Moon Light〜おもいでのはじまり〜(PC)
メーカー Clear 総合評価 70点(佳作)
ジャンル ADV
発売日 2000/02/25
シナリオ 秋津環・さとぴぃ 話題性とか特になかったような気が(^^;
まあ新規参入の第1弾にしては売れてた
みたいですけど。うわ、なんか手抜き(笑)
原画 Rけん
サウンド ClapScrap


個人的エピソード
個人的には新規参入メーカーのデビュー作って不安なんですよね。
統計データ的にも近年の参入ラッシュの中、デビュー作は駄作っていうのが
多いですし(本当に統計をとったわけではないのでわかりませんが^^;)
てなわけでちょっとだけ不安でした。
でもまあ、好みの絵なんで買っちゃうんですけど(ぉぃ

内容
間もなく廃校を迎える学園。
一つの「時」が終わりを告げようとしている。

「失って、初めてわかることもある」
陳腐な言葉。ありふれた言葉。
でも、それは今の自分には真実だった。
だから、今の時を大切にしたい。自分のまわりにいる人達すべてを大切にしたい。
その「時」を迎えるまでのしばしの猶予。

大切な人と一緒にいられる時間。
失うものの中で失わないものを求めて……。

それが、あると信じられるほど、自分はまだ無邪気だった。
(マニュアルより抜粋)

もうちょっと端的に言うと自分の思い出の場所である学校が消える前に絆を作って新
しい「おもいでのはじまり」を見つけよう、という話ってことですね^^;

システムとか
システムはかなり充実しています。優秀です。
読み返し機能が付いていないくらいで他の基本的な機能は網羅しているといって過言ではないでしょう。

鑑賞系もCG、シーン回想、音楽鑑賞と揃っています。
珍しいところではオートプレイ機能(選択肢以外は自動で進む)があるのですが、
それに伴って文字表示速度はおろか文末ウェイト時間まで設定できるのはなかなか大した工夫ではないかと。

セーブ個所は25箇所でゲームのボリュームを考えれば十分な数でしょう。
さらにセーブした場面の絵が表示されるのでどういうシーンでセーブしたのかがすぐにわかって便利です。
といった感じでシステム関係への文句はほとんどありません。
新規参入ブランドに対してシステム面でこうまとめられるとは思ってませんでした(^^;

絵とか
かなりの高水準だと思います。
まだ斜めアングル時などのキャラクターの顔が若干まとまりを欠くかな、
という気がしないでもないですが^^;好きなタイプの絵柄なので気にしないことにしました(ぉぃ

立ち絵、イベントともに塗りも水準には達していると思います。
ただ難点としては十分な数の立ち絵に対してイベントCGが少なすぎる点でしょうか。

1キャラあたり12〜14枚で全部で5キャラというのは昨今のゲームの中ではちょっと少ないかな、という気がします。
ゲーム全体でCG枚数が60枚ちょっとですから…。
その上、大半が中盤以降に集中しているのでプレイヤーのやる気を引き出すにはちょっと弱いように感じました。
まあCGの少なさに関してはシナリオ上イベントが少ないのである意味しかたないことなんですが……。
#ちなみに各キャラCGのうち4枚はHシーンであることも付記しておきます(笑)

音楽とか ※音声はありません
なかなか良質なんじゃないかと思います。
全部で22曲ありますがそのうち7,8曲は個人的なツボにはまりました。

特に「悠理」のテーマと「meek」「懐古紀行」は非常に良かったです。
ってまたフルート曲とピアノ曲ですか>自分(爆)
それ以外の曲も水準には達しています。
実はメジャー→マイナーみたいなアレンジで作った曲が何組かあったりしますが^^;それはご愛嬌ということで。

それに対して効果音の方は音楽ほどはがんばっていません
確認した限りでは学園(学校じゃないんですよね^^;)のチャイムと波の音だけでした。
それでも何もないよりははるかにマシですし、シナリオ上追加するにしても汐音に叩かれる音しか追加しようがないので十分と言えなくもないのですが……。
残念だったのは「ザザーッ、ザザーッ」というテキストが3回出る場面があるのですが
最初の1回しか波の音が挿入されていなかった点ですね。
せっかくそこで波の音を用意したんですからしっかり演出で使って欲しかったです。
なんか変なところで残念がってますが、私。

シナリオとか
「廃校」というシチュエーション自体は主人公が大切な何かを失うところから始まる
最近流行りの「死にゲー」の変化形と言えるでしょう。

そして大半の「死にゲー」が抱える弱点をこのシナリオも内包しています。
それは主人公の悲しみをプレイヤーが共有できないという点です。
主人公やその友人は何気ない会話の途中でも急にしんみりして「もう学園がなくなるんだよね」とか言い始めますが、プレイヤーは主人公にとっての学園の大切さがわからないので置き去りにされてしまいます。
(さすがに廃校を経験している人は少ないでしょう)

さらに本編をやればわかることですが廃校である必然性が感じられません。
廃校という設定を使ったシナリオが存在しないからです。
これなら卒業なり主人公の転校なり他の手法でも学園で知り合った人との別れの辛さや、
自分ではどうにもできない現実を突きつけられる主人公の立場は描けるんじゃないかというのが正直な感想です。

もう1つの難点はCGの項目でも書きましたがイベントが少なすぎるという点です。
個別シナリオに進むまではほとんどイベントらしいイベントもないので、
シナリオ全体が淡々と進む印象を受けました。
もうちょっとキャラごとのストーリーを盛り上げるようなイベントが欲しかったところです。

と文句ばかり書いてきましたがテキストのレベルが特別低いわけではありません。
良質とまではいきませんが楽しめるレベルは十分保っています。
日常シーンの笑いなどはもうちょっとがんばってほしいような気もしますが。

主人公の思考にも「廃校」に関する点を除いてはついていくことができます^^;
香耶・汐音シナリオは予想圏内の展開だったのでなんてことないなぁ、と思っていたのですが
沙祐璃・美姫はそうくるかぁって感じでした。
あの2人の展開を読めた人がいたら怪物です(沙祐璃シナリオなんかは伏線がなくもないですが)。

付記しておくとシナリオレベル自体はメインの悠理が1番だと思いますけどね^^;
もうちょっとシナリオさんの力量が上がれば大化けするかもしれません。

シナリオ全体としては「恋愛」と「青春もの」の中間といったところでしょうか。
少なくとも「泣き」ではないと思います。
あとすぐ攻略記事に頼る私には無縁ですが難易度が高めらしいです。
唯一自力でやった悠理はそれほど難しいとも思わなかったのですが
……なるほど汐音なんかは難しいかもしれませんね。

総評
まあ心配が杞憂に終ってよかったです。「絵だけソフト」かもと思っていたので。
色々問題点もあったりするわけですが、次回作で改善するべくがんばってほしいです。
シナリオの項目でも触れていますが結構今後に注目していきたいメーカーさんになりました。
↑「次回作も買う」とは言わないのが卑怯^^;
不安なんですけどね、「合資会社」とか書いてあるので(爆)

まとめ。絵が好きな人、先物買いがしたい人なら(ぉぃ
点数は客観評価だと60〜65点くらいなんですが2つのシナリオで驚かされたことに敬意を表して、
そして今後への期待をこめて70点にしておきます

書いた時点での総プレイ時間 11時間20分(コンプ)
お気に入りのキャラ 岡崎汐音 #やっぱ気の強い幼なじみには弱いです
お気に入りのセリフ 特になし

初版2000/03/06