男らしく堂々と正直に告白しよう PARTII
illustrated by Mamoru Oshii
さて、いきなりお詫びである。先月号で、品川のお祭は6月最初の金、土、日と書いてしまったが、今年は皇太子様の結婚の儀があるので、警察の警備の都合上1週間延期となったワケなのだ。つまり、先月号を読んでからでも充分間に合うということなのである。いや、大変申し訳ない。祭り好きの皆様には平身低頭お詫びを申上げたい。
 その事実を知ったのは、私が仕事をするため実家へ行った際、例の浴衣の件で母に話をした時であった。浴衣は母を通じて呉服店に注文しておいたのだが、当日までいくらも日がないのに未だ出来上がってこないのを不審に思って尋ねてみたのだ。ところが母は「あんた、いつもどこから家に入ってくんの?」と食器を洗いながらいきなり言った。私は何のことか分からず、横チョの木戸から、と答えると「なんか貼ってなかった?」と言う。そういえばお祭のポスターがウチの木戸に貼ってあったね、と言うと「そこに思いっきり日程が書いてあるでしょ、しっかりしなさいよ」と、出来の悪い息子を持って自分がいかに不幸な母であるかを嘆いて見せた。さらに「あんたバカじゃないの」とまで言われ、悔しくて一晩眠れなかった。
  ただ、それと同時に困った問題が生じてきたのだ。私はてっきり4、5、6日にお祭が行われると堅く信じていたので、なんとかその日程だけ空けようと死力を尽くして取り組んできた結果、不本意にもぽっかり空白の3日間ができ上がってしまったのである。しかも、この超クソ忙しい時期にだ。したがって、1週間後もう3日間休みをとるなんて至難の業であり、ハッキリ言ってもう同じ作戦は通用しまい。さらに、同情をひこうとして先月このコーナーにお祭のことを書いてしまったことも今となっては重大な問題が残る。つまり、先月号が発売される頃には、私はすでにまんまとお祭に参加してしまった後であり、それこそ「あとの祭り」(笑)にする予定であったのだ。ところが1週間延期になったことで状況は激変した。仕事関係の人々は間違いなく先月号を読み終っており、厳重な包囲網を貼り巡らせて警戒していると充分予想されるからである。
 こうなったら、こちらとしても背水の陣で対応していかねばならない。私は10万ビットを誇る己の頭脳をフル回転させて考えた。しかしその結果、新たなる事実に気がついたのだ。それは、お祭が1週間延期したことは誰も知らない、というちょっと考えりゃ誰でも判ることであった。だったら黙ってお祭に行っちゃっても全然平気じゃん、と10万ビットは思ったが、それではあまりにも卑怯なので、ここはやっぱり男らしく正直に言うべきではないか、との結論に達したのである。
  そこで、担当ディレクターの国分さんに厳粛なおももちで相談してみた。すると案の定「え?お祭?……ど、どうぞ」と言われ、私は有頂天となった。やはり、快く許可が出たのである!ここに、須賀さんに次いで2人目のウルトラ・スーパーいい人が誕生したのだ。これはまさしくコングラチュレーションと言えるだろう。
  しかしそうこうするうち、待望の浴衣がついに出来上がってきた。早速試着し、お祭に向けて私はもう完全なルンルン気分である。帯は持っていなかったのだが、まさかガムテープで止める訳にもいかないので、すかさず近所で購入した。雪駄も昨日買ったし、もはや準備は万全である。もう今さらやめられない。とにかく、私はお祭に行く!
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