推介電影
香港で或いはVCDで見て気に入った作品を紹介しています
日本未公開作品です是非日本公開を(一部公開済み)

File No.2


 星願 Fly Me To Polaris 1999年作品
導演◎馬楚成(ジングル・マー)
編劇◎羅志良(ロウ・チーリョン)
   楊倩玲
監製◎陳錫康
角色◎洋葱頭=任賢齋(リッチー・レン)
   虞秋男=張柏芝
(セシリア・チョン)
   胡=蘇永康
(ウイリアム・ソウ)
     曾志偉
(エリック・ツァン)
 この映画を見終わったときにまず思いうかべたのは、《つきせぬ想い(新不了情)でした。はじめて《新不了情》を見たとき、「え、難病ものなんでしょう、そういうのはちょっと勘弁してほしいな」、と思っていたのに、足下すくわれて不覚にも涙ぼろぼろとなってしまった時の事を思い出しました。勿論、《新不了情》と《星願》の内容は全くちがうのですが・・。今回、この映画については、事前に私が知っていたのは、張柏芝(セシリア・チョン)がすごくいいんだよ、っていうことだけ。それまで、動く張柏芝を見たことがなかったので、どうも写真だけだと、それほどかわいいとも思えず、この子の何処がいいんだろうと思っていたのです。
 しかし、映画を見終わってその考えが、あさはかだったことを認識しました。一生懸命演じていても、その演技にわざとらしさをほとんど感じず、かといって幼さも感じさせない、不思議な魅力があります。それに加えて、意外な魅力を見せてくれるのが、
任賢齊(リッチー・レン)です。映画のなかの彼を見たのは《玻璃樽(ゴージャス)とこの映画だけ。《玻璃樽》では、台湾から舒淇を追いかけてくる田舎臭い男を演じていて、これも好かったのですが、この映画のなかでも、素朴で心の暖かい男をコミカルに演じていて、そのことが、かえって涙を誘います。彼には、天性のコメディアンの才能があるんじゃないかと思ってしまいました。
 また、任賢齊の恋敵となる医師を演じるのは、
テレビドラマ「妙手仁心」以来、演技づいているの蘇永康(ウイリアム・ソウ)。こちらも自然体な感じで好感が持てます。
 そして、この映画の中で、私が最も多く涙を流してしまったのは、
曾志偉(エリック・ツァン)が、任賢齊に自分の娘の事を語る場面です。ここもお見逃しなく。
 さて、ここまで、読んで下さったみなさま、ちっともストーリーが書かれていないことにお気づきですか? そう、ストーリーを書いてしまうと、この映画を見る楽しみが半減しちゃうと、私は思っているのです。純愛モノは侮れない。思いっきり泣きたい時にはおすすめの1作です。
 2001年《星願〜あなたにもういちど》というタイトルで公開になりました。

 再見阿郎 Where a good man goes 1999年作品
導演◎杜[王其]峰(ジョニー・トー)
監製◎杜[王其]峰(ジョニー・トー)
   韋家輝
(ワイ・ガーファイ)
角色◎大哥=劉青雲(ラウ・チンワン)
   小雪=黄卓玲
(ルビー・ウォン)
 舞台はマカオ。寂れて雨漏りのする安宿の子供を抱えた過去のありそうな女主人(黄卓玲)と人生の半分は刑務所に入り、最も居心地のいい場所は刑務所だと思っている黒社会の大哥(劉青雲)が、互いに惹かれていくさま描く。
 出所してきたなり、いきなり無賃乗車と運転手への暴行で、警察のやっかいになってしまうような粗暴な男と、最後には自らの安堵の場を見つけ、本当に守るべきものを手に入れた男の真の男らしさの両方を表現出来、かつリアリティーあるものとして画面に提示できる人物は今の香港映画の中では、劉青雲をおいていないでしょう。それくらい、この役は劉青雲にはまっています。
 杜[王其]峰の最もヒットした周潤發主演の映画
《阿郎的故事》と、同じく周潤發主演で彼の最後の香港映画(今のところは)となった韋家輝の監督デビュー作《和平飯店》へのオマージュといってもいいのでしょうか。
 《阿郎的故事》では、バイクレーサーだったが、事故を最後に引退して今はトラックの運転手をし、子供にいいところを見せられない父親が再び子供に自らの存在を見せようとするさま。《和平飯店》では、かつて大量殺人を犯したが今は弱者の味方として慕われている男が、再び敵に向かって立ち上がる姿。そして今回、出所してみれば自らの地位も若手にとって代わられ、言動とは裏腹にその心の内に孤独と哀愁のだだよう黒社会の大哥が、自らの「場所」を見つける姿。これら3作品では、真の男らしさや、男が自らを犠牲にしても何かを守ろうとする姿という、一種の男の美学とも言うべきものを表現しようとしてるのではないでしょうか。
 比較的体躯もよく、不器用で愛情表現が下手という役は、映画ではおきまりの男ですが、周潤發が香港映画に出演しなくなってからは、劉青雲しか演じられる人はいないでしょうね。
 堅苦しく書いていますが、最近めっきり涙腺が弱くなっているせいもあるのですが、とにかく、私、本当に泣いてしまいました。この映画いいです、機会があれば是非みてください。

 愈堕落愈英雄 Cheap Killers 1998年作品
導演◎霍耀良(クラレンス・フォ)
監製◎王晶(バリー・ウォン)
編劇◎王晶(バリー・ウォン)
角色◎一條=陳錦鴻(サニー・チャン)
   冷森=方中信
(アレックス・フォン)
   阿玲=周海媚
(キャシー・チャウ)
   阿晶=馮徳倫
(スティーヴン・フォン)
   道理叔=方平(フォン・ペン)
   =谷峰(コック・フォン)
 何事もパクるのがお得意の王晶が、今回パクったのは、娯楽映画の王様・王晶とは正反対の芸術映画の巨匠・關錦鵬の《愈快樂愈堕落》のタイトル。《愈快樂愈堕落》は、1998年の東京国際映画祭で、2000年秋に日本で《ホールド・ユー・タイト》というタイトルで公開されたので、ご覧になった方もいることと思います。陳錦鴻が両方に出ているという(出た本人はこのタイトルはどう思っているのか興味あります)だけで、タイトルをパクってしまったのか? それだけでなく、王晶のすごさを感じるのは、彼のトレンドを読む力です。この映画が公開された1998年、どうしたわけか香港映画には同性愛的雰囲気を備えた映画が出そろっているのです。關錦鵬の《愈快樂〜》しかり楊凡の《美少年の恋》しかり。そして、この《愈堕落愈英雄》。この映画を同性愛的というと多少語弊はあるかもしれません。でもその雰囲気が濃厚な事は映画を見れば一目瞭然。
 一條
(陳錦鴻)と冷森(方中信)は常に組んで仕事をする殺し屋。女好きな一條が大陸から連れてこられた女(周海媚)にのめり込んだことから、2人の殺し屋の人生は狂い始める。女に裏切られ、殺しにも失敗し、精神を病んで廃人と化した一條を、自らもけちな殺し屋にまで落ちぶれながらも献身的に面倒を見る冷森。そして、その2人を気にかける警官・阿晶(馮徳倫)。この男3人の不可思議な関係の中にかすかな同性愛的雰囲気を見てしまうのは、決して無理からぬ事。体当たりの陳錦鴻の演技と、対照的に内に感情を押し殺す方中信の演技が絡み合ってそれはそれは怪しい状況が生み出されていきます。また、何事にもわかりやすさを追求する王晶ならではの演出と音楽の使い方に香港映画の王道を見ることができます。
 1998年夏、香港でこれに巡り会った私は、
この年一番の映画と確信しました。香港での興行成績はふるわなかったようですが、この映画を楽しめるまでに香港の観客が育っていないのでしょうか。残念です。是非日本で日の目を。

 古惑仔情義篇之 洪興十三妹 Portland Street Blues 1998年作品
導演◎葉偉民(イップ・ワイマン)
監製◎文雋(マンフレッド・ウォン)
編劇◎文雋(マンフレッド・ウォン)
角色◎十三妹=呉君如(サンドラ・ン)
   阿潤=楊恭如
(クリスティ・ヤン)
   吹水達=呉孟達
(ン・マンタ)
   韓寶=尹揚明
(ビンセント・ワン)
   可樂=方中信
(アレックス・フォン)
   占士=黄家諾
(ジミー・ウォン)
   刀疱淇=舒淇
(シュウ・ケイ)
 ご存じ「古惑仔」シリーズからの派生作品。《古惑仔4》で登場する旺角の[石本]蘭街(ポートランド・ストリート)を仕切る唯一の女性[才査]fit人・十三妹(呉君如)が主役。『古惑仔』では、男装の麗人よろしく、髪をタイトにまとめ、ダンディーといっていい姿で現れる。さらに、噂では男には興味がないと言われているのだが、その過去には美しい愛の物語があったのだ。
 十三妹に思いを寄せながらも傍らで静かに見守る韓寶に
尹揚明。十三妹に愛される東星社のヒットマン・可樂に方中信。妹分に、《ラブソング》では黎明の許嫁を演じた楊恭如。父親におなじみ呉孟達。その他に舒淇、そして、彼女を執拗にいじめる警官に《もう一度逢いたくて〜星月童話》にも出演したモデル出身の黄家諾などの人選が渋い。そのほか、「古惑仔」シリーズでおなじみの面々の顔も見られる。
 とにかく十三妹が、一途に可樂を思う気持ちがかわいくて、十三妹と可樂、韓寶の不器用な恋愛が心にしみる大人版『古惑仔』。
 
方中信のボクシング姿は、胸の筋肉に目が釘付け。「抱きしめる」っていう単語は「擁抱」しか知らなかったが、この映画で「抱き寄せる」という単語「攬」を覚えた。いつか使ってみたい。
 1999年4月24日発表になった第18回香港電影金像奨で、呉君如がこの作品で最佳女主角、舒淇が最佳女配角にそれぞれ選ばれました。
 また、1999年7月に行われた「レズビアン&ゲイフィルムフェスティバル」で、日本語字幕が付いて公開されました。



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