海外ラリーでもはや常識となったGPS。GPSポイントのみで走行しなければならないセクションもあったりと、ラリーレイドに参戦するためにはGPSは必修科目なのでございます。ツーリングにおいてもGPSを使えば結構役に立つので練習がてらバイクに搭載して遊んでみましょう。


Rally Raid GPS講座
(The 3rd Rally Raid MONGOL '97・MAGELLAN GPS2000・3000XL)

データの入力

The 3rd Rally Raid MONGOL '97の時は日本を出発する前日に全てのルートマップ(10日分のコマ図)を手渡されました。(何時もの事か)コマ図は1冊の本のようになっているので、一枚づつ剥がしてつなぎ合わせないといけません。日本を発つ前に全工程のマップをロール状にする作業、GPS Pointの入力、コマ図のルートチェック等とやらねばならない作業が山ほどあるので友人などを助っ人として「貼り貼り隊」「巻き巻き隊」「入れ入れ隊」などで作業を分担して行うと良いでしょう。この時、始めにGPS Pointを全て書き出しておくと順調に作業が進みますし、レース中にWPのチェックもしやすくなります。GPSの入力についてはETAP-9、409.31km地点、N 45° 38' 26.0"  E 102° 36' 24.7"・412.88km地点 N 45° 39' 58.9"  E 102° 36' 55.3"というデータを「9-409」・「9-412」というようにETAPの番号と距離をNAMEにすると分りやすいでしょう。この時はMagellan GPS2000 を使用していたので全て手作業で入力しなければいけませんでしたが、「入れ入れ隊」がいたお陰で楽でした。しかし!「GPS2000はWPが100個しか入らんのじゃ〜!」WPは全工程で200近くあるのであとはビバーク地で入力しなければいけないのだ(悲しい)。ガーミンを使っている選手はパソコンを持ち込んで、データをパソコンに入力してから一気にGPSへダウンロードしていた。おまけにガーミンは全ポイントが入力出来たのであった・・・・。トリンブルはスポンサーの為トリンブル「スカウトマスター」を使用している選手には毎日無料でダウンロードサービスが受けれるし、Magellan最低〜っ!みたいな感じでありました。

SETUP

現地入りをしたらGPSのSETUPを忘れずにしましょう。測地形を「TOKYO」にしているのであれば、測地形の変更をしましょう。「NAD27」「WGS84」のどちらでも良いと思います。ちなみに「NAD27」で設定しましたが特に不自由は感じられませんでした。現在位置の入力ですが「ウランバートル N 47° 54'   E 106° 52'  高度1351m」をWPとして入力しておけば短時間で測位できます。ちなみに公式地図は「ONC F-7・F-8」フライトマップでした。

RACE

基本的にコマ図を見ながら走るので、GPSはCAPの確認と大まかなズレの目安程度に考えておきましょう。コマ図から読み取れる情報は沢山あり製作者の意図まで知ることが出来ます。しかし!それを踏まえた上で積極的にGPSを使うとレースもより面白く(楽に?)なってきます。折角GPSが情報を提供してくれているのですから・・・・。

「NAV 1」画面 メインで使用する画面でこれを見ながら走る。

上部には目的のWPが表示される。(左画面はTO HOME)
BRG
:現在位置からの目的のWPへのCAP。
DST:現在位置からの目的のWPへの距離。
COG:自分が進んでいるCAP。
SOG:対地速度。
CDI(コースディビエーションインギケーター)下部の点線及び↑アイコン。
目的地の方位を示す矢印アイコンがインジケーター上に現れ、設定したルートに対し左右どちらかにどの位ずれているか、またどちらに進路を修正すればよいかを示します。

コマ図に示されているCAPに対し、自分が進んでいるCAPを「COG」にて確認しながら走る。(BRGはWPのCAPなので間違わないように)このとき「CDI」に表示される↑は水平よりも上を向いていればだいたいOK。ラリーではピストを走るのでセンターにアイコンが来ることはめったにないのである。矢印が←・↓・→の方向へ向いている時はミスコースの可能性があるのでコマ図とCAPを確認する。「DST」はもちろん直線距離なので走りながら距離が縮まってくれば問題無し。「SOG」は誤差があるので目安程度に考えておきましょう。

「ポインター」画面 

TTG:目的地までの所要時間。
画面上部が進行方向になりアーク(円弧)中央に▲アイコンが表れます。
目的地アイコン(○に+)と↑が進行方向に(画面上部)になるように進みます。
「NAV 1」画面と違うのは進路修正が細かく出来ることで、目的地に近づいた時やGOTOルートを使用するときに使います。


GOTOを使う

GOTOとは現在位置からGOTOリストで選んだ目的地へ向う1レグのルートのことで、ミスコースのリカバリーやショートカットの時に使用。MOB(GOTOキーを押した位置を瞬時に記憶し、その地点へ向けてのルートを設定する)、BACK TRACK(ラストフィックスバッファーに記憶されてるラストフィックスをたどって元の位置に戻る)という使い方が出来ます。ミスコースをした場合オンコースまで戻るのが基本ですが、戻るルートが分からなくなった場合にはBACK TRACKを使用しオンコースまで戻ることが出来ます。これは10分毎に測位位置を自動的に最大21ポイント記憶し21を越えると古い順に消えていく機能を利用するものです。また、ミスコースと気付いた地点から次のWPが近い場合はMOBを使用しWPリストから目的のWPを選択してショートカットすることも出来ます。オンコースに戻れたらルートをACTIVATEに戻すのをお忘れなく。

PAN N SCAN

プロッター画面においてPAN N SCAN機能を用いると、現在位置から見た周辺にあるWPのCAP、位置を見ることが出来ます。感覚的に分りやすいのでこの画面からGOTOを使うほうが良いかもしれません?カーソルをWPアイコンに合わせるとWP名、現在位置からのCAP、距離が表示されます。カーソルで選んだWPをGOTOルートの目的地にするにはWPアイコン上でENTキーを押します。BACK TRACKなどは使いたくないのですが、実際GPSを使えばオンコースに戻れたのにGPSを使うことが出来ずにリタイアした選手もいますので、お飾りのGPSにならないよう機能を把握し使えるように日頃から練習しておきましょう。

■ルートの確認

レース中にパニックにならないように、翌日のルート(WP)が正しく入力されているかを確認しましょう。登録している全ルートの出発地点及び目的地WP、レグ数、トータル距離は、SUMMARY(概要)で確認できます。また、VIEW LEGを使うとCAPが矢印で表示されるのでルートマップと照らし合わせて確認しやすいと思います。


Bikeに搭載する

■Rally

ラリーの場合コマ図、GPS、ICO、コンパス等の機器をフロント周りに配置せねばならないので、これがまた頭を悩ますひとつであリます。個人個人でノウハウがあると思いますが基本的には見易さ・操作し易さ・メンテが楽・壊れにくい・欲を言えばそんでもってフロントが軽い。などが目標で製作すると思われます。
写真はモンゴルで使用したナビゲーションです。GPSはMAGELLAN GPS2000です。この場合GPSが縦型なのでどうしてもマップホルダーの横に配置しないと外に飛び出した形になるのでここに収まりました。ガーミンGPSUなどは横置き出来るので自由度が高いと思います。何故右側かと言うと電動のマップホルダーが電装系のトラブル時に手動で巻けるようにするためです。走行中に画面を切替えたりしますが右側でも支障有りませんでした。GPSのホルダーはアルミ板で製作。ビバーク地にゴールしてからポイント入力と明日のルートチェックに取り外しが楽に出来るように、ホルダー上部から抜き差しするようにし、アンテナと画面の間にゴムバンドで固定するようにしております。電源の問題ですがXRはバッテリーがないので単車屋の「X1バッテリー」から供給することに。GPS・マップホルダー・ICO(ひとつは電池式)と欲張って供給したためか後半充電が間に合わなくなりました。エンジンがかかっていれば問題ないのですがエンジンを切るとGPSの電源も落ちるという症状で、たいしたことではないのですがいちいち電源を入れなければならないのが面倒でした。(実際はMAGELLAN GPSの消費が激しかったようです。)GPSの電装トラブル時は電池を入れて使用すれば問題ないのですが、カタログでは連続使用時間17時間などとほざいていますが実際は4時間位しか持ちません。雨・低温などの条件が悪い時には2時間位でしょう。振動対策としてホルダーの内側にスポンジ系のマットを張り、ホルダーを固定する際にゴム等を挟むと良いと思います。10日間で吹き飛んだのが1回、転倒は多数有りましたがナビゲーション機器の破損等は有りませんでした。レースに出る前にいろいろと?テスト走行を行いトラブルが無いか確認するのが大事だと思います。本番で泣かない為にも・・・・。

Touring

日本全国、地図さえ持っていれば何処へ行ってもほとんど道路標識があるし、分らなければ地元の方に聞けば良いので迷うことはない。といったら身も蓋もない!バイク雑誌でGPSポイントで場所を探すコーナーがあったり、ツーリングマップルにGPSポイントが掲載されるようになったので使い方次第でお便利な道具になるのでございます。
ツーリングで走るルートや、気になるポイントをインプットしておくとマップを見ながら走らなくても何とか行けちゃうけど、如何せん日本の道は1本間違えると全く違う場所に行ってしまう事があるので注意。けどミスコースしてもポインターが違う方向を指すので暫くするとミスコースに気付くのだが・・・。
林道の入口や分岐をインプットしておくと便利。地図に載ってない林道等に入るときは役に立つ。途中の分岐などをインプットしておけば引き返す時に迷わずに済むし、帰ってから地図上にポイントを落としていくのも楽しい作業である。アタックなどで使用するのも良いが、破損の可能性大。バックに入れて行くと一々出してポイントをインプットしなければならないので面倒だったりもする。
電子地図帳なるものも有効に活用するとGPSの世界が広がりますので試しください。

余談
某バイク屋さんのASO氏はバイクを配達に行く時にお客さんの家のWPをGPSへ入れて配達に行ったりする。(カーナビじゃないよ)「これが結構役に立つ」とのこと。
やはり道具は使い方次第か?

 

参考資料(ダカールラリーのGPS)

ライダーを煩わしいGPSの操作から解放しようと、'98から新たにシンプルなGPSがレンタルされることになった。フランスのMLRエレクトロニク社製のVALSAT.P(二輪用)をベースにパリ〜ダカール専用ソフトウエアを記録させて作動させている。この機種には本来ウエイトポイントが400入り、海上及び陸上で使用されているが、TSOの要望でこのソフトはウェイトポイントが10個しかインプットできないようになっている。この機種はもともと490gと軽量で、本体も幅88mm×高さ161mm×厚み37mmとコンパクト。その割にスクリーンが大きく、バックライトがついていて暗闇でもかなりハッキリと見ることができる。また表示文字、キーが大きいのも特徴だ。ディスプレイには4種類の画面が表示される。「POS1」画面では、9mmという大きな文字で表示されるので、どんな状況においても簡単に読むことができる。ディスプレイ下部にはメートル表示による標高とECPが表示される。「POS4」画面では、前述の通り大きな文字で表示されるとともに、その他ナビゲーションに便利なデータの表示がなされる。スクリーンの下部左側にはウェイポイントまでの距離と方角、右側にはXTE(クロストラックエラー)が表示きれる。距離は海里、またはメートルでの表示が可能だ。「NAV4」画面にはクロストラックエラーを画像で表示。矢印(現在地を表示)をトラックの真中になるようにして進めば、ウェイボンイントに到達するというシンプルで、わかりやすい使い勝手。スクリーン上部にほウェイポイントの名前の一部が表示される。 そして、『プロッター機能」画面にはウェイポイントに沿った今までのルートを表示。点と点の間は0.5から100海里(またはメートル)に合わせることができ、インプットしたウェイポイントのルートの全体図、あるいは詳細図が確認できる。ルートの表示は300時間保存しておくことが可能だ。今後このGPSはTSOに関わるラリーにおいて標準モデルとして使用されるらしい。 

 

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