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エッチ液て何ですか?
最適な湿し水の管理
印刷機・循環器の管理
エッチ液の混合方式

湿し水って何ですか?
オフセット印刷の刷版は平面であり、絵柄を構成する画線部と非画線部(白紙の部分)の二つで構成されています。この画線部には油であるインキが着き非画線部には油と反発する水膜が張られます。その油と水の反発作用を利用して印刷するのが平版印刷なのです。

非画線部は親水性であり水棒によって供給された水膜が形成され、油であるインキを寄せ付けません。画線部は親油性であり油であるインキがのります。ところで、この非画線部の水膜ですが通常の水道水だけではその能力に限界があり、オフセット印刷の品質、作業性に大きな影響を与えています。これは水そのものの表面張力による限界です。


エッチ液って何ですか?

エッチ液とは版面に供給される湿し水自体を指す場合もありますが、一般的には湿し水に添加する薬品を言います。
エッチ液を湿し水に添加することで大幅に印刷能力を引き上げることが可能となるのです。
では、エッチ液に求められる性能とは何でしょうか?そしてエッチ液がどのような効果を産出すのでしょうか?


オフセット印刷の水(エッチ液)に求められる能力について、親水性・保水性・修復力があげられます。

親水生

非画線部にインキを着けないことが湿し水の基本的な役割です。その為には湿し水の表面張力を下げ、細かい非画線部にも入り込まなければなりません。こうすることでインキの着いては行けない所を全て水が埋め尽くすのです。表面張力を下げると細かい所にまで良く浸透します。

湿し水の表面張力が高いと画線部との接点で上図のように玉になろうとします。逆に低いと薄く広がり、図のようにインキと水の境界面を鮮明にさせる事ができます。つまり画線部のエッジがシャープになります。また、より少ない湿し水でその機能を果たすことが出来るのです。

保水性

インキが付く前に湿し水が蒸発しては役目が果たせません。乾いた版面にはインキが付着してしまうからです。しばらく版面上で水を保つ性質(保水性)が要求されます。

修復力

版面は絶えずローラ、ブランケットの摩擦を受けています。更に紙紛やコート剤などで非画線部の親水性層が傷つく事があります。それを修復しながら印刷しなければなりません。

またインキが乳化したり、散ったりと非画線部に汚れが付着することがありますが、汚れ出した版を洗浄しながら印刷できなければなりません。そのままだと、地汚れに発展します。

以上の事が、湿し水の基本的役割となりますが、その他、版面やインキの温度調節、インキのセット性、水上がり性、アルコールの使用量を減らせる、水を絞れるなど様々な付加価値が要求されます。

湿し水の管理について

湿し水を適性に管理する事で、印刷の品質向上が狙えます。
エッチ液の性能を引き出し、水を絞ることでアミ点レベルでインキの濃度が上がり、少ないインキ量で必要な色を出せるようになります。濃度が上がれば盛り幅も自由自在です。

連続給水システムではエッチ液の性能によりIPA(アルコール)の添加量を少なくすることが出来れば、アミ点中のす抜けが減り、アミ点やベタのインキ濃度が上がります。

その為、インキの盛り幅も広く取れるようになります。またアミ点のフリンジやベタ線のエッジもきれいに出ます。アミ点の抜けも良くなり、コントラストのついた、鮮明な印刷へとなります。
これは高品質の印刷製品の重要な要素です。

このように、湿し水を適正に管理する事で印刷品質のアップが可能となります。
しかし、機上では常に変化する条件を持ち合わせています。これも印刷の特徴です。

高次元での印刷を維持する為には、その条件を安定させる為の知識とコントロールが必要になってきます。その中に湿し水のコントロールも重要な位置を占めていることは上記の説明でもご理解いただけると思います。ところが、版面上の水は肉眼ではあまりよく見えないのが普通です。(水の温度、エッチ液やIPAの濃度、更には不純物等)

見えにくい水膜を正確にコントロールする事は至難の技のように思われます。事実このバランスを欠くと多くの問題を発生する事になります。例えば、湿し水の量が多いとインキのトラッピングに影響が出てきます。更にセット不良や乳化といった現象まで引き起こします。

エッチ液の特徴を理解し、適正な方法でご使用いただくことに勤めてください。
エッチ液の濃度、IPAとのバランス、水温の設定など複合的な要素が絡んできます。
また、常日頃より機械の状態を把握して置くことが必要です。
ローラーの劣化状態、ニップ圧の時経変化、機上の温度、インキの粘度、水棒の不感脂化など全ての条件により適正値が変化するからです。その例を下記にあげます。

湿し水の観点からの印刷機、循環器の管理

印刷は様々な条件の複合体です。通常はそれらを一定範囲内でバランスを保ち印刷しています。しかし、そのバランスが崩れるとトラブルを引き起こします。ところが様々な条件の複合体ゆえ原因を特定しにくい場合が多々あります。その為、普段から知識を養う事が重要と言えるのです。

トラブルの原因にはエッチ液やインキが挙げられがちですが案外、印刷機や周辺機器が原因している場合があるのです。
印刷機においてはローラーのニップ圧、ゴムの劣化、金ローラーの汚れ等の整備不良でインキングローラー上で乳化が起こり始めたり、水棒関係のローラにインキが溜まったりする事があります。
ローラー表面のゴムの劣化に伴いローラーストリッピング(ローラーハゲ)や、インキがローラー上で均一に練られず、着肉不良を起こす場合、水棒ローラの表面が油脂分を感じるようになりインキが絡むといった事例もあります。

また、循環器での温度設定により大きく水上がりが変わってきます。当然、インキのタック(トラッピング)にも影響を与えます。

循環器の水質が悪化すると、湿し水の性能そのものに悪影響が出ます。水は早めに交換したほうが良く、安定した印刷の条件となります。

循環器の自動混合装置の安定性(混合割合)も時々テストをしてみる必要があります。

このように扱う機械の条件を日頃より知っておく事が大変重要です。

エッチ液の混合方式

連続給水システムの印刷機ではエッチ液の自動混合装置の付いた循環器が主流と成っています。この自動混合装置もその混合システムにより幾つかに分かれます。

PH(ペーハー)混合方式

エッチ液濃度をPH(ペーハー)値により混合管理する方式です。例えば1%の混合液を造る場合、エッチ液を水に1%添加した時のPH値が5(やや酸性)であるとします。混合装置の設定値をPH5に合わせます。印刷機で水が消費されると、減った分だけ循環器に水が補充されますが、水が多くなるとエッチ液(酸性エッチ液)の濃度が低下し、湿し水のPH値も中性の7に近付こうとします。この時、PH混合機
が設定値のPH5になるまでエッチ液を添加する方式です。この方式は湿し水のPH値を一定に保つことができ広く採用されてきました。
しかし、実際にはでは水道水の持っている硬度や印刷工程上、水棒から戻ってくる不純物が循環器内の湿し水PH値に大きく作用することが解っています。エッチ液以外のPH変動要因となる水道水中のカルシウムや紙の成分(コート剤等)などは、PH値を不安定にさせ、結果として適量のエッチ液の添加量に誤差を生じさせます。この為、PH管理では常に水を新しいものにして、不純物の少ない状態を保つ必要性があります。


電導率混合方式

電導度(導電率)管理とはエッチ液が混合された循環器内の湿し水がどのくらい電気を通すのか、その数値によりエッチ液濃度を管理する方式です。これはエッチ液が水に解けてイオン(電解質溶液)として存在したとき、そのイオン量が増えるほど多くの電気を通すという性質を利用しています。導電率はイオン量に比例して高くなり、μS/cm(マイクロジーメンス)という単位を使用しています。循環器ではこの数値が低くなると設定値までエッチ液が添加されます。PH管理との相違点は緩衝機能のあるエッチ液でも管理できるという点です。緩衝機能とは水道水の硬度など不純物の影響によるPH値変動を抑制する機能ですが、その結果としてエッチ液の濃度変化によるPH値の変動が僅かになり、PH計を基にした測定管理を困難にしています。そこで水溶液中のイオン濃度による導電率管理がより効果的であると言われたのです。しかし実際の印刷工程では様々な不純物が水棒を介し循環器へと戻って通電性に影響を与えます。電導度管理の基本となるイオン濃度の変動要因は単純にエッチ液濃度だけではなく、これら不純物の影響が大きく作用するので必ずしも導電率管理がエッチ液の混合を安定させるとは限りません。


定量混合方式

水道水とエッチ液を一定の分量比率で管理するのが定量混合の考え方です。例えば1%の溶液を作るなら水10リットルに対しエッチ液を100ccの分量で添加する方式です。モルトン式の機械など水皿に設置された給湿タンク式にオペレーター自身が希釈、混合する方式は以前より存在しています。最近は機械式の自動混合が主流であり、混合濃度としてはPH管理や導電率管理より安定しています。混合装置でエッチ液と水を計測混合した後、循環器へ添加していくので濃度誤差は少なくなりました。しかし中にはエッチ液の吸引量を吸引ポンプの作動時間(何秒間吸い上げるか)で管理している方式もあり、この場合各種エッチ液の粘性の差が添加量の誤差を生む原因になることもあります。これは使用するエッチ液の吸引時間と分量をあらかじめ測定することで調整は可能です。混合濃度の点では最も安定している方式と思われます。

エッチ液と水道水のマッチング

水道水も地域によりその成分は若干異なります。エッチ液との相性は水道水中のイオン物質の量で大きく変わる事があります。エッチ液中の版の汚れを洗浄する成分は酸性イオンです。このイオンが水道水中のイオンと結合すればどうなるでしょう。酸性が中和され洗浄能力が低下してしまいます。井戸水などを使用している場合はこの現象が大きく現れます。さらにPH管理などを不安定にさせる要因でもあります。


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