Prismaticallization(PS)
メーカー アークシステムワークス 総合評価 55点(凡作〜及第点)
ジャンル サーキュレイトADV
発売日 1999/10/28
シナリオ 池田秀一 同じゲームを100巡やったのは後にも先にもこれだけ。
原画さんの問題発言で発売後、一気に有名に(^^;
「ネットって怖いなぁ」と心底思いました。
原画 森藤卓弥
サウンド WATAR CLOCK


個人的エピソード
絵に惹かれて買いました。(またかよ)以上です。
あ、同じ一日が繰り返すってのも興味はあったけど(フォローのように)。
…いや、本当に。「君といた未来のために」とか好きだったし。
(※「君といた〜」:日本テレビ系でやってた堂本剛主演のドラマ)

内容
何度朝を迎えても、始まるのは同じ一日・・・

夏の避暑地
快適な受験勉強を、との名目で連れてこられた主人公
明確な目的を持てないまま無意味に怠惰に過ぎていく一日
そして、5人の娘たちとの触れ合い…

しかし、ある奇妙なオブジェを拾ったことで不思議な感覚にとらわれることに…

繰り返される毎日。
常に付きまとう、退屈と倦怠。
しかし、自分からは何も変えられない。
ただ、その場に流されるだけでしかない。
……では、どうすればいい?
この不安と焦燥とを癒すには、どうしたら。

それでも自ら踏み出すことができなければ、それは何も変わらない。
(Webページおよびマニュアルより)

個人的には広告コピーにも使われてた「流されるだけでは、あしたは来ない」って
いうフレーズの方がこのストーリー紹介より好きなんですが。
まあ、「何度朝を〜」の部分が如実に内容を語ってます。

システムとか
かなり独自のシステムを採っています。一日を過ごしていると様々な出来事が起こります。
その出来事を「オブジェ」に「記録」するかしないか、だけがプレイヤーの介入できる行動なのです。
それ以外は何もできません。

さらに、ここで「記録」してもしなくても、そのプレイ時には何の影響も及ぼしません。
一日が終わり、次のプレイ時(当然また同じ一日です)に条件(時刻など)が揃っていれば
オブジェの「記録」が自動的に「解放」されます。拒否権はありません(^^;
その結果、同じはずだった一日が変化するというわけです。

わかりにくいかもしれませんが、まとめると
“自分の選択の結果が次回プレイ以降に反映されるADV”
といった感じでしょうか。かなり攻略には苦しむ仕様です。いや、本気で辛いから。
(「次回プレイ以降」と書いたのは条件が揃わなければ「記録」は「解放」されずにその後も残るから)

セーブ数は1ファイル1ブロック使用で最大15個。
ファイルごとに1ブロック使うのは個人的にはいただけません。
そんなにセーブファイルが大きくなる仕様とも思えないんですが…。

読み返し機能はありませんが、スキップ機能は付いています。
このスキップは大変高速(1プレイ1分半くらいで終わる)ですが、
描画途中でも問答無用でスキップするのでスキップ中の画面は結構すごいことになったりします(^-^;)

絵とか
森藤卓弥(現・射尾卓弥)さんが手がける絵はかなり魅力的です。
なんせ購入動機の多くを占めるのはこの絵ですし(^-^;)

ただ独自性という部分であまりに弱すぎるような気がします。
既に有名になっている甲斐智久さんの絵に似過ぎです。
こういう点で一部の人の間に話題を作ったのも事実ですが、独自性がない絵は売りを一つ減らしているような気もしました。
CGについては特にコメントしません。
背景以外は原画(マーカー彩色?)を取り込んで使っているので厳密な意味でのCGは存在しないので。

また、あれからだいぶ時間も経ったので「例の」コメントについても触れません。
意味がわからない人は2ちゃん辺りで「プリズマ大先生」について調べればすぐにわかるでしょう。

音楽とか ※音声はありません
一部を除いて特別印象に残った名曲もありませんが、駄曲?もありません。
だってスキップ使えば1分半で終わるんですよ?
BGMが意識に残る間なんてあるわけないじゃないですか。

ED直前の曲や夜の野外で流れるBGMはわりとよかったです。
あ、OPとEDの主題歌は気だるい感じの曲で個人的にはかなりツボです。
(ファミ通のクロスレビューでも褒められてました)

シナリオとか
これが曲者です。
私のように比較的気に入って相当数プレイすると妙に味わい深く思えるようになったりもしますが、肌に合わない人にはトコトン合わないシナリオだと思います。(要するにクセが強すぎ

主人公の主観で見た文体でシナリオは展開していくわけですが、
とりあえずこの主人公に感情移入することは不可能だと思った方がいいです。
感情移入できたとしたら多分その人が主人公のモデルです(ぉぃ

極めて後ろむきでやたらと哲学などの薀蓄を内心で語るという人で、こんな高校生イヤです。
きっと学校には友達などいないことでしょう(笑)

その主人公の異様な薀蓄(作品中に出てくる単語を抜粋すると「安閑天皇」とか「ニーチェ」とか「ハイデカー」とか…。誰が安閑天皇なんて知ってるというのか?)に耐えるか気にしなければ他の部分は比較的普通です。

さて肝心の「繰り返す一日」の部分の表現に関してはなかなかよくできていますが、
同心円状の循環を繰り返す世界が主人公の行う「解放」に耐えられなくなって
次の時間へと動き出す瞬間、そこに至る経緯(プレイヤーは当然知っているが、主人公は知らない)を飛ばして突如循環が終わるというのはいただけませんでした。物凄く置いてきぼり感が。

なんというか、もう少し循環が崩れる予兆のようなものを見せてもよかったんじゃないかと思います。

ただ、長々と書きましたがシナリオで1番不満なのはギャルゲー色が薄すぎなことです(爆)
この絵柄のキャラなのに恋愛らしい恋愛イベントもないなんて…。
まあ、1日で恋に落ちるというのもなんだかアレですが。

ああ、余談ですが11歳の実の娘に恋慕の情を抱いていることに気づいて旅に出る
父親っていうのはPSの規定上、問題なしなんですか?
その辺の18禁よりヤバイ設定だと思うんですが。
#そーゆー困った人が出てくるんです。あと義理の妹が好きな兄貴とか(ぉぃ

まあ、死ぬほどアクが強いですがそれを何とか乗り切れれば。
あとは100巡を超えるプレイに耐えられる寛容な心の持ち主なら。
……書いててフォローになってないような気がしました(^^;

総評
個人的には妙に気に入ってしまったのでこの点数ですが、
もうちょっと冷静に点ければ40点くらいが妥当かもしれません。
「1日が繰り返す」という企画自体はかなりいいと思うのですが、それを生かしきれていないという感じがしました。
主人公をもうちょっと親しみやすくするとかその程度工夫でももっとよくなると思うんですが…。

個人的にはシナリオを改変してもう1度同コンセプトで作ってほしいソフトです。
でもまあ、企画のアイデアが気に入った人なら買ってもいいかも(ファミ通風に)。

最後に、これは禁句なんでしょうがやっぱり宝玉とマップは必要です(核爆)

書いた時点での総プレイ時間 10時間(146巡、全キャラクリア)
お気に入りのキャラ 琴原みゆ@11歳(ぉぃ
お気に入りのセリフ 「お兄ちゃん…また痛いこと…してください」

初版1999/11/20 最終更新2001/06/12