− 目次 −
金銭貨幣・金銀・珠玉・雑物を管理し、『織部司』を支配します。
※ 大宝令の頃は、他に『典鋳〔いもの〕』『漆部〔ぬりべ〕』『縫部〔ぬいべ〕』『掃守〔かにもり〕』の4司も支配していますが、時代が下るに連れ、以下のような廃置併合が行われます。(※「大宝令・養老令」参照)
光仁天皇の代:
『典鋳司』が、中務省管轄下の『内匠〔たくみ〕寮』へ併合される。
平城天皇の代:
『漆部司』が、中務省管轄下の『内匠寮』へ、
『縫部司』が、中務省管轄下の『縫殿〔ぬいどの〕寮』へ併合される。
嵯峨天皇の代:
『掃守司』が、宮内省管轄下の『内掃守〔うちのかにもり〕司』と合併して『掃部〔かもん〕寮』となり、宮内省管轄下へ移る。
右弁官局 → [大蔵省] → 織部司〔おりべのつかさ〕
卿→ 大輔(1名)→ 大丞(2名)→ 大録(2名)→ 史生(6名)→ 価長→ 省掌→ 使部 権大輔(1名) 少丞(2名) 少録(2名) 少輔(1名) 権少輔(1名) 大少主鑰 蔵部
正四位下
正五位下
従五位下
正六位下
従六位上
※ 式部省と民部省、大蔵省、中宮職では、重要な任を務めているため、ジョウの中から特別に五位に叙される人もいました。これを『式部大夫』『民部大夫』などと呼びます。(※「位階」)
正七位上
正八位上
出納、諸国の調、金銭・金銀銅鉄・珠玉・骨角歯・羽毛・漆・帳幕、貢献の雑物、度量衡、売買価格などの管理を担当します。定員は1名。
官位相当は正四位下の職ですが公卿(つまり三位以上)が兼任することもあります。
古くは重職とされ、貢賦を担当するために(なぜか自然と(^^;)お金持ちになった人も多く、高利貸しをしてさらに富を蓄えた人もいたようです。
『切下文』を交付する使で、丞〔ジョウ〕以下の人が遣わされます。
京で行われる公事に充てられる大蔵の物が不足のときに(どこか適当な)租税未納国へ送られる督促書類。
『大蔵』とは、大蔵省の倉庫のことで、数カ所にあり、数種類に分けられます。
『官職要解』に、
「大蔵は、内蔵に対する称で、雄略天皇の御代、神物を納める斎蔵〔いみくら〕と、御物を納むる内蔵との外に建てたのが始めである。」とあり、また、
「金銀、そのほかの品物を諸国より貢献したものは、まず大蔵省へ納め、それより内蔵寮の倉庫に分けて入れたのである。大蔵、内蔵は、履中天皇の頃、すでに分かれたことが『古語拾遺』に見えている。」とあります。
〔(※ この項は甚だしく情報が古く、最近の研究で明らかになったことなどが反映されていません。も少し勉強しますm(_ _)m)〕
大蔵省が収納する官物を2割ごとに分けて納めます。「率分」の名前はここから来ているようです。(※大膳職〔だいぜんしき〕も『率分』を持っています。)
この倉の専属管理責任者(長官〔カミ〕)は弁官が1名、『別当』として任じられます。当初は弁官のうちでも上席の人が任じられていましたが、堀河天皇の代に、席の上下よりも諸国から嫌われないような人物を選ぶことに定め替えられたようです。
配下に『勾当〔こうとう〕』という役があり、大蔵輔〔おおくらのすけ〕・主計頭〔かずえのかみ〕・大監物〔だいけんもつ〕などがそれを兼任して事務に当たります。(※「官職の等級・四部官(四等官・四分官)」の「別当と勾当」も参照。)
専属の『御倉守〔みくらもり〕』という役があり、管理を担当しているようですが、収納物などは不明です。『蔵部〔くらべ〕』も正倉の管理に当たったのではないかといいます。
一棟に数戸連なった長い倉庫で、諸国の貢物を国別に分けて納めます。
やはり専属の『勾当』『預〔あずかり〕』といった役があります。
薬種や書籍を入れたようです。