KANON ショートストーリー〜美坂 栞〜

 

・・・夢の中・・・

そう、私は夢をみていた・・・

お姉ちゃんと笑ってる夢・・・

ただ笑ってる夢・・・

これが夢だと気づかずに・・・

 

ちゅんちゅん♪こけっこっこー

「・・・・・・。」

朝?

私は夢から覚めた

「ずっと夢ならいいのに・・・」

ぽつりとつぶやいた

今日は私の学校の始業式

冬休み明けのまだ寒いこの季節

でも、私は行けない

そう、夢にまでみたお姉ちゃんとの通学

それでも行けない

なぜなら・・・

「・・・行ってきます」

お姉ちゃんがそう言い残して

玄関のドアをあけて行く

「いってらっしゃい」

それから朝ご飯を食べて

私はいつものように

ストールを羽織り、街へ買出しに行く

「今日はどこ行こうかな、、、」

そんなことを考えながら

白い雪の上を歩いてゆく

「ちこくだぁ〜」

どこからか声が聞こえてくる

いつもの通学風景

そんな当たり前のことでさえ

私にはうらやましかった

「学校か・・・」

誰ともなしにつぶやく

「安いよ、安いよ!」

いつもの八百屋さん

「おっ、栞ちゃんじゃねぇかい!」

「こんにちわ」

「今日もまた一段とかわいいねぇ〜」

ぽっ、

おもわず顔が赤くなったのがわかった

「少しは家の娘にも・・・」

「おじさん、そんなことないよ」

おせじでもうれしいものである

「そいじゃ、今日は何にするんだい?」

「えっと、、、」

とりあえず今日は野菜の炒め物にすることにした

「まいどありぃ〜」

ずさずさ

まだ雪が残っているこの商店街

それでも空は青く澄んでいる

「ふうっ、、、疲れた」

さすがにこれだけ買えば重いのもあたりまえである

さ、早く帰って置いてこよう

また袋を持って立ち上がる

「ただいま」

だれもいない家に帰って来る

「よいしょ」

荷物を下ろして急いで台所へ

今日は青空弁当だ

「ふうっ、おなかいっぱい」

さすがに食べ過ぎた

と、思ったが

「アイス〜♪」

なんてことだ甘いものは別腹らしい

さてそろそろお姉ちゃんが帰ってくるころだ

確か今日は学校が半日だっけ

でもきっとお姉ちゃんはご飯を食べてくる

いつもの友達と

なんだかお姉ちゃんは私と話をあまりしない

あの日から・・・

でも私はお姉ちゃんが大好き

「・・・ただいま」

どうやら帰ってきたみたい

「おかえり、お姉ちゃん。」