トゥインクルレビュー(PC) ※ディスク2枚組
メーカー フェアリーテール 総合評価 80点(良作)
ジャンル ADV
発売日 1999/11/19
シナリオ 宮村優・素浪人・トノイケダイスケ・雨城弘明 99年冬フェアリーテールの3ヶ月連続発売キャンペーンの2作目。
この頃、F&Cはスタッフ流出のせいか生彩を欠いている
印象が強かったので、起死回生なるかが注目された…はず。
原画 江森美沙樹・藤井純生・あさの
サウンド DOORS


個人的エピソード
江森さんに藤井さんにと2人も好きな絵師が絡んでるとあっては。
なんだかエロゲ素人みたいな購入動機で申し訳ない。

内容
主人公は某プロダクションのマネージャー。
「未来のスターを見つけよ!」と命じられ、スカウトのために身分を隠し、
トゥインクル・アクターズ・スクールに潜入する。
スカウトに来たのにデートしたり悩みを打ち明けたりと、
未来のスター候補生とのどきどきのイベントが目白押し!

はたしてスクールを去る3週間後、未来のスターとして、
意中の女のコを連れて帰ることが出来るだろうか?
(パッケージ裏より一部抜粋+個人的見解)

一応、これでわかりますよねぇ?
ま、F&C作品なんでゲーム内容はあまり重要でもないですよね(ぉぃ

システムとか
基本的にはオーソドックスな選択方式のADVです。
1日は「午前」「昼休み」「午後」「夜」に分割され、その中で好みの女の子との仲を深めていくわけです。
午前と午後は基本的にはレッスンを受けますが、午後にはデートに誘うことも可能です。
事前にどの娘がどのレッスンを受けるのか聞くことが出来るのでオンリープレイも簡単です。

独特な部分と言えば「トゥインクルナビ」システムでしょうか。
「その娘に積極的に好意を示す」コマンドで1日3回という使用制限がありますが、
それを使うと通常の選択肢に加えて新しい選択肢が現れます(出ないこともあります)。
新しい選択肢は女の子の「愛情度」を上げやすい傾向があり、
またナビを使うことで通常時から用意されている選択肢を選んでも与える印象が上がります。
(好意的に接されて嫌な気はしないということでしょうか?)

先ほど「愛情度」の話が出たので書きますが、このゲームでは好感度が「愛情」と「信頼」の2つに分けられています。
レッスンをサボってデートに行くと愛情は上がるけど、信頼は下がるという相関関係があるのでサジ加減が重要です。
愛情の方が高いと「恋愛ED」、信頼が高いと「スカウトED」(Hシーンは無し)、
双方共に高水準だと「恋愛&スカウトED」になります。
普通の恋愛ゲームの感覚でやると恋愛EDは簡単ですが、恋愛&スカウトEDはなかなか難しいでしょう。

セーブ関連では通常セーブ、オートセーブ各8個、クイックセーブ4個とまず不満の出ない量が用意されています。
オートとクイックの両セーブのおかげで多少のミスはすぐやり直せます^^;
ただ、我が家の環境ではこのシステム画面を出すのに30秒くらい待たされることも
しばしばだったのでもうちょっと軽いシステムにしてほしいとは思いますが。

あ、CGモード、音楽鑑賞、Hシーン鑑賞と鑑賞モードは1通り揃ってます。

絵とか
この当時の同社の不調ぶりを払拭するようないい出来です。

3人の原画さんが手分けして描いていますがそれぞれの魅力があっていいと思います。
(「PALETTE」も同じような試みをしていましたね〜)

ただ難点もあって、あさの氏はブランクのせいかバランスの悪い絵があったり
江守美沙樹氏には立ち絵の目が大きすぎる印象を受けたりしました。
あと256色時代のように塗りで圧倒されることがなかったのが残念ではあります。
と文句も書きましたが気になったのはこれくらいでイベントCGの出来はいいし、さすがだな〜といった感じですね。
2画面スクロールの「まどろみCG」(H後のCG)が特にいい感じです。

音楽・音声とか
まずは音楽。
悪くはありませんが、特別記憶に残る曲があるわけでもなかったです。
ただ、アイドル物ということでヒロインごとにEDソングが用意され、
そのメロディをテーマ曲として使うというのはいいアイデアだと思いました。

メロディが1番好きなのは繭のテーマ、歌として1番好きなのは静夜のテーマですね。
しかし、「歌唱力がある」という設定なのにどう聞いても静夜より下手な聖って一体……(爆)
音声の方はいわゆるF&Cおなじみのメンバーではありません(長崎みなみさんだけが例外)が、
相変わらずハイレベルで安心して聞いていられます。ちゃんとキャライメージにあった声です。
“マミコ”だけはどうしても私には合いませんでしたが^^;

シナリオとか
最近流行りの「泣き」や「感動」とは無縁ですが軽めのノリの恋愛ゲームとしては十分合格点でしょう。
ちゃんと女の子がかわいく魅力的に描けています。

主人公の若干ナンパなノリが気に入らない人もいるかもしれませんが、私個人としては許容範囲内でした。
というか、行動自体は至極しっかりしているので逆に「それくらいのことを言えればなぁ」というような好感、羨望を感じました^^;

ただ明らかにヒロイン達より年上の主人公がシナリオを見る限りとてもそうは思えないので、
もうちょっと主人公に年齢相応な部分が用意されていても良かったかな、と思います。
#それやると私のような若いユーザー感情移入を妨げるかもしれませんが

それぞれに恋愛ゲームとしてのシナリオの魅力は十分ということは先に述べましたが、
もうちょっと詳しく書きますとシナリオ完成度としては早苗が1番高いと思います。
が、セリフ回しは“聖”が1番上手いように思いました。聖のシナリオは新人とのことで今後に期待、かな?
#いや、どう転んでもF&Cシナリオでしかないのですが(爆死)

繭や静夜もキャラ立ては非常に上手いと思います。
むしろメインヒロインの希の方がシナリオ完成度やキャラ立てという面では弱い気さえします。
これは問題かもしれません。

最後にシナリオで特筆すべきはおまけシナリオの充実でしょう。
外伝的なもの、本編のパロディ、完全なおまけとありますが全部で続き物も含めて7本もあります。
それぞれに面白くボリュームもあり、これで加点したいくらいです。
#「ホームドラマ」の続きが見たいです〜(爆)

総評
作ったのはフェアリーテールですが、系列ソフトハウスのカクテルソフトのゲームにノリとしては近いです。
完成度的には高いのでいわゆる「カクテルのノリ」=明るいポップな恋愛モノが嫌いでなければ買って損することはまず無いでしょう。
あとキャラクターの絵を見て魅力を感じたならその人も購入して大丈夫です。
ま、軽めの主人公が許せないと言うのであれば話は別ですが。

まとめ。キャラクターの魅力で勝負するタイプの恋愛系良作。
オススメする層は上にも書いてますが、ダメ人間的な言い方をすればキャラ萌えできる人向けですね。
それくらい没入できないと「主人公がその娘を好きになる過程が〜」とか考えてしまって面白さが半減ですから^^;
アンチF&Cな人じゃなければわりと楽しめるとは思うんですけど……。
書いた時点での総プレイ時間 26時間弱(全キャラクリア、CGコンプ)
お気に入りのキャラ 上小園繭・守桜静夜
お気に入りのセリフ 「まだこの空の下だから素直になれるよ」

初版1999/12/10