Refrain Blue(PC) ※ディスク2枚組
メーカー エルフ 総合評価 70点(佳作)
ジャンル NOV
発売日 1999/11/26
シナリオ 茂原雅人 老舗エルフが送る初のノベルゲーム。
「エルフノベルシリーズ第1弾」とのこと
でしたが第2弾はいつ?(ぉぃ
原画 門井亜矢
サウンド 与猶啓至


個人的エピソード
まあノベルスキーとしては買わないわけにはいかないだろうということで。
それに門井さんの絵も大好きですしね。

内容
「わたしは、海で待っています」

想い人・深景さんとの悲しい別れ。
あれからもう7年…。
季節は繰り返し、海はただ静かに待ち続けていた。
そしてあの海辺に、「7度目の夏」が巡るとき…。
僕はいったいどんな想いを抱いて、その地を再訪することになるのだろう…。

巡る運命の中で紡がれる「想い」の物語。
(パッケージ裏および自作の言葉)

システムとか
ごく一般的なノベルゲームです。システム的にも同じことが言えます。
メッセージスキップ機能など必要最小限のものは揃ってます。
クリア後の追加要素としては音楽、CG鑑賞モードがあります。
まあ、Hシーンがウリではないので回想シーンについては無くてもあまり困りません。
(Hシーン自体はそれなりにボリュームがあるのですが)

難点を上げるとすればセーブ数の少なさでしょう。
シナリオ数が6個とはいえセーブ数が6個では少なすぎます。

テキストオンリーで読むにはちょっとメッセージ表示が遅すぎる気もしますが、
音声を聞く分には音声とほぼ同スピードなのであまり気になりません。
システム面に関してはそれくらいですね。特に文句はなし。
あ、エルフ作品に共通した難点ですが強制フルスクリーンはちょっと…。
一応、切り替え機能くらいは欲しかったです(私はあまり使いませんが)

絵とか
かなりいい出来ですね。大満足です。

門井氏といえば「下級生」で有名ですがその当時より遥かにレベルアップしてます。
なんというか当時よりバランスがよくなったし体つきが肉感的になっていい感じです。
もう1回恋愛ゲームのキャラデザやりませんかねぇ?>門井さん

CG彩色に関してもさすがと言うべきか丁寧な塗りですね。

ノベルゲームにおいては背景CGも重要だというのが定説^^;ですが背景も出来がいいと思います。
特に波打ち際のアップ(?)の波の青さや透明さについては最初実写かと思っちゃいましたから^^;
海と空はレベル高いと思いますよ、本当に。
昔、南国に住んでいたこともある私が言うんですから間違いありません。

音楽・音声とか
いや、よかったです。
99年に出た18禁ゲームの中でもかなりいい部類に入るんじゃないでしょうか。
個人的には「Kanon」に次ぐレベルだと思っています。
なにしろ半分くらいの曲(全27曲)が個人的ツボにはまってるので。

音声について。演技力は十分なんですが「奈緒」の声だけはちょっとイメージと違うと思いました。
澄んだ声という設定なんですが声優さんの声が鼻にかかったこもった声なのです(爆)
それ以外は全く文句なし。イメージにも合っていていいと思います。

特筆すべきは効果音でしょう。数あるノベルゲームでも効果音の良さは最高水準かと。
波の音や風の音、砂を踏む足音、蝉の鳴き声…特に波と風の音は聞いていると寝てしまいそうなくらい自然でした。
音回りに本当に気を使ったことが窺えます。かなり他社のノベルゲームを研究したんでしょうね。
老舗の意地みたいなものを感じました。

シナリオとか
間違っても門井キャラとの海辺での恋愛物語を期待しないように。
そういう要素もありますが、どちらかというと「悩む女の子の救済」といった匂いの方が強いように思います。
終盤にはファンタジー的な要素も強まりますが。
「救済」ですのであまりキャラ萌えとかは期待しない方がいいです。

かといってキャラが描けていないかというとそうではなくて、それぞれのキャラが出逢いの第一印象とは違った側面とストーリーを持っています。
まあ、救済物の常套手段と言ってしまえばそれまでですが(^^;

主人公が大人なのも個人的には好印象です。
非常に大人で優しい視点で少女達と接していてプレイヤーも好感を持てますし、
少女が惹かれるのにも納得できます。
(ちなみに主人公の名前は松永善博で固定なのですが、
かなり独立した人格を持っていますしシナリオ的にも固定でよかったと私は思っています)

で、ここからは難点です。
シナリオは非常に丁寧に書かれていて出来もいいのですが、
音声が付いているせいもあってか若干冗長に感じました。
特に主人公の7年前の思い出のシーンがかなり長かったように感じました。
(まあ、これも伏線なんで仕方ないんですが)

またそもそも何故、深景さんも主人公に惹かれたかという点で納得のいく描写がなかったのもマイナスです。
(これも「運命の恋、一目ぼれだった」と言われたらそれまでですが)

そして最大の難点。(以下ネタバレ)
このゲームはクリアする順番がほぼ固定化されていてあるヒロインをクリアすると次のヒロインへのフラグが立つという形式を取っているのですが、全てのシナリオが最終シナリオへの伏線のようになってしまっています。
電撃姫Vol.8でのシナリオさんのコメントによればそうではなく各ヒロインのシナリオは「運命の持つ可能性」といったもののようですが……。
あとは作中に出てくる「謎の少女」の正体がバレバレなことくらいですかねぇ。
最終シナリオで明かされるのですが正体が深景さんなことくらいすぐ見当つきますし^^;

(ネタバレ終わり)

とまあ難点もありますがシナリオ全体としては良質です。
ちょっとパンチに欠けますが十分人に奨められるレベルです。
2作目にも注目したいシナリオさんですね。

総評
まず始めに。私はエルフのノベル第2弾が出たら買います。
これくらいの水準が維持できるのであれば、ですが。
少なくともそれくらいには満足できたということです。
発売前に「実はクソゲーなのでは?」と危惧していたのですが、杞憂に終わってよかったです。

まとめ。シナリオ・絵・音楽ともに高水準の良質ノベル。
長めのシナリオにも挫けないなら。ノベルスキーはやるべし。あと門井ファンも。
点数は70点。「かなり褒めてるのになんで?」と思われるかもしれませんが恋愛方面でも
感動方面でもあと1歩パンチ力に欠けているのがネックになりました。
もうちょっとパンチ力があれば80点もありえましたが……。
ちなみにこの作品、名作派と佳作派に分かれるらしいので私は70点ですがあまりアテにはならないかも。
あくまで「佳作派」の人間の感想だと思って読んでくださいね。

書いた時点での総プレイ時間 23時間30分(コンプ)
お気に入りのキャラ 深景さん、川奈由織
お気に入りのセリフ 「想い出は海に返す」
「わたしは、海で待っています」

初版2000/02/09