この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(SS) ※ディスク3枚組 | |||
メーカー | エルフ | 総合評価 | 90点(名作) |
ジャンル | マルチストーリーA.D.M.S. | ||
発売日 | 1997/12/04 | ||
シナリオ | 剣乃ゆきひろ | 時は96年12月26日、徐々にPCユーザーがWindows95に移行しつつある中発売されたPC98の大作。 その移植版なわけですが、SSというハードの制約は果たして足枷になるのかが話題になった…かも(^^; |
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キャラクターデザイン | 長岡康史 | ||
サウンド | 島田竜ほか |
個人的エピソード |
友人宅で98版のOPを再現したというBMSファイルを見たときに購入を決意しました。 評判の良さや中古価格の安さもありましたけど^^; |
内容 |
失踪した父の死亡認定から1ヶ月。 うら若き義母・亜由美との生活にも慣れ始めたある日、高校生有馬たくやは 死んだはずの父親からの小包を受け取る。 中には謎の装置と「今夜10時、三角山で」という手紙が。 そして、《彼女》との運命とも呼ぶべき出会い。 それは事象を超え、並行世界を巡る旅の幕開けだった――。 (メーカーWeb記事および自前で編集) |
システムとか |
なんだか耳慣れない名前が付いていますが、マルチエンディング形式のADVです。 この作品の特徴として「ADVのシナリオ分岐をマップという形で視覚的に理解できる」というものがあります。 作中では“宝玉マップ”と呼ばれるこのマップは自分がどのシナリオを進行させているのか、また分岐が近いのか否か、分岐を過ぎたのか(選択肢分岐ではなくアイテム使用などの行動分岐型なのであっさりと分岐を過ぎることがあります^^;)などといった多大な情報をわかりやすく示しています。 何より凄いのはこのマップ及び“宝玉”がシステム、世界設定、シナリオの3要素に同時に関わっていることでしょう。 宝玉を集めるという物語上の目的は、同時にセーブポイントを増やす(宝玉をマップ上に配置することで、いつでもマップ上のその地点に飛ぶことが可能)というシステム上の目的にもなるわけです。 宝玉を全て集める過程でほとんどのシナリオを回る必要がある、というのは賛否分かれるかもしれませんが、 効率向上と残りの宝玉の数を天秤にかけてのプレイなど ADVにゲーム性を持たせるという試みは面白いのではないでしょうか? 宝玉の数やマップ達成度など物語全体としての進行状況を保存するという意味ではセーブ数は1個。 やればわかると思いますがゲームの性質上、これでいいと思います。 鑑賞系は最初は何もありませんが、マップ達成率を100%にすると音楽モードが出現します。 SSなのでシーン回想がないのは当然だと思いますが、CG鑑賞くらいは欲しかったです。 せっかく綺麗なCGなんですし。 |
絵とか |
原画の方は「ダイの大冒険」なんかに携わったアニメーターだそうです。 別にこのゲームの内容には関係ありませんが(じゃあ書くな)。 で、絵の方ですがわりと一般受けするんじゃないでしょうか。私は好きです。 もっとも立ち絵とイベント絵とで同一人物に見えないような絵も散見されるのですが(爆) 神奈とか成長後のユーノとかでそれは特に強く感じました。思い入れのせい? CGは一部を除いては98版と同環境だと感じました(98版未経験なので自信なし)が、 本当にそうだとしたら「さすがエルフ」と言うよりほかありません。 環境制約が技術を磨いたといったところでしょう。 下手なフルカラーよりもこっちの方が描きこみが細かくて綺麗にすら感じます。 SS移植にあたって追加されたCGは色数も多く高解像度モードで描かれているので、こちらも文句なしに綺麗です。 |
音楽・音声とか |
音楽はかなりレベル高いです。 元々耳コピデータを聞いて購入を決意しているくらいですから。 基本的にFM音源(でしたっけ?)のデータをコンバートしているだけだとは思いますが。 「ユーノ」「澪」「亜由美」「謎解き」「胎動」など好きな曲はかなり多いです。 ただ、困ったことに音声との音量バランスが悪いです。音声と比べてBGMが小さすぎます。 これだけいい曲があるのに聞こえにくいのは残念です。 あともう1つ。98版のOPに惚れて買ったのにSS版のOPは変わってしまっています。 KSSが作ったムービーに合わせるためなんでしょうが、与猶啓至さん作曲の新OP曲になっています。 映像と音楽のシンクロ、そして単品としてのOP曲の良さに惹かれただけにこの変更は改悪としか思えません。 ううっ、真のOPが見たいです(泣) 音声の方ですが、これもレベル高いです。 決して詳しいわけではない私でも知ってる有名どころが名を連ねています。 演技の方も当然安心して聞けるわけです。アマンダ以外は(爆) この手のゲームでは女性声優に目が行きがちですが、男性陣も大塚明夫さんをはじめ豪華なメンツが揃ってますので男性声優マニアも安心です(ぉ ただ主人公に声を付けるのはいただけないかなぁと。この辺は嗜好の問題ですが。 |
シナリオとか |
素直に白旗です。とても面白かったです。 このライターさんに信者とも言うべき熱心なファンがいる理由がよくわかりました。 「事象世界」の概念とか「時間は可逆だが歴史は不可逆」という言葉の理由とか 色々わかってきた時は本当に鳥肌が立ちました。 宝玉を集める、マップの完成度を上げるといったゲーム的な側面とシナリオ自体をここまでうまく結合させている例は皆無と言っても過言ではないでしょう。 そして膨大なプレイ時間を費やして全ての宝玉を集めた時に起こる新たな展開―― 宝玉マップシナリオを第1部と呼ぶなら第2部とも呼ぶべき物が始まったときには正直驚きを隠せませんでした。 素直にEDに直行だと思いましたから^^; この第2部には分岐もマップも存在しないので、自らゲーム性との融合を捨てているような気がして残念とも思うのですが、その辺はある種のエピローグと考えることで解決です。 というか「Xenogears」の2枚目みたいなもんです(核爆) それに第2部も十分、惹きつけられてしまいましたし。泣きかけました。 そして最後も… (ネタバレ気味) 第2部も終わって後はEDだけという時点まで進めたところで、私はちょっと詰まってしまったのですが EDに辿り着く方法に気付いたときには「やられた」と呟いてしまいましたよ。 第2部をやっている間にすっかり忘れていたシステムとシナリオのリンク……その全てがEDに集約されているとは。 これをやりたいがために作ったシステムだと感じたとき震えが来ましたよ、ええ。 (ネタバレ終わり) まあ、伏線の配置などとにかくよく練られたシナリオでした。 これ以上何も言う必要はありません。やるべし。 あ、近親系が多いのも特徴か(ぉぃ |
総評 |
PC98の1つの成果がここに現れていると思います。 こういうソフトが3年以上も前に出ているというところに18禁市場の懐の深さというか可能性というか…そんなものを感じました。冒険できるというのはいいことです。 まとめ。長いプレイ時間にめげない人ならやるべし。 ただ始めたからには最後までやるべきです。 じゃないと、あまり救いのあるEDがない長い長いADVと化してしまいますから^^; 9点なのはサターンの読み込みが遅くていらつくのと、 個人的には1つのセリフで心を揺さぶられるということが少なかったからです。 セリフ回し自体は上手いと思うんですが。 |
書いた時点での総プレイ時間 | 約36時間(コンプ) | ||
お気に入りのキャラ | 波多乃神奈・ユーノ・セーレス | ||
お気に入りのセリフ | 「生きている限りは負けない」 「時の流れは可逆的概念だが、歴史は不可逆的概念である」 「よかった…。パパと…パパの生きてる世界が無事で……」 #メモ取ってなかったのでうろ覚え(^^; |
初版2000/06/13