第3節 「生まれ変わり」の仕組み

1.「あの世」への帰還

 (2)「あの世」の心象

 ホイットン博士は、その後の研究で、多くの被験者たちが、肉体を持たず意識として覚醒している「中間生」、いわゆる「あの世」の記憶を残していることを認識した。催眠状態に入った被験者を、まず過去生の一つへと連れ戻して、その人生の最後の場面を思い出させた後に、「今どこにいますか」「何が見えますか」と質問していくのである。

 死の瞬間を回想し、眉をしかめたり顔をゆがめるなど苦悶の表情を浮かべていた被験者たちは、死後の中間生の記憶へと移るにつれて、表情を一変させる。まず無表情になり、次に安らいだ穏やかな顔に変わり、やがて驚きが満面に広がる。中間生では、時間の経過や三次元的感覚がすっかり欠落するため、被験者たちは、目の前の光景をどのようにしてホイットン博士に説明すればよいのかわからなくなる。ある被験者は、「中間生では目に見える身体というものはありません。私はイメージに取り巻かれた観察者なのです。」と表現する。ある大学教授は、被験者として退行催眠を受け、何百年も前のアメリカ南西部のインディアンとして生きた人生を回想し、その最後を次のように再体験した。

 「ほかの三人のインディアンになぶり殺しにされ、手足を切断された私は、怒り狂って身体の外へと浮かび出ました。もと鍛練を積み、体調も良ければ助かったのに・・・・・。」

 このように、非業の死を遂げた場合、そのショックは、当惑や怒り、自己憐憫、復讐心などの欲望を引き起こすため、死んで身体から抜け出た魂を、この世に引き止める原因になってしまうと言う。いわば「死を自覚できないままこの世に留まっている魂」のことを指しており、このような魂が実際に存在することは、前出のワイス博士らも研究結果に基づいて指摘している。俗に言う「地縛霊」の実在が、科学的にも説明されたことになる。

 また、被験者たちは、繰り返しこう述べる。身体から抜け出した後、下に横たわる自分の身体を「見」てから、トンネルのような円筒状のものを急速で通過し、大勢の見知らぬ人々(すでに肉体を持たない魂たち)と合流する。この時、すでに他界していた身内の者や友人の魂、あるいは自分の人生を見守ってくれた指導役の魂たちが、自分の到着を迎えてくれる。その際に見る光景は、光のドームに入ったり、素晴らしい色彩を見たり、キリストが両手を広げて出迎えてくれたり、宮殿や庭園を見る者もいる。これらは、もちろん現実の場所や物質ではなく、非物質的イメージがシンボル化されたものにすぎない。

 言い換えれば、自分にとって、「自分は死んで、中間生へと戻ってきたのだ」と自覚するために最適なビジョンが、ここで目前に浮かんでくることになる。指導役の魂たちが、死者が死を自覚して安らぐために必要なビジョンを、意図的に見せてくれているとも考えられる。終えたばかりの人生で属していた文化や、信じていた宗教などによって、「死を自覚して安らぐために最適なビジョン」が異なるため、当然ながら、その時に見る(指導役の魂たちから見せられる)「あの世の光景」も様々なのである。


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