音頭でよければ……

illustrated by Mamoru Oshiiふふ、今年もこの時期がやってきた。去年もここに同じことを書いた気もするけど、そう、毎年楽しみにしている例の「お祭」がこの6月に行われるのである!

お祭といえば、決まって問題になるのが私の仕事のスケジュールである。しかし、ここにあれだけ書いたせいか、今年は早々とウルトラ・スーパーいい人1号のディレクターの方から電話があり「6月2週目の金、土、日は空けてもいいです」との申し出があった。いやあ、なんという素晴らしい人なのであろう。さすが、ウルトラの名に相応しい気配りであった。もはやディレクターの鑑だ。英語で言うと、ミラーオブディレクターである。だが、ミラーオブ氏は「本当は、そこでレコーディングを……いや、なんでもないです、気にしないで下さい……」と後から弱々しく言うではないか。ああ、やっぱり無理をなさっていたのだ、と私も少々気の毒になり「じゃあ、やりましょうか……?」と、一応お伺いしたのだが「そんな気もないクセに!」と言われてしまった。いやー、判ってらっしゃる!そーです、ハナっからそんな気はありませんでした!

さて、ミラー氏はOKとなったものの、他のディレクターの人には何と言うべきか。まず、なぜこの3日間が仕事にならないのかをうまく説明せねばなるまい。確かにミラー氏にはわざわざお祭に来て頂いて、いかに仕事にならないかを証明した訳なのだが、実際その現場を体験していない人に理解してもらうのは極めて困難と思える。しかし、事実過去において、どうしても間に合わない仕事のために気が散りながらも無理やり曲を作ったところ、激しい戦闘シーンだろうが悲しいシーンだろうが、すべて音頭になってしまった実績が私にはあるのだ。特に今年は、去年からギャクものをやっていないという欲求不満が溜まっており、なおさらそうなる危険性が高い。なにしろ一日中祭囃しの生演奏が町中のスピーカーから流れ、20〜30分に1回太鼓の付いた御神輿が通るのだからたまらない。さらに夜ともなれば裏の公園で喉自慢大会が開催されたり、あちこちで爆竹が鳴ったりと、気が散るといったらありゃしない。そんな誘惑の嵐のような条件下におかれた自分の部屋で悲壮感ただよう曲が作れるわけないじゃないか!

いずれにしれも、音頭しかできないのは不可抗力、ということを実例を交えてでも説明し、なんとか御理解して貰えるよう努力するしかなさそうである。

しかし、少々別の問題もあるのだ。実は兄が町内会の役員をやっており、私が音楽の仕事をしていることを町内会の人は皆知っているため、前記の喉自慢大会で審査員をやってくれと毎年言われているのである。私としては、やるからにはきちんとしたことを言わねばならないし、なにより時間を拘束されるのが嫌で断り続けてきた。兄も、弟は忙しいからダメだ、と断ってくれるのだが、当の私がお祭の期間中ビールを飲みながら町内をウロウロ徘徊しているため目撃者は後をたたず、兄の面目は丸つぶれとなった。そういった経緯で、今年はさらに厳重な包囲網が張り巡らされているに違いなく、私はいかにそれをかい潜ってお祭に参加するかが最大のポイントとなっているのである。

さあ、私はこの3日間をうまく空けることができるであろうか。それとも、意味もなく夥しい数の音頭を作るのか、はたまた審査員席に座って鉛筆でリズムをとっているであろうか?結果はいずれまた……。だが、もし審査員になっちまったら、笑ってくれい!
▲HOME▲