止まらせない。 私のだもの。 止まりたくない。 私の意志よ。 止まらせやしない。 ・・・・誰にも。 そう、誰にも止まらせやしないわ、 私の演劇への気持ちは・・・。 演劇と出会ってから私は変われた気がする。 もともと演劇なんて出来る人じゃなかったのに、 まさかこんなにも自分が変われるものだなんて、 思いもしなかったわ。 入学発表の時に見かけたあの子。 何の因果か分からないけど、 演劇研究会に入部してくれたわ。 ・・・・させたのかしら? あの子をみてると胸がざわつく。 とてもいい声をしている。 そして、とても昔の私に似ている・・・。 演劇が出来るような子じゃない。 だから・・・ だからこそ、あの子に教えてあげたいの、 私が演劇で変われたように、 あの子もまた演劇で変われるものだと言う事を。 自分が変われたときのあの気持ちを、 あの子にも教えてあげたい。 味わってもらいたい。 演劇をやってて良かったって思える気持ちを。 そう、あの人に教えてもらった・・・この気持ちを。 私をつまらない日常から引きずり出してくれた。 私を一人の世界から引きずりだしてくれた。 とても大切なあの人。 今は会えば喧嘩ばかりで、まともな会話さえ出来ないギクシャクした関係。 昔の様に話したいのに・・・。 でも、あの人と話せば止められてしまう。 だって私を引きずり出した人だもの、 私を心配して気遣ってくれているのは分かってる。 だけど、私は止まりたくない。 今は・・・まだ・・・。 お願いよ・・・美麗。 今はまだ止めないで。 あなたが私に教えてくれた演劇を、 あなたと一緒に居られる間だけでも、 ・・・・お願いだから止めないで。 もしかしたら・・・。 私は自分の自己満足の為にあの子に演劇を教えたいのかもしれない、 あなたから貰ったこの気持ちを、他の人にも分かって貰いたくて、 そうだとしたら・・・私はとんだ偽善者だわ。 でも、偽善者でも良い。 今は・・・・ 今はまだ止まりたくない。 この気持ちを、誰も止めないで。 お願いだから・・・・・。 《一之瀬 野乃 一人称》 |
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たぬきが書いたSS第二弾!! | |||