炎の3日間は終わった…

illustrated by Mamoru Oshiiああ、何もする気がおこらない…。まったく、なんという脱力感であろう…。今この文章を書いていても、思い浮かぶは楽しかった3日間のことばかりだ。というのも、懸案であった品川のお祭に私は見事参加できたからなのである−−。

それでも今年は2つの神社が別々の日取りでお祭を行うという、なんとも盛り上がらない状況ではあったのだが、意地でも楽しむ、というおめでたい決意を持って臨んだため、現在はまさに「あしたのジョー」のごとく真っ白に燃えつき、ただの灰と化してしまっている。前にも言ったような気もするが、なにしろ私は1年間これのために働いてきたようなもので、そのお祭が終わってしまうといきなりガックリきてしまい、20年位いっぺんに老けたような虚脱感に襲われてため息ばかりが出るのである。だいたい、家の中を歩けば椅子やシンセに激突するし、缶コーヒーを飲めば口の両脇からダーダーこぼれるといった有様で、いかに虚脱しているかが判るというものだ。これはもうオリンピックの閉会式なんてもんじゃない。

しかし、この3日間を夕方からだけとはいえ、私がお祭に参加出来たことはまさに僥倖であり、その背景には各仕事関係の皆様の暖かい御理解があってこそ初めて実現した訳で、有り難いやら申し訳ないやらで胸がいっぱいである。特にK社のディレクターである加瀬氏には、スケジュールを空けてもらったばかりではなく、なんと、例の喉自慢大会の審査員までやっていただいたため、私は大安心して街を徘徊することができたのだ。しかも、声優の井上喜久子さんと彼女のお姉さんや友人の方及び、P社の大熊氏まで遊びにいらしていただいて、私の事務所の人間と共に加瀬氏のステージを見ることが出来たのだから彼の功績は間違いなく後世に残るものと信じる。さらに我々はビールにヤキトリという黄金の食事をほおばりながらそれを見物するといった、なんとも絵に描いたような幸福の図を演じ、30歳半ばにして早くも人生の絶頂を迎えた気分に浸れたのも彼のおかげだ。私はこんな大勢のウルトラ・スーパーいい人達に囲まれてなんという幸せ者なのだろうと思うと、今後の仕事にもさらに力が入るというのので、30曲でいいところを思い余って100曲ぐらい作ってしまうかもしれない。無論この原稿だって例外ではなく、半ページでいいところを20ページくらい書いてしまいそうだが、今月の締め切りはとうに過ぎているという何ともシュールな状況で、もはや一刻を争う事態となっているのは非常に残念に思う。…だが、今の私はすでに灰なのだ。

−−楽しすぎた3日間が終わろうとしている最終日の夜、ちょうちんの灯りも消え、雨上がりのゴミが散乱した商店街を酔いながらそぞろ歩くと、やはり胸に込み上げてくるものがある。その寂しさを紛らわせるために、おみやげに買ったソースせんべいや水アメ無しのすももを肴にしてまた酒を飲むことになるのだが、案の定翌日はひどい2日酔いとなり、おまけに壮絶なゲリのため使い物にならなくなって私は見事燃え尽きたのである。すべての曲が音頭になってしまう後遺症だけは残して……
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