雨に歌う譚詩曲(Win) ※CD3枚組 | |||
メーカー | emu | 総合評価 | 60点(及第点) |
ジャンル | ADV | ||
発売日 | 2002/02/01 | ||
シナリオ | 門司 | ANIMと同様クラウドの姉妹ブランドであるemuの第3弾。 ちなみに「譚詩曲」と書いて「バラード」と読みます。 読めましたか? 私は無理でした(^^; |
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原画 | 甲斐 | ||
サウンド | DOLLY(I've)・小動物(I've) |
個人的エピソード |
Web上で目にした体験版の評価が割と高かったので購入。 本当は自分で目を通すべきなんでしょうが、どうも体験版はやる気になりません(^^; 長期的に見ればやった方が得るものは大きいだろうに…。 |
内容 |
浅野孝一は、市内の学園に通う普通の学生。 両親とは死別しており、今現在は、親類にあたる『伊藤千夏』と、共に暮らしている。 大病院の院長という祖父を持つ千夏は、その祖父と同じ病院で医師をしている。 その日、孝一に千夏が、あるお願いをした。 『自分の担当しているクランケに、ちょっと変わった病状の女の子が3人いて、困ってる。できれば社会生活の中で、ゆっくりと回復させてあげたいから、少しの間ここで一緒に住んであげて』 孝一は戸惑いながらも、女の子と一緒に住めるということでOKした。 その女の子3人が、すばらしく可愛らしい美少女だと聞いたからだ。 しかし、それは思っていたほど簡単なことではなかった……。 孝一が抱く心の傷跡。それを見続けた千夏の思い。 新しく現れた彼女たちが、今までずっと押し殺されてきた『何か』を変えてくれる。 触れ合うことで、彼女たちも変わる……。 (マニュアルより抜粋) |
システムとか |
必要容量は400MB/1.2GBのいずれかを選択。 400MBの方だと音声が再生されないので、出来れば大容量の方がいいでしょう。 …どこに1.2GBも使っているのかよくわかりませんが(マテ ゲーム自体はオーソドックスな選択肢分岐型のADV。 今一つ分岐の条件などがよくわからないので大人しく攻略を見ることをオススメします。 セーブ数は30個。特に困ることはないでしょう。 ただしセーブを選択してから実際にセーブされるまでに妙に時間がかかるのが難点。 何が原因かはわかりませんがプレイ中、その動作の重さに不安になりました(^^; スキップは既読/強制の両方を実装。メニューでどちらかを選んでスキップボタンで実行します。 速度自体はなかなか快適で特に不満なし。 バックログはシーン単位で管理してその頭までは戻れる仕組み。 1つ1つのシーンは割と長いのでこのタイプでもなかなか便利でいいと思います。 音声再生機能もついていますが、バックするとそのセリフも勝手に読み上げられるというもの。 この再生を任意に行えるようになっていれば文句なしだったんですけど…。 鑑賞系はCG・BGM鑑賞とシーン回想、さらには短いながらもおまけHと割と充実。 最後に直接システムとは関係ないのですが苦言を1つ。 多分プロテクトを採用している関係だと思うのですが、CDからの起動がやたら遅いです。 最長で1分近く待たされたこともあります。 プロテクトはいいんですけどできたら正規ユーザーに迷惑がかからない方法でやって欲しいかな(^^; |
絵とか |
原画・塗り共にかなりアクが強いです。 というわけで一般受けには程遠いと思います。 イベント絵の絵柄は嫌いじゃないんですけど、立ち絵の中には「これ誰?」みたいなレベルの物が散見されます。 また塗りのクオリティも低め。 具体的にはコントラストや発色がきつくて見た時に色数が非常に少ないような印象を受けます。 パッケージに「ハイカラー」の文字を見かけてウソだ!と思ってしまったくらい(ぉぃ 途中時々挿入される色鉛筆風タッチの絵は原画・塗り共にいい感じなのにもったいないです。 次はもうちょっと抑えた塗りにすればもっと印象良くなると思います。 枚数の方はCGモードによれば76枚(パターン違い除く) まあ別段少ないと感じることはないかと思います。 |
音楽・音声とか |
BGMはCD-DAで収録、全14曲。うちボーカル曲が1曲です。 I'veというと個人的にBGMの質は大したことないと思っていたんですが、これはなかなか。 少なくともBGM単品で見てもレベルはなかなか高いです。 ボーカル曲は言わずもがな、ということで。 お気に入りはボーカル曲「雨に歌う譚詩曲」と「雨に歌う譚詩曲-Interlude-」「A Rainbow after the rain」辺り。 特に「A Rainbow〜」はEDの映像とも同期していて良かったと思います。 音声は主要女性キャラのみフルボイス。 キャストは草柳順子さんなどイエローテイル系では割とお馴染みの面々。 ということで演技は安心して聞けますし、キャラにも合っていたと思います。 音声も含めて音周りに関して言えば何も問題はないかと思います。 |
シナリオとか |
素材はいいのに勿体無い。 例によって一言でこのシナリオを表現するとこんな感じになるかと思います。 ゲームはまあよくあるパターンですが、コミカルなやり取りと伏線の準備を中心とした 前半部と伏線の回収及びシリアスな展開を中心とした後半部に分けられます。 前半のコミカルパートはテンポも良く、掛け合いも面白くてよく出来ていると思います。 精神に疾患を抱えているという人を選びそうなヒロインの設定ですが、さほど病が表に出ているわけではないことと、ゲームのヒロインには変わったキャラが多いがゆえに単に「ちょっと変わったキャラとのドタバタ劇」になっているのが良かったんでしょう。 素直に面白いです。 一方でヒロイン達の病気を抱えている設定も時折シリアスなセリフを挟んだり、病気の一端を垣間見せることできちんと生かせていると思います。 また、この手のゲームの中では病の原因もしっかりと説得力を持った背景を用意されているように感じました。 そういうわけでコミカルな部分にせよシリアスな部分にせよパーツは割とよく出来ていると言えます。 しかしながらそのパーツの繋げ方、つまり話全体の組み立てや見せ方に難があります。 共通パートに対して個別ルートが短いために、各ヒロインが抱えている問題の真相と その解決・伏線の回収にかけられる時間が少なくどのヒロインも総じて駆け足になってしまっています。 要するに後半の展開が性急過ぎてラストまでの引きが弱いです。 私なんかは「はあ、そうだったんですか…」と他人事な感想しか持てませんでした。 また前後半を問わない演出上で気になった点としてモノローグと場面変更の過度の使用があります。 これは上手く使えば非常に有効な演出技法だと思いますが、このゲームではやや使用回数が多すぎるかと。 ゲーム中の1日に何度もこれを使われると演出効果も低くなりますし、何より話がわかりにくくなります(^^; キャラによっては全くシナリオに絡まない場面が終盤になって挿入されるケースもあって、この辺はもうちょっと考えて欲しかったところです。 1日ごとに挿入されるアイキャッチも含めて演出面にはやや疑問が残ります(^^; シナリオをまとめるとパーツはいいが繋げ方にやや難。あと枝葉末節が多すぎる。 とまあ、私としてはそんな風に感じました。 |
総評 |
体験版の評判聞いた時はもっといいかと思ったんですけどねえ…。 ま、ちゃんと自分でチェックしろってことですね(^^; まとめ。あと1歩で化ける可能性を持った普通の作品。 真面目な話、パーツの出来は結構いいと思うので(シリアスはやや弱いですけど^^;)あとはその繋げ方さえ改善されれば良作クラスを狙える器だと思います。 シナリオ欄でも書きましたが勿体無いです、本当。 |
書いた時点での総プレイ時間 | 10時間30分(コンプ) | ||
お気に入りのキャラ | 倉石悠 | ||
お気に入りのセリフ | 「可愛いことは、ある意味犯罪だよ!? 人を惑わす魔法だよ!?」 |
初版2002/02/13