼくは,回線を勝手に一定時間ふさぐ業務妨害料と,紙の無断使用料として各10 円計
    20 円を“同報 FAX ”で各社に請求しようかと考えています。
     なにしろ,送られてくるFAXの多くがこのような“スパムファックス”なのですから。
     ところで,再度のFAXは「特定商取引に関する法律」の第17条(電話勧誘販売の再勧誘)に触
    れないのでしょうか。法律家の皆さん!お願いしますよ。

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    『国民の不信をまだ感じぬか』(朝日新聞 030424)


     「酒も飲まず,ゴルフもしないまじめな男」というのが,秘書給与肩代りや暴力団とのかかわ
    りの問題で,チョンマゲを切り反省を表わしたという保守新党の松浪健四郎議員をかばう井上政
    調会長のコメントだそうだ。
     「まじめな男」の評価基準も,髪を切る振る舞いも笑わせる。辞職に言及し,国民の気分を代
    弁していると思われた扇国交相のコメントに対して,強い不快感を表わしたという二階幹事長の
    態度も不可解だ。なんとズレた代議士達なのだろうか。
     二階氏は「党には辞めろという権限はない」と言っているらしいが,説得もできないのか。
     「この程度のことで辞めるなら,歯止めがなくなってしまう」という本音と理解していいのか。
    有権者が,このような問題への対応のしかたをみて,各政治家や政党を評価していることも分か
    らないのだろうか。
     このまま,政治倫理審査会での弁明で決着がつくはずもないと思うが,辞職を選ばざるをえな
    い場合でもその理由が今後の選挙を意識してということなら,政治不信は募るばかりだ。

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    『相変わらずのマニュアル:マニュアル記述コンペ提唱』(030421)



     ずっと指摘されつづけているのにあまり改善されていないのが,パソコンと周辺機器,そして
    ソフトのマニュアルです。エンジニア用語での記述はだいぶ少なくなったようですが,エンジニ
    アの意識で書く(“おばかな”ユーザーの立場で考えない)ことはあまり変わっていないようで
    す。CS(顧客満足度)への配慮はあまり見えません。不親切なマニュアルには腹が立ちます。
     ぼくはGUI(Graphical User Interface),WYSIWYG(What You See Is What You Get)を
    標榜してきたMac使いなので,他の世界は知りませんが,そのMac系でも周辺機器や特に某CAD
    マニュアルは,「ちっとは国語勉強しろよ!」と言いたいほどの悪文だらけです。

     そこで提案です。『マニュアル記述コンペ』をやってはどうでしょうか。
     ある機器を対称に,“分かりやすい,痒いところに手が届くマニュアル”を募集するのです。
    一次審査で数点を選び,二次審査では“おばかなユーザー”がそのマニュアルを使って操作して
    みてグランプリを選ぶというものです。業界団体の方々いかがでしょうか。ぼくも応募します。

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    『リフォームブームに危惧』(030218)



     リフォーム番組が消費者をミスリードしている。

     設計者(設計事務所)は設計を依頼されると,予算を考えながらデザインし設計図をまとめる。
    さらに工務店から見積をとってチェックした後に,注文主と工務店は工事契約を結び,ようやく
    着工となる。これは新築もリフォームも同じだ。
     しかし,テレビではそれらの説明はなく,いきなり解体にかかり,壊しながらデザインを考え
    たりしている。普通そんなことはありえない。完成するまで工事費が確定しないのでは,注文主
    は心配でしかたがない。そんなやり方が通用するのは「どんぶり勘定」で契約した場合だけだろ
    う,
     登場する“タクミ”と呼ばれる人物は,時にはのこぎりを持ったりして,職人なのか設計者な
    のか(工務店の人なのか設計事務所の人なのか)わからないことも。これは省略しているという
    よりも,番組制作者たちが実情を知らないからだろう。同じことは,一部の表層的な『建築家ブ
    ーム』をつくっている一般誌の編集者たちにもいえることだ。
     これらの影響か,デザインすることには時間と労力と費用(設計監理報酬)が必要という認識
    すら持たない依頼主(依頼主候補者?)が訪れてきて困惑したという建築家の話しもちらほら。

     『訪問リフォーム商売』も社会問題になっている。
     “無料耐震診断”と称して,営業の会社が電話でアポイントをとり,次の日には別の会社が早
    速訪問。屋根裏に入って“無料耐震診断”。危険な状態だからと心配させ,200万かかるが今日
    中に契約なら170万でという常套手段。その場で契約締結。次の日には屋根裏にもぐって2時間
    ほどの“工事”。解約しにくいようローン会社の申し込みを契約にからませるという,実に見事
    な段取り。耐震性能はというと,やらないよりはましか,あるいは天井裏が重くなった分,逆効
    果かもしれないというようなものだがこの製品,某一級建築士個人の推薦状つき。おそらく原価
    は工事費込みでも大量生産すれば20万もしない程度だろう。高齢者世帯の被害が多い。

     一般に行われている耐震診断は,現況(あれば平面図程度)で壁の位置を調べ,略算により壁
    の量やバランスをみて,おおまかな判断をするもの。
     しかし,既存の壁の中がどれほど傷んでいるか,しっかり施工してあるかどうかは壊してみな
    いと判らないから,それを調べないまま一部に耐震壁を追加したり,補強しても,他が悪ければ
    バランスが狂ってかえって地震の被害が大きくなることもあり得る。しっかりと設計され,確実
    な施工がされたことが明白な建築なら調べる必要はないが,そもそも耐震工事の必要もない。
     本当に心配なら,すくなくとも主要な外壁は中を調べ,天井と屋根裏の金物を確認すべきだろ
    う,中途半端な耐震補強は気休めにしかなるまい。
     地方公共団体が補助している耐震診断なら,ヒモツキではない(だろう?)から受けてみるの
    はいいだろうが,あくまでも気休め程度のものだといわざるをえない。

     いずれにしても,次の段階の工事は信頼できる施工者に依頼しないと無駄な出費になりかねな
    い。タダほど高い“無料”屋根診断,“無料”床下診断,“無料”シロアリ診断が横行している。
     “無料診断”の流れの先にはかならず“商売”があるのは明白だから,くれぐれもご用心を。

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    『解かった!ムネオハウスがプレファブまがいなわけ』(020306)



     昨日(3月5日)の衆院予算委員会で判りました。日本の国土だと主張しているはずの島にロ
    シアのための施設をつくった理由と,安普請に見えたわけが。
     日本固有の領土だから,でも人道支援はしたいから,いつでも壊せるようにプレファブまがい
    の安普請でつくったんですね。さすが,外務省(支援委員会)は頭イイ〜。
     でも,各業者の役割は相変わらずよくわかりません。日本工営がコンサルタントなのか,施工
    業者なのか,あるいは“使イッパシリ”なのか。ますます判らなくなりました。
     ただ,支援委員会の暗部は見えはじめたようです。

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    『ムネオハウスの出来映え…あれじゃあロシアに失礼だ』(020223)



     鈴木宗男自民党代議士の,いろんな意味での品のなさには呆れます。それにしても,あっとい
    う間に日本工営,日揮,と大物脇役も揃いました。そして,入札関与,利益供与,上請け丸投げ
    (もちろん建設業法違反)と,うさんくささも勢ぞろいです。
     法律問題は他におまかせすることにして,建築の出来映えについて考えてみました。
     で,あの“民宿のプレファブ増築”かと見まがうような,ムネオハウスの出来映えはひどすぎ
    ます。デザイン不在です。あんな建築,ロシアに失礼です。でも,関係した顔ぶれを見れば当然
    かもしれません。なぜなら,設計したという日本工営は大手とはいえ,土木のコンサルタントで
    す。建築の設計事務所だなんて,建築関係者なら誰も認めないでしょう。それどころかあのうさ
    んくさいふるまいは,悪徳ブローカーのようにさえ見えます。だから,あんなショーモナイ設計
    するんです。日揮にしたって,プラント会社としては一流でも,いわゆる建設(建築)会社だと
    は,誰も思っていません。そんな日本工営に設計を発注するところを見れば,支援委員会(外務
    省外郭団体)は予算を使うだけで,いい建築を造ろうという気は,はなからないのでしょうね。
    センスも,やる気も無いんですねえ。この団体に暗部はないのでしょうか。ともかく,設計を発
    注した経緯もぜひ知りたいものです。ここのところの問題はジャーナリズムも気付いていないよ
    うですから。

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    『公庫は当初の理念に戻るべきだ』(日経アーキテクチュア 011210)


     住宅金融公庫は,来年度から融資対象を基礎などの耐久性基準を満たしたものだけにするとい
    う。しかし,納得できない。
     なぜなら,その数値さえ守れば耐久性を確保したという“お墨付き”を与えてしまうからだ。
    さらに,低価格でも良質な住宅をつくろうとする設計者の様々な試みを排除する。
     公庫は80年代の初めに,100m2未満の敷地に建てる住宅への融資をやめた。87年にはバブル
    に浮かれるように“セカンドハウス融資”(都市・田園住宅融資)に手を染めて,“住宅困窮者”
    への融資という当初の理念を見失ってしまった。
     公庫の存続が危ぶまれる状況のなかで,ここに来て、さらに誤った方向へ進もうとしているよ
    うにみえる。いまだからこそ,初心に戻り,民間にできない部分をフォローすることこそが生き
    残る道ではないのか。

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    『世界教科書図書館構想』(011110)



     10月27日付朝日新聞の「天声人語」では,アメリカの中学校教師が教え子に送ったというメ
    ール「世界を100人の村に縮小すると」を紹介していました。
     100人のうち80人が標準以下の居住環境に住み,50人が栄養失調に苦しみ,全世界の富のう
    ち59%を所有する6人が全てアメリカ人。たった1人が大学教育を受け,たった1人がコンピュ
    ーターを所有している。そして,その村に住む日本人は2人。というようなものでしたが,一方
    的な立場でものを見る危うさ,相手を思いやることの難しさをあらためて考えさせられました。

     ワールドトレードセンター事件 (2001年9月11日) 直後の,なにがなんでも報復というような
    短絡的な主張は,さすがに静まってきたようですが,テロに震撼する今,我が国はどのようにふ
    るまえばいいのでしょうか。

     そこで提案です。各国に『世界教科書図書館』をつくるというものです。敵視したり,異なる
    宗教を持つ各国が,互いの国の歴史や社会科の教科書を手軽に読むことができるシステムです。
    公平性を保つために,ユネスコが中心になって翻訳する体制をつくれないでしょうか。それがで
    きたら,日本とアジア諸国の問題,世界中でおきている異なる宗教や異民族の間での先鋭的な異
    文化対立の緩和や相互理解の手助けになるのではないでしょうか。
     それらの教科書は,その国でもっとも支持されているものを使うことは言うまでもありません。
     国連加盟国191カ国×4冊=764冊です。蔵書数800冊未満の図書館(図書スペース)ですから,
    建設費もあまりかかりません。あとは翻訳の費用です。安いものです。

     それになら,我が国も胸を張って貢献できるのではないでしょうか。
     ※(050703加筆訂正)

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     『民意を読まぬ政治を打開へ』(朝日新聞 001122)



     大山鳴動して鼠一匹も出ずである。自民党の加藤紘一氏は政治生命にかかわる致命的なミスを
    おかしてしまった。名誉ある撤退どころか,衰退だろう。派閥議員総会での加藤氏と周辺の涙に
    は同情を禁じ得ないが,大局からみれば滑稽でもある。
     「国民の75%が支持しない森内閣」に異議を唱えて,「今度は本気らしい」と国民が感じ始め
    た結果が,世論調査で長く下位に甘んじていた氏を「望まれる次期首相」の上位に押上げたはず
    だ。
     しかし,長野県と栃木県知事選挙の結果に表れた国民の強いメッセージを受け取る余裕もない
    ほど,加藤氏が状況を読めなくなっていたのだとすれば,しょせんコップの中の嵐でしかなかっ
    たのだろう。執行部から,選挙での不利益を示されて結束を切りくずされたといわれるが,国民
    の意思を的確にとらえていたら,最後まで理念を通すことのほうが,よほど選挙に有利に作用す
    ると読めたはずだ。結局加藤氏は,民意よりも保身を選んだ。
     ともあれ,二つの知事選挙の結果には,相乗り野党への痛烈な批判も含まれている。
     この政治の閉そく状況を野党はどのように打開するのか。責任は重い。

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     『長野県患部(幹部)のオソマツ  001029』



     田中康夫長野県知事の初登庁の模様をテレビ報道で見てあきれました。カメラの放列の中で,
    田中さんの発言に文句をつけたり,もらった名刺を折ったりした(破く寸前)二人の幹部の言動
    にです。
     県民に選ばれた知事に対する敬意のかけらもない異様な態度に私は,辞職覚悟の“気骨ある”
    抗議だと理解したのですが,次の日の腰砕け釈明をみるとそうでもないらしい。自分の言動が,
    どのような反響をもたらすかに思いが至らないという,立場をわきまえぬ低レベルの発言は,国
    政の場で失言と釈明をくり返す政治家達と同じようにみえました。非常識な長野県幹部の存在は,
    停滞した県政を象徴しているのでしょうか。
     知事当選後に,田中さんが語った様々な抱負は,市民感覚に裏付けられた全く妥当なものだと
    思いますが,旧い体制にどっぷりと浸かって判断力の鈍った,当の幹部達には理解の範囲を越え
    ていて,あのような態度となって表れたのでしょうか。
     田中さんには今後,外に向けて情報をどんどん発信してほしいものです。県民だけでなく,国
    民も注目しているのだから。

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     『岐阜の町営住宅オカルト騒動の滑稽  001025』



     昨年春に完成した岐阜県富加町の町営住宅で,「夜中に変な音がする」から始まって,「カー
    テンが自然に開いた」,「戸棚から皿が飛び出して2m飛んだ」,などと大騒ぎしています。
     変な音については,科学的に調べれば原因は些細なことでしょう。そもそも,全く音のしない
    住宅のほうがよほど気持ちが悪いもの。生活音があるのが普通です。まして集合住宅です。
     でもカーテンや皿については,科学的な説明以前に,ぼくはガセネタと見ています。作為的な
    ものを感じます。誰の企みかは判りませんが,ある種の陰謀,「町長追い落とし」「家賃値下げ
    作戦」などが臭います。
     「階段に女性が座っていた」「知らない女性を見た」などにいたっては,そのどこが不思議な
    のでしょうか。ただの日常風景としか思えませんが。
     最初にぼくが知ったのは,テレビ朝日「ニュースステーション」でしたが,その取材は冷静で
    した。しかし,その後に見た“オカルト好きフジテレビ”の番組では,さっそく幽霊,ポルター
    ガイスト(独:家の中を騒ぎ回る霊)に結び付けてはしゃいでいます。『女性セブン』は(新聞
    広告を見ただけですが)「本誌記者と有名女性霊能師が直撃!」とノリノリです。編集者のオツ
    ムを疑います。それよりも,気持ちが悪いからと引っ越す人がいるのは驚きです。失礼ながら滑
    稽に見えます。
     はたして結論は?

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    07.05.10
     『住宅のトラブル減らすため,法律以前に必要なこと』(週間金曜日000915)



     「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(通称、「品確法」)が動き出した。これには,新
    築住宅の取得契約に関する瑕疵保証制度の充実,と住宅性能表示制度の創設,という2つの柱が
    ある。
     前者では,基本構造部分と雨水の浸入を防止する部分につき,十年間の瑕疵担保責任が義務づ
    けられた。優良な工務店ならこれまでもやってきたことだが,倒産して責任を果たせなくなった
    時にも,瑕疵保証保険制度(法律によるものではない)を利用していれば対処できるようにはな
    った。これは,悪質な業者の排除にはある程度の効果が期待できるが,「計画倒産による売り逃
    げ」を防ぐ別の方策も必要になるだろう。
     後者は,性能を表示するための共通ルールに従った住宅性能評価書を添付して契約すれば,記
    載された性能が保証されるというもの。秋頃に動き出す模様だが,その利用は任意であり評価を
    受けるには費用もかかる。しかもこの制度は,『営業・販売ツール』にされてしまうおそれがあ
    る。書類上の体裁は整えても実情が伴わないという懸念だ。現実に,設計者や工事監理者の名義
    貸し,下請け任せにする現場管理者の横行がある。これら業務が正しく行われ(護られ)ていた
    なら,品確法の出番はなかったはずだ。
     住宅のトラブルは,悪質な業者が存在しうることにこそ原因があるのだが,あまりにも無防備
    な被害者(注文者)にも責任の一端がある。消費者として注意深く対応していれば起きるはずの
    ない問題が多すぎるのだ。有資格者が立ち会わない設計打合せや,口約束,契約内容を認識(確
    認)していない,等に起因するものだが,これらが解消されたら住宅のトラブルはかなり減少す
    るはずだ。
     倒産の心配がない,コマーシャルが素敵だ,営業マンの感じが良い,などという住まいの本質
    とはおよそ無関係な理由で住宅を選んでいる人が少なくない。それでいて後で,裏切られたと後
    悔している。そこには,住み手(消費者)としての冷静な視点が欠けている。
     住宅にとって最も大切な「住まいかた」のイメージが希薄なわりに,断片的な技術知識は高く,
    部分に固執する人がいる。AとBを比較してAの性能が高くても,Cと組み合わせれば逆になる
    こともある。それらは,工法や環境工学,法規,コストなどさまざまな計画要素を勘案しながら
    選択されるべきものだ。生半可な知識を振り回し,固執していれば「木を見て森を見ず」に陥る。
    プロがする設計の作業は,「森,木,葉,葉脈を見て,また森に戻り」と,試行錯誤と取捨選択
    を繰り返していくものである。
     例えば,“今流行り”の「高気密・高断熱・計画換気」。予算にゆとりがあるのなら,高気密
    と高断熱はエネルギーのロスを防ぐからそれはそれでよい。しかし,窓を小さくして閉め切り二
    十四時間機械換気に頼る。出入りのたびに戸の開け閉めにも気を使う。建築コストも上がる。寒
    冷地や密集市街地ならともかく,温暖な地方や郊外なら冬以外には窓を開け放って風を通すほう
    がよほど快適で,省エネルギーにもなる。総合的なバランスを考えてほしいものだ。
     品確法の瑕疵担保責任の対象になっている,基本構造や雨漏りなどに係わる物理的な品質は,
    建築がシェルター(雨風をしのぐ場所)として持つべき最低限の性能で,求められる機能のたか
    だか五十%ほどにすぎない。それが満足されているだけならただの構造物にすぎず,残りの要素
    が備わってこそ建築だ。残りの要素とは,“住み手家族に合った”使いやすさ・快適さ・楽しさ・
    美しさや,近隣・街並みに配慮され“その敷地に相応しい”外構デザイン等『ひと』に密接に関
    係する大切な部分である。
     昨今の論議で,建築の重要な本質が見過ごされているのは極めて残念だ。

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    『朝日新聞よ お前もか!  000407』



     とうとう,あの朝日が『オカルト商売』に加担してしまいました。2000年4月5日付け朝刊22面
    の『風水大富豪腕時計』の広告です。
     朝日新聞の広告掲載の基準は大変厳しいと認識していましたが,とんでもありません。テレビ
    オカルト番組同等のレベルでした。『朝日の良識』はどこにいってしまったのでしょうか。
     記事で多宝塔や壷を売る宗教をどれほど批判しても,これでは説得力がありません。壷は悪くて,
    風水大富豪腕時計ならいいとは誰も思わないでしょう。
     以前,朝日の折り込みに『金が増える亀マーク付きの財布』というチラシが入りあきれましたが,
    販売店まではコントロールできないのだろうと考えていました。
     しかし,これじゃあ販売店のコントロールどころではありませんね。
     ジャーナリズムって,印刷物を売るだけの会社なんですね?
     営利企業なんですね?

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    『デザイナーの地図 000220』



     パンフレットなどに載っているデザイン化された地図のことです.
     グッドデザインとは,ものが要求する機能が満足された上に,美しい形をもつことです.建築
    も同じです.しかし,“デザイナー地図”の多くが,機能を満足していません.斜行する道路を
    省略して直交させ,目印も省略しているから,目的地にたどり着くのに苦労します.
     デザインがアートとは異なることは,デザイン教育を受けていれば知っているはずですが.

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    『情報公開法と公共建築 991222』


     情報公開法が動きだした。公共建築のつくられるプロセスに対しても、市民の関心が高まることが
    期待される。
     公共建築は、立案から設計、工事、完成、運営、そして検証までの全ての情報が公開されるべきだ。
    これがされていないからハコモノ批判が起きる。
     第一に大切なことは、行政が立案する前に、本当に必要な施設なのか、どのような内容が求められ
    るのかを、市民参加を得て論議することである。
     第二には、設計者の選定が重要だ。その方法は、透明かつ公正な公開設計競技(コンペ)にゆだね
    るべきなのだが、現在の公共建築の設計者は、80%近くもが「設計料入札」によって選ばれている。
     これは、設計者の能力とは無関係に『設計を請負う金額』を入札させ、最低額を提示した設計者に
    発注する制度である。しかし、美術館がアーチストに入札させることを想像すれば、極めて文化度の
    低い方式であることが解るだろう。
     欧米諸国には「設計料入札」は無く、ドイツ、イタリアでは公共建築の設計者は全て「設計競技」
    によって選ばれるという。にもかかわらず、わが国の自治体が「設計料入札」を採用する理由は、会
    計法、自治法を根拠にしているからだという。物品を購入する際は「競争入札」にするように定めて
    いる法律だが、設計は「まだ形をもたない、これから行なう創造行為」である。だから物品購入のた
    めの法律を設計発注の根拠にするのは極めて不当だ。この法には但し書きがあるから、他の方法を
    とっても問題はない。事実、「設計競技」等で設計者を選ぶケースもあるが、極めて少ない。しかし、
    すべてが「設計料入札」で決められると、能力は低くても「手間ひまをかけない設計」の得意な設計
    者が常に仕事を得て、結果として質の低い公共建築が増加することになる。「設計料入札」を採用す
    る裏には「設計競技は事務手続が煩雑」という本音があるのだが、ここには『市民のための建築』と
    いう視点はない。
     さらに、設計料入札にも談合はある。能力により公正に設計者を選ぶようになれば、仕事が取れな
    くなるであろう設計者にとって、談合に支えられた設計料入札は“おいしい”方式だ。だが、公共建
    築の発注方法の多くが設計料入札である以上、不本意ながらも参加する設計者が存在するのも厳しい
    現実ではある。
     設計競技では、応募要項に予算や面積規模、施設内容などが詳細に提示される。それなら、誰が設
    計しても同じような案ができると思うかも知れない。しかし、国際公開設計競技によって設計者が選
    ばれた第二国立劇場や東京国際フォーラムの報告書を見れば、世界からの数百の応募案は千差万別だ。
    それほどに設計者の能力(構想力、デザイン力、技術力)が大切なのだ。
     第三に重要なのは施工者の選定である。税の無駄使いが指摘される談合をなくすには、発注者周辺
    からの、予定工事価格の“犯罪的な”漏洩を防止することこそが必要だ。これができれば、談合は成
    立しにくくなり、高値入札も排除できる。詳細な設計図書をもとに積算するから、極端な低額で応札
    しても、設計の仕様と厳しい工事監理に拘束されるので、品質低下の心配は全くない。
     このようにして、公共建築の立案から完成後の運営までを検証し、フィードバックすべきだ。プロ
    セスが絶えず市民の目にさらされるようになれば、不明朗な動きも追放され、無駄な公共施設はつく
    られなくなるだろう。そのためにも、さらなる情報の開示を求めていく必要がある。
     アメリカでは、AE(建築家・エンジニア)選択法によって公共建築の設計に関わる建築家らの選
    定過程の公開を定めている。納税者が納得しないからだが、わが国の“情報公開障壁”に、“いつも
    の外圧”がかかる前に是正してほしいものである。

    ※日本建築家協会関東甲信越支部の長野地域会の働きかけにより,田中康夫知事及び県行政当局の理
    解を得られ,長野県は設計者選定に際して「基本的には入札によらない」ことへ大きく前進したとい
    う。きわめて喜ばしい。(041002追記)

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    『図書館の普及お寒い神奈川』(神奈川新聞 991120)


     日ごろ,東京都に比べて神奈川県には図書館が少ないのではないかと感じていた.その理由は人
    口の差によるものだろうと思っていたがそうではなかった.
     総務庁の調査によると,人口百万人あたりの公立図書館の数は,富山県がトップで52館を超え
    る.全国平均は19館だ.それに比べて,わが神奈川はなんと最下位で10館にも満たないのだと
    いう.首都圏だけを比較しても東京の30館弱,千葉の約20館,埼玉の18館と比べて極端に少
    ない.
     しかし,現在,図書館が少ないということは,これから最新の設備をもつ図書館をつくる可能性
    を秘めているということでもある.
     勤め帰りに利用しやすいように,アクセスの良い場所に夜も開館する,次代を見据えた優れた図
    書館をつくってほしいものだ.

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    『公共建築−設計の質』(福島民報 9811)


     いわき市の『草野心平記念文学館』を見学した。この建築は設計コンペによって選ばれたものだが、
    設計した建築家の心平への解釈が過不足なく表現されていて素晴らしい。まさにコンペだからこそで
    きた建築と言える。
     多くの自治体では設計者選定に際し設計料の入札をさせる。優れた設計者(案)を選ぶのでなく、
    最も安い設計料を提示した者に発注するのだ。その中で、福島県は「コンペ」によって設計者を選ぶ
    方法を推進していると聞く。「入札」には「談合」がつきもの。能カの低い設計者にとって、設計の
    巧拙と無関係に定期的に仕事は回ってくるから「入札」は願ってもない受注法だ。だからこそ、『草
    野心平記念文学館』の成果が光る。
     帰途、北茨城市の『雨情記念館(歴史民俗資料館)』に寄った。これが大詩人の記念館かと思う程
    惨澹たるものだった。展示物からの感動はともかく、建築からは侘ししさしか感じられなかった。腹
    立たしいほどに。
                            
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    『住宅展示場 決して安くないメーカー住宅』(建築ジャーナル9807)


     雑誌社の依頼で、某住宅展示場を“覆面”で取材した。木質パネル系を2社、2×4、PC、鉄骨
    ALCを各1社合計5棟の内部を見た。プランを省略して洗練されたイメージを強調しているものあ
    り、泥臭いまでに盛り沢山のものありとさまざまだ。ともかく消費者が住まいに対して持っている
    『表面的かつ最大公約数的な)夢…らしきもの』にターゲットを絞っているらしいが、ぼくの目か
    らみてユルセルものは全 27棟中 2〜3棟。
     コストはというと、坪 48万(坪単価!あいまいな用語だ)からの限定プランの商品(商品!イ
    ヤナ言葉だ)もあったが、だいたい60万から90万のようだ。これに含まれない、設計費、照明器
    具や外部の給排水設備、簡単な外構工事を入れて住める状態にすると10万ぐらいプラスされるか
    ら、決して安いとも思えない。
     皮肉にも、展示場に隣接する古い木造住宅が美しく見えた。設計者は不在だろう。昔の大工がつ
    くったと思われるものだが、デザインセンスも感じられ、媚びが見えないところに好感がもてた。

      ※木造住宅が美しく見えたのはホントです。(990617)

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    『自民党に失望 他党どうする』(朝日新聞 970914)


     自民党支持者ではない私だが、ふがいのない野党と比べて、橋本内閣が行財政改革に取り組む姿
    勢から、この内閣はある程度の評価ができるのではないかと考えてきた。
     しかし、このたびの佐藤孝行氏の入閣で一挙に失望に変わった。選挙の際、小選挙区で落選した
    佐藤氏を比例区ですくいあげたときにも、国民の気持ちを逆なでする自民党のズレた感覚にあきれ
    たものだが、今度は長老のゴリ押しに抵抗もできず、閣僚に登用してしまった総理総裁と、それに
    理解を示す閣僚たち。「有能な人だから」という言いぐさは、官僚の不祥事が露呈されるたびに言
    われる「清濁あわせ飲む有能な官僚」というおかしな評価と同じだ。国民一般の良識とかけ離れた
    彼らの感覚は信じがたい。こんなことがまかり通るようでは、官にも政にも「濁を飲む」人物が安
    心して生き延びられることになるだろう。
     どうみても新内閣がこのまま容認されるはずはあるまい。そう考えるとこの出来事は、橋本内閣
    をつぶすための深謀遠慮ではないかと思えてくる。
     社民党とさきがけ、さらに野党各党の対応をしっかりと見極めたいと思う。

      ※やっぱり橋本内閣はツブレたが、行財政改革も雲散霧消?。
       この文章、原文では『老害政治家』と書いたが、さすがに『長老』と直されました。(990617)

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    『被災者にとっての耐震建築とは』(Structure 9510)抜粋


    ●財産保全可能な建築
     阪神淡路の地震では、建築の所有者特に個人や零細企業のオーナーにとって、「建築の強さ」は
    安全性の確保(生命の保護)だけではとうてい満足できるものではなく、財産の保全が保証されて
    初めて「建築の強さ」を実感できるのだということが鮮明になったようだ。解体するしか方策の見
    当たらない住宅やビルは、人命は護られたとはいえ、全壊と変わりないことは明白だ。すでに存在
    しない建築のローンを何十年も払い続けることなど、想像するだけでも辛く悲しすぎる。
    ●復興に名を借りた証拠隠滅?
     地震の後の手際の良い解体工事。その裏に隠れた、復興に名を借りたドサクサまぎれの証拠隠滅
    としか思えない動きが気になってしかたない。
    ●報道の信頼性
     阪神淡路大震災に関する一般の報道では、建築技術について的を射たものは少なく、技術者の側
    から見ると、いいかげんな記事が多かったように思われる。メーカーの名を挙げながら、木造住宅
    に対するプレファブ住宅の優位性について書かれた署名記事「プレハブ“軽さ”で地震しのぐ」
    (朝日新聞 950126 夕刊)は、材質の違い工法の違いについて検討したとは思えない、極めて短
    絡的な記事だった。かつて台風で、軽いが故に屋根が軒並み飛んだことのあるプレファブについて
    は頬かむりだ。瓦屋根には法的に太い柱が要求されていることにも言及されていないし、建築に大
    切なバランスのとれた性能という観点も一切ない。古い構法の重い瓦屋根や土塗り壁の木造とプレ
    ファブを無理やり対比させるような書き方にも、作為的なものを感じさせられた。企業が仕掛けた
    我田引水の話に、メディア(技術に無知な経済部記者)がまんまと乗せられたとしか思えない無責
    任な記事であったが、むき出しの企業エゴとしたたかさが垣間見られた。
     他の報道でも、倒壊の原因追及はうわべだけのものが多い。上部構造に問題があったのか、基礎
    の問題だったのか、設計ミス、施工ミス、あるいは違法建築か手抜き工事かなどに踏み込んで冷静
    に判断し論評したものはあまりなかった。
     専門外の記者の書く記事は、言葉の使い方から間違っていることがままある。専門家なら「壁」
    といえば構造体をイメージするのが普通だが、「ビルの壁が落ちた」と簡単に書く。よく読めば仕
    上げのモルタルやタイルが剥落したことだ。ともかく言葉の使い方だけでもこれほど認識のずれが
    ある。だから、建築家がクライアントと打ち合わせるときにも、語彙の選び方には慎重な態度が必
    要だとつくづく思う。
     門外漢の我々にとっては、のちにわかったことだが、あの「松本サリン事件」で「会社員」が犯
    人である可能性は、化学の専門家に詳しい取材をしていれば、簡単に否定できていたはずだ。ヒス
    テリックなジャーナリズムが無批判に警察発表だけに頼ってしまった責任は重い。官や企業の言う
    ことをうのみにして記事にしてしまうのであれば、ジャーナリズムとして失格だ。

      ※地震のあと、どのくらいの真面目な大工・工務店、瓦メーカーが“殺された”のでしょうか。
       代々の朝日ファンとしては悲しいことです。


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    欠陥住宅をつくらないで(江口征男)
    くたばれ!“家相・風水”(江口征男)

     

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