オーナー:まきひさ(SEA600)


アニエス・ベーター Anieus "β"

 22歳/164cm/126kg

 バルニバービ社の専属ドーラー。本名アニエス・ベイ。通称アーニィ。
 目元の涼しげな、すっきりとした端正な面差しの女性で、胸ほどの高さの黒髪を持つ。
 物腰は柔らかで礼節を重んじ、常にいたわりの心を忘れない、慈愛に満ちた女性である。
 およそ戦闘向きとは呼べないそんな性格の彼女が、ドーラーとして抜擢された理由は1つ。そのたぐいまれな剣術の腕を見込まれてのことである。もともとは『自身の精神鍛錬のため』として始めたという剣技の冴えは、単なる余技を超えた見事なもので、星間レベルの剣術大会においても輝かしい戦績を数多く残していたほどであった。
 バルニバービ社のAKは、搭乗者の身体的特性をそのままフィ−ドバックする機構になっており、彼女専用のAK『ティップフェル』もまた、彼女の持ち味を最大限に生かせるよう、剣を主軸とした白兵戦仕様の設計がなされている。
 だが現在の彼女は、機体テスト中に瀕死の重傷を負い、ラルフ博士によって脳以外のほとんどを機械で再形成されたサイボーグ――というよりもむしろ、半アンドロイドである。その際、本名の「ベイ」を「ベーター」に替えられた。新たな生を与えてくれた博士に対しては、単なる恩義以上の感情を抱いているようである。
 しかし同時に、自身が『人間にあらざるもの』となってしまったというコンプレックスを払拭できずに、常に苦悩している。

エル・メス Elle Meth

 22歳/172cm/49kg

 バルニバービ社・ドーリング部門の専属ドーラー。
 スレンダーな長身に、シャギーの入った黒髪を持つ。強引で押しの強い性格で、細かなことに拘泥せず、決断が早い。誰に対しても物怖じするということがなく、言葉を選ばず、自分の意見をずばりと言ってのける。
 元、陸軍中尉。アニエスとは違い、生粋の軍人である。元来、射撃の腕前は正確無比で特筆に値するものであったが、さらにAK戦においては、男女の別を超え軍全体の中でも卓抜した実力を持っていた。その能力を買われ、バルニバービ社の一線級ドーラーに抜擢される。専用AKの名称は『ヴァルフュード』。
 情緒不安定なアニエスの監視役でもある。

リー・バイ・スゥ Lee Bai Sue

 男/25歳/183cm/80kg

 バルニバービ社・ドーリング部門の専属ドーラー。
 短く刈り込んだ銀色の髪、鋭い眼差し、余分な肉のそぎ落とされた精悍な顔つきが、その冷静沈着な性格と強固な意志を言葉以上に物語る。
 細身ではありながら鍛え抜かれた肉体を持ち、数々の格闘技に熟達している。対人の格闘戦においては比類なきまでの実力の持ち主である。
 ドーラーとして抜擢されたのは、アニエスと同様の理由によるもの。彼の動きを正確にフィードバックする、専用AKの名は『ラッシュマスター』である。

ニナ・リッティ Nina Littey

 25歳/173cm/52kg

 バルニバービ社・ドーリング部門の専属ドーラー。
 元、陸軍中尉。エルとは同じ死線をくぐり抜け合った戦友同士であると同時に、良きライバルでもある。彼女は単にAK操縦者として優秀であるだけでなく、いかなる局面においても揺らぐことのない冷静な判断力と的確な戦術眼とを備えており、それによって数々の武功を挙げてきた経歴を持つ。
 外見上は、しなやかな体つきと、つややかなブロンドの長い髪が印象的な女性。だが彼女はあくまでも軍隊出身らしい、鋭利な刃物を思わせるような、クールかつ毅然とした態度を決して崩すことがない。そのため周囲には、容易に近寄りがたい雰囲気を常に醸し出している。
 まさに水と油と呼べるほどにエルとは正反対の性格に思える彼女であるが、しかしその実、内に秘めた熱情はエルに勝るとも劣らないという。
 専用AKの名は『レスティアル』。本人の希望で深紅に染められたそのたたずまいは、そのシャープな造形と相まって、一種優雅な印象さえ与える。

フェン・ディ Fenm Dhie

 24歳/176cm/59kg

 バルニバービ社・ドーリング部門の専属ドーラー。
 アマチュアMM出身であり、小規模ながら過去の大会では何度か優勝の経験もあるなど、優秀な成績を数多く残している実力派ドーラーである。
 透明感のある、非常に整った顔立ちをしており、艶のあるライトブラウンの長髪や優雅な物腰、何よりもその品のある口調などから、外見上は完全に女性に見える。そして本人も、自分自身を男性だとは認識していない。――しかし、生物学的には紛う事なき『男』である。
 学生時代から抱いていた、自分の性意識というものに対する漠然とした違和感。それを周囲にカモフラージュするため、彼はあえて、戦闘的で男性的なMMという世界に飛び込んだ。ところが皮肉にもMMにおいて思わぬ才能を発揮してしまい、何年も経たぬうちに彼はアマチュアMM界では押しも押されぬ存在となっていた。
 MMにおける自分の地位が確たるものになったことを認識した時点で、彼は自分がニューハーフであることをカミングアウト。当然スキャンダラスな話題として一時は騒然となったものだが、『実力と結果が全て』のMM世界において、性別や個人的嗜好などは結局のところ、些末な問題なのであった。そしてそれこそが、彼がこの世界を『自分の居場所』として認めた最大の理由であると言えるだろう。
 専用AKの名は『クラウソー』。オフホワイトにグレーと青のストライプを施した外見の、シンプルかつ機能性重視の機体である。

ラルフ・R・レン Ralph Raw Reng

 男/31歳

 バルニバービ社・ドーリング部門メカニック班のチーフエンジニア。
 寡黙で、自らの感情を表に出すことはめったにないが、仕事にかける情熱と責任感は誰よりも強く、チーフを任されるに相応しい人物である。
 ほぼ全てのAKの設計・開発を一手に担っており、また、人体のサイバネティックス技術にも精通している。AK試乗中の事故により、アニエスがその全身に致命的な重傷を負った際も、機械組織への再構築によって、まさに奇跡的と呼ぶにふさわしい蘇生を成し遂げさせた。
 その際、彼自らの生体組織や臓器などを積極的に提供したとの噂も流れているが、真偽のほどは定かではない。ただ、彼の性格を端的に表す逸話と言えることは確かである。

カール・バンクライン Carl Banklein

 男/42歳

 バルニバービ社・ドーリング部門の総責任者。
 常に固く険しい表情、相手の心の内さえも見通すような眼差し。一片の甘さも感じさせないその風貌と、付け入る隙のない威圧感とで、独特のカリスマ性を持つ人物。
 総責任者として、その敏腕ぶりを遺憾なく発揮している。その実利と効率に徹した指揮ぶりは、確かに的確ではありながら、時に人間性を欠き冷徹にすら思えるほどである。

エリー・F・ストロウブ Elie Fielze Strowbe

 女/27歳

 バンクラインの秘書。フルネームは、エリー・フィールズ・ストロウブ。
 黒い髪をボブカットにしており、童顔と小さな体も相まって、実際の年齢よりも幼く見える。また、この時代の人間としては珍しく、丸い眼鏡(フチなし)をしている。
 しかしながら彼女は、バンクラインの補佐として、実務に徹したマシーンのごとき働きぶりを見せる。若いながらもその能力は高く、特に記憶力においては他の追随を許さない。他のドーリングチームの基本的なデータはもとより、数年前の試合の結果や経過などまで、微に入り細に入りそらんじることが出来てしまうほど。

ニコル・クラブ Nicholle Clabbe

 女/20歳

 バルニバービ社・AK開発部門の設計技師。
 とにかく根っから陽気な性格。ショートカットにしたブラウンの髪、平均より一回り小さな体躯、加えてその屈託のない笑顔の似合う愛嬌ある童顔から、たいていは年齢より若く(幼く)見られる。
 バルニバービの系列会社であるリリパット・エンタテインメント(以下リリパット)社から、その技師としての類い希な能力を買われて出向されてきた。
 リリパット社は、娯楽施設・遊技機器を扱った総合商社としての運営を行うかたわら、アマチュアMMの活動支援も行っている会社である。フェン・ディも、リリパット社がオーナーを務めるチームの出身。
 そこにおいて、特に際だった設計技師能力を発揮していたのがニコルである。彼女のAK設計コンセプトは極めて独創的・革新的であり、それでいて一貫した設計指向には破綻がなかった。彼女は、常に相手AKの盲点を衝いた攻撃で、他の誰が設計するよりも効率的に勝利を収めるAKを創りだすことのできる、まさに天才AKデザイナーだったのである。
 このため彼女は、18歳で入社してからたった2年で設計主任の地位を得るという、異例の昇格を成し遂げた。この報告を受けたバルニバービ社がこれほどの逸材を放っておくはずがなく、さっそくの抜擢の運びとなったわけである。
 しかし、いったん仕事を離れた彼女の行動・言動は、まさに予測不可能。よく言えば無邪気で天衣無縫、悪くいえばデタラメである。感情と感性の赴くまま、自由気ままに跳ね回るその姿はせいぜい中学生程度にしか思えず、そんな彼女から『天才技師』という言葉を想起するのは至難であろう。
 自分自身のそんな『変』さにはカケラほども自覚がない彼女は、ほうぼうで騒ぎを巻き起こす火種となるのであった……。
 非常に酒に強く、彼女と飲み比べをして勝てる者はこの世にごく僅かだと言われている。彼女お気に入りの銘柄はオーガ・キラー(「鬼殺し」)である。

アレット・M・ハウエル Aullet Magg Hauer

 男/20歳

 バルニバービ社・AK開発部門の設計技師。フルネームはアレット・マグ・ハウエル。
 生真面目で一本気な性格をそのまま反映するような、引き締まった口元とまっすぐな眼差しが特徴的な青年。手入れの行き届いた、顎の高さほどに切り揃えられた銀髪と、すっきりと落ち着いた色調にまとめられた身なりが、清潔感ある好印象を周囲に与える。
 ニコルと同様、彼もLE社から出向されてきた。ニコルの良きアシスタントであり、AKの設計・開発過程において重要なアドバイスを与えあう、なくてはならない存在といえる。アレットが精密工学分野に、ニコルが重機械工学分野にそれぞれ強いということで、互いにうまく補い合っているのである。二人が同時に出向されてきたのも、その息のあったコンビぶりが認められてのことといわれている。
 ……といえば聞こえはいいが、実際のところは『爆弾娘』ニコルの、ていのいいお目付役(お守りともいう)である。ニコルとは幼なじみの仲であり、彼女の制御方法も身に付けているから、というのがその理由であるが、それも常人よりは、という程度で、彼にとってもやはり彼女は手に余る存在なのであった。
 ニコルとのこの長きに渡る関係が直接の原因かどうかは定かではないが、彼は、女性に対して非常に弱いという弱点を持つ。相手が誰であれ、女性を目の前にすると舞い上がってしまい、言葉数が極端に減る。表情はこわばり、頬は真っ赤に染まってしまう。この症状が出ない女性、それは……ニコルだけ、なのであった。

クリス・T・オウル Chris Teandey Aule

 女/28歳

 バルニバービ社・人体工学研究部門の主任技師、及び、医学博士。フルネームはクリス・ティアンディ・オウル。
 齢三十にも満たない若さでありながら、人体のサイボーグ化の知識と技術について非常に精通しているという、一種の天才。その手腕を見込まれ、本来は純粋な医療専門会社であるグラブダブドリッブ社から派遣されてきた。
 人体工学分野におけるその繊細な技巧とはまったく対照的に、普段は実にあっけらかんとした大らかな人物。細かなことにこだわらない、裏表のない性格であり、それが正しいと信じたことに向かってまっすぐに突き進む強さの持ち主でもある。歯に物着せぬ物言いのためにしばしば周囲の反感を買うが、その根底には常に、相手をいたわり気づかう暖かい心がある。
 やや吊り目がちの眼が特徴のその顔には、いつもどこか冷めたような、達観した表情が浮かんでいる。ウエーブのかかったブラウンの髪と、モノトーンを好むスマートなスタイルの服装も特徴的。

ポウ・ルスミス Poh Luthmiss

 女/20歳

 リリパット・エンタテインメント社のシステムエンジニア。リリパット社で製造される競技用AKの、コンピュータ部分の設計・開発に携わっている。
 とろんとした眠たげな目と、額の中央で左右に分けた、肩の高さほどまでのストレートヘアが特徴的。温和な笑みを絶やさないその表情から想像できる通り、穏やかでおっとりとした性格をした娘。常に相手に対する気遣いを忘れず、誰とでも分け隔てなく接する事ができる。しかしその一方で、時折、理数系らしい論理を駆使して、周囲の思いもよらぬ真実を見抜く鋭さを発揮することもある。 
 ニコルやアレットとは同期入社の仲であり、大の仲良しであると同時に、素晴らしい仕事のチームでもある。
 ポウ以外の二人がバルニバービに出向されてしまったため、残されたポウは、ときどき銀の竪琴邸に遊びに行ったりするのであった。



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