CRA009 マーリン


「Crescent Airways FS研修会レポート」

 

このたびクレセントエアーウェイズでは、日本ビーテーエー株式会社様のご好意により、平成1422日(土)、日本ビーテーエーFSセンターにてFS研修会を催しました。その時の模様をわたしなりの感想でまとめてみました。

場所は東京の御徒町駅からほど遠くないビルの1階で、そこに足を踏み入れるや、まさにそこはFSの訓練ルームそのもののようで、まずもって感動でした。

モーション付の小型単発機、ヘリコプター、小型双発機、そして今回目玉のB777シミュレーターと、それぞれのFSが所狭しと配置されていました。




  まずわたしが最初に乗り込んだのは、ロールとピッチの2軸をサーボモーターで連動してフライトするモーションタイプのFS21でした。

画面は前方および両サイドの三面マルチで、シムホークの操縦装置を備えるセスナ182Sです。ロール、ピッチともに35度の範囲でモーションするとあって、ショルダーハーネスでしっかりとからだ固定し、エンジンスタートから起動してみました。

羽田RWY34RからのTake offで、60ノットでローテーション、うわー動いた!
いままでパソコン上でしかFS経験はありませんでしたので、まさに感動でした。

続いてエルロンとラダーを右にきって右旋回をかけると、今度は右にバンクするではありませんか。わたしは以前ハワイで実機セスナでの体験操縦をしたことがあるんですが、まさにその時の感触がよみがえった感じでした。操縦装置のシムホークも非常に良く出来ていて、エンジンコントロールからアビオニクス類に至るまで、実機同様に操作が出来るようです。羽田RWY34Rからのトラッフィックパターンを飛んでみましたが、やはりモーションがあることで、かなり実機に近い感覚でのシミュレーション訓練が出来ると思いました。後で伺ったところ、実際東京の調布飛行場での訓練にも導入されているとのことで、その忠実さに納得いたしました。ただ一点気になったところをあげますと、バンクの際のロールの認識を、ボールのスライドで認識しているため、エルロンとラダーがぴったりとあってボールが中央にある場合、軸のロールが発生しないと言う点があり、この部分は改善の余地があるように思いました。


  次に搭乗させていただいたのは、FS2002を導入したヘリコプターシミュレーター

HS21でした。実際ヘリの操縦はMSFSでもほとんどやっておらず、まして非常に難しかった経験があるため、まったく自信はなかったのですが、スタッフの方に操縦方法の指導を受けてからトライしてみました。このヘリのシミュレーターも画面は3面マルチで、コックピットはやはり実機同様、操縦桿とコレクティブピッチレバー、それとラダーペダルの組み合わせで、とてもよく出来ていました。

ローターのパワーを確認し、コレクティブレバーをゆっくりと引き上げると、ふわりと機が浮かび上がりました。500フィートほど上昇してから、レクチャーを聞きながら色々と操作を試みてみました。しばらくするとそこにはすっかりヘリにはまっている自分がおりました。ホバリングのやり方のレクチャーを受け、何度もトライして、やっとのことで出来たときは本当に感動ものでした。

こちらも後で伺ったところ、実機のヘリパイロットの方も遊びで見えて、何時間もやっていかれるとの話をお聞きし、そのシミュレーションの忠実さに納得してしまいました。そしてあれ以来、家でもFSでヘリの訓練をするようになり、今でも結構はまっている次第です。



  次なるは本日のメインイベントでもあるB777のシミュレーターでした。

まずは概観だけでもびっくり、なにせ実機のB777のコックピットとまったく同一のスケールで再現され、機能も現状で通常操作の70%ほどを実現していると言うまさに超すぐれものなのです。グラスコックピットからオーバーヘッドパネル、センターペデスタル、スロットル、操縦桿、ラダーペダル、モードコントロールパネルなど、すべてにいたって実機を忠実に再現されていました。これらは7台のパソコンでコントロールされており、視界もプロジェクターで投影されており、これも実機のFFSと同様だそうです。これにはさすがにモーションは付いていませんでしたが、それを除けば、一見ほぼ完璧なB777シミュレーターです。

  エンジンスタートやFMC入力など、操作のプロシージャーも実機と同様であり、それなりの知識を持っていないとエンジンスタートさえ出来ません。幸いわがクレセントには経験豊富な社員が多数在籍しており、操作ガイダンスを受けた後、キャプテン、コーパイの二人一組になっての体験搭乗となりました。

わたしは羽田RWY34RAPPをキャプテンシートで体験させてもらいました。

もちろんわたしはB777のコックピット体験など過去にあるわけがなく、B777はパソコン上でのFSでしか経験がないのですが、実際にシートに座ってみてみると、まさに実機はこうなんだろうなと錯覚させるほどのリアルさでした。

羽田RWY34RILSにのってAPPからAP解除、そしてマニュアルでのランディングまでのほんの数分でしたが、無事ランディングは出来たものの、手は汗びっしょりで、降機後はどっと疲労感が押し寄せてきました。

こんなに緊張することってここ最近なかったかもしれません。

  このFSについての感想ですが、実際のB777の経験がありませんので比較対象にはなりませんが、ひとつ画面がマルチ画面ではなかったため、視界が前方のみで、ちょっと見辛かったことでしょうか。でもすでにマルチ画面化の検討はすすめておられるとのことで、次期への期待が高まります。あとモードコントロール類のツマミの反応がちょっと遅かったのも気になりました。

でも後のスタッフの方との話で、これもまだまだ発展途上段階で、本当の完成にはまだまだ時間がかかるとのこと、一層期待が高まる次第です。

もう一機、最新作のFS2002小型双発機のシミュレーターは、時間の都合でわたしは搭乗出来ませんでしたが、これも非常に精密なコックピットを装備したシミュレーターで、機会があればまた次回体験させていただこうと思っています。

 

総括

  まず今回この様な機会を与えてくださった日本ビーテーエー株式会社様にあらためて感謝を申し上げたいと思います。日頃パソコン上でのFS経験しか持てない私どもにとっては、本当に貴重な体験を堪能することが出来ました。そして、わたしどもにとっては趣味とロマンの世界であるFSを、ここまで真剣に取り組んでおられる志には大変感動致しました。日頃わたしたちが趣味として楽しんでいるFSも、ここまで手を加えることにより、より高度な実機操縦訓練用のシミュレーターへと変貌をとげ、それらが実際に役立たされていることは本当にすばらしいことだと思います。

また日頃私たちが楽しんでいるMSFSのソフトも、実際の訓練に使用しても遜色がないほどに進化してきていることにも、改めて納得いたしました。

現在CPUを始めとするパソコンの進歩には目をみはるものがあります。
それらの能力をもって今後の開発に活かせていかれれば、本当に実機同様のFSを開発されるのも、そう遠くはないように思われます。

現在すでに導入されている所もあるとのことですが、今後においても飛行訓練学校をはじめ、多くの航空従事会社などでの導入が検討されますことを祈願いたします。

そして究極はやはりローコストの一般リテール向けではないでしょうか。
このようなシステムが家庭に一台あったらなんて、われわれフライトシマーにとってはまさに夢のような話ですよね。

 

                                                 2002.3.6   CRA009 マーリン