702.92km HOVD-ULIASTAY RCP-335.87km
「カザフの王(ハーン)の嘆き」
大会中最長距離にして最大の砂漠地帯へと足を踏み入れるステージである。朝暗い中を郊外までリエゾンで14kmほど走る。6:00、トップの博田君がスタート。続いてライバルでありチームメイトのガントルガ選手がスタートして行く。へらへらしていたら順番が回ってきた。「さーて今日も走るかぁ−!」と気合?を入れて、のこのこスタートする。暫くは広いピストを快調に走る。あれっ?誰かコケている。?!京都の中村氏であった。小石で吹き飛んだらしい。バイクを起こしてあげるが胸を打ったらしくとても痛そうである。大丈夫と言うことなので走り出す。途中モンゴルの選手がパンクで止まっていた。空気入れが無いらしく貸してあげるが、修理を待ってられないのでそのまま走り出す。次第に路面が荒れてくる。幾つもの枯れ川を渡り凹や亀裂が続く。おおっ!博田君発見!どこか調子が悪いようだが、コースから少し離れていたためそのまま走る。(後で聞いたらキャブが詰まったみたいで、ガソリンが駄々漏れだったらしい)その後路面は砂に変わりCAP走行になる。
いよいよデューンへと入っていく。次第に砂も深くなり砂丘に登ると吉川選手に会う。進むべき方向を確認し合いデューンの奥へと入っていく。暫くすると後ろから博田君がやって来た。「速いじゃん!」そして走り去って行った。吉川氏も3回目とあってCAPを確認しながら淡々と走る。流石にデューンでは250ccは辛い。砂丘に登るのに1速全開だ!砂丘を登ったり降りたりしているうちにふと気が付いた。「次のCPはGPSポイントの10km手前だ。と言うことはここからポイントの手前を目指して走れば着くやんか!ちょうどCPには5つのゲルがあるらしい。」そうと決まればGO!GO!ショートカットする。ルート的にはデューンの奥まで走り返ってくるらしいので、途中から横に走る感じだ。流石に少し不安があるが砂丘も無くフラットな砂地を快適に走る。遠くにゲルが見えてきた。やったー!と喜んで近づくとゲルが4個しかない?コマ図には5個のゲルの絵。CPも無い。違うらしい。パスして走るとまた遠くにゲル発見!今度はオフィシャルカーもありCPであった。チェックを受ける時に話を聞くとまだ4台しか通過してないとのこと。「やったぜー!」と一人喜んで走り出す。
途中で一服していると澤田氏が逆方向からやって来た。「CPあった?」「ええっ?かなり先でしたよ。」(その後澤田氏はCPにチェックを受けに行ったのだが、ガス欠のためゲルに1泊しリタイアたらしい。)「ここからRCPまでショートカットしたろー。」とスケベ心を出したのがいけなかった。デューンに乗り出したのは良かったが、砂丘の大きさがまるで違う。メチャでかい!そして高い。2・3個超えたがこりゃ話にならんわい。とオンコースへ戻る。遊びすぎたせいかガソリンも乏しくなり少し焦る。遠くに誰かが走っているのを発見。近づくと西川氏であった。2人で走っていると斎藤君に出会う。ガソリンが乏しい話をしていると横川氏・冶武氏のテラノがやって来た。四輪唯一のガソリン車なのだ。ラッキー!手を上げて止める。2Lくらいわけてもらう。その後キャメル芝をヘコヘコ走りデューンから抜け出す。湖の横を走り丘を越えるとRCPに到着。タンクを覗いて見るとガソリンがまだ沢山残っていた。「んー!分けてもらわなくても良かったみたい。」でもその時はどうなるか分らなかったからそれはそれで良いとしよう。
RCP後相変わらず砂っぽい路面が続く。前を走っていた河村君が右に曲がったのでつられて曲がる。暫く走るとどうもコマ図と違うようだ。河村君を止めて確認するとやはりミスコースをしたらしい。次のGPSポイントは2km程だが小山を超えなければならない。試しにアタックしてみるとふかふかの砂で上がれない。結局諦めて戻る。オンコースに戻ると、1時間位ロスしたみたいだ。ペースを上げて走る。単調な道を走り続けると湖が見えてきた。誰か休憩してるみたいなので行ってみると渡辺氏と山口氏であった。タバコを吸っていると地元のモンゴリアンがバイクに乗ってやって来た。それも羊を膝に乗せて・・・。言葉が通じないが話をする?やはりバイクに乗っているので我々のバイクが気になるらしい。暫くして走り出す。
今日は少し遊びすぎだなぁ。と先を急いでいると町の中を通過するときに溝にはまってコケた。モンゴリアンが集まってきてバイクを起こしてくれる。「バイルラー!(ありがとう)」と、お礼を言っていると渡辺氏がやって来て「大丈夫か?」と心配してくれる。その後渡辺氏・山口氏と連なって走る。ピストは電柱に沿ってだらだらと続く。少しづつ日が傾きかけてきて薄暗くなってきた。本日2つ目のCP手前で山口氏がいきなり止まる。ヘッドライトが点かないらしい。このままCPに入るとペナルティが付くので如何しようか?とのこと。しかし、修理できる状態ではなかった・・・・。取りあえず懐中電灯でもくくり付けておけば?CPを過ぎたあたりから本当に暗くなってきた。ここでまたまた問題発生!山口氏はヘッドライトが無い状態で、渡辺氏はICOが変な所を向いていて距離が確認できないらしい。流石に2人を捨てていくことは出来無いので、諦めて連れて帰ることにする。
真暗なピストの中を俺・山口氏・渡辺氏と連なってのろのろと走るのであった。あたりは闇で全く見えない。ヘッドライトの明かりだけが頼りだ。Bajaライトを付けて来たのは良いがETAP-5辺りで1灯落としてしまい、シングルライト状態ではあったが130Wのバルブを入れておいたせいか結構明るい。腹を決めたせいもあるが何だか楽しくなって来た。SSERやTBIのナイトランのようで全開で飛ばしたくなるが、後ろが付いてこれなくなるのでまたのろのろ走る。やがてピストは山の中へと入っていく。後ろの山口氏はちょろちょろと前に行ったり調子に乗ってきた。「おっさんコケるぞ!」と思っていたら案の定吹き飛んだ!起き上がらない。渡辺氏とバイクを起こし「大丈夫?」と声をかけるがかなり痛そう。しばし休憩をする。雨が降ってきた。「それにしてもモンゴルまで来て真暗な中、雨まで降ってきて俺は一体何してんやろ?」と考えてしまうがゴールまで後少し。気を取り直して走り出す。川出現!ヘッドライトで照らして歩いて下見をするが結構浅い。難なく通過。山を越えて下っていくと町の明かりが見えてきた。ゴールはすでに閉鎖されていたがオフィシャルが待っていてくれた。オリヤスタイ空港のフェンスを廻り込み長い1日が終わった。到着は午前2時、山口氏がしきりに感謝していた。渡辺氏とビールを回し飲みし、遅い晩飯を食べ、皆が寝静まった端の所にテントを張り暴睡するのであった。本当に長い1日であった・・・・。
今日の結果 SPECIAL 21位 GENERAL 18位