二重影(PC) ※ディスク2枚組
メーカー ケロQ 総合評価 65点(及第点〜佳作)
ジャンル NOV
発売日 2000/11/30
シナリオ ACA-自 人によって凄まじく評価の分かれる「終ノ空」を出したケロQの第2段。
今回も古事記とか本朝幻想文学とかなかなか尖った独自路線です。絵は思いっきり売れ線なのにね(ぉ
原画 基4%・SCA-自・2C-GALORE
サウンド BLASTER HEAD


個人的エピソード
時代劇は結構好きだし、やっぱりこのメーカーの絵は魅力的ということで(^^;

内容
時は寛永17年、戦国の余韻も未だに消えず、ちまたにあるじと食を求める
浪人が溢れ、旗本の辻斬りが横行する時代。

そんな死臭漂う、闇の世を一人の異形の剣士が彷徨する。
その名、二つ影双厳。二つの影を持つ剣士。
二つに引き裂かれた影は呪われし者の印。
一つの影は人間の、もう一つの影を人間以外のものの、その両義性故に、
表からも裏からも狙われ、彼が歩んだ道は肉塊と血反吐で埋め尽くされる。
その呪われた血故か、あるいは偶然か、双厳は自分の呪いに類似した恐るべき島に赴く事となる。
その名、淡炎島。
この古事記に出てくるという、形を持たない面妖な島と同名の島で、
双厳達を襲う奇々怪々な現象!

生まれる子供がすべて双子であるという島。
双子の片方はかならず間引かれるという島。
その子供の数だけの鳥居に埋め尽くされている島。
そこで行われる呪われた儀式とは?
(パッケージ裏より)

システムとか
必要容量は約600MB、音声がないにしては多い部類でしょうか。
おそらくは3ヶ所程度存在するアニメーションに起因すると思われます。
が、使い方を見てると容量増やすだけの意味があったかは疑問(ぉ
選択肢を選んで進んでいくタイプのノベルゲームです。
人物との会話時はテキストウィンドウが表示されますが、
モノローグや情景描写は第3者視点ノベルタイプの全画面テキスト表示で行われます。
AES(オルタナティヴ・エモーション・システム)というそうです。
また、このゲーム独特?の物としてPIS(フレーズ・インストラクション・システム)という物があります。
まあ早い話、用語解説です(^^;

セーブ数は257個(0〜256まで用意されているので257個ですよね?)。
絶対に8割以上余ると思いますが、多いに越したことはないので問題はありません。
負ければゲームオーバーになってしまう戦闘の前には必ずセーブダイアログが挿入される仕様は
なかなか便利でした。攻略見ないで、かつ無傷というのはなかなか難しそうなので。
スキップは強制のみ。Ctrl押下で機能。既読欲しいです…(そればっか)。
読み返しはなし。ノベルには必須の機能だと思うのですけれど(^^;
鑑賞系はCGおよびシーン回想、なぜにBGM鑑賞がありませんか?

まあ多少の不満はあるものの、大体において満足行くシステムでした。
あ、でも移動シーンで選択肢総当り方式はやめてほしかったかも…。
攻略見ながらやっててもかなり疲れたんで、見なかったらと思うとゾッとします。

絵とか
絵はなかなか魅力的ですし、一般受けもする部類に属するかと思います。
塗りも文句はありません。異形達のデザインはなんだかなぁですけど。
なんですがある程度以上重要なキャラの中で幽香だけが目やデザインの感じが違って違和感を感じます。
別に(恐らく幽香のデザインをしている)2C-GALORE氏の絵柄が嫌いとか悪いとかいうことではなく、
他のお二方の絵柄が割と似ているので浮いた感じになってしまっているというだけなのですが…。

枚数は鑑賞モードによれば68枚(パターン違い含む)、パターンを除くと51枚。
ただ、この鑑賞モードではHシーンのCGしか見られません。
シーン回想があるのにこの仕様は正直あまり意味を感じませんでした。
他の通常一枚絵も結構出来はいいですし、
戦闘時に表示されるラフ調CGなんかもいい味出しているのでその辺が見られないのは残念ですね。
っていうか見せろ。
ちなみにこれを含めると恐らく枚数はこの1.5〜2倍になると思われます。

音楽とか ※音声はありません
BGMはCD-DA再生で全20曲。テクノ調?(よくわからん^^;)の曲が主体です。
#本職のテクノDJの方が作ってるのできっとテクノでしょう

舞台とテクノが合うかどうかが不安でしたが、その心配は杞憂に終わりました。
とりあえずシーンと音楽はしっかり合っていると思います。
曲自体の出来も決して悪くはありませんが、特別印象に残るほどでも。
というか似た印象の曲が多くて「20曲もあったの?」というのが本音だったり(ぉ
OPとHシーンの曲は結構お気に入りです(BGM鑑賞モードがないので曲名は不明)。

ただこの感想はアテになりません。私、テクノとかって全然知りませんから。

シナリオとか
なかなかに面白いシナリオです。雰囲気出てていい感じ。
見せ方も上手いですし、主人公の双厳や柳生十兵衛といった男キャラが
かっこいいのも個人的にはポイント高いです(ぉぃ

終盤に儀式や淡炎島の謎が解けるあたりまでは、間違いなく「面白かった」と言えます。
様々な要素が1つに結びついた時には思わず声をあげてしまいました。
が、最後の締めくくりがちょっといただけなかったかなぁと。

物語は最初と最後が1番重要だと個人的に思っていますが、その点で難が。
単品で見た場合、話の締め方としては悪くはないのですが、
3人ヒロインがいてマルチエンドを謳っているにもかかわらず、内容がほとんど変わりません。
「内容が変わらない」というのは例えば“どのシナリオでも主人公が1度消えて1年後に戻ってくる”
というような意味(設定・情況レベル)で同じなのではなく、
どのシナリオも細かいセリフ回しが多少違うだけなのです。
前述の例えに倣うなら“どのシナリオでもヒロインと背中越しに話して目覚し時計を貰って消える。
セリフも一人称や語尾以外はあまり違いを見つけられない”といったレベルで同じ、といったところでしょうか。
これで何となくでもわかってもらえるでしょうか? ちょっと無理っぽいですね。
#例に挙げてるソフトが何かは聞かないでください(^^;

これではマルチエンドとは言えないのではないでしょうか?
同じ流れに対して複数の可能性を示すからこそマルチなんでしょうに。
同じ話を何度も読む気にはなれません。
先ほどのポリシーもあって最終的なシナリオ評価はだいぶ下がってしまいました。
#なんだかんだ言って終わった時の印象が1番強く残るので

――追記
このゲーム、なかなかHシーンも多くて実用性も高めだと思うのですが
1番気に入ったのがフタナリな人とのシーンとヤオイなシーンでした(爆)
……ボクはノーマルかどうか自信がなくなってきましたよ。男子校出身だし(え?

総評
全般的にはよく出来ていると思います。最後が気に入らないだけで。

まとめ。なかなか良く出来た伝奇ものノベル。
そっち系のが好きな人なら楽しめるでしょう。最後が気にならなければ1点加点。
あとやっぱり主税(♂)は女として描かれていると思います。
だってあの絵には胸あるもん、絶対!(精一杯の自己弁護)

書いた時点での総プレイ時間 11時間45分(コンプ)
お気に入りのキャラ (強いてあげれば)北条主税(マテ・命 #主税の方が上かよ、オレ
お気に入りのセリフ 特になし

初版2000/12/31