Portrait(PC)
メーカー TESLA(リンク先は元・親ブランド) 総合評価 80点(良作)
ジャンル ADV
発売日 2000/07/28
シナリオ ココノツ \6800という破格の値段設定がなされたものの、当初はあまり話題にならなかった。売れなかったから解散?(ぉぃ
#「岩登」とかわからない人、多数っぽいなぁ
原画 ぶるべら
サウンド SoundteamS.L.M.

※以後の評価は00年8月5日公開修正版に基づいています

個人的エピソード
メルマガ「ゲーマーズライフ」201号のコラムを読んでつい購入。
どうせならCC2000のメーカー直販(\2500)で買えばよかった…。

内容
これは、悪魔がくれた「瞬間の悦楽」か
女神がくれた「永遠の幸福」か?


主人公の通う恵聖学園は神学系で全寮制、厳しさの中にも暖かみのある校風である。
彼の所属する美術部は他に顧問と女性部員が3人と小さかったが、
それぞれが意欲的に作品作りに励んでいた。
ある日、彼は徹夜で読んだ「深い淵」という本をモチーフに作品を作ることにする。
するとその晩から奇妙な夢を見るように…。
それは、様々な場面で、それぞれに美術部の女性が一人現れるのだ。
最初はその夢に違和感を抱いていたが、やがて彼はそれぞれの夢から彼女たちの
トラウマや恐怖、不安や想いを知ることになる。
作品を作りながら彼女たちと現実にふれ合い、そして夜毎観る奇妙な夢の中で
その心にふれ合っていく…。

彼女たちの心を抱くように大切に想い、
その奥底にある物を癒すことが出来るのだろうか?
それとも彼女たちの心を無視するように振る舞い、
自らの欲望で埋めてしまうのだろうか?
(パッケージ裏より)

システムとか
必要容量は約240MB。音声ないのでこんなもんですか。
右クリック時にセーブウィンドウが出るまでに若干のタイムログがある点、
修正前だとCDが再生されないことがある点(修正すれば問題なし)を除けば何も文句を言うところがありません。
至れり尽せりといった感じです。

選択型のADVでセーブ数はデフォルトで10個。
これだけだと少なく思えますが拡張セーブという機能が用意されていて
ファイル名を付ければ任意で増やせます。
よってセーブ数が足りなくなるということは理論上ありえません。

読み返し・スキップも当然あります。バックログは最大999行まで。
「履歴ウィンドウ」を別ウィンドウに開いてログを表示するので大変見やすいですし、
スクロールバーを動かすだけで読み返せる方式は他でも取り入れるべきかと。
あとはメッセージ履歴以外に自分の選んだ選択肢の履歴を見ることもできるのも珍しいでしょうか。
攻略を作る人には便利かと思われます。
スキップは強制・既読と両方あってなかなか高速です。デフォルトではCtrlで強制、
3ボタンマウス(インテリマウスなど)の中ボタンで既読となっていますがこの辺は
設定で変えられます。我が家は3ボタンなんですが、この中ボタンでスキップというのが思いのほか便利でした。
その他、細かい気遣いが随所に見られて好感を覚えました。

鑑賞系もCG・音楽・シーン回想と一通り揃っています。
ま、ここまでシステムに配慮していればこの辺りは当然といった感もありますが(^^;

絵とか
立ち絵は若干頭が大きすぎてバランスを欠いている気がするものの、あとは良質だと思います。
塗りも立ち絵はそうでもありませんがイベントCGはかなり丁寧な仕上がりです。

特にハッピーエンドルートで見られる純愛系のCGの出来栄えは有名メーカーと
比較しても決して見劣りしません(むしろ勝つかも)。

枚数の方はパターン違いを除いて61枚。
攻略キャラクター数(4人)を考えればこんなものかもしれませんが、プレイ時間を考えると少なめ
Hシーンに1キャラ平均で6枚くらいは割いている構造上、1度にまとまって何枚か見ることになるのと、
同じCG(パターン違いなども含めて)を何度も見るので数字ほど少ないとは感じさせないですけれど(^^;

あ、我が家ではルカのワーストEDのCGが登録されないバグがありました。
まあバイナリエディタ使って自力で埋めたんですけど。
#現在では修正されている模様

音楽とか ※音声はありません
音楽はCD-DA再生の全21曲。

悪いとは思いません。水準程度かやや上のレベルには達しているかと思います。
ですが、クリア後にそれほど印象に残りませんでした。
印象に残ったといえばどこかで聞いたような曲が数点見受けられることでしょうか(^^;
その他、ワーストED曲で生ギターが使われているのには驚かされました。
恒例のお気に入り曲は「Portrait」「迷夢」「Joyfull city」あたりです〜。

シナリオとか
しっかりしたキャラクター設定とそれに基づく伏線、それらをうまく利用したシナリオ展開は見事です。
主人公が聞いているラジオと本編を絡める作りなんか鳥肌が立ちましたから。
行動や心理の描写も丁寧で主人公の性格も好感が持てますし、その行動も大半は理解できます。

丁寧な描写ゆえにテキスト分量は相当なものですが、
演出なんかもしっかりしてるのでやっていて冗長に感じることはありませんでした。
この辺は「AIR」とかよりも上ですね。
また、このゲームには鬼畜ルートもあるのですがそれも結構しっかりと作られていて
(10代の性欲大暴走って感じもしますが^^;)単なるオマケ的要素には終わっていません

と、ここまでで書くことがなくなってしまいました(ぉぃ のでちょっと詳しく。
恋愛シナリオの方はここ最近では出色の出来だと思います。
特に告白シーン前後は過去最高クラスの一本かと。
私の場合、本来恋愛で最も盛り上がる告白シーンよりも途中のイベントの方が心に残りやすいのですが、
このソフトに関してはちゃんとそこで盛り上がれましたし。
告白シーンで感情がこみ上げて泣きそうになったのなんか「ぱすてるチャイム」のミューゼル以来でした。
#あの娘の「だって……泣いちゃうよ」のセリフで泣きかけた(バカ

鬼畜ルートは上にも書いたとおり、単なるオマケではないシナリオになっています。
しっかりエロ面も満たしていて満足は満足なんですが、
恋愛ルート後にやるとヒロインがかわいそうで見ていられないこと間違いなしです(^^;
両ルートともにHシーン描写も頑張っています。
強いて難を挙げればキャラやルートごとの重複が少ないので
短期間に一気にプレイするにはちょっと辛いことくらいでしょうか?

ただ、なんででしょう。私は若干入り込みきれませんでした。何かが微妙に足りないというか…。
自分でも原因が何かはよくわかりません。
物事に対する姿勢が非常に真面目な主人公に馴染めなかったのかもしれないし(自分はいい加減なので)、
ワーストEDの痛すぎるシナリオ展開に馴染めなかったのかもしれません。
シナリオ技量や完成度が高いのは間違いないところなんですが……。

総評
楽曲面はともかく他への不満はほとんどないです。
実はその優等生的な面が物足りなさの原因かもですが。

まとめ。本当に丁寧に作られた良質作品
定価\6800で実売は\4000程度かと思われますが、その価格でこの質は素晴らしいの一言に尽きます。
他のメーカーさんにも見習っていただきたいところ。
薄利多売にはなっていなさそうなのでこのメーカーの今後が不安でもありますが(中古で買ったヤツの言葉か^^;)。
本音を言えば75点ですがコストパフォーマンスの高さを評価して80点に格上げです。

書いた時点での総プレイ時間 18時間45分(コンプ)
お気に入りのキャラ 桐嶋ルカ
お気に入りのセリフ 「Я люблю тебя!」(注:ロシア語)

初版2000/11/17 最終更新2001/10/06