未解答

 

 

ツク

シマル

シゲキ

「──ッ」

「…」

「―ッ!」

セイレン

ケンキュウ

セイシンフカ

「…」

「──」

繰り返される行為。

きのうも今日もコレカラも

ただ、快楽を貪る事で、この世に生きている事を確かめる。

「──ッ」

「…」

「―――ッ!!」

なにも生み出さない…

ただ、失うのみ。

 

ぐううぅぅぅん…

『先天的遺伝子異常』

―イコール―

『受精及び着床不可』

―イコール―

『生物の基本的価値無し』

いや…

己の遺伝子を未来へ繋げぬものなど、生物ですらない。

機械

人形

出来損ない

ただ、終わりを待つのみ。

「…」

―現代医療による治療不可―

それゆえ、自分のアイデンティティを追い求め、必死に努力した。

―結果―

出てきたのは、既知の原因のみ…。

答えなど、何一つ無い。

 

かたかたかた…

『実証』

雑多に物が積まれた部屋の中、体を重ね、絡め合い、互いに異なる真実を求め合う。

体に纏わり付く生暖かな匂い。

交感の液が互いを濡らす。

「─ッ─ッ!」

「…」

激しく打ち合わされる腰。

上り詰めてゆくのを告げる荒い息遣い。

「―ッッ!!!」

―喘ぎ―

自分の研究を立証する為、何人もの女と関係を持った。

―結果―

残ったモノは、緋色い肉塊。

時には母体にも深刻な影響を残し、後天的に俺と同類となったモノをいた。

そして嘘で固めた茶番劇に最後まで付き合ってきたモノは、もうこの世にすらいない。

残ったのは、惨めな抜け殻

ココに繋がれているバケモノ

それにも劣る下衆(ゲス)。

 

がこん…がこん…がこん…

『観察室』

紫煙の立ち込める狭く暗い部屋。

その壁際に設置されたモニターに映る映像を、適当に観察する。

もう何十度と見てきた光景。

偶発的な成功を求め、ただひたすら、同じ手法を繰返す実験。

つまらん…

「──?」

「――…」

「──―」

―特殊な異種族間における交配…―

八方塞となり、辿り着いた場所がココだった。

とはいえ、もう何を目的にしていたのかさえ曖昧となっている。

ただ、日々与えられたノルマをこなして…

―…及び、その特殊能力の付加実験―

成功体を隷属させ、失敗作を壊す。

コンクリートの檻の中、そんな日々がだらだらと繰返される。

……

……

「──…」

「──ッ!」

どかっ!

備え付けの固いベッドの中、寝言で女の名前を呟く同居人にケリを入れ、叩き起こす。

恨めしそうに此方を睨みあげるソイツ。

その反抗的な眼を見下しながら、わざと口の端を吊り上げ、扇動的に言い放つ。

「起きろ。また、無意味と快楽に満ちた一日の始まりだぞ」

ナニモ生ミダセナイ…。

タダ、終エルノミ。

End


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