君が望む永遠(PC) ※ディスク2枚組 | |||
メーカー | âge | 総合評価 | 65点(及第点〜佳作) |
ジャンル | 多重恋愛ADV | ||
発売日 | 2001/08/03 | ||
シナリオ | マロ☆ガッツ・反重力生命マー・鬼畜人タムー | 大量の第1章先行配布など事前告知に非常に力を入れた作品。 その第1章の高いレベルの完成度からWebを中心に大きな期待と共に迎えられた。 |
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原画 | バカ王子ペルシャ | ||
サウンド | 渡来亜人 |
※以下の評価はVer.1.00.03に基づいて評価しています
個人的エピソード |
先行配布版をやってその出来の良さに驚いて買うことに。 ……あれは甘い内容でよかったなあ(遠い目) まあ、こんな感じの内容になることは想像できたし、覚悟はしてたんだけどね(^^; |
内容 |
主人公 鳴海孝之は、将来の具体的なビジョンを持てずに 周囲に流されて生活している白陵大付属柊学園3年生。 親友の平慎二、早瀬水月たちから進路の話を聞くたびに漠然とした焦りを感じていた。 7月の夏祭りの日、待ち合わせに遅刻した水月は、親友の涼宮遙を連れてやってくる。 その彼女は数日前本屋で出会った、内気な女の子だった。 それ以来、何かと3人の輪に遙を加えようとする水月。 しかし、遙の自分を避けようとする仕草に、孝之の苛立ちは募っていく。 そんなある日、3人の行きつけである、学園裏の丘に呼び出された孝之は、そこで待っていた遙から、好きだと告白される。 内気な彼女の勇気を振り絞ったひとこと。 彼女を傷つけることを恐れた孝之は、その言葉を受け入れてしまうのだが………。 (マニュアルより) |
システムとか |
必要容量はおよそ900MB、かなり多いと個人的には思いますが最近ではそうでもないんですかね? ゲームとしてはごくごく普通の選択肢分岐型ADV。 システムはアージュオリジナルのrUGPを使ってますが、非常に優れています。 セーブ数は最大で1000個。 足りなくなることはありえませんし、サムネイル表示にコメント記入までできるので どこでセーブしたのかも一目瞭然です。 スキップは既読のみ。まあ、Ctrlキー押下で強制スキップも可ですが(^^; スキップの速度はかなり高速でこの辺りにも全く不満はありません。 バックログも相当量の読み返しが可能。 ホイールマウスでの操作およびログ部分の音声再生も可能と、この部分についても文句のつけようもありません。 いくつかバグもあるようですが、我が家では目立ったバグは発生しませんでしたし、 修正ファイルを当てた後ならかなり完璧に近いシステムかもしれません。 鑑賞系はCG・BGM鑑賞とシーン回想とこちらも万全。 余談ながら最近のゲームには珍しいEDチェック機能も用意されています。 もっとも最初からED数くらい明かしてくれという気はしないでもないですが(ぉ まあ、いずれにせよ「痒いところに手が届く」とでも言いましょうか。 非常によく出来たシステムで動作していると思いました。 |
絵とか |
通常シーンではかわいらしく、Hシーンでは色っぽい。 そんな女の子を描く原画さんですね。 開発が長かったからか、アップなどでちょっと立ち絵との間に違和感がある絵も散見されましたが、 多くの人に受けると思われます。 またとにかく立ち絵のパターンが豊富で、まるで演技するかのように コロコロと変わるそれはキャラの感情を感じさせてくれます。やるなあ。 CGの質もかなり高めと、この辺りも高レベルを保っています。 枚数の方は137枚(パターン違い除く)。 プレイ時間からすると少ないのかもしれませんが、上記の立ち絵があるのであまりそういったことは感じさせませんでした。 というかプレイ時間がごにょごにょ……(自主規制) あと、この作品の特徴としてあげられるのは豊富な画面効果でしょう。 多用しすぎて一部やかましくなっている個所も見られましたが、 ほとんどのシーンでは高い演出効果を発揮していました。 特に雨のシーンは必見。 背景の空が徐々に曇っていき、降り始めた雨がだんだん本降りになっていく様子をプログラム制御で再現した演出など家庭用ゲームでもお目にかかったことがありませんから(ぉぉ |
音楽・音声とか |
BGMはPCMかCD-DAのいずれかを選択で全28曲。うち2曲がボーカル。 個人的にはセリフ再生時にBGMが小さくなるPCMの方が好みなんですが、 なぜか我が家ではそれだと時々音飛びが発生しました(´Д`; まあ、どっちにせよCDチェックがあるのでCD-DAでやるべきなのかも。 質の方はなかなか高め。特に見せ場での使い方が上手いです。 お気に入りはOP「Rumbling Hearts」とED「君が望む永遠」、それと「時に忘れられた部屋」「六月のメモリーアレンジ」あたり。 「Rumbling Hearts」はもしもカラオケにあったら持ち歌決定です(笑) 音声の方は脇役・男性陣も含めてフルボイス。 どのキャラも演技はしっかりしていてよかったと思います。 まゆはちょっと演技的にどうかっつー気もしないでもないですが(爆) 音周りで印象に残ったのは、自動車紹介のアレ(笑)と1章ラストで主題歌に移行するときの報告ですかね。 やっぱ演出に秀でてます。 |
シナリオとか |
万人受けはしないし、狙ってもいないんだろうなぁ… というのが、このシナリオに対する私の印象です。 このゲーム2部構成なので一応分けて書いていきますか。 第1部は悪い言い方をしてしまえば、第2部への前振りです。 主人公の平凡だけど無目的な日常、そんな中であう恋、求める永遠、 そして突然訪れるあまりにも悲惨な遙との別れ。 この1章は甘ったるすぎるほどの孝之と遙の恋愛ややり取りが素直に楽しませてくれます。 これによって既存の「主人公と彼女が別れてしまう作品」の多くに見られた「主人公とプレイヤーの意識隔絶」を防いでいるのは評価できるでしょう。 恐らく多くのプレイヤーは、孝之同様に遙を好きになり、そして1章ラストでどん底に落とされるはずです。 ここまでは個人的には何の不満もありませんでした。 で、物語は当然2章に行くわけですが。 2章ではメーカーがなくすよう努力していたはずの隔絶感を突きつけられます。 事前に配布版をやって間を置いていたプレイヤー、あるいは各種雑誌を読んでいた人ならばそうでもないでしょうが、3年が経ち(でもゲーム上では数分)あまりに変わった主人公の周辺環境には戸惑いを感じるプレイヤーが少なくないと思います。 どうせプレイ時間は長いんですし、1.5章も用意した方がよかったんじゃないかと。 さて、今ちょっと触れましたが、このソフトはかなり冗長です。 主人公が作中で色々と思い悩み揺れる上に、 なまじ心理描写が丁寧な分だけシナリオの分量は膨大なものになっています。 しかも、それに加えて2章における「日常」であるファミレスでのやり取りまであるわけですから……もの凄い量です。 どちらを削れというつもりもないですが、そこまでの物量が必要だったのか疑問。 #特にメインヒロインルートにおけるファミレスシーンは無駄に長い気が ゲームというのは別に主人公の毎日を追体験させるツールではないと思うんですが?(^^; 少なくとも私はこの物量の前に素直にダレてしまいました(爆) 以上が比較的客観的な意見。以下は主観丸出しの意見です。 主人公の孝之がヘタレ過ぎて腹が立ちました。 あの状況で揺れるのは当たり前です。むしろ揺れなきゃ人として変。 でも、いつまでも揺れすぎだと思うんです。 それに揺れた末に出た結論もいつまでも引き延ばして口にしないし。 プレイヤーの分身たるにはあまりにも「孝之」の意識が先行しているように感じました。 今ひとつ分岐での選択が彼の行動に反映されてない感じがするんですよね(^^; 前述の冗長性によって入り込めなくなった分もあるんでしょうが、 個人的にはこれは「プレイヤーが遊ぶ多重恋愛ADV」と呼ぶよりはむしろ(その長さも含めて^^;) 「孝之が演じる浮気ものの連続ドラマ(1クール分)」と呼ぶべきなんじゃないかと思ったりします。 プレイヤーが外から眺めている感覚が結構強いと思うんですが……。 結論としては「ヘタレを許せるか」「長いと思わないか」の2点(特に前者)で大きく評価の変わるシナリオと言えましょう。 万人受けはしませんし、恐らく製作者側も確信犯かと(ぉ #まあこれだけ「孝之うざい」と思わせるってことはテキスト自体の質は高いのでしょうけど(^^; |
総評 |
もうちょっと万人向けかと思ったけど、予想は外れましたね。 やっぱりアージュはアージュってことなのかな?(マテ まとめ。大いに人を選ぶ大作。 買う前には自分のタイプをよく自問することをオススメします。 ウチに限らず各レビューサイトの評価をそのまま鵜呑みにするのは危険、そんなタイプのソフトです(自己否定) メロドラマ的なテレビドラマとかが好きな方なら割とイケそうではあります。参考までに。 シナリオ以外の評価は80点超、シナリオを含めた客観評価は70点 主観評価60点との間をとって65点にしておきます。 |
書いた時点での総プレイ時間 | 33時間10分(コンプ) | ||
お気に入りのキャラ | 涼宮茜・大空寺あゆ・天川蛍 | ||
お気に入りのセリフ | 「鳴海さんに、甘えられないのは……無理してるからじゃないですっ」 「あんですとー!」 「オマエなんか猫のうんこ踏めーーー!」 |
初版2001/08/16