『ユニバーサルデザインを考えた 040516』
自分のためでになく,他者のためにデザインをする職能であることを考えれば,建築やインテ
リアの設計に関わる者は,「思い遣ること」をデザインの原点とすべきではないいかと考える。
私小説「聖ヨハネ病院にて」(上林暁)には,停電の時,視覚障がいの妻と同じ状況を体験し
てみる場面がある。初めてこの文章に接したとき,長年連れ添い頭では理解していたはずの妻の
障がいを疑似体験して初めて,光りのない世界のおそろしさを認識したという作家の述懐から,
「おもいやること」の難かしさを知った。
「100%の健常者がいないのと同様に,100%の障がい者もいない」という言葉は,ユニバー
サルデザインの思想を見事に表している。
高齢者や障がい者に配慮せよと訴えても,年齢差・性差・能力差の違いに加え,文化や習慣の
差を越えて使いやすい“もの”や環境を考えることの難しさは「思い遣ること」の難しさではな
いか。
バリアフリー,ノーマライゼーション,ユニバーサルデザイン等の言葉をあえて使う必要のな
くなる時代をめざし,今後も「思い遣ること」を基本にしながらデザイン活動をしていきたいと
考えている。
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『 FAX 同報サービスの大迷惑 030730』
10 年以上前に朝日新聞に書きましたが(礼儀知らずのファクス送信),あれほど迷惑な FAX
営業が,相変わらず減らないのはなぜなのでしょうか。
以前,某パソコンメーカーから宣伝のFAXが度々送られてくるので,何回も抗議のFAXを送り
ましたが,いっこうに停止されず,電話で怒りまくってようやく止まりました。これが“顧客満
足度トップ”と言われているメーカーでした。
無断で送るという点では迷惑メールとなんら変わらない,このような消費者無視のシステムを,
リクルートが『 FAX 同報サービス FNX 』と称して売っています。業界シェア No.1だそうで,
「9,000 社18,000 部署が導入!」とうたっています。こりゃあ迷惑するわけです。リクルート
の経営センスを疑います。こんな商売がまかりとおっているのが不思議でなりません。
米国では従前から,連邦通信法によって迷惑ファックスに対する規制が行われているそうです。
これからぼくは,回線を勝手に一定時間ふさぐ業務妨害料と,紙の無断使用料として各10 円計
20 円を“同報 FAX ”で各社に請求しようかと考えています。
なにしろ,送られてくるFAXの多くがこのような“スパムファックス”なのですから。
ところで,再度のFAXは「特定商取引に関する法律」の第17条(電話勧誘販売の再勧誘)に触
れないのでしょうか。法律家の皆さん!お願いしますよ。
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『国民の不信をまだ感じぬか』(朝日新聞 030424)
「酒も飲まず,ゴルフもしないまじめな男」というのが,秘書給与肩代りや暴力団とのかかわ
りの問題で,チョンマゲを切り反省を表わしたという保守新党の松浪健四郎議員をかばう井上政
調会長のコメントだそうだ。
「まじめな男」の評価基準も,髪を切る振る舞いも笑わせる。辞職に言及し,国民の気分を代
弁していると思われた扇国交相のコメントに対して,強い不快感を表わしたという二階幹事長の
態度も不可解だ。なんとズレた代議士達なのだろうか。
二階氏は「党には辞めろという権限はない」と言っているらしいが,説得もできないのか。
「この程度のことで辞めるなら,歯止めがなくなってしまう」という本音と理解していいのか。
有権者が,このような問題への対応のしかたをみて,各政治家や政党を評価していることも分か
らないのだろうか。
このまま,政治倫理審査会での弁明で決着がつくはずもないと思うが,辞職を選ばざるをえな
い場合でもその理由が今後の選挙を意識してということなら,政治不信は募るばかりだ。
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『相変わらずのマニュアル:マニュアル記述コンペ提唱』(030421)
ずっと指摘されつづけているのにあまり改善されていないのが,パソコンと周辺機器,そして
ソフトのマニュアルです。エンジニア用語での記述はだいぶ少なくなったようですが,エンジニ
アの意識で書く(“おばかな”ユーザーの立場で考えない)ことはあまり変わっていないようで
す。CS(顧客満足度)への配慮はあまり見えません。不親切なマニュアルには腹が立ちます。
ぼくはGUI(Graphical User Interface),WYSIWYG(What You See Is What You Get)を
標榜してきたMac使いなので,他の世界は知りませんが,そのMac系でも周辺機器や特に某CAD
マニュアルは,「ちっとは国語勉強しろよ!」と言いたいほどの悪文だらけです。
そこで提案です。『マニュアル記述コンペ』をやってはどうでしょうか。
ある機器を対称に,“分かりやすい,痒いところに手が届くマニュアル”を募集するのです。
一次審査で数点を選び,二次審査では“おばかなユーザー”がそのマニュアルを使って操作して
みてグランプリを選ぶというものです。業界団体の方々いかがでしょうか。ぼくも応募します。
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『リフォームブームに危惧』(030218)
リフォーム番組が消費者をミスリードしている。
設計者(設計事務所)は設計を依頼されると,予算を考えながらデザインし設計図をまとめる。
さらに工務店から見積をとってチェックした後に,注文主と工務店は工事契約を結び,ようやく
着工となる。これは新築もリフォームも同じだ。
しかし,テレビではそれらの説明はなく,いきなり解体にかかり,壊しながらデザインを考え
たりしている。普通そんなことはありえない。完成するまで工事費が確定しないのでは,注文主
は心配でしかたがない。そんなやり方が通用するのは「どんぶり勘定」で契約した場合だけだろ
う,
登場する“タクミ”と呼ばれる人物は,時にはのこぎりを持ったりして,職人なのか設計者な
のか(工務店の人なのか設計事務所の人なのか)わからないことも。これは省略しているという
よりも,番組制作者たちが実情を知らないからだろう。同じことは,一部の表層的な『建築家ブ
ーム』をつくっている一般誌の編集者たちにもいえることだ。
これらの影響か,デザインすることには時間と労力と費用(設計監理報酬)が必要という認識
すら持たない依頼主(依頼主候補者?)が訪れてきて困惑したという建築家の話しもちらほら。
『訪問リフォーム商売』も社会問題になっている。
“無料耐震診断”と称して,営業の会社が電話でアポイントをとり,次の日には別の会社が早
速訪問。屋根裏に入って“無料耐震診断”。危険な状態だからと心配させ,200万かかるが今日
中に契約なら170万でという常套手段。その場で契約締結。次の日には屋根裏にもぐって2時間
ほどの“工事”。解約しにくいようローン会社の申し込みを契約にからませるという,実に見事
な段取り。耐震性能はというと,やらないよりはましか,あるいは天井裏が重くなった分,逆効
果かもしれないというようなものだがこの製品,某一級建築士個人の推薦状つき。おそらく原価
は工事費込みでも大量生産すれば20万もしない程度だろう。高齢者世帯の被害が多い。
一般に行われている耐震診断は,現況(あれば平面図程度)で壁の位置を調べ,略算により壁
の量やバランスをみて,おおまかな判断をするもの。
しかし,既存の壁の中がどれほど傷んでいるか,しっかり施工してあるかどうかは壊してみな
いと判らないから,それを調べないまま一部に耐震壁を追加したり,補強しても,他が悪ければ
バランスが狂ってかえって地震の被害が大きくなることもあり得る。しっかりと設計され,確実
な施工がされたことが明白な建築なら調べる必要はないが,そもそも耐震工事の必要もない。
本当に心配なら,すくなくとも主要な外壁は中を調べ,天井と屋根裏の金物を確認すべきだろ
う,中途半端な耐震補強は気休めにしかなるまい。
地方公共団体が補助している耐震診断なら,ヒモツキではない(だろう?)から受けてみるの
はいいだろうが,あくまでも気休め程度のものだといわざるをえない。
いずれにしても,次の段階の工事は信頼できる施工者に依頼しないと無駄な出費になりかねな
い。タダほど高い“無料”屋根診断,“無料”床下診断,“無料”シロアリ診断が横行している。
“無料診断”の流れの先にはかならず“商売”があるのは明白だから,くれぐれもご用心を。
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『解かった!ムネオハウスがプレファブまがいなわけ』(020306)
昨日(3月5日)の衆院予算委員会で判りました。日本の国土だと主張しているはずの島にロ
シアのための施設をつくった理由と,安普請に見えたわけが。
日本固有の領土だから,でも人道支援はしたいから,いつでも壊せるようにプレファブまがい
の安普請でつくったんですね。さすが,外務省(支援委員会)は頭イイ〜。
でも,各業者の役割は相変わらずよくわかりません。日本工営がコンサルタントなのか,施工
業者なのか,あるいは“使イッパシリ”なのか。ますます判らなくなりました。
ただ,支援委員会の暗部は見えはじめたようです。
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『ムネオハウスの出来映え…あれじゃあロシアに失礼だ』(020223)
鈴木宗男自民党代議士の,いろんな意味での品のなさには呆れます。それにしても,あっとい
う間に日本工営,日揮,と大物脇役も揃いました。そして,入札関与,利益供与,上請け丸投げ
(もちろん建設業法違反)と,うさんくささも勢ぞろいです。
法律問題は他におまかせすることにして,建築の出来映えについて考えてみました。
で,あの“民宿のプレファブ増築”かと見まがうような,ムネオハウスの出来映えはひどすぎ
ます。デザイン不在です。あんな建築,ロシアに失礼です。でも,関係した顔ぶれを見れば当然
かもしれません。なぜなら,設計したという日本工営は大手とはいえ,土木のコンサルタントで
す。建築の設計事務所だなんて,建築関係者なら誰も認めないでしょう。それどころかあのうさ
んくさいふるまいは,悪徳ブローカーのようにさえ見えます。だから,あんなショーモナイ設計
するんです。日揮にしたって,プラント会社としては一流でも,いわゆる建設(建築)会社だと
は,誰も思っていません。そんな日本工営に設計を発注するところを見れば,支援委員会(外務
省外郭団体)は予算を使うだけで,いい建築を造ろうという気は,はなからないのでしょうね。
センスも,やる気も無いんですねえ。この団体に暗部はないのでしょうか。ともかく,設計を発
注した経緯もぜひ知りたいものです。ここのところの問題はジャーナリズムも気付いていないよ
うですから。
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『公庫は当初の理念に戻るべきだ』(日経アーキテクチュア 011210)
住宅金融公庫は,来年度から融資対象を基礎などの耐久性基準を満たしたものだけにするとい
う。しかし,納得できない。
なぜなら,その数値さえ守れば耐久性を確保したという“お墨付き”を与えてしまうからだ。
さらに,低価格でも良質な住宅をつくろうとする設計者の様々な試みを排除する。
公庫は80年代の初めに,100m2未満の敷地に建てる住宅への融資をやめた。87年にはバブル
に浮かれるように“セカンドハウス融資”(都市・田園住宅融資)に手を染めて,“住宅困窮者”
への融資という当初の理念を見失ってしまった。
公庫の存続が危ぶまれる状況のなかで,ここに来て、さらに誤った方向へ進もうとしているよ
うにみえる。いまだからこそ,初心に戻り,民間にできない部分をフォローすることこそが生き
残る道ではないのか。
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『世界教科書図書館構想』(011110)
10月27日付朝日新聞の「天声人語」では,アメリカの中学校教師が教え子に送ったというメ
ール「世界を100人の村に縮小すると」を紹介していました。
100人のうち80人が標準以下の居住環境に住み,50人が栄養失調に苦しみ,全世界の富のう
ち59%を所有する6人が全てアメリカ人。たった1人が大学教育を受け,たった1人がコンピュ
ーターを所有している。そして,その村に住む日本人は2人。というようなものでしたが,一方
的な立場でものを見る危うさ,相手を思いやることの難しさをあらためて考えさせられました。
ワールドトレードセンター事件 (2001年9月11日) 直後の,なにがなんでも報復というような
短絡的な主張は,さすがに静まってきたようですが,テロに震撼する今,我が国はどのようにふ
るまえばいいのでしょうか。
そこで提案です。各国に『世界教科書図書館』をつくるというものです。敵視したり,異なる
宗教を持つ各国が,互いの国の歴史や社会科の教科書を手軽に読むことができるシステムです。
公平性を保つために,ユネスコが中心になって翻訳する体制をつくれないでしょうか。それがで
きたら,日本とアジア諸国の問題,世界中でおきている異なる宗教や異民族の間での先鋭的な異
文化対立の緩和や相互理解の手助けになるのではないでしょうか。
それらの教科書は,その国でもっとも支持されているものを使うことは言うまでもありません。
国連加盟国191カ国×4冊=764冊です。蔵書数800冊未満の図書館(図書スペース)ですから,
建設費もあまりかかりません。あとは翻訳の費用です。安いものです。
それになら,我が国も胸を張って貢献できるのではないでしょうか。
※(050703加筆訂正)
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『民意を読まぬ政治を打開へ』(朝日新聞 001122)
大山鳴動して鼠一匹も出ずである。自民党の加藤紘一氏は政治生命にかかわる致命的なミスを
おかしてしまった。名誉ある撤退どころか,衰退だろう。派閥議員総会での加藤氏と周辺の涙に
は同情を禁じ得ないが,大局からみれば滑稽でもある。
「国民の75%が支持しない森内閣」に異議を唱えて,「今度は本気らしい」と国民が感じ始め
た結果が,世論調査で長く下位に甘んじていた氏を「望まれる次期首相」の上位に押上げたはず
だ。
しかし,長野県と栃木県知事選挙の結果に表れた国民の強いメッセージを受け取る余裕もない
ほど,加藤氏が状況を読めなくなっていたのだとすれば,しょせんコップの中の嵐でしかなかっ
たのだろう。執行部から,選挙での不利益を示されて結束を切りくずされたといわれるが,国民
の意思を的確にとらえていたら,最後まで理念を通すことのほうが,よほど選挙に有利に作用す
ると読めたはずだ。結局加藤氏は,民意よりも保身を選んだ。
ともあれ,二つの知事選挙の結果には,相乗り野党への痛烈な批判も含まれている。
この政治の閉そく状況を野党はどのように打開するのか。責任は重い。
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『長野県患部(幹部)のオソマツ 001029』
田中康夫長野県知事の初登庁の模様をテレビ報道で見てあきれました。カメラの放列の中で,
田中さんの発言に文句をつけたり,もらった名刺を折ったりした(破く寸前)二人の幹部の言動
にです。
県民に選ばれた知事に対する敬意のかけらもない異様な態度に私は,辞職覚悟の“気骨ある”
抗議だと理解したのですが,次の日の腰砕け釈明をみるとそうでもないらしい。自分の言動が,
どのような反響をもたらすかに思いが至らないという,立場をわきまえぬ低レベルの発言は,国
政の場で失言と釈明をくり返す政治家達と同じようにみえました。非常識な長野県幹部の存在は,
停滞した県政を象徴しているのでしょうか。
知事当選後に,田中さんが語った様々な抱負は,市民感覚に裏付けられた全く妥当なものだと
思いますが,旧い体制にどっぷりと浸かって判断力の鈍った,当の幹部達には理解の範囲を越え
ていて,あのような態度となって表れたのでしょうか。
田中さんには今後,外に向けて情報をどんどん発信してほしいものです。県民だけでなく,国
民も注目しているのだから。
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『岐阜の町営住宅オカルト騒動の滑稽 001025』
昨年春に完成した岐阜県富加町の町営住宅で,「夜中に変な音がする」から始まって,「カー
テンが自然に開いた」,「戸棚から皿が飛び出して2m飛んだ」,などと大騒ぎしています。
変な音については,科学的に調べれば原因は些細なことでしょう。そもそも,全く音のしない
住宅のほうがよほど気持ちが悪いもの。生活音があるのが普通です。まして集合住宅です。
でもカーテンや皿については,科学的な説明以前に,ぼくはガセネタと見ています。作為的な
ものを感じます。誰の企みかは判りませんが,ある種の陰謀,「町長追い落とし」「家賃値下げ
作戦」などが臭います。
「階段に女性が座っていた」「知らない女性を見た」などにいたっては,そのどこが不思議な
のでしょうか。ただの日常風景としか思えませんが。
最初にぼくが知ったのは,テレビ朝日「ニュースステーション」でしたが,その取材は冷静で
した。しかし,その後に見た“オカルト好きフジテレビ”の番組では,さっそく幽霊,ポルター
ガイスト(独:家の中を騒ぎ回る霊)に結び付けてはしゃいでいます。『女性セブン』は(新聞
広告を見ただけですが)「本誌記者と有名女性霊能師が直撃!」とノリノリです。編集者のオツ
ムを疑います。それよりも,気持ちが悪いからと引っ越す人がいるのは驚きです。失礼ながら滑
稽に見えます。
はたして結論は?
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07.05.10
『住宅のトラブル減らすため,法律以前に必要なこと』(週間金曜日000915)
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(通称、「品確法」)が動き出した。これには,新
築住宅の取得契約に関する瑕疵保証制度の充実,と住宅性能表示制度の創設,という2つの柱が
ある。
前者では,基本構造部分と雨水の浸入を防止する部分につき,十年間の瑕疵担保責任が義務づ
けられた。優良な工務店ならこれまでもやってきたことだが,倒産して責任を果たせなくなった
時にも,瑕疵保証保険制度(法律によるものではない)を利用していれば対処できるようにはな
った。これは,悪質な業者の排除にはある程度の効果が期待できるが,「計画倒産による売り逃
げ」を防ぐ別の方策も必要になるだろう。
後者は,性能を表示するための共通ルールに従った住宅性能評価書を添付して契約すれば,記
載された性能が保証されるというもの。秋頃に動き出す模様だが,その利用は任意であり評価を
受けるには費用もかかる。しかもこの制度は,『営業・販売ツール』にされてしまうおそれがあ
る。書類上の体裁は整えても実情が伴わないという懸念だ。現実に,設計者や工事監理者の名義
貸し,下請け任せにする現場管理者の横行がある。これら業務が正しく行われ(護られ)ていた
なら,品確法の出番はなかったはずだ。
住宅のトラブルは,悪質な業者が存在しうることにこそ原因があるのだが,あまりにも無防備
な被害者(注文者)にも責任の一端がある。消費者として注意深く対応していれば起きるはずの
ない問題が多すぎるのだ。有資格者が立ち会わない設計打合せや,口約束,契約内容を認識(確
認)していない,等に起因するものだが,これらが解消されたら住宅のトラブルはかなり減少す
るはずだ。
倒産の心配がない,コマーシャルが素敵だ,営業マンの感じが良い,などという住まいの本質
とはおよそ無関係な理由で住宅を選んでいる人が少なくない。それでいて後で,裏切られたと後
悔している。そこには,住み手(消費者)としての冷静な視点が欠けている。
住宅にとって最も大切な「住まいかた」のイメージが希薄なわりに,断片的な技術知識は高く,
部分に固執する人がいる。AとBを比較してAの性能が高くても,Cと組み合わせれば逆になる
こともある。それらは,工法や環境工学,法規,コストなどさまざまな計画要素を勘案しながら
選択されるべきものだ。生半可な知識を振り回し,固執していれば「木を見て森を見ず」に陥る。
プロがする設計の作業は,「森,木,葉,葉脈を見て,また森に戻り」と,試行錯誤と取捨選択
を繰り返していくものである。
例えば,“今流行り”の「高気密・高断熱・計画換気」。予算にゆとりがあるのなら,高気密
と高断熱はエネルギーのロスを防ぐからそれはそれでよい。しかし,窓を小さくして閉め切り二
十四時間機械換気に頼る。出入りのたびに戸の開け閉めにも気を使う。建築コストも上がる。寒
冷地や密集市街地ならともかく,温暖な地方や郊外なら冬以外には窓を開け放って風を通すほう
がよほど快適で,省エネルギーにもなる。総合的なバランスを考えてほしいものだ。
品確法の瑕疵担保責任の対象になっている,基本構造や雨漏りなどに係わる物理的な品質は,
建築がシェルター(雨風をしのぐ場所)として持つべき最低限の性能で,求められる機能のたか
だか五十%ほどにすぎない。それが満足されているだけならただの構造物にすぎず,残りの要素
が備わってこそ建築だ。残りの要素とは,“住み手家族に合った”使いやすさ・快適さ・楽しさ・
美しさや,近隣・街並みに配慮され“その敷地に相応しい”外構デザイン等『ひと』に密接に関
係する大切な部分である。
昨今の論議で,建築の重要な本質が見過ごされているのは極めて残念だ。
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『朝日新聞よ お前もか! 000407』
とうとう,あの朝日が『オカルト商売』に加担してしまいました。2000年4月5日付け朝刊22面
の『風水大富豪腕時計』の広告です。
朝日新聞の広告掲載の基準は大変厳しいと認識していましたが,とんでもありません。テレビ
オカルト番組同等のレベルでした。『朝日の良識』はどこにいってしまったのでしょうか。
記事で多宝塔や壷を売る宗教をどれほど批判しても,これでは説得力がありません。壷は悪くて,
風水大富豪腕時計ならいいとは誰も思わないでしょう。
以前,朝日の折り込みに『金が増える亀マーク付きの財布』というチラシが入りあきれましたが,
販売店まではコントロールできないのだろうと考えていました。
しかし,これじゃあ販売店のコントロールどころではありませんね。
ジャーナリズムって,印刷物を売るだけの会社なんですね?
営利企業なんですね?
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『デザイナーの地図 000220』
パンフレットなどに載っているデザイン化された地図のことです.
グッドデザインとは,ものが要求する機能が満足された上に,美しい形をもつことです.建築
も同じです.しかし,“デザイナー地図”の多くが,機能を満足していません.斜行する道路を
省略して直交させ,目印も省略しているから,目的地にたどり着くのに苦労します.
デザインがアートとは異なることは,デザイン教育を受けていれば知っているはずですが.
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『情報公開法と公共建築 991222』
情報公開法が動きだした。公共建築のつくられるプロセスに対しても、市民の関心が高まることが
期待される。
公共建築は、立案から設計、工事、完成、運営、そして検証までの全ての情報が公開されるべきだ。
これがされていないからハコモノ批判が起きる。
第一に大切なことは、行政が立案する前に、本当に必要な施設なのか、どのような内容が求められ
るのかを、市民参加を得て論議することである。
第二には、設計者の選定が重要だ。その方法は、透明かつ公正な公開設計競技(コンペ)にゆだね
るべきなのだが、現在の公共建築の設計者は、80%近くもが「設計料入札」によって選ばれている。
これは、設計者の能力とは無関係に『設計を請負う金額』を入札させ、最低額を提示した設計者に
発注する制度である。しかし、美術館がアーチストに入札させることを想像すれば、極めて文化度の
低い方式であることが解るだろう。
欧米諸国には「設計料入札」は無く、ドイツ、イタリアでは公共建築の設計者は全て「設計競技」
によって選ばれるという。にもかかわらず、わが国の自治体が「設計料入札」を採用する理由は、会
計法、自治法を根拠にしているからだという。物品を購入する際は「競争入札」にするように定めて
いる法律だが、設計は「まだ形をもたない、これから行なう創造行為」である。だから物品購入のた
めの法律を設計発注の根拠にするのは極めて不当だ。この法には但し書きがあるから、他の方法を
とっても問題はない。事実、「設計競技」等で設計者を選ぶケースもあるが、極めて少ない。しかし、
すべてが「設計料入札」で決められると、能力は低くても「手間ひまをかけない設計」の得意な設計
者が常に仕事を得て、結果として質の低い公共建築が増加することになる。「設計料入札」を採用す
る裏には「設計競技は事務手続が煩雑」という本音があるのだが、ここには『市民のための建築』と
いう視点はない。
さらに、設計料入札にも談合はある。能力により公正に設計者を選ぶようになれば、仕事が取れな
くなるであろう設計者にとって、談合に支えられた設計料入札は“おいしい”方式だ。だが、公共建
築の発注方法の多くが設計料入札である以上、不本意ながらも参加する設計者が存在するのも厳しい
現実ではある。
設計競技では、応募要項に予算や面積規模、施設内容などが詳細に提示される。それなら、誰が設
計しても同じような案ができると思うかも知れない。しかし、国際公開設計競技によって設計者が選
ばれた第二国立劇場や東京国際フォーラムの報告書を見れば、世界からの数百の応募案は千差万別だ。
それほどに設計者の能力(構想力、デザイン力、技術力)が大切なのだ。
第三に重要なのは施工者の選定である。税の無駄使いが指摘される談合をなくすには、発注者周辺
からの、予定工事価格の“犯罪的な”漏洩を防止することこそが必要だ。これができれば、談合は成
立しにくくなり、高値入札も排除できる。詳細な設計図書をもとに積算するから、極端な低額で応札
しても、設計の仕様と厳しい工事監理に拘束されるので、品質低下の心配は全くない。
このようにして、公共建築の立案から完成後の運営までを検証し、フィードバックすべきだ。プロ
セスが絶えず市民の目にさらされるようになれば、不明朗な動きも追放され、無駄な公共施設はつく
られなくなるだろう。そのためにも、さらなる情報の開示を求めていく必要がある。
アメリカでは、AE(建築家・エンジニア)選択法によって公共建築の設計に関わる建築家らの選
定過程の公開を定めている。納税者が納得しないからだが、わが国の“情報公開障壁”に、“いつも
の外圧”がかかる前に是正してほしいものである。
※日本建築家協会関東甲信越支部の長野地域会の働きかけにより,田中康夫知事及び県行政当局の理
解を得られ,長野県は設計者選定に際して「基本的には入札によらない」ことへ大きく前進したとい
う。きわめて喜ばしい。(041002追記)
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『図書館の普及お寒い神奈川』(神奈川新聞 991120)
日ごろ,東京都に比べて神奈川県には図書館が少ないのではないかと感じていた.その理由は人
口の差によるものだろうと思っていたがそうではなかった.
総務庁の調査によると,人口百万人あたりの公立図書館の数は,富山県がトップで52館を超え
る.全国平均は19館だ.それに比べて,わが神奈川はなんと最下位で10館にも満たないのだと
いう.首都圏だけを比較しても東京の30館弱,千葉の約20館,埼玉の18館と比べて極端に少
ない.
しかし,現在,図書館が少ないということは,これから最新の設備をもつ図書館をつくる可能性
を秘めているということでもある.
勤め帰りに利用しやすいように,アクセスの良い場所に夜も開館する,次代を見据えた優れた図
書館をつくってほしいものだ.
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『公共建築−設計の質』(福島民報 9811)
いわき市の『草野心平記念文学館』を見学した。この建築は設計コンペによって選ばれたものだが、
設計した建築家の心平への解釈が過不足なく表現されていて素晴らしい。まさにコンペだからこそで
きた建築と言える。
多くの自治体では設計者選定に際し設計料の入札をさせる。優れた設計者(案)を選ぶのでなく、
最も安い設計料を提示した者に発注するのだ。その中で、福島県は「コンペ」によって設計者を選ぶ
方法を推進していると聞く。「入札」には「談合」がつきもの。能カの低い設計者にとって、設計の
巧拙と無関係に定期的に仕事は回ってくるから「入札」は願ってもない受注法だ。だからこそ、『草
野心平記念文学館』の成果が光る。
帰途、北茨城市の『雨情記念館(歴史民俗資料館)』に寄った。これが大詩人の記念館かと思う程
惨澹たるものだった。展示物からの感動はともかく、建築からは侘ししさしか感じられなかった。腹
立たしいほどに。
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『住宅展示場 決して安くないメーカー住宅』(建築ジャーナル9807)
雑誌社の依頼で、某住宅展示場を“覆面”で取材した。木質パネル系を2社、2×4、PC、鉄骨
ALCを各1社合計5棟の内部を見た。プランを省略して洗練されたイメージを強調しているものあ
り、泥臭いまでに盛り沢山のものありとさまざまだ。ともかく消費者が住まいに対して持っている
『表面的かつ最大公約数的な)夢…らしきもの』にターゲットを絞っているらしいが、ぼくの目か
らみてユルセルものは全 27棟中 2〜3棟。
コストはというと、坪 48万(坪単価!あいまいな用語だ)からの限定プランの商品(商品!イ
ヤナ言葉だ)もあったが、だいたい60万から90万のようだ。これに含まれない、設計費、照明器
具や外部の給排水設備、簡単な外構工事を入れて住める状態にすると10万ぐらいプラスされるか
ら、決して安いとも思えない。
皮肉にも、展示場に隣接する古い木造住宅が美しく見えた。設計者は不在だろう。昔の大工がつ
くったと思われるものだが、デザインセンスも感じられ、媚びが見えないところに好感がもてた。
※木造住宅が美しく見えたのはホントです。(990617)
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『自民党に失望 他党どうする』(朝日新聞 970914)
自民党支持者ではない私だが、ふがいのない野党と比べて、橋本内閣が行財政改革に取り組む姿
勢から、この内閣はある程度の評価ができるのではないかと考えてきた。
しかし、このたびの佐藤孝行氏の入閣で一挙に失望に変わった。選挙の際、小選挙区で落選した
佐藤氏を比例区ですくいあげたときにも、国民の気持ちを逆なでする自民党のズレた感覚にあきれ
たものだが、今度は長老のゴリ押しに抵抗もできず、閣僚に登用してしまった総理総裁と、それに
理解を示す閣僚たち。「有能な人だから」という言いぐさは、官僚の不祥事が露呈されるたびに言
われる「清濁あわせ飲む有能な官僚」というおかしな評価と同じだ。国民一般の良識とかけ離れた
彼らの感覚は信じがたい。こんなことがまかり通るようでは、官にも政にも「濁を飲む」人物が安
心して生き延びられることになるだろう。
どうみても新内閣がこのまま容認されるはずはあるまい。そう考えるとこの出来事は、橋本内閣
をつぶすための深謀遠慮ではないかと思えてくる。
社民党とさきがけ、さらに野党各党の対応をしっかりと見極めたいと思う。
※やっぱり橋本内閣はツブレたが、行財政改革も雲散霧消?。
この文章、原文では『老害政治家』と書いたが、さすがに『長老』と直されました。(990617)
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『被災者にとっての耐震建築とは』(Structure 9510)抜粋
●財産保全可能な建築
阪神淡路の地震では、建築の所有者特に個人や零細企業のオーナーにとって、「建築の強さ」は
安全性の確保(生命の保護)だけではとうてい満足できるものではなく、財産の保全が保証されて
初めて「建築の強さ」を実感できるのだということが鮮明になったようだ。解体するしか方策の見
当たらない住宅やビルは、人命は護られたとはいえ、全壊と変わりないことは明白だ。すでに存在
しない建築のローンを何十年も払い続けることなど、想像するだけでも辛く悲しすぎる。
●復興に名を借りた証拠隠滅?
地震の後の手際の良い解体工事。その裏に隠れた、復興に名を借りたドサクサまぎれの証拠隠滅
としか思えない動きが気になってしかたない。
●報道の信頼性
阪神淡路大震災に関する一般の報道では、建築技術について的を射たものは少なく、技術者の側
から見ると、いいかげんな記事が多かったように思われる。メーカーの名を挙げながら、木造住宅
に対するプレファブ住宅の優位性について書かれた署名記事「プレハブ“軽さ”で地震しのぐ」
(朝日新聞 950126 夕刊)は、材質の違い工法の違いについて検討したとは思えない、極めて短
絡的な記事だった。かつて台風で、軽いが故に屋根が軒並み飛んだことのあるプレファブについて
は頬かむりだ。瓦屋根には法的に太い柱が要求されていることにも言及されていないし、建築に大
切なバランスのとれた性能という観点も一切ない。古い構法の重い瓦屋根や土塗り壁の木造とプレ
ファブを無理やり対比させるような書き方にも、作為的なものを感じさせられた。企業が仕掛けた
我田引水の話に、メディア(技術に無知な経済部記者)がまんまと乗せられたとしか思えない無責
任な記事であったが、むき出しの企業エゴとしたたかさが垣間見られた。
他の報道でも、倒壊の原因追及はうわべだけのものが多い。上部構造に問題があったのか、基礎
の問題だったのか、設計ミス、施工ミス、あるいは違法建築か手抜き工事かなどに踏み込んで冷静
に判断し論評したものはあまりなかった。
専門外の記者の書く記事は、言葉の使い方から間違っていることがままある。専門家なら「壁」
といえば構造体をイメージするのが普通だが、「ビルの壁が落ちた」と簡単に書く。よく読めば仕
上げのモルタルやタイルが剥落したことだ。ともかく言葉の使い方だけでもこれほど認識のずれが
ある。だから、建築家がクライアントと打ち合わせるときにも、語彙の選び方には慎重な態度が必
要だとつくづく思う。
門外漢の我々にとっては、のちにわかったことだが、あの「松本サリン事件」で「会社員」が犯
人である可能性は、化学の専門家に詳しい取材をしていれば、簡単に否定できていたはずだ。ヒス
テリックなジャーナリズムが無批判に警察発表だけに頼ってしまった責任は重い。官や企業の言う
ことをうのみにして記事にしてしまうのであれば、ジャーナリズムとして失格だ。
※地震のあと、どのくらいの真面目な大工・工務店、瓦メーカーが“殺された”のでしょうか。
代々の朝日ファンとしては悲しいことです。
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欠陥住宅をつくらないで(江口征男)
くたばれ!“家相・風水”(江口征男)
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