♪私が聞いたマゼール来日公演♪

【 年代別 】
1982年  フランス国立管弦楽団
1986年  ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1987年  ピッツバーグ交響楽団
1988年  ミラノ・スカラ座
1990年  フランス国立管弦楽団
1991年  ピッツバーグ交響楽団
1992年  読売日本交響楽団
1993年  バイエルン放送交響楽団
1994年  フィルハーモニア管弦楽団
1995年  ピッツバーグ交響楽団
1996年  バイエルン放送交響楽団
1997年  フィルハーモニア管弦楽団
1998年  イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
2000年  バイエルン放送交響楽団
2002年  スーパー・ワールド管弦楽団
2003年  バイエルン放送交響楽団
2004年  ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団
2005年  トスカニーニ・フィルハーモニー管弦楽団
2006年  ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団
2007年  トスカニーニ交響楽団

【 オケ別 】 フランス国立O(1982 1990) ウィーンPO(1986) イスラエルPO(1998) スーパーワールドO(2002
ピッツバーグSO(1987 1991 1995) フィルハーモニアO(1994 1997) トスカニーニO(2005 2007
バイエルンRSO(1993 1996 2000 2003) ミラノ・スカラ座(1988) 読売日本SO(1992
ニューヨークPO(2004 2006

合計20年 22公演

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はじめに申しあげますが,私は,音楽家ではないので,分析的なこと等はとても文章にできません。
そんな演奏会だったな,程度にお読みいただければ幸いです。

フランス国立管弦楽団

1982/3/10(水) 18:30 岡山市民会館 A−7−23席 ¥9,000
ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲
ドビュッシー/夜想曲より雲,祭
ラヴェル/ラ・ヴァルス
ベルリオーズ/幻想交響曲
→ファランドール

12:25発の宇高連絡船で岡山へ。瀬戸大橋以前は,宇高連絡船のため,岡山まで2時間半かかっていたのだ。春なので,ほんのりとしていい気分。
先輩や天満屋を訪ねた後,17:30市民会館前の広場でマゼール氏がタクシー降りて裏玄関へ入るのを見た。本当です。テレビで見るより大柄だ。
席は前から7列目。弦しか見えないが音は近くって良かった。牧神の午後の前奏曲,雲,祭りそして第二部の幻想交響曲というプログラム。アンコールはファランドールが出てびっくりした。テラークやCBSのとおり。さっそうとして音のよいぴりっと締まったライヴは初めてである。
サインをもらいに行ったら私は23人目。惜しくもだめ。しかしマゼールさんが葉巻をくわえて出てきたところを至近距離で見たことはうれしい。後をついて歩いてもみた。背は私と同じくらい。
天才人間マゼールその演奏は私の将来を祝福しているかのように感じられた。
22:30帰宅。船の中も頭の中はコンサートで一杯。しかし意外に幻想は軽く感じたのは何故か。


ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1986/4/21(月) 19:00 倉敷市民会館 S−10−20席 ¥17,000
 モーツァルト/交響曲第25番
 R.シュトラウス/交響詩「ドン・ファン」
 チャイコフスキー/交響曲第5番
 →美しく青きドナウ

倉敷市は初めて。茶屋町からバスで行った。まるで京都みたいな町で,気持ちがいい。アイビースクェアのとなりが,音がよいと評判の市民会館である。早く着いたので,18:30開場だが18時にならんだので,3番目。
席はバイオリン群の真中。マゼールの顔がよく見える。キュッヒルさん他テレビで見た顔がいる,初めて実物を聴くそういう緊張感でいっぱいだ。
マゼールがのっしのっしと歩いてくる。前回より格があがったって?モーツァルト/Sym.No.25は小編成。弦のあまりの美しさに唖然!これまで聴いたことのない音だ。柔らかいオーボエが溶け込んでくる。進んでいって,4楽章は,マゼールらしい作戦があり,モーツァルトらしくないかも。
ドン・ファンはとてもしゃきっとした演奏。シャープでダイナミックで,その後のフルトパウゼの効くこと。また,早いパッセージでは,チェロのうまいことに加え,どんなところでもほころびがない。(当り前だが,それにはびっくり)マゼールは,左ひざにときどき左手をそえる。後ろ向きになるほどに左を向いてバイオリン群を振る。うちわみたいに開いた左手を振り,右手はひたすらあちこち指す。テレビと同じく上を向いているときはフォルテである。
チャイコフスキー/Sym.No.5はゆったりと開始。テンポのゆれ幅もあるみたい。ティンパニーの皮の音。フォルティシモで不思議と耳につかない金管の音。全体に融和した音色は,これまで本当に聴いたことがない。マゼールの指揮は横にうねるが,音はシャープそのもの。1楽章のラストなんか私は席からとびあがった。2楽章のホルンの素晴らしさ。3楽章の軽いワルツに続いて休まずにはいった4楽章。細かく音楽を広げてゆく。コーダではいったん落として,少しづつ盛り上げていく。ウィーンフィルはかくも名人なのかとため息。
拍手で3回,4回と呼んだ後,アンコールは出た!美しく青きドナウ。みんな待ってたのだ。1986年のニューイヤーコンサートで最後になっている組み合わせの,今後聞けるかどうかわからぬ演奏。マゼールが中間部で指揮台の上でステップして,ワルツ踊ったところは思わず笑いそうになった。ビオラの人なんか,本当に楽しそうに弾いていたのが印象的。
帰りは岡山駅経由。連絡船の中では,高校生の女の子に感想聞いたら,ワルツが素敵といっていた。0:30帰宅。私もドンファンの浮力を失った真空みたいな瞬間は忘れません。


ピッツバーグ交響楽団
1987/4/18(土)19:00 東京文化会館 S−15−17席 ¥15,000
 ベートーヴェン/エグモント序曲
 ベートーヴェン/交響曲第8番
 チャイコフスキー/交響曲第6番
 →ニュルンベルクの名歌手序曲,ルスランとリュドミラ序曲

8:07宇高連絡船で出発。池袋のカンターテでマゼールの新世界のLP等を買う。上野公園や東京芸大も拝見。で,ついにあのセルの写真で有名な東京文化会館へ初めて到着。あえてサントリーホールを選ばなかったのは,このホールを見たいがため。
フルートが8番のソロを練習していた。他の団員もバラバラと出てきた。けっこう空席が目立つのは,昨日のサントリー公演のせいか。エグモント序曲。のっしのっしと歩いてきたマゼールが,重々しくイントロを開始した。長い間をおいて,両手が2回空をきった後,曲が動き出した。高弦はまずまず。フルートとてもがいい音色である。デクレシェンドとテンポルバートを重ねるいつものやり方。コーダでは流れを一気に変化させる見事さ。いいなー。
ベートーヴェン/Sym.No.8。オケの音は無機質だが,音楽は柔らかい。1楽章はコントラバスがよく響く。そういう曲なのだと理解。繊細さよりは推進力とか切れ味でせまってゆく。2楽章はピアノが今ひとつ。マゼールが左手をひざより低い所へおくことは,バイオリンにpppを要求しているのだ。ちょっと大きく出ていた。3楽章は,金管の荒さが目立つ。木管はいいが,アンサンブルはもうひとつ。4楽章になるとマゼールが急に元気になる。左手でいろんなパートを次々と指していく。で,会場の音はいい方とはいえない。残響がないのだ。上を向いて両手をV字に上げるのが見ていて楽しいベートーヴェンでした。
チャイコフスキー/Sym.No.6。 よく鳴る低弦が見事にうすぐらい情感を出して木管にスムーズに渡す。が,ヴィオラがいけない。音がそろっていない。金管はヒステリックなものだ。もっと陰りが欲しいなー。展開部はティンパニーのうまさで進む。段段と高揚して,デクレッシェンドを膨らせたり,ルバートを思い切ってかけるのは,レコードにはないことだ。後半はオケはマゼールのテンポによく着いていた。2楽章は,あっさり。もう少しチャーミングだといいのだが。3楽章は,弦はとても美しく始まった。オーボエはこんなに飛び跳ねるような曲かな?と思う。要するに楽天的なのだ。マゼールは耳の両横でバトンと左手をひらひらさせる。各パートの入りを明快に指してゆく。徐々に盛り上げてゆき,シンバル!その2回目のシンバルの時,マゼールは飛び上がったので,着地するその時のリズムで次を振ったのだ。したがって滅茶苦茶遅くなった。すぐ速度を戻し,今度は逆にアクセル。すごく早くなって,コーダとなった。そしてマゼールは4楽章へと前かがみになった。
しかし,ここで私より左前方の女性がブラヴィッシモーと大きく叫んで,拍手した。会場には他にも拍手をする者が出たので,オケは困ったらしい。マゼールはとにかくここでやめた。そして長い間をおいてから,4楽章へと突入したのだ。本日で一番激しい指揮ぶりで,身を切り裂くような演奏だった。途中マゼールの息づかいが3度も聞こえた。その後,人生とは,死に向かってたんたんと歩いてゆくのだ。ドラの一打で終わり。その後低弦だけで,死に絶えた人のゆったりした息づかい。4楽章は,1から3楽章よりとても体力が必要なものだとわかった。そして右を向いてタクトが上から下へゆっくりと少しずつ降りてゆく内に終わっていく。それから本当の拍手がうしろから来た。悲愴を選んだのは正解だ。
アンコールは,ニュルンベルクのマイスタージンガー序曲だ。凄く充実した和音。重み。最高だ。Vnも金管も心地よい。マゼールの安定したテンポも素晴らしい。実演を聴けて満足。ベートーヴェンでは何か邪魔になっていた“何か“が,ワーグナーではしっくりくる。後半は少し早くなり,シンバル後,少し体を縮めていったん小さくしてから再びクレシェンドに持ち込んだ。この曲が一番よかった。さらに,ルスランとリュドミラ。弦が走るときとても気持ちよさそうだ。流動感がとても心地よい。面白い曲だ。
グリーンパレスは宿泊3200円と安い。次の日は,初めて秋葉原へ。おのぼりさんでした。


ミラノ・スカラ座
1988/9/24(土) 18:30 NHKホール A−R2−14 ¥32,000
 プッチーニ/歌劇「トゥーランドット」 ゲーナ・ディミトローヴァ,ニコラ・マルティヌッチ

8:56マリンライナーで出発。瀬戸大橋が開通して,初めて電車に乗る。14:08東京へついたらいつものカンターテへ寄る。17:30渋谷駅から歩いてNHKホールへ行く。10分後開場。このホールも初めて。席は前から2列目で,右から3人目。A席はSよりおちるなあ。
18:30オケ・ピットは狭いので,マゼールは小走りに歩いて,ちょっとお辞儀して,構えてさっと始めた。ドラマティックなオープニングを思い切りのよいスタート。音楽の友に載っているとおりの舞台が確かに引越ししてきている。すごいスケール。席のとおり,オケの音は適当に飛んでゆくという感じ。マゼールがこちらに近い打楽器にアインザッツを送るのがはっきりわかる。ディミトローヴァ以外の歌手についてはあまり覚えていない。オペラを聞くのも初めてな上に,トゥーランドットも初めて。CBSのレコードでは,舞台の感じがわからない。ウィーンのよりはきびきびと聞こえたといっておこう。緊迫感はめっちゃくちゃありましたね。22:00に終わり,会場は,皆カメラ持って前へ集まる。
グリーンパレス泊。次の日,雨の中,坂下門はすごい人手であった。水性のマジックで名前を書くだけにこれだけ集まるのか。じゃりの上で正座しているお年寄りもいた。でも雨で紙がぬれてるんですよね。アベックでデートに来ている若い人も多い。でも私はここで90分傘さして,立てって待ったことで,治療中の右ひざ少しよくなりました。本当です。


フランス国立管弦楽団
1990/11/24(土) 19:00 大阪フェスティバル・ホール  1−L−N−3 ¥9,000
ドヴォルジャーク/交響曲第9番
ベルリオーズ/幻想交響曲
→ファランドール,ルスランとリュドミラ序曲

8:54発。17:00夕食すませ,ホールは横に長く,残響は長めである。ステージは相当大きい。いい席をとっていた。コンマスの正面。隣りも静かで助かる。
バラバラと団員が出てきて,マゼールはのっしのっしと歩いて出てきた。そして3m前からダッシュして,指揮台へ飛び上がった。ドヴォルジャーク/Sym.No.9の1楽章の出だしはとても静かで,ゆるやか。やさしい表情の音楽。ホルンも豊かに鳴る。途中木管が入るところ,テンポをグッと落として,テンポは魅力的。ちょっと抑えていたかな。左手は顔の高さから,膝より下と,強弱を極端にコントロールする。右手はいつものように音符ひとつひとつに振るときもあるし,チェロへ突き出したり。バイオリンの目の前へ振りかぶったり。コーダはとても盛り上がった。2楽章は前半とても敬虔。静かに思いをこめていた。木管は本当に名人揃いである。けちのつけようがない。後半盛り上がるところはスリリング。途中ふっと音楽が急にディミヌエンドしたり,浮いてしまうほどのpがくるから,オケは大変だ。以上に比べると3,4楽章はVPOとのレコードに近い。3楽章は,素っ気無い。4楽章ははじめからグイグイと速めに引っ張ってゆく。こんなに速いとどうなるかと心配。膝が痛そうだが,よく飛び上がる。1987年より体調がよいのでないだろうか。革靴がまるで運動靴のように見える。右を向いたり左向いたり,忙しい。新世界を始めにもってきたのは,序曲以上にオケの実力を見せつける格好の素材だからだ。そして開放的で管の良さを十分に生かしたマゼールらしいできである。
15分休んで,ベルリオーズ/幻想交響曲。1楽章の出だしから,とても素晴らしい。これぞフランスの味。しかし,音楽が動きはじめると,マゼールの音楽になる。バイオリンがまるでカミソリのように聞こえる。もう少しマイルドにと期待するが,小股のきれあがったようなフレージングは,冷たく聞こえる。このあたり,新世界とはまったく違う世界だ。2楽章はとても早く,縦に指揮するが,バイオリンのワルツ今ひとつ面白くない。3楽章はオーボエが後ろからくる。落雷の感じもよい。聴き応え十分。4楽章得意のマーチです。荒々しくなる一歩手前。右下からすくいあげたり,左手でたたく。ジャンプする。そのくせテンポは動かない。5楽章の前半は静かだ。鐘ぐらいから盛り上げてきた。左手バックハンドで鐘に力強く合図する。金管のフォルティシモも入る。ティンパニーのよく響くホール。相当細かく振る。それを見るのはとても楽しい。ますますバイオリンのカミソリのような迫力。オケのアンサンブルはとてもよい。アッチェレランドしてとてつもないエネルギーで締めくくられた。一糸乱れぬとはこの演奏だ。
アンコールはルスランとリュドミュラ。とても速いテンポで,カミソリ弦が活躍。2つめは,ファランドール。マゼールの速いテンポは承知のとおり。両手を交互に,頭の上でピストン運動させる。21:10に終わった。Taxiで新大阪へ。いやー疲れた。でもとっても新世界が印象に残る。