ついに発見!静電気対策法

illustrated by Mamoru Oshiiああ、また寒い季節がやって来る。春から夏、そして秋にかけてはあの"ビリビリ"から解放されるのだが、冬になれば何のまえぶれもなしにどこからともなく訪れるのだからたまらない。なにしろあいつときたら、家だろうが車だろうが、はたまたスタジオだろうが、所かまわずいきなりバチンと来るのである。挙げ句の果てには録音中のマルチテープにまでパチッという音が入ることさえあって腹立たしいことこの上ない。もちろん好きな人などいないだろうが、私は静電気が大っ嫌いなのである。

静電気とは、下敷をこすって髪の毛が持ち上がる例のアレだが、これは説明を必要としないくらいごく日常的な自然現象としてご存知であろう。しかし、静電気が好きな人ならともかく、殆どの人が不愉快に感じているハズなのに、奴を野放しにしているのはどうしてなのだろうか。確かに巷では、私のような人間のために、静電気防止用品が大量に販売されている。また、その効果もかなりのものがあって、実際私もスプレー式の製品を愛用していたことがあり、その威力は充分に知っている。だが、私の性格から意地になって使用するためか、あっという間にひと缶なくなってしまうという超不経済さと、スタジオなど人前で30分おきにシューシューやるのが考えものという理由で今は使っていない。無論、アースベルトや放電アンテナなど、他の商品も検討してはみたものの、殆どが自動車用の部品で、身体に付けるには相当の工夫と覚悟が必要なのは言うまでもなく、およそ一般的とは言い難い。

かといってこのままシビれ続けるのも私のプライドが許さないため、あるスタジオで、アースにコードをつないで、そのコードの端を身体に付けるといったひとつの実験を試みた。家庭でのアースは金属製のドアや水道の蛇口など、やがて地面につながっている金属の所なら何でもOKだが、今回はスタジオにあるミキシングコンソールのマイク端子につないでもらった。しかし、身体の方はジャックがある訳もなく、さんざ考えた末、一番皮膚に密着できるパンツの中にコードを挿入することに決定した。肛門がいいんじゃないか、というかなり濃厚な案もあったが、あまりにヘビーなため即座に却下されたのは言うまでもない。

さて、いざつないでみると妙な感じがする。何だかパンツの中がゾモゾモして落ち着かないのだ。有体に言って気持ち悪い。これはどうしたことなのか。本来アースさえとれば身体の電位差は理論上"0"になるハズなのに、どうも異様な電流が流れているような気がする。そこで我々につながっているコードの先、つまりミキサー卓を調べていたところ、アシスタント氏が「あ…」と小声を上げた。それから彼は笑いだし「48ボルト流れてるっスよこれ」と、言った。そりゃシビれるわけだ。

しかし、卓のファントム電源である48ボルトのスイッチを切ったとたん、我々は何とも言葉に表せないような安堵感に包まれたのである。予想通り電位差ゼロになったからのなのだろうか、とにかく気持ちがいい。誰かが言った。まるで海岸で裸足になった時みたいだ、と……。なるほど!!理屈は同じだ。それならば、普段から靴など履かず、裸足でぺたぺた歩いていればもうシビれることはないということだ。目から鱗とはまさにこのことである。静電気で悩んでいる皆さんも是非一度裸足で生活することをお薦めしつつ、次号最終回であります。
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