加奈〜いもうと〜(PC) | |||
メーカー | D.O. | 総合評価 | 80点(良作) |
ジャンル | NOV | ||
発売日 | 1999/06/25 | ||
シナリオ | 山田一 | ネット上で99年に絶賛された作品。 曰く「泣きゲーの最高峰」 最近だとニュース23で登場した痛いファンの人が話題に(^^; |
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原画 | 米倉けんご | ||
サウンド | へちま・高橋秀樹? |
※メーカーWebページに用意されている修正版に基づいた評価になっています
個人的エピソード |
最初はノーマークでした。別に「妹」ソフトに飢えていなかったし、絵があまり得意ではなかったので。 #最初、単なる「妹もの」だと思ってたんです ただ、ネット上のあまりの高評価に負けて買うことにしました。 我ながら相変わらず世間に流されやすいキャラです(^-^;) |
内容 |
あなたには2つ歳の離れた“加奈”という名前の妹がいます。 病弱で、入退院を繰り返す生活を送ってきた加奈にとって、 幼い頃から彼女を守り続けてきたあなたは絶対の存在。 そして、あなたにとっても加奈は、特別な存在なのです。 それは、愛とも恋とも違う、不思議な感情…。 大切に想い、絶対に守らなければならないと感じる存在。 加奈が感じる一瞬の幸せがいつませも続くように祈るあなたは、 彼女に対する感情の本質には気づいていません。 そう、今はまだ…。 (マニュアルより抜粋) こんなこと書いてあるからって「妹萌え〜」なソフトじゃないです(笑) そういうのがやりたい人は大人しくWith Youをやりましょう(ぉぃ |
システムとか |
ノベルということになっていますが、私としては微妙なラインだと思っています。 たしかに心理描写・情景描写などノベル的要素が極めて強いテキストだとは思いますが、 セリフの前に“誰のセリフなのか”が表示されるという特徴があるためです。 私内部でこれはADVのメッセージウィンドウ用の表現なので微妙かな…と。 適切な例になるかはわかりませんが通常画面のイメージはPSの「輝く季節へ」に近いと思います。 #明度設定が暗すぎるということはありません(爆) セーブ数は全部で30箇所。ED数が6個であることを考えるとまず困らないでしょう。 発生イベントの大半は重なるのでシーンごとに保存することも可能かもしれません。 ノベルゲームには必須とも言うべきスキップ機能、読み返し機能もついています。 (読み返しの方は正確には「やり直し」「巻戻し」機能と呼ぶべき機能です。 「痕」以前のリーフ作品の「一つ前の選択肢に戻る」機能を想像してください) 画像保存機能などもついていてシステム面ではまず文句無しです。 |
絵とか |
個人的に原画の米倉けんごさんの絵はあまり得意ではないんですが、 CGなどの出来はなかなかの高水準だと思います。 枚数も少ないということはないでしょう。ED数やキャラクター数を考えれば十分な量だと思います。 イベントCGだけではなく背景・立ち絵も水準に達していると思います。 ただ、「年齢より幼く見える」加奈の幼少期のイベントCGの中にどう見ても無理があるCGが あったのが残念といえば残念でしょうか。 立ち絵や他のCGは問題ないのに…。 |
音楽とか ※音声はありません |
音楽も及第点以上だと思います。 フルート系の曲が多い印象を受けましたが、単に長く聞いたせいかもしれません。 #個人的にいくつかMIDIデータを持っていて聞いていたので しかし、このソフトの特筆すべきは音楽よりも歌の使い方のうまさでしょう。 特に挿入歌「Berieve〜つぶらな瞳〜」の破壊力は絶大です。 シナリオの1番の山場で流れるこの曲はまさにドラマを演出していると感じました。 |
シナリオとか |
「上手い」の一言に尽きると思います。 最初プレイした時はまさに驚きでした。なんでこんな人が埋もれてたのかって。 シナリオの進行がとにかく上手くてプレイヤーを自然に物語に参加させてくれます。 えてして「妹もの」の主人公というのは最初から妹のことを女性として好きだったり、 あるいはあまり妹を好きになることへの葛藤がなかったりするものです。 しかし、このゲームの場合そうではありませんし、主人公がなぜ加奈を大切に思うのかということの背景として2人の幼少期から現在に至るまでをシナリオに組み込むことでそれらの問題を解決しています。 幼い頃からの物語を読むことで主人公の心理に入りこみやすくなっていますし、 さらにその「妹として大切に思っている」時代を知っているからこそ 後の「妹に女性を感じてしまう」ことへの抵抗などもすんなり着いて行けるようになっているわけです。 また幼い頃を書くことで、ずっと因縁を持ち続けるもう一方のヒロイン夕美の存在もプレイヤーに印象づけています。 この辺が上手いところだと思いました。 あとは「死」というものに正面から取り組んでいるのも良かったです。 (特に“知的シナリオ”はこの点で素晴らしかったかと思います) 個人的に99年感動系の雄『Kanon』の「死」の扱いに納得していなかったのもあってかなり好感を持ちました。 ここに好感を持ちすぎてベストエンドが気に入らないくらいです。 まあ、ネット上でよく見かける意見では珍しく「読ませる」物語だということです。 私もこの点にはおおいに賛成です。 でも、難点もあります。 テーマ上仕方が無いことなんでしょうが、テキストの重複があまりに多くて2回目以降のプレイが私にはかなり辛かったです。 個人的にはED数を減らしてでも重複を減らしてほしいところ。 さて、EDの話が出たのでついでに書きますが6つあるEDのうち私は1番嫌いなのがベストエンドです。 ゲームなので仕方ないのでしょうが、奇跡ともいうべき順調さがこの作品にはそぐわないように感じました。 個人的にはED2やED5・6あたりが好きです。 バッドエンドと言われるED3も隆道の加奈に対するあまりに深い想いが伝わってきて好きなんですが、これは暗いEDなんで同意見少なそうです(^-^;) EDに関しては私は「その人にとってのベストEDが加奈のEDだ」と思っています。 #いつになく模範的な答えだ 長くなってしまいましたが、シナリオはトップクラスというのは確実です。 (細かい部分で気になるところもあるにはありますが…) |
総評 |
非常に良く出来た泣き系のソフトです。 なにしろ最初のプレイでEDに辿り着いたときは90点クラスを確信しましたから。 繰り返しやると重複部分の多さゆえに辛くなるのは確実です。 1回ごとに記憶をリセットできるなら別ですが。 そういうわけで文句をつける点が少ない完成度の高いゲームですが、反復性という部分で点数を下げざるをえなくなってしまいました。 というわけで私の点は80点ということにしておきます。 ただ重複部分が気にならないほど入れこめたなら恐らく最強の泣きゲーでしょうね。 自分の中途半端な冷淡さを恨みます(^-^;) |
書いた時点での総プレイ時間 | 22時間(コンプ) | ||
お気に入りのキャラ | 藤堂加奈・鹿島夕美 | ||
お気に入りのセリフ | 今日、海を見た。もう恐くない 昨日はできなかったことが今日はできるようになったりするんだよ 願わくば明日のわたしが今日のわたしより優れた存在でありますように |
初版1999/11/13 最終更新2001/03/23