Groove 2000年6月号
佐々木敦
カンガル−・ポ−は、繭 (P-Vine/Extreme),NEINA(Mille Plateaux)のメ ンバ−でもある中村公輔によるソロプロジェク
ト。自信で運営するレ−ベルからのファ−ストアルバム。てっきり瀟洒な電子音響かと思いきや、 ボ−カルも入っていて、初期のマジカルパワ−マコを思わせる、ハンドメイドなポップ感覚あふれるエレクトロニック・サイケ作品になっている。
ちなみに、マウス・オン・マ−ズのヤン・ヴェルナ−がかなり気に入っていたのだが、なるほど電子音響のセンスはケルン派にかなり近い。今後の活躍にも注目!
FM FAN No.105
松山晋也
細海魚を中心とするアバンギャルドなエレクトロニク・ユニット<繭>および<NEINA>のメンバ−でもある中村公輔のソロ・プロジェクトが、このカンガル−・ポ−。電子音を中心にしたアンビエントな音作りと言う点は同じだが、どこまでもエレクトロニクスのデリカシ−を密教的に追求する<繭>などとはやはりベクトルが異なり、カットアップ/コラ−ジュ技法を駆使してサイケデリックな異空間を創出することにウェイトが置かれているようだ。70年代ジャ−マンロック、わけてもデビュ−時のファウストが現代的キッチュさを伴ったような趣。
COOKIE SCENE vol.13
小暮秀夫
カンガルー・ポーというのは、maju(繭)、neinaといった音響/アンビエント系のユニットに参加し、海外のレーベルから作品を発表している中村公輔のソロ・ユニットとのことで、これはその1stアルバム。聴き進むうちに時間軸が緩やかに崩壊していくサイケポップ感と無邪気な無邪気な実験感覚が混ざり合ったクールな音響世界は、音響系と称されるやたら音をやたらシリアスに論じながら聴いているアカデミックな人たちよりむしろ、チャイルディスクの作品の気負いのない自由さを楽しめる人にこそ聴いて欲しいなぁ、なんて思ったりなんかして。肩の力を抜きつつ頭のねじを緩めて聴けば、この音世界の中はかなり自由に遊べるはず。
map issue#1
福田教雄
頭の中で小さな硬いボールが転がっているようなリズム。そこにフォーク町の叙情とギターの「ジャラン」が目まぐるしく顔をのぞかせるトリップ・プロセス。「ローファイ」にしろ「ハイファイ」にしろ、音の表面を越えた場所。宇宙へ飛びだそうと狙う好盤。
MUSIC MAGAZINE 5月号
行川和彦
繭などのユニットに参加している中村公輔のソロ・プロジェクト的なCD。マウス・オン・マ−ズやオヴァルがポップになったような音であり、現代音楽や民族音楽をサンプラ−などで作ったような感じの曲もある。贅肉っぽい音もきこえてきたが、試みは面白い。
WEB JUNGLE
YukoNexus6
2030年の「サウスパーク」に捧げる赤んぼキック!
「Kangaroo Paw」とは、カンガルーの肉球のこと……じゃなくて、Mille Plateaux、Extremeといったレーベルから作品を発表している中村公輔氏のソロユニット。そのアルバム第一弾はというと、ぶった切られたギターポップとローファイ風味の電子音、サンプリングのかけらがツンのめりながら奏でるゴキゲンな世界。んー、このトボケ感と優しさの中にも子供の悪ふざけ毒毒攻撃がはさまってる感じを何と表現したものか……とつらつら考えてて思いついたのが、「そだ!日本版サウスパークを作るとしたらサントラはこいつだなッ」ってこと。
サウスパークといやぁアメリカンスモールタウンの悪ガキ物語(モノがモノだけに誰も見るべからず!)として最近レンタルビデオ屋なんかでも人気のアニメシリーズですけども、音楽をプライマスなんかがやってて、そのぐずぐずに崩れたグランジカントリー(笑)が実にぴったり。Kangaroo
Pawはサウスパーク世界の21世紀的日本的解釈として、これまたぴったしだと思うわけですね。
中村氏にメールインタビューを試みたところ「2030年くらいの子供が最初に手にした楽器がコンピュ−タ−だったらどんなものを作るか」というのがアルバムコンセプトになっているそうで、主な使用機材は「Mac(9500+G3/233カ−ド)+AudioWerk8,AKAI
S3000XL,卓がSoundcraft RAC PAC。これと意味不明に買いまくってしまったサンプリングCD(笑)。8割方はこれだけで作ってます」とは言うものの、その他にも貰いもの、拾ったものなど機材楽器群はおふとんがひけないほどぎちぎちにお持ちのようであります。
とにかく聞いていただければわかる通り、手もち機材をソフト、ハードともに尋常一様の使い方はしていない。ガキの遊び感覚と音響戦士の創意工夫でヘンちくりんな音世界を構築なさっておりますです。ほんと「すげえ」から、いっぺん聞いてみて!
[その他・掲載]
IndiesMagazine 2000/7 vol.37 インタビュー:聞き手 小田晶房
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