ROOMANIA#203(DC)
メーカー セガ 総合評価 80点(良作)
ジャンル 人生介入型シミュレーション
発売日 2000/01/27
シナリオ 佐々木朋子ほか セガらしくない上手いCMが目を引いた作品。
前年末に出た某70億円ゲームよりも
面白そうなのが何とも皮肉です。
キャラクターデザイン 谷田一郎
サウンド 福富幸宏ほか


個人的エピソード
なんだかどこかで見たようなコンセプトかもしれません^^;
……とそう思った人は生粋の18禁ゲーマーです。
もちろん私はそう思いましたとも。アリスの「守り神様」だな〜と。

内容
とあるアパートの203号室に住む大学生、ネジタイヘイ。
あなたの使命は、彼の生活をのぞいて、
クリックで関心を引いたり、いたずらしたりして遊ぶ……。
のではなくて、彼に波乱に富んだドラマ?を見せてあげること。
しかし、困ったことに彼は言うことを聞いてくれるとは限らないのだ。
どうやって新しいドラマを見せるか。
そこがあなたの腕の見せどころ……。
(パッケージ裏より)

これが内容の全てを示しています。そういうゲームです

システムとか
プレイヤーは203号室の神様となってネジくんを導くわけですが、
「203号室」の神様というのがポイントでゲーム中の全ての舞台はアパートの203号室に限定されています。

部屋の外での彼の行動や状況を知るためには日記を覗いたりしてプレイヤー自身が想像するしかありません。
この辺りが前述の「守り神様」とは大きく違う点ですね。
ゲーム中、時折「ナビ」が挿入されて次に誘導させるべき行動が示唆されるので
プレイヤーはその状況を生み出す(「ナビ」を達成するとドラマが進行します)のが目的となります。

ネジくんを誘導するにあたってプレイヤーは2つの手段を駆使します。
それは「ガサ入れ」と「のぞき」です。
「ガサ入れ」はネジが留守にしている時のみ選べるもので、
日記を読んだり家の家具を動かしたりといういたずらができます。
「のぞき」はネジ在宅時に選べるもので、この時に家の物をクリックするとそちらに注意をむけることができます。
彼は単純思考なので水道をクリックしただけで水が飲みたくなったりします^^;
この2つの手段でナビ達成→次のナビへ、という行動を繰り返していくうちにドラマが進行するという流れになっています。とても単純です。

セーブに使うブロック数は15ブロック。4つまでファイルが作れますが1つあれば十分でしょう。
VM(ビジュアルメモリ)全体の容量は200ブロックなのでわりと負担も少なくいいのではないでしょうか。

また、ガサ入れ時には稀に“チビネジ探し”というイベントが発生。
早い話かくれんぼで、隠れているチビネジというキャラを見つけると
VM用のミニゲームが手に入るというものですが、これで入手できるミニゲームの容量は30ブロック。
内容はアナグラム(文字入れ替え)です。やったことありませんが(ぉぃ

絵とか
DCのソフトに触れたのはこれが初めてでしたが、DCである必然性は感じません。
PSとかSSでは不可能なのは理解できるんですが、認めたくないというか。

ただ、アパートの一室を完全に再現しているところやタバコの煙のリアルさはさすがだと思います。
特にアパートのリアルさは相当なものだと思います。
1人暮しの感じがよく出ています。
(飲み会のあとは酒瓶が転がっていたり、食べ物などの生活臭があまりなかったりという部分は特に^^;)

しかし、何よりのポイントは主人公ネジくんの顔の面白さでしょう。
特に驚いた表情をアップで撮ると緊迫したシーンでも笑えます(爆)

音楽・音声とか
まず音楽ですがすごくいいです。
元々セガの音楽チームが中心になって製作したというだけのことはあります。

特に主人公ネジくんが好き、という設定のアーティスト「セラニ・ポージ」の曲は相当な名曲です。
ゲームをやってるといつの間にかネジくん同様セラニファンになっていたくらいです^^;

さらに音回りは徹底的に凝っていて劇中のラジオやテレビの番組を全て脚本から起こして音録りをしています。
音楽番組(セガ往年の曲や実在バンドの曲がかかる)、悩み相談、CM、ドラマ、ニュース、通販とどれも現実にありそうでありえないギャグセンスで作られているのが面白いです。
無駄なまでの作りこみを感じました(ぉぃ
ゲーム中ではそれこそ一瞬のものもありますが、サウンドコレクションモードだとフルサイズで視聴できます。
是非、お試しを。「僕のマシュ」いいですよ〜。

またCDを始めとしたあらゆる音声がカメラの位置によって変化するのには驚きました。
リアルタイムで演算しているのかカメラの距離・位置によってボリューム・パンが変化します。
この辺りは伊達にDCで作ってないといったところでしょうか?

さて、音声の方ですがこちらは特筆すべきほどでもありません。
「普通の人っぽい演技」だとしたらかなりの名演だとは思いますが……^^;
音声面でもネジくんの微妙にやる気の無い声は素敵に笑いを誘います。

シナリオとか
はっきり言ってシナリオには全く期待していなかったのですが、なかなかどうしてこれが良質です。
シナリオは全部で4本。
どれも一度シナリオが決定すればあとは一本道です(もちろん「ナビ」は続きますが)。

4本の中身は感動・サスペンス・恋愛・SF調と分かれていてどれもお互いに独立した
関係になっています(登場人物やキャラそれぞれの設定は同一ですが)。
4パターンあるので、どんな人でもどれかは好みのタイプがあるのではないでしょうか。

肝心の質の方はというと、安心して楽しめるレベルに達しています。
最初はお笑いゲームだと思っていたので意外に思いましたが、
それぞれに魅力があって面白いものに仕上がっています。
そこらのキャラ萌えやCGムービーや製作費用で売ってるゲームにも見習ってほしいものです(爆)
内容は書くとネタバレになるので避けますが、
私個人としては恋愛シナリオのシナリオ#3かSF調のシナリオ#4が好きです。

総評
80点。これが全てを物語っています。
DCを持っている人ならやって損することはないでしょう。
ただし、システム上単純作業になりがちなので気に入らないと大変なことに^^;
私も作業は嫌いですが気にならなかったのは、このゲームを好きになれたという部分
が大きいと思っています。

というわけでネジくんの顔やセラニの曲が好きになれない人は10〜20点マイナスしておいてください。
そういう人はそもそも買わない気もしますけど。
このスタッフは本当にバカだと思います。もちろんいい意味で。

書いた時点での総プレイ時間 約12時間?(全シナリオクリア)
お気に入りのキャラ ネジタイヘイ・タカハシ
お気に入りのセリフ 「ちょっとこれ動かしとこ。ちょっとこれ動かしとこ」
「言えなかったんだ、たった一言……大切な想いが」

初版2000/03/28